【友達と】他人(ひと)の皮を被る 一話【エッチ】 オナネタ専用エッチな体験談

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    【友達と】他人(ひと)の皮を被る 一話【エッチ】


     世界には同じ顔をした人間が3人いる。
     ドッペルゲンガーとも呼ばれる有名な都市伝説だ。
     大門晃(おおかどあきら)はその都市伝説を、ぶらりと足を伸ばした街の喫茶店で思い出した。「いらっしゃい……あら、久しぶり」
     喫茶店の女主人は晃を見るなりそう笑いかけた。晃は訝しむ。
     その店に入ったのは間違いなく初めてだ、久しぶりとはどういう事か。
    「ええと、どこかで会ったっけ?」
     晃が問うと、女主人は目を丸くした。
    「何言うんだい、お前さん」
     そう言って晃の頭からつま先までを何度も見やる。
    「……確かにいつもみたいにスーツじゃないけど、じゃあ何、他人の空似かい」
    「おそらくは」
     晃が頷くと、女主人はふうん、と唸った。
    「驚いたね、瓜二つじゃないか。まるで双子だよ」
     晃はそれに愛想笑いを返しつつ、かの都市伝説を思い浮かべる。 ドッペルゲンガーの知り合いは女主人だけではなかった。
     公園を歩くと老婦人が会釈をし、砂場の子供が挨拶をする。

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     どうもそれなりに有名で、かつ人望のある人間のようだ。
     そうなってくると晃は俄然その人物に興味が湧き、是非とも会いたいと思うようになった。
     普段はスーツ姿だというからサラリーマンだろう、そう当たりをつけて連日夕刻に街を探し回る。 しかし5日が経ってもそれが実を結ぶ事はなかった。
     晃は歩き疲れた足を止め、ショーウィンドウに映る自身を見やる。
     中肉中背、適当に床屋で刈り上げた髪に、甘ちゃん坊やのような顔立ち。
     その実は今年で32になり、新卒で入った会社をクビになって以来、アルバイトで食っているしがない男だ。
     不況の中にあってすでに正社員への望みはなく、その日暮らしが性根にこびりついている。
     貯金ができれば仕事をやめ、生活費が底をつけばまた働くという自堕落な生活。
     さらには内向的で風俗嫌いでもあるため、32年生きて女と肌を合わせた経験すらない。
     こんな人間にそっくりなもう一人は、果たしてどんな生活を送っているのだろう。
     晃がショーウィンドウを眺めながら思ったとき、突如背後から声がかけられた。
    「……あの、すみません!」
     店員が注意でもしに来たか、と振り向いた晃は目を疑う。
     そこには自分がいた。いや、正確には自分と見紛うほどに瓜二つな男だ。
     耳の形、瞳の輪郭、笑うような口元、顎の黒子、全てが奇跡的なまでに合致している。
     晃が言葉を失っていると、男はふっと笑みを作った。
    「ああ、良かった。ちゃんとした人間だ」
     安堵した様子でそう述べ、不可解な顔の晃に頭を下げる。
    「失礼しました。実は数日前にあなたの姿を見かけ、これは目にすると死ぬというあのドッペルゲンガーか、
     などと勝手な疑いを持っていたのです。
     その相手にこうしてまたお会いできたので、たまらず事実を確認したくなりお声をお掛けしました。お許しください」
     その慇懃な態度に晃はつい破顔した。
    「気にすんな。俺も同じだよ」
     晃の言葉で男も嬉しそうに顔を上げる。2つの笑い声が重なった。 2人は夕日を背に公園の噴水脇へ腰掛け、互いの身の上を語り合った。
     男は白戸康平(しらとこうへい)といった。
     晃と康平にはやはり奇妙なほど共通点が多い。背格好は勿論、日の焼け具合もそっくりで、歳も同じ32歳。
     誕生月こそ半年離れているものの、産まれた日付と時刻は一致している。
