【友達と】Double【エッチ】 オナネタ専用エッチな体験談

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    【友達と】Double【エッチ】


    —1—
     零がそのアルバイトを始めてから二年と少しになる。
    大学入学と同時に始めた楽器店のバイトは、時給が低い上に雑用ばかり多くて、少なくとも割りの良いアルバイトとは言えなかったが、その店は貸しスタジオが併設されており、空き時間にはそこにあるグランドピアノを思い切り弾けるのが魅力だった。
     零は大学の音楽部ピアノ科三年生、入学当初こそ大きなホールでリサイタルを開く自分の姿を夢見た時期もあったが、学年が進むにつれ現実の厳しさを知った。
    今思い描いている夢は、卒業したら楽器会社が母体の音楽教室の講師として就職し、ゆくゆくは自分でピアノ教室を開きたい、そんな実現可能な目標とも言うべきものだった。
     真面目で将来の夢も持っている、今時珍しいくらいしっかりした学生、そんな零にはだれにも言えない秘密があった。それは
    ネットアイドル・零夏、としてのもう一つの顔を持っているという事。
    そしてネット上で露出をしているという事。
     零、いや零夏がいるのはインターネットの「ビリオンアイランド」というサイトの中の「零夏のワンルーム」というブログだ。
    某プロバイダーが主催の、ブログを取りまとめているこのサイトは会員になれば自分でいくつでもブログを立ち上げることができる。
    プロバイダーの契約者以外参加できないことや紹介者が必要などの入会条件が厳しく、反面、女性やあまりパソコンの知識のない人間でも安心して参加できる、だから零も参加してみようと思ったのだ。
     ビリオンアイランドは、普段の生活を綴るブログもあるにはあったが、それよりもそれぞれがマニアックな知識を誇る空間になっていた。
    例えばピアノならピアノ教室の案内、楽器店の情報、あるメーカーのある型番のピアノについてだけ、それに使われているピアノ線のことだけを語るブログ等々。
    実際、今現在日本語のブログは2,000万だというから、このサイトだけでビリオンというのは大げさだが、それでも本当にそれくらいはあるのではと思わせるほど百花繚乱というか玉石混交というか、まさにネットの海に浮かぶ「10億の島」といったところだ。
    厳しい入会資格、会員でなければ閲覧すらできないという閉鎖的だが安心できる空間が一風変わったブログのたまり場になってしまったのだろうか、零はそう思った。

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    しかしこのサイトのおかげで零も安全に露出ができる、野外露出をしてみたいという願望はあったがどうしても勇気の出ない零にとって、ここは少しだけ自分の願いを叶えてくれる場所でもあった。
     この日も零は買い換えたばかりの携帯で、自分の恥ずかしい部分を写真に撮り、早速更新してみた。
    「今日の零夏のオマ×コです。新しい携帯で早速撮ってみました。」
    トラックバックはすぐにくる
    「待ってました。」
    「相変わらず綺麗なオ×ンコですね。」
    「舐めてあげたいなあ、クリちゃんをペロペロして、花びらを吸ってあげたいよ。」
     自分の恥部と男達からのコメントをネタにオナニーに耽るのが、零のもはや日課になっていた。
    プロバイダーは誹謗中傷や著作権関係には厳しかったがそれ以外にはかなり寛容で、零夏の写真もいいわけ程度のモザイクで公開できる。
     他にも同じ様なブログはいくらでもあり、中には動画をアップしたり顔までさらしたりといった画像を載せているところもある。
    セクシーなポーズを取るでもなく、体のパーツだけを載せている、どちらかと言えば地味な零夏のブログを見たりコメントを書いたりしてくる人は実は少数なのだが、それでも「零夏のワンルーム」に来てくれる男達の間で、零は「露出アイドル零夏ちゃん」として偶像崇拝の対象になっていた。
     初めてブログを始めたのは二年生の夏休み、その時は本当に短期間それこそ『ひと夏のお遊び』感覚だった、ネットネームの零夏というのはそういう意味だ。
    ただネットを通じてとはいえ、男性にちやほやされるのは気分がいい。
    どこかで区切りをと思いつつ、今年も夏が来た。

    —2—
     最近来てくれるようになった『オーナー』を名乗る男からのカキコミが零を少々悩ませる。
    決して零を非難する様子ではないのだが、いつも必ず
    「実際に外で露出してみてください」
    という内容の一言があって、それが零の気持ちを揺さぶるのだ。
    (ここでいいじゃない、わざわざ危険な思いまでして野外露出なんてすることないわ。)
    今までそうやって押し込めていた野外露出への思いが『オーナー』のコメントによってじわじわと沸き上がってくるようだ。
    『オーナー』に伴い他の男達も
    「そうですよ、やってみてくださいよ。」
    「プールに紐ビキニで行って、ポロリのふりして脱いじゃうとかいいんじゃないですか?」
    「ウォータースライダー、お薦めです。実際に脱げちゃった子を見た事あります。」
    と無責任に同調するようなことを言う。
    そんな事が何日か続いた後、また『オーナー』のカキコミがあった。
    「一度だけ、どうですか?怖くなったらすぐ止めればいいんだし。」
    その言葉に背中を押されるように零は決断を下した。
    「じゃあ一度だけ、やってみます、もしかして怖くなってこのブログごとやめちゃうかも知れないけど、とにかくやってみます。」
    トラックバックは、零夏に対する賞賛と期待の声で満ち溢れていた。
    (オーナー・・・まさかね。)
    零はバイト先の店主の事もオーナーと呼んでいた。別段理由はない、ただ零がバイトを始めた時、その少し前から働いていた子がオーナーと呼んでいたからだ。その子はじきに辞め、それからずっとバイトは零一人になっている。
     零が生まれるもっと前に建てられたと思われる、二階建ての典型的な店舗兼住宅。
    大学が出来てから駅が出来たこの街は、昔ながらの商店街というものがなく、大学と駅を結ぶ道沿いに、寮や学生用マンションと交じって、スーパーやコンビニ、カラオケボックスや古本屋など無秩序にポツリポツリと店がある、この店もそんな中の一つだ。
    オーナーの父親が生きていた頃はレコードと楽器を売る店だったのだが、今のオーナーになりレコードの方はやめ、地下室を増築し、そこを貸しスタジオに、一階を楽器売り場にしている、と零は聞いた事がある。
     七月初旬、スタジオの掃除を終えて零が汗を拭きながら一階に上がると、オーナーがレジとスタジオの受付業務を兼ねるカウンターで、卓上カレンダーを眺めつつ話しかけてきた。
    「零ちゃん、今年の夏休みは何日くらい出られそう?」
    「そうですね、八月のお盆の頃にピアノ科の合宿があるんですよ、自由参加なんですけど。」
     零は、合宿とはいうものの実は親睦旅行のようなものだと、しかし宿泊先のリゾートホテルには音響設備が素晴らしいホールがあり、今年の夏は世界的にも有名なピアニストが来るのだとオーナーに話した。
    「その人が来るのが、丁度私達の合宿の時期と被るんですよ、せっかくだから聞きに行きたいんですよね。だからその辺で一週間くらい、あとは毎日でも出られます。」
    「あぁそうだよね、零ちゃんはピアニストを目指してるんだもんね。」
    オーナーは眩しいものを見るように零を見た。
    「いいなぁ若いって、夢があってさ。」
     (そう言えば一年生の頃はよくそう言ってたっけ・・・でもその夢は、もう・・・。)
    そう思いつつ、今わざわざいう事でもないと零は軽口を叩いた。
    「そういう風に言うのがオジサン化の第一歩なんですよ。」
     そんな会話を交わしながら零の心の中には二つの引っ掛かりが生まれていた。一つは
    (私の事を若いって・・・そもそもオーナーっていくつなんだろう。)
    なんとなく聞きそびれてしまった事だった。
    オーナーについて零が知っているのは、自分と同じ大学の音楽部を出たという事、卒業と同時にこの店を継いだ事、両親はすでにいない事。
    オーナーが店を継いだ頃は丁度音楽メディアがレコードからCDに代わり、今では当たり前のレンタルCD店が『新しい業種』として出てきたような時代だった、それでレコード販売のほうには見切りを付けたという事、当時火が付きつつあったバンドブームに目を付け、思い切って貸しスタジオを作ったという事、そしてそれが当たったという事、それくらいだった。
    (レコードからCDって・・・見当つかないなぁ)
    それは大学三年生としての素直な気持ちだろう。
    そしてもう一つの引っかかりは。
    (オーナーが・・・あの、ブログの『オーナー』?・・・まさかね・・・。)
    ただ、一笑に伏せない部分もあった。
    零は時々オーナーとメールのやり取りをする、ほとんどはバイトの事なのだが、オーナーからの文面はブログの『オーナー』に似ているような気がして仕方がない。
    人には筆跡と同じ様に書きグセというものがある、句読点を打つ位置や、助詞の省略の仕方、接尾語の使い方。そういったものが全体的な雰囲気として文面に表れる、その雰囲気が似ているのだ。
    (でも・・・偶然よ・・・偶然・・・。)
    別人であってほしい、そんな思いで零は自分にそう言い聞かせた。

