【他人棒に】天使【寝取られ】 オナネタ専用エッチな体験談

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    【他人棒に】天使【寝取られ】


    前話、再婚した友人・完結編 太郎とユウタの父子旅行


    太郎(再婚当時33)は前妻礼子に逃げられ、ユウタが残された。
    その直後、同級生の真梨子と子連れ再婚して1年。(礼子とも普通に話せるようになったが、礼子はヨーロッパへ移住した)
    夏休みには箱根へ家族旅行に行き、宿で「私たちの子どもを作りたい」と真梨子から言われ、中だしをした太郎だったが・・・


    【太郎、散々な長期出張】
    旅行から帰ったあとも、俺と真梨子は子作りに励もうとしたが、四国の営業所で内紛がありスタッフが集団退職。一時的な人手不足のため、四国へ1ヶ月の長期出張をすることになった。ユウタと二人暮らしの時、会社に散々迷惑をかけていたので、断れなかったのだ。
    四国から北東北だと、週末の帰省も難しかった。新幹線だと丸一日かかるし、飛行機は乗り継ぎの便がよくない。結局、ずっとビジネスホテル暮らしに。
    で、出張最終日。倉庫で荷物の整理をしていると、OLの三香(22)のミスで脚立から転落。脚を骨折、腰も痛めた。
    四国の病院に10日間入院した後、車椅子に乗って地元に戻る。
    恐縮した三香が付き添いを志願してくれ、会社は三香を出張扱いにしてくれた。三香の両親と所長がポケットマネーで普通車との差額を出し、生まれて初めて新幹線のグリーン車に乗ったが、駅から地元の病院に直行して即入院。
    真梨子や子どもたちとは病院で再会と言うことになってしまった。

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    【楽しい(?)入院生活】
    「遊んでくれないの〜?」という不満げな様子を見せた子どもたちの姿に三香はショックを受け、出張と休暇を足して滞在可能な4日間はほぼ付きっきりだった。
    (三香とは1ヶ月一緒に仕事をして、バカなことも言い合える仲だった。移動の際も肩を借りたりしているし・・・)

    二人部屋には同室者も居らず、半個室状態。多少暑めなので、三香は薄着で過ごしていて、体に貼り付いているTシャツからブラ紐が透けるのとか、ジーンズ越しに丸く膨らむ尻とかが気になる。
    「暑いでしょ?」と三香が布団を剥いだとき、俺の逸物は天を仰いでいた。
    「えっ、どうして?」三香がびっくりした声を上げる。
    「三香の体が気になって・・ここ10日以上抜いていないし、三香のでかい尻とか色っぽいし」と冗談交じりに言ったら
    「すみません、私がドジしなければ、今頃は奥さんと・・・あの、手で良ければ・・いいですよ」
    そう言うと、三香はズボンの上から逸物を捏ね、おもむろに取り出した。
    素手で直接触られるだけでぞくぞくした。
    「意外と早く逝っちゃうかも」「本当・・?。うん、早くしないと看護婦さん来ちゃうしね」
    三香は、俺の逸物を強めに握ると、擦りだした。。。2分ぐらい経った頃
    「逝くよっ」「はい」三香が逸物の先にティッシュを当てると、白濁液がこれでもか、と言うぐらい出てきた。
    後始末の後「お役に立ててよかった」と、軽いキスをしてくれ、逗留先のホテルへ帰っていった。
    その後3日間、朝夕と一日2回抜いてくれて、服の上から胸や腰、尻を触らせてくれていたが、3日目からは生バストを触らせてくれた。
    礼子のような、小さくて張りのある胸を揉み、乳首を捏ねると「あんっ、だめ。欲しくなっちゃう」と鼻を鳴らした。
    最終日の最後の手コキでは、途中からしゃぶってくれて、口の中に発射。
    「また四国に来てね。今度はHしようね」とお別れした。


    その3日後。何と、前妻礼子が見舞いに来てくれた。ヨーロッパの旅行会社に行ったのでは?と尋ねると、日本の旅行会社と折衝するため来日し、思ったより早く済んだので、休暇を取って弟の卓也君に厄介になっているとのこと。卓也君とは礼子の渡欧後も親しくしていたが、さすがに気を利かせて礼子来日を伏せていたのだろうか・・・
    (卓也君は、礼子が渡欧直前、俺と横浜で逢っていたことは知らない)

    「ねえ、溜まっているでしょ」といきなり礼子は布団を剥いで、逸物を取り出し、捏ねた。
    「やっぱり、日本人のは固くていいわぁ〜」
    「固いって・・・向こうの人としたの?」
    「うん。現地の人ってどんなモノなのか試してみたくて、一度だけ取引先の妻子持ちの男の人と・・・・」
    俺は、小柄な礼子が金髪で毛むくじゃらの白人に貫かれている姿を想像し、逸物はいっそう固くなった。
    「向こうの人のって、大きいけど柔らかいのよ。それに、前戯に2時間も掛けるから、疲れちゃった」そう言いながら、慈しむように逸物を捏ね、いきなりくわえた。
    「礼子、そろそろ看護師が・・・」「出していいよ」「礼子っ」俺は礼子の口の中にたっぷり出した。
    礼子は無理矢理飲み干した後「やっぱり日本人はあっさりとお茶漬けね」何だそりゃ。