     声質も似通っており、晃は康平の話を聞きながら、時折自分が話しているような感覚に捉われた。
     肉体的な要素には当人達でさえ違いが見出せない。
     ただ内面は違っていた。康平は晃よりも気性が穏やかだ。控えめで、話すよりも聞くことを望む。
     人好きのする性格だと晃は感じた。
     その性格が幸いしてか、康平の生活は円満そのものだ。
     独立系の専門商社に入社して10年、多忙ながらも恵まれた職場環境の中で係長に昇進し、
     また現在、ある女性と恋仲にあるらしい。「この娘なんだけどね」
     康平が携帯で撮った画像を翳す。晃はそれを見て息を呑んだ。
     愛らしい娘だ。
     ダークブラウンに艶めく胸元までの髪、白い肌。瞳は小動物のように爛々と輝き、桜色の唇はぽってりと柔らかそうだ。
     さらにブラウス越しにも胸の膨らみが窺え、脚線は細く、とスタイルも整っている。
     ファッションに疎い晃にさえその服飾のセンスの良さがわかった。
     現代風に垢抜け、かつ品の良さも窺える娘。都心でもそう見かけるものではない。
     童貞の身にはあまりに眩しく、晃はつい鼓動が早まった。「由希(ゆき)っていうんだ。結構可愛いでしょ」
     康平の問いに、晃は動揺を悟られぬよう頷く。
    「ああ、かなりな。いくつ?」
    「24歳。学生の頃からバイトしてたブティックで副店長をしてるそうだよ」
     なるほど、と晃は得心が行った。確かにそのような感じを受ける。
    「しかし、24か……若いな」
     晃はしみじみと呟いた。
     自分達より8つ下。ようやくに学生気分が抜け、社会人としての自覚が芽生え始める頃だ。
     小学生だった時分は24の担任教師を見て大人だと憧れたものだが、30を超えた今から思えば小娘に過ぎない。
     そのような新鮮な娘と交際できるなど、晃からすれば夢物語に等しかった。
     だが出来る人間には出来ているのだ。
     康平のように人柄がよく、社会的な地位もある人間になら。
     晃は密かに歯を噛み締める。劣等感で吐息が黒く染まりそうだった。「……そろそろ暗くなってきたね。帰ろうか」
     携帯を戻した康平が空を見上げ、にこやかに言う。
    「そうだな」
     晃も尻をはたいて立ち上がる。
    「明日もまた、ここで待ってて貰ってもいいかな。もっと話を聞きたいんだ」
     公園の出口で康平が言うと、晃は頷いた。
    「ああ。俺もだ」
     そう言って互いに笑い、手を振って別れる。「…………由希、か」
     晃はネオン街を歩きながら呟いた。
     大通りには夜が更けた後も人が絶えない。
     ショーツが覗くほどの超ミニを履いたキャバクラ嬢、ブレザーからむちりとした脚を覗かせる女子高生。
     だがそのいずれもが、先ほど目にした画像に及ばない。
    「……由希、由希、由希ッ!」
     アパートに帰った晃はその名を繰り返しながら激しく自慰に耽った。
     妄想の中で由希はブラウスを捲り、豊満な白いバストを晃の眼前に晒す。
     晃がそれを揉みしだくと心地良さそうに目を細め、花園に指を差し入れれば切なげに腰をうねらせる。
     柔らかな唇で行われるフェラチオは至上の快楽で、そそり立った怒張を膣へ捻じ込めば愛しげに締め上げてくる。
     その悦楽を享受するのは康平ではない、晃だ。
     妄想の中には康平はおらず、それと全く同じ顔をした晃が何も知らない由希と愛を育んでゆく。
     
     晃はそれ以来、よく康平と会うようになった。
     康平はそれなりに多忙なようではあったが、残業を早く切り上げては夕方の公園に現れる。
     晃は会うたびに康平のプライベートを聞きだした。
     由希とは偶然に知り合った事。
     康平はどちらかといえば性に淡白で、セックスは由希にリードされている事。
     由希はうなじから背筋にかけてが弱い事。
     付き合い始めてもう2年目であり、そろそろお互いに結婚を意識している事……。