    —3—
     そしてこの日がやってきた。
    以前から目を付けていたこの植物園。広大な敷地の、入り口から一番遠い温室、その裏にある椿の生垣で覆われた休憩所、ここならだれも来ないと分かったのだ。
    何度も同じ時間にこの場所に通い、平日の昼間二時半から三時までなら決して人は来ないという事を突き止めた。
    (真夏の真昼で、当たり前と言えば当たり前なんだけどね。)
    そんな事を思いながら零はベンチに腰掛ける。
    下着はすぐ側のトイレで全て脱いできた。今、身にまとっているものは前にボタンが一列に付いているワンピース一枚だ。
    作り付けのテーブルの上に携帯のカメラを置いて位置を調節し、セルフタイマーモードにする、下見の時に散々練習してきたからその手際は鮮やかだった。
    零はワンピースを脱ぎ捨て、タイマーのスイッチを入れると素早く定位置に立った。
     カシャッ、カシャッという音が零の興奮を煽る、手を後ろに回して胸を見せ付けてみたり、日本画の見返り美人のようなポーズを取ったり、十枚ほど写真を撮っただろうか、いきなりガサっという音がして、零は慌ててワンピースを手に取った。
    (誰?誰かいるの?)
    しかし次の瞬間、零の目に飛び込んできたのは雀だった。
    「は、あはは。」
     妙におかしくなり零は声をあげて笑ってしまった。ただ、良いタイミングなのかもしれない、時間は二時五十分になっていた。たとえ三時半を回っても誰も来ない時もあったが、三時というのは自分の中で決めたタイムリミットでもあった。
    ワンピースを羽織って周りを見回し、視界の先にあるものを見つけて零はハッとした。
    (ここって・・・。)
    温室の屋根の向こうに観覧車が見える。
    (ここってあの遊園地の裏側だったんだ。どうして気づかなかったんだろう。)
    不意に切ない気持ちになる。
    零が一年生の秋から次の春まで付き合っていた、その頃四年生だった先輩。
    初めてのデートはあの遊園地だった。子供のように一日はしゃいで、夕方あの観覧車の中でキスをした。
    零にとって初めてのキス。
    (先輩が卒業して、それっきり・・・私、振られちゃったってことよね...最初から遊びだったのかな・・・でも・・・。)
    無意識に零は自分で自分の胸をまさぐった。
    (でもベッドの中では優しかった、いつもこうやって、ゆっくり、私が気持ち良くなるまで、ずっとこんな風に。)
    ベンチに腰掛け、背もたれに体を預けると零は足を開いた。
    (なにしてるんだろう・・・私・・・。)
    そう思いながら、気持ちは先輩との幸せな思い出の中へと向かってゆく。
    (そういえば先輩って、こうやって私のここを見るのが好きだったな。初めてだったから男の人はみんなそういうものだって思ったけど・・・。)
    足を限界まで広げると、零は自分で自分の花芯を責め立てる。知らないうちに声が出ていた。
    「あ・・・ああん・・・。」
    『すごいなぁ、もうこんなにオツユが溢れてるよ。』
    『零は感じやすいんだね、感じやすい子は大好きだよ。』
    『ほら、おっぱいも自分で揉んでみて。』
    先輩の言葉が蘇る、ベッドの上で零はよくオナニーをさせられた。先輩に命じられるままに、両手の親指と人差し指で両方の花びらを広げたり、四つん這いになってお尻の穴まで披露したり、自分の指を押し込んでは何度も出し入れをしたり。
    「あ、い・・・いい・・・いく、いく・・うぅ・・・。」
     焼け付くような真夏の日差しがむしろ心地よい。先輩の熱い眼差しに焼かれているようだ。
    「ああん、先輩・・・先輩・・・!」
     記憶の中の先輩に視姦されながら零は絶頂に達してしまった。
    (恥ずかしい・・・私・・・こんな事)
    我に返った零は慌てて周りをみまわした。
    その時
    「いやー、思いもかけなかったなぁ。こんなところでねぇ。」
     一人の男が生垣の陰から零の前に現れた。
    「お嬢さん…お姉さんかな?どっちでもいいや可愛いから。」
    「本当にこんな事してる人っているんだぁ。」
     その男の後ろから二人そしてもう一人、合計四人の男が口々に何か言いながら零の周りを取り囲んだ。
    全員ズボンの前を窮屈そうに膨らませている、そして零を見下ろす顔は一様にニヤニヤとしていた。
    「やっぱり指じゃ物足りないよね。」
    「どれがいい?どれでもお嬢さんの好みのモノを入れてあげるよ。」
    「やっぱ全部順番に入れて欲しいんじゃないの?」
     (なに?・・・どういう事?)
    その時始めて零の中に恐怖が生まれた。
    (犯され・・・る・・・?・・・いやっ!・・・どうしよう・・・どうしよう・・・!)
    恐怖で思考が停止し、零は悲鳴をあげるという事すら思いつかなかった。
    まるで、それにすがるかのように零は携帯を握り締めガタガタと震える。
    一人が両手を束ねるように、二人が両足をそれぞれ掴んで、零を動けなくする。
    そしてリーダー格の男がジーンズのファスナーを下ろした。
    「・・・いや・・・やめて・・・やめて・・・。」
    必死で叫んだはずの声は、はかない呻きにしかならなかった。
    「火事だー!!!」
     唐突にそんな大声が近くで響き、男達は驚いて零から手を放した。声と同時に現れたのは
    (オ・・・オーナー!!)
    零の驚きは声にならなかった。オーナーは叱りつけるように男達に言った。
    「すぐそこの温室で火事です!とにかく早く入園ゲートの方へ逃げて!早く!」
     うろたえる男達をその場に残し、オーナーは零の手を取ってゲートとは逆の方向へ走り出した。
    恥ずかしさと混乱でグチャグチャになった頭のままで、零はひたすらオーナーのスピードに合わせて走る。前を止めていないワンピースがマントのようにバサバサと音を立てた。
    この先進入禁止、を意味する虎柵を蹴飛ばし、雑木林を抜け、大人ならなんとかよじ登れるフェンスを越えるとそこは植物園の駐車場だった。
    「とにかく乗って、店に帰ろう、話はそれからだ。」
     まるで先ほどの男達がまだ追いかけてくるような錯覚に囚われたまま、零は急いで車に乗り込んだ。
     車の中では黙して語らず、なんの気持ちも読み取れない表情のままオーナーの車は店に着いた。
    引っ張るように零を車から降ろし、オーナーの住まいでもある店の二階へと連れてゆく。
    寝室に入った途端、零はヘナヘナとその場に崩れ落ちた。
    「あ、あの...。」
    「まだ混乱してるでしょ、とにかくここで休みなさい。」
     その言葉に緊張が解けたのか、零は一気に号泣した。涙の意味は自分でも分からなかったが。
    オーナーはそんな零が泣きつかれて眠るまで、抱きとめていた。