    その礼子、毎日来ては入り浸るようになった。真梨子とかち合うこともあるが、その時は俺を差し置いて雑談。
    世間話の中で、ヨーロッパの暮らしは思ったよりも大変で、永住するのも・・・、ということが話題になっていた。

    それにしても、いくら三児の母親だとは言っても、真梨子はどうしてこんなに冷たいんだ?
    ふと俺は気になった。車で10分。いつでも来られるのに・・・
    病室で手コキやおしゃぶりまでは期待するほうがおかしいとして、朝夕とも短時間で帰ってしまうし、時には結奈を頭に子どもだけバスに乗って来るときもあった。(子どもだけで行くと、お駄賃が貰えるらしい)

    そんな不満を礼子に言ったら「3人のママじゃ大変だもん。外科のお見舞いなんてこんなものよ。それより、体拭いてあげようか」と、体を拭きながら逸物を捏ねたりしゃぶったり。何回も発射させられた。
    もちろん(?)服の中に手を入れる形ではあるが、生乳も触らせてくれた。
    帰国前日の午後、礼子はフレアのワンピースでやってきて
    「ねえ、さっきトイレで濡らしてきたの・・・」と逸物をしゃぶって立たせた後、ベッドの上の俺にまたがって、合体した。もちろん、ノーパンだ。
    久々の女性の感触に、逝きそうになるが、中に出すわけにはいかない。
    「礼子、もっとゆっくり。逝っちゃうよ」
    「ちょっと我慢して、すごく気持ちいいの。」そう言うと、礼子は自分で腰を振り始めた。服は着たままである。
    「んんんっっっ、あっ。。。逝っちゃった。やっぱ固いのはいいわ。太郎も中で出していいよ」
    「おいおい、冗談きついよ」
    礼子は、ベッドの上から降りると、俺の逸物を手で扱きだした。
    一方で、俺の空いた手をスカートの中に誘導して、局部を捏ねるように促す。久々の礼子の局部は大洪水になっていた。クリを擦ると、「んんんっ」と快感をこらえている。その表情に、俺は逝きそうになった「礼子、逝くよ」「いいよ」「おおおおっ」
    後始末の後、礼子は俺に覆い被さってディープキス。

    「太郎・・やっぱりあなたが世界で一番好き」
    帰り際に礼子はそう言い残して、ヨーロッパに旅立った。

    それから数日経った10月末、待ちに待った退院。楽しい入院生活だったが、それとは別格の楽しみ、帰宅。そう、真梨子とは2ヶ月間ご無沙汰していた。
    今日は徹底的に真梨子を・・・・・・それだけで逸物が立ってきた。


    【真梨子と寝室・・・!】
    真梨子が迎えに来て自宅に帰り、荷物をほどいたりするが、どうも真梨子の様子が普通ではない。何か沈んだ感じだ。
    帰ったら寝室に連れ込んで押し倒そうと思ったのに、とてもそんな雰囲気ではない。(脚が完全に治っていないので、力ずくというわけにもいかないし)
    学校から帰った子どもたちと喋ったり、食事、お風呂と淡々と時間が過ぎていく。
    夜10時。子どもたちはそれぞれの部屋に入った。夜10時以降、両親の寝室に用事のある子どもたちはノックをすることになっているので、やっと夫婦の時間。
    寝室の片隅にあるソファに腰掛けて、真梨子に隣に座るように促すが・・・・

    真梨子は突然「太郎、ごめんなさい・・大事なお話が・・」俺は胸の高鳴りを感じた。
    「真梨子、どうしたの」・・・「これを見て!」真梨子が取り出したのは、妊娠検査薬。
    窓にはくっきりと赤い帯が。真梨子は妊娠していたのか・・・
    「やったぁ、赤ちゃん出来ていたの??、どうして隠していたの?」

    「それが・・・・ごめんなさい。あなたの子どもじゃないの!」そう言うと泣き崩れてしまった。
    「真梨子!!」俺は怒鳴った後、怒りをかみ殺して「どういう事?本当なのか?」
    俺は口から心臓が飛び出しそうになった。

    「真梨子、何でも話してみてよ。」


    【真梨子、衝撃の告白】
    夏休み、俺との子作りは失敗したみたいで、9月に入ってすぐに生理が来た。
    (確かに、その後には真梨子とHしていない)

    で、9月中旬。昔の同級生が集まるというので、真梨子は(太郎の)おふくろに子どもを預け、出かけていった。
    男女合わせて20名ぐらいの和気あいあいとしたメンバーだった。
    貧乏時代は同窓会なんてとんでもなかったので、皆、久しぶりの顔ばかり。
    普段、家事に追われていることから開放的になり、飲みつけない酒を飲んで、気分が良くなったのだが・・・。
    いつの間にか、店を移動していて、昔かっこよかったツッパリのシンジとコウジと3人で喋っていた。そこでも酒を飲まされているうちに記憶を亡くして・・・