     晃はそれを聞きながら、由希との妄想をよりリアルなものにしていった。 晃の頭にはもう由希の白い太腿しかない。
     康平とはきっと無二の友になりえただろう。
     しかし由希の画像を見たあの瞬間から、目の前のにこやかな男は嫉妬の対象でしかなくなった。
     口先で親友の契りを交わしながら、心中では康平に成り代わる事ばかり夢想する。
     晃が昔読んだ小説にも、人に取って代わるドッペルゲンガーがいた。
     ならば、晃の方こそ康平のドッペルゲンガーなのか。康平は近いうちに死ぬのか。そう嘲笑う。
     しかし、それも所詮は負け犬の遠吠えだ。
     晃とて本気で人一人を殺し、その人生を演じる気などない。
     ただ惚れた女が人のものである事実から逃避しているに過ぎない。
     晃自身もそれは十分に理解していた。
     
     ……だから、よもや本当に康平に異変が訪れようなどとは、その時は思いもしなかった。 晃が康平と知り合って3ヶ月が経った頃だ。
     晃はその日も約束通り、夕暮れの公園で康平を待っていた。
     しばらくして康平が公園前に姿を現す。
     しかし康平はそのまま、晃には目もくれずに公園を通り過ぎた。
     晃は首を傾げる。公園の先に用事があるのかとも思えるが、康平の律儀な性格から言って、
     待たせている晃に一礼ぐらいはしていくはずだ。
     何かが妙だった。
    「おい、康平!」
     晃は呼びかけながら公園の外に出る。
     康平はよほど足早に歩いているのか、すでに2つ先の角を曲がるところだった。
    「くそ、速ぇな!どうしたってんだ」
     晃はいよいよ不安になって走り出す。 角を曲がり、路地に入ったところでようやく康平の後姿が見えた。
     その歩く先は山奥へ向かうトンネルだ。
     晃はぞくりと悪寒がした。
     晃にはこの辺りの土地勘がない。一月前にぶらりと足を伸ばしただけの街だからだ。
     そんな晃でも、その場所だけは知っていた。その山の頂には滝に繋がる古いダムがある。
     県内でも有名なスポットだ。ただし観光名所としてではない。
     自殺の名所だから、だ。
     転落死した者の霊が呼ぶ、絶景のあまりふらりと水面へ飛び降りたくなる。そんな噂が絶えない場所だった。
     康平が今入っていったのはそういう山だ。
    「……まさか、あいつ!!」
     晃は歯をうち鳴らし、足を震えさせながら康平を追った。警察に通報する事さえ気が動転して忘れていた。
     今はただ、友人を止める事しか考えていない。 トンネルを抜け、森へ入っても康平の足取りは衰えなかった。スーツ姿のまま枝葉を掻き分けて突き進む。
     同じ体格でラフな格好の晃が、何度も足止めを喰らうのにだ。
     この山道に慣れているのか、それとも何らかの執念に駆られてか。
     登り始めたのは夕暮れだったが、いつのまにか月が出ていた。
     夜の山道、すでに康平の姿は見えないものの、ガサガサと鳴る草の音で居場所は推測できる。
     それを追ううち、次第に滝の音が鼓膜を震わせ始めた。気温も心なしか低まり、火照った体に纏いつくようだ。 晃が息を切らせて小休止を取ったとき、ふと前方の草の根が止んだ。
     はっとして晃が顔を上げた直後、水面に何かが落ちる音が響き渡る。
     小石や枝などではない、もっと大きなモノだ。例えば、人間のような。
    「こ、康平えええええぇぇっ!!!!」
     晃は叫び、山道を駆け上がった。驚くほど体が早く進む、なるほど必死の力は強い。
     晃が山頂に辿り着いた時、開けたそこには誰の姿もなかった。ダムの水面に目をやる。
     月が翳っている暗さでほとんど見えない。
     だが無数の枝葉が滝壺へ向かって流れており、そしてよく目を凝らした晃は、断崖絶壁の岸辺にある物を見つけて脚が震えた。
     流木に絡まる康平の背広だ。
     先ほどまで追いかけていたのだから見間違える筈もない。