    —4—
     夢を見た。目が覚める直前の、自分でも夢だと自覚しながら見ている夢。
    植物園の休憩所で、零は先輩に後ろから貫かれている。
    犬みたいで厭だと零は言うのだが先輩は容赦がない
    『お前は淫乱なメス犬なんだからこれくらいで丁度いいんだよ。』
    いつもとはまるで違う、怖いような先輩だった。
    嫌がりながらも感じてしまう零をはやし立てるのは昼間の男達だ。
    男達が口々に命令する。命令に従って零は恥ずかしい言葉を言わされる。
    『零は淫乱なメス犬です。』
    『淫乱なメス犬のオマ×コを犯してくださってありがとうございます。』
    『お願いです、お口にもください、おしゃぶりしたいの・・・飲ませて・・・。』
    唐突にベッドの上にいる零、そして先輩と男たち全員を同時に満足させるように言われ、三箇所全てと両手を使わなくてはいけなくなる、恥ずかしさと苦しさで涙を流し、それでも零は達してしまう。
    途端にベッドが炎上し目の前が真っ暗になる。
    静寂が零を包む、海の中にいるようだ、少し冷たい水が零の体を撫でるように癒してくれる。
    いや、撫でているのは先輩だ。
    (あぁ先輩・・・やっぱり先輩は優しい人よね。)
    (こんなに優しく撫でてくれる。)
    だんだんと頭がハッキリしてくる。そして目の前にいたのは
    「オーナー・・・?」
     頭を殴られたようなショックを受けているのに、体は弛緩したままだった。
    「日焼け止め、塗らなかっただろう?全身真っ赤だよ。」
     オーナーは零の体にカーマインローションを塗っていた。
    そして、慌てて起きようとした零を制すると話を続ける。
    「ネットアイドルも大変だね、零夏ちゃん。」
     零の心臓が止まりそうになった。
    (どうしてオーナーが!!)
    「はい、そのまま、今度はうつぶせになって。」
     オーナーは零をひっくり返すと背中にローションを塗り始めた。
    戸惑いながらそれでも零はやっと言うべき言葉を見つけた。
    「あの、どうして私が零夏だって分かったんですか?」
     オーナーは苦笑した。
    「ビリオンアイランドを紹介したのは僕だったよね。」
    「あ!」
     衝撃を受け、それでも零は必死になって言った。
    「で、でもあのブログにはあの植物園に行くなんて一言も。」
    「もう一つの僕に教えてくれた方のブログは?」
     零はもう何度目か分からないくらいの衝撃にクラクラしていた。
     そう、元々ビリオンアイランドを紹介してくれたのはオーナーだった。
    失恋の痛手から中々立ち直れない零を見かねて
    『なんでもいいから書いてみたら?』
    『大学生活の事とか、彼氏へ言いたかった事とか何でも。書く事によって気持ちが落ち着くって事もあるんだよ。』
    そう言ってくれたのがキッカケだった。
    一人でいくつものブログを立ち上げられると知った零は、表向きは自分の大学生活を綴るブログを書き、裏サイトのような扱いで「零夏のワンルーム」を開いていたのだ。
    当然オーナーには表のブログの事しか言わずにおいた。
    確かに表の方では
    『最近のお気に入りの場所はこの植物園。この休憩所って昼間はほとんど私の貸し切り状態なんです。』
    そいうコメントと共にあの休憩所の写真をアップしていた。
    「零夏ちゃんを見つけたのはホントに偶然だったんだけど、初めて見た時からどうしても気になってさ、まさか、とは思ってたけど、表にあれで裏に、いい場所を見つけました明日行ってきます、なんて書かれたらもう確定だろ?店、今日からお盆休みにして行ったかいがあったなぁ。」
     全身が熱くなったのは日焼けのせいだけではない。
    「オーナーって書き込みも勿論僕。サイトでも実際お店でもなにか反応があるかなって思ったんだけど、零ちゃん、演技うまいねぇ。」
     しかし零はとんちんかんな事を口にする。
    「植物園の火事、どうなったんですか?」
    オーナーはもう一度、今度は少し大げさに苦笑する。
    「あんなの嘘に決まってるじゃないか、ああいうと大抵の人間はオタオタするからね、本当は正義のヒーローみたいにあの四人をぶっ飛ばしたかったんだけど、とてもそこまでは、年だしね。」
    「あ、あの・・・。」
    「このことは誰にも内緒に?うーん、どうしようかなあ。」
     オーナーは零のお尻をピシャリと叩いた。
    「きゃっ!」
    「その前にどれぐらい反省してるか見せてもらわないとね。」
     オーナーは零をベッドの上に四つん這いにしてお尻を突き出させると自分もベッドの上に座った。
    そして続けざまに零を打ち据える。
    「い、痛い、痛い!」
    「ガマンしなさい、これはおしおきなんだから。」
     ピシャッ!ピシャッ!という音が部屋に響く。
    「いや、痛い!お願いです、やめてください!」
    「本当に反省してる?」
    「してます、して、あぁっ!痛い!いや!いや!」
    「なにを反省してるの?ちゃんと言いなさい。」
     必死で首を振り抵抗を試みる、しかしそれはオーナーの気持ちを昂ぶらせるだけだった。
    「今までと、今日した事を反省しなさい。なにをしたの?」
    「あ・・・あぁ・・・零は真面目なふりして、本当はものすごく淫乱で・・・ネットで露出して、今日は外でも露出オナニーをしました。その事を反省しています。」
     痛みが感じるというものではない、零は本当に痛さで気が狂いそうになっていた。この痛みから逃れるためならどんなことでもする、そう考えるくらいに。
    オーナーはそんな零の気持ちを見透かすように無言で零を叩き続ける。
    ついに零はこらえきれずに言った。
    「もう、だめ・・・何でもします、だからお尻を叩くのはやめてぇ。」
    「なんでも?」
    「はい、なんでもします。」
    「分かったよ。」
     最後にオーナーはひときわ激しく殴打した。
    「ひぃっ!」
     そして後ろから手を回し、零の秘部を優しく撫でながらクリトリスをつまむ。
    急な快楽に襲われ、零はブルッと身を震わせた。
    「あ・・・ああ・・・。」
    「ねぇ、零ちゃん、合宿って明日からだったよね、まだキャンセルできる?」