    気がついたら、股間に違和感を感じていた。真梨子が居たのはラブホテルの1室。全裸で仰向けにされ、シンジが真梨子を貫いていた。抵抗しようとするが、手を押さえられていた。
    「おい、まりちゃんのお目覚めだぞ」と、背中からコウジの声。
    ここで真梨子は正気にかえった。私、どうしてこんな所でHしてるの?
    「ちょっと、やめてよ」と大声を出すが、すぐに口をふさがれた。
    それよりも、股間を貫いているシンジのピストンが気持ちよくて、喘ぎ声が出てしまう。
    コウジは、乳首をこね回しているので、変になりそうだ。
    と・・・「おおっ逝くよっ」と、シンジ
    「えっ、まさか。生なんでしょ。中はやめて、お願い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
    「ぉぉぉぉぉぉおおおおおっ」シンジは腰に体重を掛け、真梨子の中にたっぷり放出した。
    真梨子から抜け出たシンジの肉棒にはゴムは付いていない。
    「ちょっと、やめてよ。ひどい・・・」真梨子は泣き崩れたが、すぐにコウジに尻を掴まれ、バックの体勢にさせられると、肉棒が股間に進入してきた。

    正直、真梨子は感じてしまい、抵抗する術もなく声を出し続けるだけだった。
    「お願い、中はやめて」という願いもむなしく、中にたっぷり出され、その後も1回ずつ中に出された。最後は抵抗する気力もなく、時間が過ぎるのを待つだけだった。

    最後にはお約束の脅迫。「写真撮ったからな。それに、お前から付いてきたんだから、和姦な・・」
    「お願い、帰らせて。子どもたちが・・・」「分かったよ。まあ、これからもセフレ続けようぜ」真梨子はようやく服を着て、部屋から連れ出されると、奴らの腕を振りきって幹線道路に飛び出し、タクシーを拾った・・・

    その2週間後。シンジとスーパーでばったり出くわし、画像のプリントを見せられ、シンジの車で山の中へ。青姦でバックで貫かれ、中出しされ、写真も撮られた。。それ以降は会っていないと言うが・・・


    【真梨子の必死の願い】
    「お願いします、私のようなふしだらな女、叩き出されても仕方ありません。私が全部悪いんです。だけど、礼子さんのところに、結奈と若奈だけは連れて行ってください。助けてあげてください・・・お願い」
    と、土下座した。
    前妻の礼子が一時帰国していたとき、俺のお見舞いと称して病室に入り浸っていたのを真梨子は知っていた。
    真梨子は事件〜妊娠発覚の後、自分が叩き出されるのは覚悟した。
    しかし、結奈と若奈を連れてはいけない。自分の力では生活が成り立たないのは再婚前の生活から明らかだからだ。
    そこで太郎が礼子を帰国させ、復縁すれば、子どもたちを引き取ってもらえると思い、礼子が入り浸るのを黙認していたらしい。(道理で礼子に帰国を勧めていた訳か・・・真梨子は)


    もちろん、そんなこと出来るわけはない。


    「真梨子、俺と別れて奴と一緒になりたいのか?」太郎は恐る恐る聞いた。
    「そうじゃないけど、太郎と別れたくないけど、でも、私のしたこととても許されることではない・・・ううっ」
    「真梨子。俺は一回礼子に捨てられている。もう女房に逃げられるのはこりごりだ。だから、今現在の率直な俺の気持ちとしては、すぐにお前を叩き出そうとか、礼子に日本に帰国してもらおうというつもりはない。もう少し色々聞いてから考えたい。だけど、ちょっとひとりにして欲しい」
    「はい」

    俺は、寝室を出ると、書斎にこもった。
    なんてことだ・・・・もっと聞きたいことはあったが、聞くのがいたたまれなかった。
    Hさせられ、脅迫を受け、望まない妊娠をし・・入院中の俺に気を遣って喋ることもできない。
    俺にあわせる顔がなくて、見舞いもおざなりになるのは無理もないだろう。でも・・・

    とりあえず、明日色々行動しなくてはならないかも。遅いけど、会社の上司に休むことを伝えないと。中原(なかはら)課長の番号は・・・・・


    【太郎の電話した相手】
    携帯のボタンを押すと、呼び出し音の後「はい、中部(なかべ)です」
    「もしもし・・・あれ?、ケンか!!」どうやら間違えて掛けてしまったようだ。
    が、高校の仲間であるケンの声を聞いて、俺は不覚にも泣き出してしまった。
    「太郎、どうしたんだ。突然泣き出して・・・」「実は・・・・」
    太郎はいきさつを話した。昔の仲間なので、何でも話せる気がした。
    何度も何度も嗚咽した。涙が止まらなかった。ケンはそれを全部聞いてくれた。
    最初、背後で何人かが談笑していたようだが、静まりかえり、ひそひそ声に変わった。
    「ケン、誰かいるのか・・・」「大丈夫だよ、続けろよ」
    全部話し終わると、俺は咆哮した。。。。。

    ケンの所にいたのは、義父の真一郎氏。
    義母が20人近い友人を連れ込み、自宅でホームパーティーをして騒いでいるので、娘(ケンの妻・真帆)の所に逃げ込んできたというわけ。
    あと、準備と片づけに手間がかかるということで、弓美と、弓美の婚約者の池本君も来ていて、ケンの所で待ちながらしゃべっていた。(全て葬式〜PTA会長シリーズのメンバーです)
    皆で談笑していると、突然太郎からの電話。ただならぬ気配に、義父・真一郎氏が関心を示し、太郎が嗚咽している間を利用して、ケンは手短に状況を伝えた。