    「う、嘘……だろ……おい」
     晃は立っていられずにその場にへたり込んだ。
     死ねば良いと空想したのは事実だ。だがまさか本当に、目の前で人が死ぬとは。
    『もう一人の自分に会うと死ぬ』
     そんなものは脅かしで作られた、下らない都市伝説ではないのか。
    「うっ……!」
     晃は気が昂ぶるあまり、喉元へ熱さがこみ上げるのを感じた。
     口を押さえて傍の茂みに駆け寄り、胃の内容物を吐き出す。「はっ……はぁっ……はぁっ……!!」
     這いつくばって息を整えながら、ふと晃は視界の端に何か光るものを見つけた。
     携帯だ。
     開いてみると待ち受けに由希の画像が表示される。間違いなく康平のものだ。
     さらにはその近くに財布も落ちていた。中には現金と免許証、会社の名刺などが入っている。
     転落する際に誤って落としたのか、あるいは自殺するにあたって発見者に身元を知って欲しかったのか。
     いずれにせよ貴重な個人情報だ。 成りきれる。
     滝の音に思考を乱されながら、晃はふと思った。
     康平の家の場所は話に聞いて知っている。彼の家の鍵もある。カードもあるし携帯もある。
     そして何より、瓜二つの身体がある。
     これだけあれば康平という一人の男になりすます事も不可能ではない。
     無論死んだ康平に対する冒涜だとは思う。だがそれまで絵空事でしかなかった成りすましが、今や成立しうる状況にある。
     掴めば映画のヒーローになれる蜘蛛の糸が目の前にぶら下がっているのだ。
    「はは、ははは……」
     晃は激しい動悸の中で笑った。
     そう、康平はヒーローだ。彼が死んだとあっては皆が悲しむ。親も、会社の人間も、そして恋人である由希も。
     ならば晃が死んだ康平を演じる事が、それらの人間に幸福を与えることになるのではないか。
    「そうだ、相棒。俺が……お前の人生を続けるんだ」
     晃は財布と携帯を拾い上げ、ゆっくりと立ち上がる。そして康平の沈む暗いダムを見下ろし、目を細めた。 晃は山を下り、以前康平から貰ったメモを頼りに彼の家を探し当てる。
     公園からほど近い高層マンションの7階だ。
     広い所だった。3つの部屋は洒落たインテリアで飾られ、窓からは街の夜景が広がる。
     目を引くのが58インチのプラズマテレビで、144cm×95cmの画面には子供がすっぽりと嵌りそうだ。
    「……ちっ、商社の係長殿は住む世界が違うね」
     晃は毒づきながら革張りの椅子に腰掛けた。クッションが柔らかく、腰がどこまでも沈む。
     座り心地は最高だが腰を痛めそうだ。いかにも成金趣味の椅子だった。
     ふと見ると目の前のパソコンデスクに日記がある。
    「死者の日記か……」
     晃は恐る恐るそれを手にした。
     マメな康平らしく毎日欠かさず記してある。
     同僚の話、上司の話、同じ顔の晃を見て驚いた事、いい親友になれそうな事などが誠実に綴られていた。
     しかし少し前の日付から様子が変わる。
     文章が破綻し始め、気持ちがどんどん不安定になっていく事、時々ふらりとベランダから飛び降りそうになる事、
     調子が悪く二ヶ月ほど休職する事などが書き連ねられ、今日の日付以降は真っ黒に塗り潰されていた。
     晃はぞっとした。だが妙に納得もした。
     いずれにせよ康平はもういない。今や彼の全ては晃の物だ。
     例え、それが恋人であっても。 晃は拾った携帯で由希のアドレスを探し、週末のデートを提案した。
     10分後、由希から嬉しげなメールが返信される。返事は勿論OKだ。
    「くくっ。せいぜい楽しもうぜ、由希ちゃんよ」
     晃は隆起した逸物を愛でて呟く。あまりに待ち遠しくて体が震えた。
     32年間絡み付いてきた童貞という垢を、愛らしい他人の女で落とせるのだ。        ※ 週末、由希は初春の令嬢といった出で立ちで現れた。