    —5—
     零は今回の合宿の代表者となっている同級生に適当な理由をつけてキャンセルの電話を入れた。
    (あぁ、あのピアニスト・・・来日すら珍しいのに・・・リサイタル・・・行きたかったな・・・。)
    零の心底残念そうな顔にオーナーの良心が痛んだ。
    だがオーナーはそんな事をおくびにも出さず
    「じゃあ今日からしばらくの間、零ちゃんはここで暮らしてね、僕の言う事をなんでも聞きながら。」
     そう言って全裸の零に首輪をつけ、手綱を引くと一階の店に下りた。
    そして零を後ろ手に縛り上げると、カウンターの背もたれのない丸椅子の上にタオルで畝を作り、そこに零をまたがせる。
    そのまま腰を下ろそうとすると真っ赤になったお尻が悲鳴をあげ、腰を浮かすと畝にクリトリスが当たる。
    椅子の上で零は悩ましげに腰をくねらせた。
    「はい、零ちゃんはこのままお店番ね、僕はちょっと買い物に行ってくるから。」
    オーナーはそんな言葉を残し、本当に店を出て行ってしまった。
    (あぁ・・・いや・・・そんな・・・誰か・・・誰か来たら。)
    後ろ手に縛られているだけで、人はかなりの動きが制限される。おまけに椅子の足と自分の足を無造作にガムテープで巻き止められて、零は文字通り身動きが取れなくなっていた。
    (大丈夫・・・大丈夫よ。)
    二年以上も働いていれば、店の忙しさや客の波というものも分かる、この時間帯は誰も来なくても不思議ではない。零はその事を思い出し、必死に気持ちを落ち着かせようとした。
    (オーナーだってきっとすぐ帰って来てくれるわ、誰も来ない、来るわけないわ。)
    時間が異様にゆっくりだと感じながら零は店の時計を睨みつけた。
     三十分ほど経ったがオーナーの帰ってくる気配がない。零は不安になった。
    (いや・・・どうしよう・・・でも・・・こんなに不安なのに、この快感はなに?)
    いつ間にか零は自分から腰を動かし、クリトリスをタオルに擦り付けていた。
    そんな零をあざ笑うかのように店の時計が能天気なメロディを奏で、6時を知らせた。
    (あぁ、もう六時よ。)
    六時を過ぎると意外に客足が増える、講義とサークル活動を終えた学生がギターを眺めに来るのも、いつも新しいパンフレットを置いてゆく楽器会社の営業マンがくるのもこの時間だ。
    (いや・・・いやぁ・・・誰か・・・助けて。)
    そう思いながらも零は心のどこかで期待している部分があった。
    見ず知らずの男に自分のあられもない姿を見られ、いやらしい視線を向けられる事に。
    (どうして?昼間、実際にはあんなに怖い物だって思い知らされたじゃない。)
    その時、自動ドアの開く音がした。
    (あぁ!もうだめ!)
    顔を伏せた零に声が掛けられた。
    「零ちゃん、ただいま。」
     両手に紙袋とスーパーの袋を提げたオーナーがそこにはいた。
    「あ・・・あぁぁ・・・。」
    「だから、休みの張り紙してあるし、店内の電気消してあるからお客さんなんてまず来るわけないでしょ?」
     オーナーのいたずら小僧のような笑顔に零はホッとしてまた泣いてしまった。
    「ああもう、零ちゃんは本当に泣き虫だね。」

    —6—
     ただひたすらワアワアと泣き続ける零を見かねて、オーナーはまた零を二階へ連れて行った。
    先程のベッドに零の体を横たえると
    「少し休みなさい。」
     そう言ってオーナーは部屋のカーテンを引き、エアコンを付けて出て行った。
     小一時間は眠っただろうか、おいしそうな匂いで零は目を覚ました。
    枕元にオーナーが買って来たらしいワンピースが置かれている。
    (これ、着てもいいのよね。)
    零はそのワンピースを着てみた。そして
    (やっぱり・・・ね。)
    零はため息をついた。
    多分オーナーは、零の着ていたボロボロになったワンピースを店員に見せ、代わりのものをといって同じ様なデザインのこのサイズを買ってきたのだろう、確かに肩や袖丈は合うのだが、胸のボタンが止まらなかった。
    (あれはハーフオーダーだったのに。)
    基本のパターンの中から色や柄を選び、客の希望に沿って丈を詰めたりウエストを絞ったり、零のように胸の部分だけをゆったりさせる、オーダーメイドほど高くなく、零のような学生のバイト代でも買えるあの店のシステムを零は気に入っていた。
    むりやり止めれば却って胸が強調され、外せば丸見えになる、どちらにせよ扇情的な格好だった。
    仕方なく零は首元とおへその上までのボタンを留めた、まるでバストの所だけを切り取ったデザインのようだ。
     寝室のドアを開けると、すぐ隣の部屋がダイニングキッチンだった。
    こちらに背を向けて何か作っているオーナーが、振り向くと口笛を吹いた。
    「零ちゃん、いいねぇそのカッコ。」
    「胸が合わなくて。」
     と言った瞬間、零のおなかがグウッとなった。
    真っ赤になってうつむく零にオーナーは
    「おなかが空くのはいい事だよ、さ、出来た。一緒に食べよう。」
     そういって笑った。
    オーナーはちらりと零の胸元を見ると
    「明日はTシャツとスカートかなにか買って来てあげようか?それともそのおっぱい丸出しの格好で自分で買いにいく?」
     そう言って面白そうに微笑んだ。
    零はどうにも答えようがなくてまた真っ赤になる。オーナーは
    「ちょっとからかいすぎたかな、服の話はこの辺で。さ、冷めないうちに食べてよ。」
     そういって手を合わせた、零も慌てて同じ様にする。
    「いただきます・・・。あ・・・おいしい!」
     零は料理を口に運ぶと感嘆の声をあげた。
    「零ちゃんは料理とかしないの?」
    「あ、はい。寮のミニキッチンはお湯を沸かすくらいしかできなくて、学食かコンビニのおにぎりとかです。」
    「そっか、学生寮に入ってたんだっけ。もう賄いのおばさんとかいないんだ。」
    「ええ。聞いた事あります、昔はそういう人もいて、あと相部屋で、お風呂もトイレも洗面所も共同だったって。今は一人一部屋で、普通のワンルームのアパートみたいですよ。」
    (だからこそ、ネット露出が出来るんですよ。)
    零は心の中で付け足した。
    「そうか、建て直したのかな、僕らの時代は零ちゃんが今言ったみたいな感じだったけどね。」
    「オーナーも?」
    「いや、家と大学がこの距離で寮ってのは。同じ声楽科の友達が寮生で、そう言ってたのを覚えてるんだ。」
     (あ、オーナーって声楽科だったんだ、今知ったよ。)
    オーナーは懐かしそうな羨ましそうな目で零を見ていた。その視線に戸惑いつつ零は言う。
    「あの、オーナーはどうしてこんなに料理が上手なんですか?」
    「上手?ありがと。うーん・・・慣れ、かな。父親が死んで、店も家の事も全部母親と二人でやらなきゃいけなくてさ、僕もある程度家事は出来ないと、と思ってやり始めたんだ。」
     オーナーはふうっと息をついた。
    「そこそこはできるようになって、貸しスタジオも利用客が増えて店の経営も軌道に乗ってきて、母親が、これでもう私がいなくても大丈夫ね、なんて言ってた冗談が・・・うん・・・冗談じゃなくなった・・・。もう十五年くらい前の話だよ。」
    「あ・・・。」
    「ごめん。湿っぽくなったね。」
     二人はどちらともなく話題を変えた、オーナーは自分の学生時代の話をし、零は今の自分の学生生活とは随分違うと驚いたり笑ったりした、そんな中、話の流れで零はふと言った。
    「結婚はしなかったんですか?」
    「できなかったねぇ。」
     オーナーはひと事のように言った。
    「どうして?」
     瞬間で零は失言に気がついた。オーナーは気にする風でもなく話を続けた。
    「なんだろう、この人だって思えるような人に会えなかった・・・それだけかな・・・。」
     そして、オーナーは呟いた。
    「もし・・・零ちゃんが・・・。」
    「はい?」
    「いや何でもないよ、ご飯食べたらお風呂。背中流してくれる?」
     お風呂では特にどうといった事もなく、零はオーナーの背中をタオルでゴシゴシと、オーナーは日焼けした零の肌を気遣って、手のひらで十分に泡立てた石鹸で優しく撫でるように洗った。
    どういうわけか、ずっと前からこうしているのが当たり前のような気持ちだった。
    ただ、どうして今こうしているのか、という事を考えると、自分の日焼けから昼間あった事にまで考えが巡り、零の全身に血が駆け巡った。