    あまりにも悲惨な話に、皆、声も出ない。


    話終わった俺は少し落ち着いた。
    「もしもし」・・相手が年輩の男性に代わった。
    「太郎君、ケンの義父の真一郎だ。覚えているか?」と野太い声が耳に入る。
    真一郎さんとは、ケンの所に遊びに行ったとき、少し話をしたことがある。
    「ケンから話は聞いた。本当に辛かったな・・・・」俺は、二、三受け答えすると
    「太郎君、今、君は辛いと思うが、これだけは聞いて欲しい。今、君は奥さんのこと責めたいと思っているだろう。だけど、奥さんを取り戻したいと思うなら、絶対に奥さんを責めちゃだめだ。」俺は、はっとなった。レイプの二次被害・・・・
    「いいか、太郎君の敵は奥さんではない。あの男たちだ。私はレイプ犯罪を絶対に許さない。私たちも是非協力させて欲しい。一緒に戦おう」

    次に電話に出たのは女性だった「太郎、覚えている?。弓美よ。洋子の友達の」
    ケンの彼女・洋子の友人弓美。いつも図書室で本を読んでいた明るい娘。なつかしいなぁ。(どうしてケンの所にいるんだろう?)
    「ケンから話は聞いたよ。今は真梨子ちゃんを守ってあげて。私も手伝うよ」ケンだけでなく、弓美まで俺のこと応援してくれる・・・懐かしい声を聞いて、気持ちが落ち着いだ。

    と、真梨子が書斎に飛び込んできた。
    「太郎・・・どうしよう」と携帯の画面を見せてくれた。
    『そろそろオレたちといいことしようぜ。会いたいな』シンジからのメールだった。
    ご丁寧にも、真梨子の全裸画像まで添えられている。

    太郎は電話口のケンに話した。
    「そうか・・・でも、このタイミングでメールを見せてくれるのなら、真梨子さんは大丈夫。さて・・・」俺たちはもう少し話を続けた。

    電話を切ると、真梨子は「太郎、本当に、私、ここにいてもいいんですか?・・ありがとう」と涙ぐんだ。
    「うん。だけど、真梨子。ただでは済まない。俺たちの選ぶ道は辛いぞ・・・」
    「はい。太郎と一緒に居られるのなら・・・・死ぬ気で我慢します」
    俺たちはベッドをくっつけると、手をつないで寝た。


    【作戦会議】
    翌朝、会社に電話して休むことを伝えた後、(礼子との離婚を担当した)津田弁護士を訪ねた。
    今までに来たメールの文章や画像を見せる。真梨子の裸やHシーンなど、おぞましい画像ばかりだが、そんなこと言っていられない。
    真梨子も、自分の裸の画像を前に、屈辱に耐えながらも自分が犯された状況をしっかりした口調で証言する。これが上手くいかなければ破滅なのだ。
    「これはひどい・・・」と弁護士は絶句。示談や法的闘争に入るための打ち合わせをする。

    作戦としては
    (1)真梨子が会うことを装って二人(シンジとコウジ)を呼び出す。
    (2)そこで太郎が二人の前に出て、弁護士の元へ連れて行く
    (3)その後、証拠を突きつけて示談交渉。
    ・・示談に応じる姿勢がなかったり、態度によっては告訴。(警察には事前に証拠を持参して相談)

    問題は(2)の二人の身柄の確保。多分抵抗することは間違いない。
    が、ケンに相談すると「任せとけ」と二つ返事で引き受けてくれた。

    【ミッション準備】
    決行は今度の日曜日の夜と決め、真梨子は震える指でメールを打った。
    「今度の日曜日なら。ファミレスの○○で待っています。。でも、主人はもう戻っています。これで最後にしてください。」
    「分かった。でも、これで最後にはしないよ。お前のむちむちの体、忘れられないぜ。またひいひい言わせてあげるよ。タロには内緒で逢おうぜ」と返事が来る。ふざけんなよ!


    当日午前中、○○ファミレスと離れた山奥温泉のA旅館にケンたちが着いたとのこと。
    ここに全員集まり、座敷で昼食を取りながら作戦を確認する。(子どもまで含めると全部で20人近く集まっている。役割を確認しながら、ちょっと見渡してみた)

    真梨子・・○○ファミレスでシンジとコウジを誘い出す。
    真帆・弓美・・○○ファミレスで客を装って待機し、電話をつなぎっ放しにして真梨子たちの席の様子を盗聴して外部に送信するとともに、会話を録音。
    太郎・・・まず、シンジとコウジの前に出て、謝罪と関係解消をするように迫る。

    太郎の父、真一郎(ケンの義父)、勇二郎(真一郎の弟)・・・ファミレス隣の公園に待機していて、シンジとコウジが抵抗した場合、身柄を確保

    シンジとコウジが抵抗した場合、真帆と弓美が店から真梨子を連れだし、ファミレスに待機している車(ケンが運転)で脱出する。

    卓也(前妻礼子の弟で太郎と親しい)、池本君(弓美の婚約者で10コ年下)・・シンジとコウジや太郎たちを津田弁護士の元に運ぶ車のドライバー。見張りも兼ねて公園で待機。