     ダークブラウンの髪が風を孕み、上は袖と裾に余裕のあるフリルつきの水色シャツ、
     下は萌黄色のホットパンツにブーツ。
     首元にはピンクのリボンが巻かれている。
     ホットパンツから覗く生足は道行く男の目を引いていた。「お待たせー。今日はなんだか暑いね」
     由希は首を仰ぎながら晃に歩み寄る。涼やかな香りが立ち昇った。
     身長は160cm弱といったところか。
     性的な魅力を醸しながらも、小動物のような瞳のせいか発育の良い小学生のようにさえ見える。
     晃は緊張から喉を鳴らした。
     本物の康平をよく知る由希に、成り代わりが悟られないか。
     このファーストコンタクトが重要だ。
    「ん、どうかしたの?」
     自分をじっと見つめる晃に、由希が首を傾げる。疑ってはいないようだ。
    「いや、か、可愛い格好だなと思ってね」
     晃は康平の口調を真似て声を聞かせる。
    「えっ……そ、そうかな」
     由希は嬉しそうに顔を綻ばせた。
     顔を見ても、声を聞かせても疑わない。
     これで晃は確信した。晃は今、完全に康平になっている。
     とはいえいつボロが出ないとも限らない。本番である夜までは慎重に行こう、と晃は気を引き締めた。 だが結局それも杞憂に終わる。由希は康平を疑う気配がまるでなかった。
     恋は盲目、というものだろうか。
     川原では手の込んだ自作弁当が披露された。
     和風で彩りが良い。筍や人参などの野菜は、旨味を殺さないままにしっかりと味付けされており食べやすかった。
    「康ちゃん、ほら。あーん」
     由希は具を一つずつ箸で摘んで食べさせてくる。そして咀嚼する晃を眺めながら頭を撫でた。
     お姉さんか、或いはお母さんでいるつもりなのだろう。
     心から康平に惚れ込んでいる様子だ。
     晃が瞬きをすると同じく瞬きをし、指を組みながら話せば同じく指を組んで聞く、
     そんな無意識下の同化動作も見られた。
     相手に心を許していなければ起こらない現象だ。
     勿論それも晃の迫真の演技あってこそで、その裏には確実に様々な職歴が生きている、と晃は思った。 ともかくも晃はつつがなくデートを終え、ついに目的のホテルへと辿りつく。 ホテルの部屋に入るなり、晃は由希の唇を奪った。
    「んっ……」
     由希が小さく声を上げる。
     柔らかい唇を割ると中から弾力のある舌が覗き、それを嬲るとじわりと唾液が溢れ出す。
     若い娘の唾液だ。そう思っただけで晃の逸物が硬さを増した。
     晃はその逸物を擦り付けるように由希の体を抱く。
     柔らかい、と晃は驚いた。細いのに、まるで骨がないような柔らかな抱き心地だ。
     その由希も晃を抱きしめ返してくる。 2人はしばし口づけを堪能したあと、体を離した。
    「服脱ぐから、あっち向いてて」
     由希がはにかみながら晃に言う。
     晃は冗談ではないと思った。気弱な康平なら大人しく従うのかもしれないが、そこは譲れない。
    「いや、目の前で脱いで」
    「えっ!?」
     由希が驚いたように目を丸くした。まさか着替えを見られるとは思わなかったのだろう。
    「で、でも……」
     胸を手で庇いながら晃を窺う。しかし晃が折れないと知ると、渋々といった様子で手を下げた。 まず首に巻いたリボンが解かれる。ふわりと香水が薫った。
     次にフリルのシャツが捲り上げられ、ブラジャーが外されると白い乳房が露わになる。
     Dカップといったところか。綺麗な椀型で、晃の手の平に何とか収まる大きさだ。
     ホットパンツの下では、三角地帯を薄紫のショーツが覆っていた。
     由希はショーツを恥ずかしげに摺り下ろしていく。
     半ばほどまで下ろすとなだらかな下腹に黒い茂みが覗きはじめた。
     抱かれる事を想定していたらしく、きちりと逆三角に剃りこまれて不潔さがない。
    「おおっ……」