    —7—
     風呂上りの零を先にベッドに寝かせると、オーナーも当たり前のように入ってきた。
    (これってダブルベッドよね、オーナーは今までも女の人をここで寝かせたことがあるのかな。)
    「僕ももう、いい年だからね、経験もそれなりに。でもこれはただ単にベッドで大の字になって眠りたいっていう単純な欲求からだよ。」
     零の気持ちを知ってか知らずか、オーナーはあっさりと言った。
    「わ、私は別に・・・。」
     口とは裏腹に、なぜがホッとした気分になり、零はそんな自分に驚いた。
    (えっ?オーナーの事なんてどうでもいいはずなのに、私は仕方なくこういう状況にいるだけなのに。)
    「僕の事知りたい?そういう事が気になるくらいには好きでいてくれるんだ。」
    「あ、あの・・・。」
    「でも特別なにか言うような事も・・・そうだ、代わりに零ちゃんの事教えて。」
    「私の・・・?」
    「零ちゃんの体の事。唇は柔らかいのかな、とか昼間丸出しにしてたオマ×コの中はどうなってるのかな、とか教えてよ。」
     言葉がろくに終わらないうちに、オーナーは零にキスをしてきた。同時に、ゆっくりと零の胸を揉みしだく。
    オーナーの手の中に納まりきらないくらいの豊かな胸が、ひどくいやらしいものに思えて零は赤面した。
    「あ、零ちゃん乳首が尖ってきたよ、感じてるんだ。」
    「ん・・・。」
    「こっちはどうだろう、こっちも尖ってきてるのかな。」
     オーナーは指先を零のワレメに添わせた。
    (あ・・・いや・・・。)
    昼間あれだけ刺激され感じさせられたにも関わらず、零のそこはまだ足りないと言うようによだれをたらしていた。
    「うわっ、もうこんなにトロトロ。」
    「あ・・・いや・・・恥ずかしい・・・。」
    「準備万端だね、そんなに欲しい?」
     オーナーは体を起こして零の足を開く。そのペニスには既にゴムが付けられていた。
    「零ちゃん、今までにセックスの経験は?」
     零は顔を背けてうなづいた。
    「どれくらい?どんな人?」
    「振られちゃったあの先輩ひとり。それからは誰とも。」
    「セックスはどうだった?」
    「分からない・・・先輩しか知らないし。」
    「そっか・・・。」
     オーナーはゆっくりと零の中に分け入った。
    「はい、じゃあ零ちゃんの人生で二本目のチ×チンでーす。」
     緊張を解きほぐすようなちょっとふざけた、だが温かみのある言い方だった。
    「あぁん・・・。」
     入れられた瞬間、自分でも思いもかけず甘い声が出てしまったのに驚く。
    「どう?」
    「あ、痛くない・・・。」
    「痛かったの?先輩とは痛いだけだった?」
    「うん・・・始めは処女だからしょうがないって思ってたけど・・・付き合ってた頃は毎週してたけど、ずっと痛かった・・・あ、でも優しかったんです、体を触られるのは気持ち良かった・・・ただセックスが痛かっただけで。」
     他の男に抱かれながら、前の男の話をするのはなんだか背徳の匂いがする。
    「うん、分かった、じゃあ僕は痛くないようにするね、安心して。」
     オーナーはゆっくりと、手や腰の動きひとつひとつに心を込めるような体の動かし方をする。
    クリトリスを刺激されるような急激な快感ではないが、その動きは零の全身を溶かすような気持ち良さだった。
    「零ちゃん、大丈夫?」
    「ん・・・いい・・・あ、オーナー・・・・・・!」
    「いいね・・・零ちゃん・・・やば・・・もう・・・。」
    「オーナー・・・私・・・あっ・・・ああっ!」
     全身が震えるような快感が訪れる、その時、零の記憶の中から先輩の顔も思い出も消えた。
    (初めて・・・オナニーじゃなくて、セックスでいっちゃった・・・)
    零はそんな事を思いながら眠りへと落ちていった。