    太郎の母、ケンの義母(真一郎さんの奥さん)、勇二郎さんの奥さん・・・A旅館にて、太郎の子どもたち(3人)とケンの子どもの保育(旅館に待機なので今回の作戦には参加しないが、誰かが負傷して病院に担ぎ込まれた、などの緊急時には対応する)

    太郎の父の友人である、○○ファミレス店長も、今回の捕物に協力してもらうため同席していた。
    津田弁護士は夕方にBシティホテルの個室(小会議室)に移動して待機する。会場には「中部工業面接会場」という札がぶら下がっている。卓也君の奥さんは中部工業の事務員に化け、連絡係として一緒に待機している。(示談中は別室へ)

    作戦を確認した後、旅館で色々な人と断続的に喋りながら過ごす。
    真梨子(新聞部員)と弓美(本好き)は高校時代、図書室で声をかけあう程度のつきあいだが、同級生と喋ることで多少、真梨子は気が紛れたようだ。

    そして、約束の18時。俺はファミレスに隣接した公園駐車場に待機する。
    店内には、真梨子と、通路を挟んだ反対側の席に弓美&真帆さんが客を装って待機している。(弓美は大きな眼鏡と帽子で変装している)
    と、シンジとコウジが入ってきたのが見えた。昔から粗野な奴だったが、全然変わっていない。
    真一郎さんの電話が鳴った。真帆さんが電話をつなぎっぱなしにしたため、店内の様子がスピーカーで流れてくる。


    【ファミレス突入】
    「まりちゃん、待たせたな。早く会いたかったよ」
    「まあ、コーヒーでも飲みなさいよ。。ねえ、太郎にばれたら大変よ。もう退院しているんだから。もうやめようよ」と真梨子は二人を座らせてしゃべり始める。店長はお冷やの器として、アクリル製のコップを用意したとのこと。奴らが投げつけても割れないように。

    いよいよ俺の出番だ。「太郎、がんばれよ」とサングラスにマスク姿の真一郎さんが握手をしてくれて、俺は店内へ。

    「お前らか?真梨子にまとわり付いているのは?」
    「いよっ、タロちゃんのご登場」「わりぃな、お前の奥さんと今から一発やるところなんだよ。お前はとっとと帰ってろ」「この雌豚、抱き心地は最高だぜ。タロちゃんだけじゃ物足りないとさ」二人は立ち上がる。
    「お前ら、そんなことしていいと思っているのか?、ちょっと座れよ。話がある」
    「うるせえ」シンジが突然、俺の胸ぐらを掴んだ。顔が熱くなり、床に転がった。脚はまだ治りきっていないのだ。鼻からは血が噴き出したところに、何発かパンチが入る。一対二では・・・。
    立ち上がろうとすると、コウジに腹を蹴られ、少し意識が遠のいた。
    と、「お前ら、何をやっているんだ」と父の声が聞こえ、「真梨子さん、早く」と弓美と真帆さんが真梨子を連れ出す様子が。
    真梨子は、「太郎!」と悲鳴を上げながら弓美たちに引きずられるように店外へ。「こっちだ、早くしろ」というケンの声・・
    「真梨子、てめえっ、逃げるな」とコウジが怒鳴るが、すぐに崩れ落ちる。誰かが腹を殴ったらしい。駐車場からは白いクラウンがケンや真梨子たちを乗せて、猛スピードで走り去った。

    さっきからフラッシュが光っている。(店長が暴行の証拠を撮影していた)
    何とか立ち上がると、シンジとコウジは、真一郎さんたちに首根っこを掴まれ、店外に連れ出される所だった。ウエイトレスが用意してくれたおしぼりで顔を拭いた後、俺もついていく・・・

    公園の茂みの奥に二人は正座させられている。
    そう、真一郎さんと勇二郎さんは、見事に二人で奴らを制圧しているのだ。サングラスにハンチング帽、マスク姿の二人は皮手袋と皮ジャンパーを着用し、勇二郎さんの手元にはドス(短刀)が・・すげえ。作戦通り、俺のおやじと俺は、奴らの後ろに立つ。
    「お前ら、他人の女房を寝取って妊娠させた上、旦那に暴行か・・」「証拠は録音と写真で撮ったから」
    「今から、示談するから弁護士の所に行くぞ」真一郎さんと勇二郎さんは凄んでいる。
    「イヤです。真梨子さんが誘ったんです」「俺たちは中出しなんてしていませんよ」拗ねたような口調で言い返す奴ら。反省の色は見られない。
    勇二郎さんがドスを俺の父に預けると、シンジの胸ぐらを掴んで立たせ、後ろから羽交い締めにした。
    「そういう嘘つきには・・」真一郎さんがパンチをシンジの腹に浴びせた。顔色一つ変えず、パンチは腹に吸い込まれ、シンジの顔が青ざめている。
    「あんた方こそ暴力・・」正座したままのコウジがぼそっと言ったので、俺はコウジの顔に蹴りを入れ、奴は倒れ込んだ。
    「おい、顔はまずいぞ」と父。だけど、そう言いつつも、股間に父の蹴りが入った。