     晃が思わず声を上げると、由希はぴくりと手を止めた。腰を折り曲げ、ショーツを秘部の下に絡ませて躊躇する。
    陰毛を見られることがたまらなく恥ずかしいのだろう。
    「ほら、どうしたの?」
     晃が声をかけると、由希は大きく息を吸い、吐いて、一気にショーツを摺り下ろした。 ショーツが足首から抜かれると、24歳の真裸が晃の視界に晒される。
     ちょうどいい大きさの乳房、締まった腰、すらりとした脚線。
     大人の豊満さと女子高生の青さの中間にあたる肉付きだ。
     肌は白い。男の身体はゴツゴツとしているが、由希は違う。
     なだらかな曲線に縁取られ、むらなく乳白色を塗りつけたような美しさだ。
     無機質でさえある白さの中、目を射止めるのは生々しい髪、陰毛、そしてせり出した胸の膨らみ。
     晃はその乳房にむしゃぶりついた。塩気がある。暑い日に出歩けば乙女とて汗を掻く。
    「いやっ、シャ、シャワー浴びないと……!」
     由希の嫌がりも意に介せず、晃は湿り気のある乳房を吸い続けた。
     何しろ32年の人生で初めての女体だ。
     獣のように息を荒げ、下腹から腋から臍から、由希の体中の臭いところを舐めしゃぶった。
     白い身体が唾液にてかる。
    「お、勃ってきたぞ」
     晃は乳首をしゃぶりながら歓喜した。
     乳房を揉みながら先の尖りを口に含めば、段々とその尖りが硬くなっていく。
     乳首が勃つということは気持ちいいのだ。
     しょっぱい乳首をねぶりながら由希を見ると、切なげに内股をすり合わせているのが分かる。
     晃は逸物に痛みを感じた。
     ジーンズから逸物を開放すると、それは興奮で反りかえり、先端から先走りさえ垂らしていた。
     ここ数年は無かった勃ち具合だ。「由希、舐めて」
     荒々しい気分で、しかしそんな時こそ康平を真似る。
     何も知らない由希は乳房を揺らしながらカーペットに跪き、仁王立ちした晃の逸物に手を添える。
    「手は使わないで」
     晃は興奮に震える声で命じた。由希は困惑した表情で晃を見上げる。
     康平とのセックスでは常にリードしてきた女性だ、命じられる事には慣れていないのだろう。
    「……今日はずいぶん意地悪なんだね」
     由希はやや憮然とした声色で呟き、膝立ちのまま床に手をついて舌を出す。
     洗っていないため匂う亀頭に眉を顰め、ゆっくりと口に含んでゆく。
     晃はさらさらの髪を指で梳きながら見守った。 晃の意図は、由希の素のフェラチオを知ることにある。
     指遣いに頼れず、頭を掴んで無理矢理させられるわけでもない。
     となれば由希は自ら進んで晃の逸物を口に含み、唇を窄め、舌を動かさなければならない。
     すなわち由希が普段康平にどんな音で啜り上げているか、どんな顔で吸い付いているか、
     その情報が一切誤魔化されずに晃に伝わるのだ。晃はまずそれを暴きたかった。「んっ、んん、う、んえぁっ……」
     由希ははち切れそうな怒張の大きさに呻いていた。
     頬を染め、息を荒げ、額に汗を浮かべながら舌を遣う。その顔からは恥辱に耐える心理が見て取れる。
    「き、気持ち、いい……ッ!」
     一方の晃は腰の抜けそうな快感に襲われていた。
     裏筋に添えられた舌が陰嚢からカリ首までをくすぐり回し、
     小さな口いっぱいに溜められた唾液がじゅるじゅると音を立てて怒張をくるむ。
     窄まった唇の輪が肉茎を這い上がる。
     愛らしい由希の美貌は原型を留めぬほどに崩れ、口からは唾液が零れて床に落ちる。
     その狂った美を見下ろしながら、晃はとうとう一線を越えた。
    「で、出るっ!!!」
     素早く怒張を抜き、舌を出した由希の顔に精をぶちまける。
     白濁は恐ろしい勢いで飛び散り、由希の舌はおろか鼻先にまで降りかかる。
     由希は目を細めながら、自らの口に白濁が注がれるのを見つめていた。 ようやく射精が止まった後、晃は白濁を吐き出そうとする由希を制する。