    —8—
     目が覚めるとオーナーは側にいなかった。時計は八時を指しており、隣の部屋からコーヒーの匂いがする。
    (寝過ごしちゃった・・・朝のコーヒーくらいは私が、って思ってたのに。)
    慌てて飛び起きると昨日のようにまた首輪が付けられていた。
    (え?なに?)
    昨日いつのまにか外されて、零も気に留めていなかったものだ。服は置かれていない。
    零が、仕方なく全裸に首輪という格好でダイニングキッチンに行くと、そこにはオーナーがいて、テーブルの上には一人分のトーストとコーヒーが用意されているだけだった。
    「はい、メス犬さんの朝ごはんはここね。」
     オーナーの指差す床の上には犬の餌皿に牛乳とシリアルを混ぜたものが置かれている。
    「これ・・・あの・・・?」
    「シリアル嫌いだった?」
    「あの・・・いえ。」
    「じゃあ食べなよ。」
    「オーナー・・・?」
    「分かんない?」
     オーナーの声に少々の苛立ちが混じっている。
    零はその時理解した。首輪を付けている時は犬として振舞わなくてはいけないのだと。
    零は黙ってその場に四つん這いになると皿に口を近づけた。
    肘から手首までを床に付けないと食べる事が出来ない。自然とお尻を突き出すような形になり、それがオーナーを喜ばせた。
    さっさと自分の朝食をすませたオーナーは立ち位置を変えては零を色々な角度から鑑賞した。
    「やっぱ零ちゃんって巨乳だね、床についてるよ、昨日のワンピースで、そうじゃないかとは思ってたけどね。」
    屈辱、というほどではないが、それでも思いもかけない仕打ちと恥ずかしさに涙がこぼれそうになった。
    そしてオーナーはそれを見逃さず
    「ああ、また泣いちゃうんだ、それに。」
     零のその部分にいきなり指を入れた。
    「あん!」
    「こっちも涙が溢れてるよ、恥ずかしいと泣けちゃうんだ?」
     指を小刻みに震わせて中をかき回す。
    「あぁ、はぁ・・・。」
    「恥ずかしいの?それとも気持ちいいの?」
    「あ・・・気持ちいい・・・。」
     するとオーナーはすっと指を抜き去ってしまった。
    「あぁ・・・。」
     明らかに不満そうな喘ぎ声を出す零にオーナーは言った。
    「芸もしてない内からご褒美は上げられないなあ。わんちゃんだから、一つくらいは芸ができないとね。せっかく大きなおっぱいなんだから、それを使ってみようか。」
    オーナーは膝まづく零の前に立った。
    言われるまま、零はオーナーのズボンを下ろし、自分の胸でペニスを挟む。
    「ほら、もっと強く挟んで。あぁ・・・いいね・・・本当に零ちゃんの中に突っ込んでるみたいだよ。」
     胸の谷間で脈を打つオーナーのペニスが火傷しそうなほど熱い。零は自分で乳房をこすり合わせるようにしてペニスに刺激を与えた。
    (あ、なに?この感覚・・・)
    オーナーのペニスに刺激を与えていると自分の秘部までが熱くなってくる。今までなかった感覚だ。
    「あ・・・零ちゃん・・・出すよ・・・あぁ・・・。」
    「オーナー・・・あっ!」
     顔にザーメンをかけられた瞬間、零自身もいってしまった。

    「零ちゃん、上も下も真っ白でドロドロになっちゃったね。」
     そう言うとオーナーは零に後片付けを命じて、自分は店へ下りていった。
    食器を洗い、床を拭き、シャワーを浴びる。
    服はなかったが幸いピンク色のショーツが置かれていた。昨日のワンピースのありかはまたオーナーに聞けばいい。
    (オーナー、どんな顔してこれを買ってくれたんだろう・・・コンビニで雑誌とかに一緒にかな、さすがにブラはコンビニには・・・。)
    だが、零のそんな微笑ましいような思いは次の瞬間壊れた。
    「な!なにこれ!」
    大声が下に聞こえたのかオーナーが返事をする。
    「下着、あるでしょ?そろそろ下りてきて。」
    (だって、だってこれ!)
    零も、何も知らない訳ではない、レディースコミックを読んだり、アダルトグッズを扱う通販サイトを覗いたりした事もある、それはそういったマンガやサイトによく出てくる、ローター付きのパンティーだった。
    クロッチ部分がポケット状になっていてそこにローターがもうセットされている。
    なぜだか息苦しさを感じて零は首元に手をやった、首輪が指に触れる。
    (そう・・・そうよね・・・。)
    零は察した。
    この首輪を付けている限りは犬なのだ、オーナーのいう事をなんでも聞かなくてはいけない。
    昨日そう約束したばかり。
    零は恥ずかしさを押し殺してそのパンティーを穿いた。
    「遅くなりました。」
    バスタオルを体に巻きつけ、モジモジとオーナーの目の前に零は立った。
    「なにそれ?」
    「お願いです、バスタオルはこのままで。裸はいや・・・。」
    「パンティー穿いてるでしょ?裸じゃないよ。それともノーパン?」
    零は首を激しく振った。
    「怪しいなあ、じゃあ検査するから、ここに座って、大股開きで見せて。」
    優しい言い方だが、冷静にひどい事を言ってくる、昨夜の優しさはなんだったのかと言いたくなるような豹変ぶりだった。
    (ああ、いや・・・どうして・・・私どうしてここまで恥ずかしい思いをしなくてはいけないの?)
    零はため息をついて床にしゃがみこんだ。
    涙をこらえてオーナーにいやらしい部分を見せる、クリトリスの部分がローターでふくらみ、クロッチ全体はすでにシミが広がっていた。
    「こんなに濡らして、お漏らしでもしたの?」
    「いや・・・違う・・・。」
    「これ以上溢れないように栓をしておかなくちゃいけないなあ。」
    (えっ?)
    オーナーが手にしたものを見て零は青ざめた。
    「いや・・・そんなの・・・そんな大きなバイブ、入らない・・・。」
    「あー、これはね、ディルドー。震えないやつ。でも、何ですかそれ、なんて言わないって事は詳しいんだね。何にも知りませんって顔してるくせに、いやらしい子だ。」
    オーナーはパンティーの濡れた部分を横にずらすと、一気に零の恥部にそのディルドーを突っ込んだ。
    「いやぁ!」
    「おやおや、いい顔だね、僕の時より気持ち良さそうな。」
    「はぁ・・・ああん。」
    「こっちはこのままで・・・ローターの方はリモコンにスイッチ入れると。」
    「ああ!」
    「ね、気持ちいいでしょ?」
    「あ、ああん・・・。」
    零が感じ始めるとオーナーはスイッチを切った。まるで朝食の時と同じ態度だ。
    (あ、また・・・また何かさせられるの?)
    「そんなにイキっぱなしで疲れられてもなぁ。今日はちょっと働いてもらおうと思ってるんだけど、いいよね。」
    拍子抜けするような言葉に零はただうなづいた。