    「お前ら、強姦罪で告訴されると大変だぞ」
    「強姦罪(ツッコミ)で刑務所に服役すると、他の受刑者からいびられるぞ・・」真一郎さんたちは奴らに声を掛ける
    崩れ落ちたシンジに代わり、コウジも腹をたっぷり殴られた。
    俺も、シンジへの股間への蹴りに加わった。コウジが割と早く崩れ落ちた。
    「もっと続けてやろうか」「腹を殴られるとなぁ、なかなか死ねない割には苦しいぞっと」
    腹へのパンチを再開するそぶりを見せると
    「分かりましたよぉ。行きゃあいいんだろ」
    「馬鹿野郎、『はい、行きます』と言え」
    「ううっ・・はい、いきます」シンジとコウジはうなだれた。

    見張り役&運転手の池本君と卓也君先導の元、俺たちは奴らを車に押し込んだ。
    卓也君は空手の有段者なので、今回は見張りに回ったが、気迫は十分に伝わっている。
    駐車場には、池本君運転のケンの黒いミニバンと、卓也君のRV車が二台止まっていた。
    (いずれも3列シートで、1台一人ずつ、3列目に押し込まれた。口裏合わせ防止と、運転手に対する暴行防止の為のようだ)

    【示談】
    車はシティホテルに到着した。シンジとコウジを小突きながら弁護士の待機する個室会議室へ。
    室内には、俺、弁護士、俺の父、シンジ、コウジ。あと、ドア際に卓也君と勇二郎さんが立つ。
    「話を始める前に、あなた方も弁護士や関係者を呼びますか?」「いいえ」「では・・」
    津田弁護士は、威厳ある落ち着いた態度で二人と接している。

    裁判に持ち込むだけの証拠はある。裁判になったら、費用もかかるし、あなた方は社会的に破滅すると。
    「うそでしょ? 僕らがやったという証拠はあるんスか?」
    「あなた方の撮ったH写真、顔は写っていなくても手足のほくろや傷は写っている。比べてみるか?」
    「でも、先生。あれは真梨子さんから誘って・・」この期に及んで往生際の悪い奴らだ。
    「真梨子さんは子どもが欲しくて、8月に産婦人科に健康診断に行っている。これがその明細と領収書だ。そんな状態の主婦が男を誘うものか・・・」
    「真梨子さんはまた会いたいと・・・」
    「お前たちからのメールは、全部脅迫じゃないか」
    さらに、酒に何か混ぜていたというバーの主人の証言、子どもを欲しがっていたという真梨子の友人の証言、太郎が四国のホテルに泊まっていた宿泊証明書、入院費用の明細書、そして、妊娠6週の診断書。
    次から次へと、証拠が並べられていくと、彼らは沈黙した。

    示談書のフォーマットが提示された。
      ・姦淫の事実を認めること。
      ・今後は一切真梨子や太郎などに接近しないこと。
      ・謝罪すること。慰謝料は・・・・・

    奴らがそれを読んでいると、廊下から話し声や悲鳴が聞こえてきた。
    「家族をお連れしました」とケンが数人の人を招き入れた。
    ドアが開くと「シンジ!」「コウジ!」「なんて事を・・」「ひどい・・・」
    シンジとコウジの両親や奥さんたちだった。
    交渉に入る前、シンジとコウジの身柄を引き取らせるため、奴らの家族を呼び寄せていたのだった。(突然の呼び出しに不審がる家族に、真一郎さんたちがロビーで説明してくれたようだ。)
    「太郎さん、申し訳ありません」皆、一列に並んで俺に土下座した。が、俺は納得できない。本人が謝ってくれないと意味がない。家族たちは、「ちゃんとお詫びしなさいよ」とシンジとコウジに囁いている。全く、ガキじゃあるまいし・・・
    少しして、「すみませんでしたぁ」と誠意が感じられない態度で嫌々シンジとコウジが謝罪らしきことをし、示談書にサインした。

    俺は、「ちゃんと真梨子にも謝れよ」と言いかけた、その時。
    スーツ姿の屈強な男性が数人、室内に入ってきた。
    「ここは、中部工業の面接会場ですよ」と卓也君が追い出そうとするが・・・
    「○○シンジ、△△コウジ。強制猥褻と強姦容疑で逮捕する」
    「あれ?、私の依頼者はまだ告訴していませんよ」と弁護士。(事前に警察に相談はしていた)
    「津田先生、どうも、こんばんわ。ちょっと違うんですよ。別件ですので」と、弁護士の知り合いらしい刑事。
    逮捕状を見せられたシンジとコウジは、呆然と見つめる家族の目の前で手錠を掛けられ、連行された。


    後で聞いたところによると、真梨子とは別の同級生もシンジとコウジに犯され、泣き寝入りしていた。
    高校時代はツッパリだった二人も、今は筋金入りのごろつきになっていたのだった。昔の仲間と交流が無かった真梨子は、そのことを知るよしもなく、付いて行ってしまったわけだ。
    ところが、真梨子たちが奴らと対決・示談するために証拠を集めているという話を聞き、その同級生も旦那に告白。相談してやつらを告訴することにしたとのこと。
    警察への相談の中で、真梨子たちが本人たちの身柄を押さえて示談交渉をするという情報も流していたので、この場での逮捕となった。
    後日、同級生に付いている別の弁護士や旦那から、「この件も告訴して欲しい。彼らに重い刑を」と頼まれ、真梨子も告訴した。