     自分の子種を由希に飲ませる気なのだ。
    「ちゃんと飲んで」
     そう命じられた由希は、嫌いなピーマンを食えと言われた子供の顔になる。
     だが仕方なく白濁を唾液と混ぜて飲み込みはじめた。よほど濃いのか、何度も噎せては口端から零れさせる。
     ようやく全て飲み下した時には、由希の額には玉の汗が浮いていた。「さあ、今度は由希の番だ」
     晃は由希を抱き起こしてベッドに座らせる。
     脚の間に恥じらいの部分が覗いた。毛の処理がしてあるので秘唇がくっきりと見える。
     やや縦長で挿入しやすそうだ。
     肉びらには歪みがなく、そう経験が多いわけでもないのがわかる。
     晃がその肉びらに手をかけた時、急に由希が膝を閉じた。
    「いや、そこだけはやめてっ!!」
     泣き出しそうな顔で首を振る。洗っていない秘部からは、膝を閉じた状態でも汗と愛液の匂いが漂っていた。
     しかし晃はその匂いにそそられる。けして芳しくはないが、雄の本能をくすぐる臭さだ。
    「開いて。由希がどんな匂いか知りたい」
     晃は由希の目を見て囁いた。由希はかなり躊躇した後、少しずつ膝を開く。 今度こそ秘部が露わになった。
     指で割りひらくと桃色の鮮やかな襞が覗く。
     愛液にぬめったそこは最高級の霜降りのようだ、晃にはそれしか浮かばない。
     そのぐらい生々しく、艶かしく、美味そうだ。
     そしてそれが美しい由希の体内だと考えれば、もう見るだけではおれなかった。
     むしゃぶりつく。
     鼻頭にこそばゆい陰毛を感じながら舌で襞をえぐり、啜る。愛液が顎を伝う。
     むうっとする雌の香が肺を満たす。
    「やあ、あっ……!!」
     濡れ光る内腿は啜るたびに筋張り、同時に愛らしい呻きが漏れた。
     目線を上げれば細身ゆえの腰骨の浮きが見え、スレンダーな由希を舐っているのだと晃に自覚させる。
    「ああ由希、由希ッ!!」
     ずじゅ、じゅずるっと音をさせ、晃は生涯初めての女の部分を味わいつくした。
     およそ32とは思えぬ飢えぶりだ。
     晃は妄想で何度由希を抱いただろう、だが現実はその比ではなかった。
     太腿の肌触りも、性器の匂いも、愛液の生臭さも、五感にくる全てが予想以上だ。
     晃の分身はいきり立った。フェラチオで抜いていなければ弾き割れたのではと思えるほどだ。
     むせ返る雌雄の匂いの中、晃は由希の秘部に指を入れる。
     やわらかく、暖かい。かなりの具合の良さが想像できた。 晃は指を抜き、代わって逸物を割れ目へ宛がう。
    「由希、いくぞ」
     晃が声をかけると、由希は汗まみれで頷いた。晃はゆっくりと腰を進める。
     やはり挿入は苦ではなかった。快感に膨らんだ膣壁がぎっちりと怒張を咥え込み、圧迫感はかなり強い。
     捻じ込むように進めると、怒張の7割ほどが入った時点で何かしこりに当たった。子宮口に達したのだ。
     全て入らないかと腰をねじ入れても押し返される。
    「んん、ふ、深いっ!!」
     由希が苦しげな声を上げた。
    「いつもと比べて、どうだ?」
     晃はその由希に問うた。すでに康平を真似る余裕もないが、それももう些細な事だ。
    「今日凄いよ、いつもよりずっと太い。興奮してくれてるんだね……康平」
     由希は陶然とした顔で男の名を呼ぶ。晃は笑いを堪えるのに必死だった。
     この瞬間まさに、晃は由希を征服したのだ。
     膣の奥まで生で繋がっている。安全日か、あるいは将来の結婚相手ゆえに孕んでも良いと考えているのか。
     いずれにせよ、実は見知らぬ男と性器を擦り合わせているとは思いもすまい。
     晃は心中で嗤い、大きく腰を振り始めた。 初めは正常位だ。脚を開いた由希へ被さって犯す。
     愛液が怒張に絡みつき、締め付けの割に抽迭は楽だった。