    —9—
     「休みの内に、店の細かいトコの掃除とか、棚の整頓とかしておきたいんだよね。零ちゃんは掃除が上手だから、やってくれる?っていうかちゃんと出来ないとお仕置きするからね。」
     昨日のようにまたお尻を叩かれてはたまらない、脅迫されるような思いで、零は張型を入れられたまま店の掃除をしていた。
    オーナーはカウンターにいて帳簿をつけながら、時折気まぐれにリモコンのスイッチを入れる。
    「あぁっ!」
     ちょうど箱の中のピックを揃えている時にスイッチが入った。
    零は悲鳴をあげ、弾みでピックが入っている箱を落としてしまった。
    色とりどりのプラスチック片が床に散らばる。
    「あーもう、全然はかどってないじゃないか、これじゃあお仕置き決定だね。」
     (そんな・・・!ひどい・・・オーナーが・・・。)
     おびえる零に対し、オーナーは零のパンティーを剥ぎ取ると両手首と膝頭を縛り上げ、仰向けになった蛙のようなポーズを取らせた。
    そして店の奥から靴べらを持ってくると、零に見せ付ける。
    「これで、丸見えになった零ちゃんのオマ×コをバシッて叩くと、どうなるかなあ。」
     透明な安っぽい、どこででも売っているようなその靴べらが、どんな拷問の道具よりも零を震え上がらせた。
    「いや、やめて・・・叩かないで・・・。」
     オーナーは零の哀願を無視して勢いをつけて靴べらを振り下ろす。
    (あぁっ!いやあっ!)
    目を閉じ、身構えたその刹那
    「なーんてね、あんまり可哀相だからそれはやめ、その代わり。」
     靴べらが零のそこに当たる直前でオーナーは手を止めてそう言った。
    代わりにと言われて出てきたものは
    「ピックって色々種類があってね、零ちゃんが今揃えてたの何だったか分かる?」
    「私、ピアノ以外の事は・・・。」
     零は弱々しく答えた。
    「二年もウチに来てるのに・・・まぁいいや、あれはハードとヘヴィーってのが入ってた箱、ベースを弾く時に使うんだ。」
     丸見えになった零の恥ずかしい部分の、ワレメを開き上げ、包皮をむいてクリトリスをむき出しにする。
    「わかる?これがハード。」
    オーナーは実際にベースの弦を弾くような要領で零のクリトリスをピックで弾いた。
    「あ!いや!いやあ!」
    「で、こっちはヘヴィー。」
     零の反応などおかまいなしにオーナーはクリトリスを責め立てる。
    「違い分かる?」
    「だめぇ!ああ!」
    「違いが分かるかって聞いてるの。」
    「そんな、分からない・・・。」
    「ふーん、分からない・・・気持ちいいのは変わらないって?どうしようもない淫乱だね。」
    「いや、いやぁ!もうやめて!」
    「なにを?」
    「あぁ・・・お願い・・・クリトリスをいじるのはやめて・・・あぁ。」
    「感じちゃうから?」
    「は・・・はい・・・感じちゃうから・・・いやあ・・・あぁ・・・。」
    「オナニーしたくなっちゃうから?」
    「ん・・・オナニーしたくなっちゃう・・・。」
     言った瞬間、零はハッとした。
    (私ったら!今なんて?)
    「仕方ないなあ、させてあげるからちゃんとお礼言ってよ。」
     そう言ってオーナーは零を緊縛から解放した。
    「あ、ありがとうございます。」
    「それだけ?」
     戸惑う零にオーナーは耳打ちした。零は泣きながらその言葉を口にする。
    「あぁ、淫乱な零にオナニーの許可を下さってありがとうございます。」
    「どうか、淫乱な零のはしたないオナニー姿をご覧下さい。」
    零は仰向けになったまま、ディルドーを激しく出し入れした。
    「あ、ああん。恥ずかしい・・・。」
    「そうだね、恥ずかしいね、オナニー狂いの零ちゃん。」
    「いや、そんな事言わないで。」
    「だってそうじゃないか、ほら自分で認めなさい。じゃないと。」
     オーナーは先ほどの靴べらを零の目の前に差し出した。
    零は恐怖に震えてはしたない言葉を口にする。
    「零は・・・零はオナニー狂いです。蛙のような格好でオナニーをしています。」
    「そうそう、自分で口にして自分がどれだけ淫乱かって事を自覚するんだ、オマ×コには今なにが入ってるの?」
    「アレ・・・アレの偽物・・・。」
    「アレって・・・まぁいいや、零ちゃんはそれで満足?」
    「満足できないの・・・本当は・・・あ・・・本物が・・・オーナーの本物が欲しいの・・・。」
    「僕のなに?」
    涙でオーナーの顔がかすんで見える。零はなんのためらいもなくその言葉を口にした。
    「チ×チン・・・おチ×チンが欲しいの・・・入れて・・・オーナーのおチン×ンを入れてください・・・。」
    「はい、よく言えました。零ちゃんはおねだり上手だね、お望み通り入れてあげるよ。」
    「あ、ああん!いいっ!あっ!」
     オーナーのペニスが入ってきた瞬間に零の意識は吹き飛んでしまった。
     ふと目覚めるとベッドの上だった、自分で階段を這い上がってここまで来たような気もするし、オーナーに運ばれてきたような気もする。
    目の上には冷たいタオルが置かれていた。
    そういえばボンヤリとする意識の中でオーナーが
    「うさぎのお目々になってるね、冷やすといいよ。でも・・・泣くほど良かった?」
    そんな事を言っていたような気がした。

    —10—
     目覚めると同時に犬のような扱いをうけ、あれこれと理不尽な要求をされ、難癖をつけられお仕置きをされる。
    疲れきると少しの午睡を与えられ、目が覚めると夕飯が出来ている、そこからは恋人同士のような新婚のような時間が流れ、一緒に風呂に入り、ベッドの中での優しいセックス。
    そんな生活がもう三日は続いただろうか、お仕置きは辛かったが、零はいつの間にかこの生活が気に入っていた。

    その日の夕飯の途中、不意に零の携帯がなった。
    「あ、うん、あ、お帰りー。そう、うん、あぁ寮には・・・うん・・・ちょっと・・・そう、そう旅行・・・うん・・・いいよ学校始まってからで、うん今ちょっと、メールなら、うんじゃあね。」
     零の話し方を聞いて、オーナーが少し心配そうに聞いてきた。
    「誰から?」
    「同級生の子から、合宿のお土産あげるって。私が寮にいないから電話してきたんです。」
    「そっか・・・。」
     オーナーは寂しそうにため息をついた。
    「いつまでもこのままって訳にもいかないよね。店もそんなにお盆休みにしとくわけにもいかないし。」
     零もあいまいにうなづく、オーナーの言う通り、ずっとこのままというのは無理に決まっている、だがせめて夏休みが終わるまではこうしていたい、零はそう思うようになっていた。