    「太郎くん、後は奥さんと仲良くするんだぞ」と真一郎さん
    「ここまで手を掛けたんだ。真梨子を泣かせたらただじゃおかないぞ」とケン。
    別室で待機していた真梨子や、A旅館にいたうちの子どもたちとも合流。
    A旅館に宿泊するケンたちをホテル玄関で見送ったあと、卓也君の車で自宅に戻った。

    寝室にこもり、真梨子に示談書を見せる。逮捕されたことも伝えると「そう・・・」と少しほっとした表情をした。真梨子は、俺のアザだらけの顔を飽きることなくいつまでも撫でていた・・・


    【苦渋の決断】
    疲れたのでその晩はそれだけで寝ることにしたが、大切な問題が残っていた。
    真梨子のお腹の中の胎児である。

    犯された結果出来てしまった胎児。母親としての本能と、男に対する嫌悪感、妻としての責任の間で真梨子は悩んでいるに違いない。A旅館で、真一郎さんや勇二郎さんたちとこの話は十分にしている。
    まず、中絶そのものは、
    ・母体保護法第14条(2) 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの
    に該当するので問題ない。(必要なら示談書も使える)。理解ある医師なら
    ・母体保護法第14条(1) 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
    を適用してくれるだろう。

    ただ、誰が話の方向性をつけるか(泥をかぶるか)、という点については太郎がそれをすべきだ、と真一郎氏。(この時点で既に胎児の運命は決まったも同然)
    「産むのは女性が決めること」と突き放すのは無責任だというのだ。

    そこで、翌日、その話を真梨子にしてみる。やはり、中絶したいが、命のことを・・
    と煮え切らない様子。そこで
    「真梨子がどうしてもというのなら男が押し切ることはできないけど」と前置きして
    「結奈や若奈は連れ子なのを承知で再婚したのだからいいとして、(結婚後に仕込まれた) ”父親が自分ではない子ども”が生まれても自分の子どもとして接する自信がないし、そんな訳のわからない子どもを産んだ真梨子とも今まで通り接するのは難しいと思う。俺のこと、心の小さな人間だと思ってくれて構わない」
    と告げた。
    その上で「真梨子の十字架は俺が背負うよ」とも・・・・・

    真梨子はすすり泣きをした。やっぱり産みたいのか・・・・俺はぎょっとした。また離婚なのか・・・もうこりごりだ。と。
    でも真梨子は
    「太郎、私、どうしたらいいのか分からなかったけど、そう言ってくれて少し気が楽になりました。お腹の子どもはおろします。太郎と一緒に居られるためなら、どんなことでも我慢します。その代わり、一生離れないから」そう言うと、しがみついてきた。

    その後、俺は、自分のおふくろに報告した。怒られるかと思ったが、ドライな性格のおふくろは
    「あんたたち、その子の分も幸せになるのよ」とあっさり言ってくれて、術前術後は子どもたちを見てくれるとのこと。
    午後、父から紹介された婦人科に行き、事情を話し、手術を申し込む。
    この医師、昔は産婦人科医師として多くの出産に立ち会っていたが、最近は体力の衰えから分娩をやめて婦人科(と中絶)をしている由。……父の配慮を感じた。明るい待合室に妊婦向けのポスター(赤ちゃんの図柄が多い)がべたべた貼られているような産婦人科での中絶は、真梨子も辛いだろう。
    実際、薄暗い待合室は更年期を迎えたようなおばちゃんばかり。貼られていたポスターで一番目に付いたのは「振り込め詐欺にご注意」だった。

    老医師は、真梨子に簡単にねぎらいの言葉を掛けた後、手術の流れや注意事項をこれから爪でも切るように淡々と説明してくれた。
    あっさりとした口調が、今の俺たちには嬉しかった。

    命を絶つと言うこと・・・辛い決断だ。
    手術日までの間、俺は何度も夜中に目が覚めた。ユウタが生まれたときの、礼子の嬉しそうな表情が思い出される。
    真梨子を起こし、「真梨子、やっぱり産んでくれ」と言いたくなるが、シンジとコウジのふてぶてしい態度を思い出し、怒りのパワーでそれを押しとどめた。あんな奴の二世なんて、子ども自身がかわいそうだ、とも。
    それでも、手術の前日、書斎からこっそりケンの所に電話したときは涙が止まらなかった。ケンは、そんな俺の愚痴をいつまでも聞いてくれた。


    【人工妊娠中絶手術】
    当日、緊張気味の真梨子を伴って婦人科医院へ行く。車を降りると
    「太郎、どうしよう」「?」
    「何か、お腹の中で動いた気がするの」
    「真梨子・・・」俺は、人前にもかかわらず、真梨子を抱きしめた。真梨子、すまない。寛容ではない俺を許してくれ・・・