     怒張からの快楽も相当なものだが、由希の感じる顔、曲げた膝に潰される乳房なども晃の目を楽しませる。
    「ん、ん、ふん、んううっ……!!」
     由希は顔を見られて恥ずかしいのか、指を噛んで必死に喘ぎを押さえていた。
     だがパンパンと休みなく腰を打ち付けるうち、その指も離れて歯を覗かせながら喘ぎはじめる。
     元よりあどけない顔だ、その表情はどれほど反則的なことか。 正常位を十分に堪能した後、由希の右足首を掴みあげて側位に移る。
     どうせなら様々な体位を試そうというのだ。
     歳のおかげか、初セックスながらに保ちはよかった。
    「な、何これっ、あ、はぁああ……っ!!」
     横臥したまま深々と貫かれ、由希の喘ぎが大きくなる。
     人は未体験の快感に弱い。片脚を掴まれるこの側位は、常に濡れ場をリードする女には無縁のはずだ。
     掴んだ右足指のびんと張る様が、由希に流れる凄まじい快感を表していた。 側位で互いに登りつめた後、最後はバックスタイルだ。
     由希をベッドにうつ伏せにさせ、背後から獣のように叩き込む。
     これが最高だった。正常位では7割しか入らなかった逸物が根元を残して埋没する。
     膣の締め付けは最も強く、奥まりに亀頭がごりごりと当たる。
     視界には由希の白い背中があった。
     ダークブラウンの髪が肩に艶めき、腰の括れもはっきりとわかる。
     その括れを掴んで腰を叩き込むと、尻肉がパンパンと軽快なリズムを刻む。
     前に手を回せば垂れ下がる豊かな乳房が掴める。
     バックは女を征服する体位だ。
    「ああ、ああうっ、ああ、くあああぁんっ!!!!」
     由希もバックが一番感じるのか、シーツに顔を埋めたまま悲鳴のような喘ぎを繰り返す。
     彼女の足腰は快感で痙攣しており、溢れる本気汁は互いの腿に挟まれてにちゃにちゃと粘った。
     清楚な顔に似合わず分泌が多い。ベッドはもう寝小便をしたような濡れ具合だ。
     感じる由希を見下ろしながら、晃はふと康平の言葉を思い出す。 『由希はうなじから背にかけてが弱い』。 晃は繋がりながら由希の髪を掻き分け、うなじを舐めた。
    「ああっ!」
     由希の締め付けが急に強まる。きつい。カリ首を引く際に気持ちが良すぎて頭が真っ白になる。
     晃は快感に叫びを上げた。
    「どうだ由希、イヌみたいに犯されて気持ちいいか?」
     晃が尋ねると、由希はシーツの上で何度も頭を上下させる。
    「へへ、もう変態だな。そろそろ逝くぜ、しっかり受け止めろよ!!」
     晃は叫びながらスパートをかけた。ベッドを軋ませ肉音を弾けさせ、深く逸物を捻りこむ。
     肛門が締まり、玉袋がせり上がる。
    「くうっ!」
     晃は暖かな膣奥でたっぷりと精を吐き出した。精管を引き裂くような射精の勢いだ。
    「ふあ、あ、あぁっ……!!」
     由希が喘ぐ。由希の膣奥も射精を受けながら細かく痙攣していた。 射精を終えた後、晃はゆっくりと逸物を抜き去る。
     由希の中から大量の白濁が零れ落ちた。フェラチオの時の倍は出ている。
     晃は30過ぎの初セックスでそれだけの射精を成し遂げた事、
     そして本当にこの美しい由希を抱いたのだという事実に酔いしれた。
     晃はベッドに倒れ伏す由希を起こし、胡坐を掻いたまま逸物を突き出す。
    「お前の愛液で汚れたんだぜ、舐って綺麗にしろよ」
    「……うん」
     由希は頬を真っ赤にして逸物に舌を近づけた。
     幹の愛液をぴちゃぴちゃと舐め取り、尿道に残った精液も啜り上げる。
     何も命じていないのに口だけでの奉仕だ。
     康平のセックスをリードしていたという24歳の女は、被虐の快感に取り憑かれたらしい。
    「ひもひ、いい?」
     フェラチオをする由希が晃を見上げて訊ねる。晃は満足げに由希の髪を梳いた。

     

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