     だが、終幕はあっけなくやってきた。次の日、あの電話の同級生が店に乗り込んで来たのだ。
    合宿が終わってもどこにいるのかハッキリしない、寮にも帰っていない、携帯にかければあいまいな返事だけ、不審に思った同級生は唯一の手がかりであるこの店にやって来た。
    オーナーの不自然な受け答えに勘を働かせた同級生は、二階に上がりこみ全裸でベッドにいる零を見つけた。
     零は良くも悪くも、強い力にたいして跳ね返す力を持っていない。
    もしもこの時オーナーが『零は俺の女だ、何が悪い』とでも言えばオーナーの下にいるのを選んだだろう。
    だがオーナーは何も言わない。同級生は怒り狂ってオーナーをののしりながら零に服を着せ、引っ張るようにして店を出る、零はそんな彼女に付いていくしかなく、オーナーは最後まで無言だった。
     久しぶりの寮の自室は、入れ替えていない空気のムッとする嫌なにおいがする。
    「ごめん、あなたが合宿に行けないって電話してきた時に気づけばよかった。あんなに楽しみにしてたのに。おかしいと思ったのよ。」
    「泣き寝入りはだめよ、勇気を出して訴えるのよ、私も力になるわ。」
     それはしない、とにかく合意の上だったし私はもう未成年ではないのだから。
    必死にそう言う零に同級生は怪訝な眼差しを向けた。
    「零、あなたそうとう酷い事されたんじゃないの?本当に合意?もしかして・・・そんな風に言うなんて・・・。」
    その後の言葉が零の心を占めている。
    「オーナーの事、好きなの?」
    (オーナーの事を・・・好き・・・?)
    一人になりたいと、心配する同級生を追い払うようにして、零は締め切った部屋の中でその事だけを考えていた。
    (オーナーの事を好き?)
    その考えはだんだん大きくなってくる。
    最初は確かに脅迫のようなものだった。だが監禁されて抵抗できなかったわけではない。
    逃げようと思えばそのチャンスは無数にあった。
    (分からない。)
    零の今の気持ちを一言で言えばそうだった。
    (どうしてオーナーはあんな事をしたの?私はどうしてそれを受け入れたの?それに。)
    今になって思い出すことがある、オーナーは零にお仕置きをしている時、幾度となく
    「零ちゃんが悪いんだよ、僕をこんな気分にさせる零ちゃんが悪いんだ。」
    と呟いていたのだ。
    その時は痛みと羞恥でそこまで考えを巡らせることが出来なかったのだが
    (どうして、あんな事を?)
    考え、考え抜いて、とにかくこの疑問を解くにはもう一度オーナーに会うしかない、そう結論づけた零は、部屋を飛び出し、夕暮れの道を店へと走った。
     玄関のチャイムを鳴らしてもオーナーは出てこない、鍵も掛かったままだ。
    店の方へ回り、反応しない自動ドアの隙間に指をかけムリヤリ引くと、なんとか一人分が入れる程度に開いた。
    だが店内は暗いままだ、店の奥のPRIVATEと書かれたドアを開けるとそこから二階へと続く階段がある。零はそこを一気にかけ上がったが、二階のどの部屋にも明かりがついていない。
    「オーナー・・・?」
     人の気配を感じて寝室に入ると、そこには床に座り込み虚空を見つめるオーナーの姿があった。
    「懺悔を・・・させてくれないか?」
     零の方は向かず、微動だにせず、オーナーは語り始めた。

    『僕が大学卒業と同時にこの店を継いだって話はしたよね。』
    『元々は大学三年生、ちょうど今の零ちゃんと同じ年だよ、父親が倒れたんだ、癌だった。』
    『その頃の僕はね、卒業したらイタリアに留学するつもりでいたんだ。声楽家としてやっていく見込みはなさそうだと自分でも気づき始めて、でも何もせずに諦めるのは厭だった、思い切ってイタリアに行って、そこで打ちのめされて帰って来るってのでもいいから、とにかく挑戦だけでも、そう思ってたんだ。』
    『そんな時に父親が・・・。入退院を繰り返す毎に弱々しくなっていく父親と、以前にも増して僕を頼ってくる母親と・・・考えて・・・考えて・・・僕は夢を捨てた。』
    『でも、卒業したら店を継ぐって言った時の父親の顔は忘れられないな、嬉しそうだった。早く治してお前に仕事を教えてやらないとな、なんて言ってた、あれが唯一の親孝行だった。』
    『ほんとドラマみたいだったよ、卒業式の次の日に父親は・・・。』
    『レコード店をやめて、経営の仕方も転換して、それでもなんとかやっていけるようになった頃、母親も後を追うようにね。』
    『店の仕事は気に入ってたよ、やりがいもあったし、何より両親が残してくれた店だし、スタジオを借りに来る若い子の相談に乗ったり、アドバイスを求められて指導するのも楽しかった。』
    『でも、三十をちょっと過ぎた頃かな、あぁ僕の人生はこんなもんか、こうやって一生単なる楽器屋のオヤジで終わるのか、心の中にそんな思いが生まれてずっと消えなくなってた。』
    『そんな時零ちゃんがバイトしたいって入ってきた。最初は可愛いなぁって僕がもう少し若かったらこんな子を彼女に、って本当にそれしか思っていなかったよ、でも段々零ちゃんの事を好きになって、同時に一生懸命夢を語る零ちゃんに嫉妬してしまったんだ。』
    『こんな純粋な女の子をメチャクチャにしてしまったら気分がいいだろうな、なんて。勿論零ちゃんの事は大好きだったよ、今でも・・・でも零ちゃんにいろんな事をしてる時、心の中にそんな感情があったのも事実なんだ。』
    『それと・・・馬鹿だよね、怖かったんだ。キチンと零ちゃんに告白して、オジサンがなに言ってんの?みたいに振られるのが怖かった、先にこういう関係を結んでしまえばって・・・ホント馬鹿だね・・・。』
     文字にすればこれだけの事をオーナーは言葉を選び、感情を抑え、ゆっくり搾り出すように言った。
    零が部屋に入ってきた時、まだ夕明かりだった空はもうすっかり夜更けの色になっている。
    「私が、悪いんですか・・・?」
    零は勇気を出して聞いてみた。いつも呟いていた言葉の真意を知りたかったのだ。
    「ん・・・零ちゃんが悪いっていうか・・・零ちゃんを見ていると、こう・・・綺麗な花を見ていると衝動的に握りつぶしたくなるような、そんな気持ちになるんだ。だからもう本当に僕は零ちゃんの側にいない方がいい。分かってた、でも自分で終わらせる事ができなかった。だから昼間の同級生のあの子には感謝してる。これでいいんだって思ったよ。これ以上いたら本当に、この気持ちがエスカレートして、それこそ零ちゃんを殺してしまうかもしれないから。だからもうお帰り。」
     (そうか・・・そういう意味・・・そこまで・・・そこまで私の事を。)
    零は今始めて理解した、あの厳しいお仕置きも労わるようなセックスも、食事の支度やローションやタオルに象徴される優しい振る舞いも、根源は同じところにあるのだと。
    全ては「好き」という感情によるものだと。
    そしてこれだけの告白をするという事が男性にとっていかに重い意味を持つのか、どれだけ真摯に自分の事を思ってくれているのかの証明にすらなるものだと。
    「・・・なら・・・ですよ。」
     零の呟きをオーナーは一度では聞き取れなかった。
    「零ちゃん?」
    「私、オーナーになら殺されてもいいですよ。」
     勿論それは観念の例えとしての言葉だ。
    「今、分かりました。オーナーの気持ち。」
     はじめてオーナーが零のほうを向いた。
    街灯が月の光のように差し込む部屋の中で二人は向かい合った。
    「オーナーが私の事を好きでいてくれて、嬉しい。それに私もオーナーの事が好きです。」
    「零ちゃん・・・それは。」
    「分かってます。今はまだ、もしかしてこういう関係になって冷静になれてないだけかもしれません、でもとにかく今は、帰りたくないんです。オーナーの側にいたいんです。」
    「零・・・ちゃん。」
    「あ、でも明日から首輪はなしにしてくださいね、私、朝ごはん作りますから。」
    「つまり、それは。」
    零はうなづいた。
    「もう一度最初から、普通の恋人同士みたいに、私の事、愛しなおしてくれますか?」
    「零ちゃん・・・。」
    オーナーからの優しい抱擁と口づけが答えだった。
    こうして、夢の様な幻の様な、零の夏休みは終わる。
    そして、ビリオンアイランドから「零夏」は消えた。
    —諸事情によりこのブログを閉じることにしました。零夏はもういません。今まで来てくださって本当にありがとうございました。—
    跡地にそんな決まり文句を残して。
    (終わり)

     

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