    「太郎、ありがとう。いいわ。中に入ろうよ。決めたことでしょ。私、太郎のためなら・・・」
    受付を通り、病室に案内される。元4人部屋で、昔は赤ちゃんの泣き声とママやパパの笑顔が溢れていたと思われる病室も、今はベッドが1つだけ。入院は受け入れず、婦人科外来と日帰り中絶手術だけなので、これでいいのだろう。(病室は他にもあり、それぞれ個室になっていた)
    古びた室内はがらんとしている。薄汚れたピンクの壁紙が物悲しい。
    その病室で、真梨子は看護師から問診や血圧、体温の測定を受け、病衣に着替えた。窓の外には、ベビーカーを押した親子連れが歩いていた。

    看護師が真梨子を呼びに来た。付いていこうとすると、家族は病室で待つように言われた。

    窓の外には、集団降園する幼稚園児や下校する小学生が見える。
    俺も悪いことしていないし、たった今、天国に旅立とうとしている天使ちゃんには何の罪もない。
    真梨子に隙があった?。それにしては、高すぎる代償だ。
    どうしてこんなことになるのだろう・・・あの二人(シンジとコウジ)には、天使ちゃんの分の罪も償ってもらいたいものだ、他の受刑者にいじめ抜かれればいい。と思いつつ景色を眺めた。今日はやけに子どもが目に付く・・・

    がらんとした部屋、主のいない空っぽのベッドの傍らでぼんやりしていると、廊下で物音がした。
    「奥さんが帰ってきますよ」と看護師。ストレッチャーに横たわった真梨子は気持ちよさそうに眠っている。
    看護師は二人がかりで真梨子をベッドに移したあと、「手術は無事に終わりました。人によって違いますが、1〜2時間程度で麻酔は覚めます。麻酔が覚めたら呼んでください」

    真梨子の寝顔を眺めながら、俺は考えた。再婚して1年ちょっと、真梨子は俺と一緒に居たいために無理してきたのだろう。貧困から這い出して、良き妻、良き母親になるため、一生懸命の毎日だった。
    で、クラス会があって、息抜きのつもりで出かけたら、あんな目にあってしまった・・・・がんばりすぎないように言わないと・・・と


    【立ち直りに向けて】
    中絶手術も、済んでしまえば多少気が楽になった。
    術後、真梨子は天使ちゃんのことは一切口にしなかった。

    真梨子の求めで、夜の生活も術後1ヶ月後から手コキとおしゃぶり、術後2ヶ月後から本格的に再開したが、避妊している。
    本人はクラス会には二度と行かないと言っていたが、そんなわけにも行かないので真梨子がクラス会や結婚式などに参加するときのルールも決めた。一次会のみとし、必ず太郎(又は太郎の父か卓也君)が迎えに行く。迎えの車が確保できないときは参加しない、と。
    「話し足りなければ自宅に友達を呼びなよ。遠慮しなくていいんだよ。せっかく礼子がこんなでかい家を残していったんだから。。」太郎が言うと、真梨子は顔を真っ赤にしてうなずいていた。
    一方、家事の手抜きはおふくろが相談に乗り、真梨子にも多少の余暇時間ができたようだ。洗濯乾燥機や食器洗い機などの家電製品もより高機能のものに買い換えた。慰謝料の一部で。
    さらに、おふくろに勧められて公民館図書室で本の整理や絵本読み聞かせのボランティアを始めるなど、外と関わりをもつようにした。


    【岩窟】
    翌年の春。手術から4ヶ月が経った春休み。車で金沢に旅行に行った。
    桜には早く、寒い季節だが、その分観光客が少なくてゆったり楽しめるというわけ。

    初日、小○インターで降りた俺たちは「○○○岩窟院」に寄った。
    子どもたちには色々な像があることを伝え、先に進んでもらう。
    「何かおどろおどろしい所ね、どうしたの。わざわざ○松で降りるなんて」
    「真梨子、あのこと、引っかかっているんだろう」
    子作りを再開しないで、避妊を続けている原因は何となく分かる。
    真梨子は無言だ。・・・・・・「太郎、これは?」と、真梨子は、ある場所に目を留めた。
    「天使ちゃんのお友達だよ」そう、その場所には小さなお地蔵様がびっしり並んでいる。
    「天使ちゃんも、この中に入れてもらおうよ」
    「うん」真梨子は涙ぐんだ。やっぱり、気になっていたのだ。

    傍らのノートに目を留めると

    「パパとママは一緒になれないので、産んであげられませんでした。ごめんなさい」
    「いつか、パパにもここに来てもらうから待っていてね」

    というようなメッセージが何十ページにも渡ってびっしりと書かれている。
    「こんなにたくさん苦しんでいる人がいるんだ・・・好きな人の赤ちゃんも産めないなんて」
    真梨子はノートに目を走らせていた。涙がぽたぽたと垂れ、ノートを濡らしている。
    「太郎、どこに行けば頼めるの?」
    俺たちは、小さなお地蔵様を申し込んだ。

    と、携帯電話が鳴った。
    「お父さん、お母さん、私たちゴールに着いてるよ。早く来てよ」と、結奈の携帯から。
    子どもたち3人には携帯ゲームを持たせていて、ゴールで時間つぶしさせていたが、飽きたのだろう。
    急ぎ足で様々な彫刻が飾られた洞窟を抜けると、手招きする子どもたちの傍らで、寝そべった姿の大きな仏さまが俺たちを見つめていた。

     

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