【他人棒に】妻の喫煙 続き 【寝取られ】 オナネタ専用エッチな体験談

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    【他人棒に】妻の喫煙 続き 【寝取られ】


    妻「彼と再婚なんてしません。」
    私「今はな。」
    妻「絶対にありません。」
    私「何でそう言い切れる、
      好きになった男、それもセックスまでした男、
      私と別れれば、もう何も障害は無い。
      栗本にしても、奥さんと離婚ということになれば、
      お互い好都合だろう。
      体の愛称もいいようだしな。
      儀父母さんだって、家のローンの心配をしなくていい。」
    妻「あの子達の父親はあなただけです、許してください。
      彼とはもう会いません。」
    私「だから、何を許せというんだ。」
    妻「・・・」
    私「他の男を愛したお前を許せる程、包容力のある男ではない。」

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    妻「愛してません。」
    私「誰をだ、私か。」
    妻「いえ、栗本のことです。」
    私「愛していない男とセックスが出来るか。」

    そういいながら、私の脳裏に由香里との事が浮かびました。
    確かに、その時の自分の精神状態から由香里と結ばれたのは事実でしょう。
    しかし、私も由香里を愛してセックスしたのか、良く分からない部分が有ります。
    しかし由香里のことが好きになり始めている自分が居るのも事実でした。



    家庭が崩壊状態だというのに、当事者を除いては生活は坦々と時を刻んでいきます。
    夕食も済ませ、子供達も眠りに着き、イライラしながら栗本からの電話を寝室で待ちました。
    妻も片付けを終わらせ、寝室の鏡台に俯いて座っています。
    私といえば、結論の出ないままベッドに横たわり、タバコをふかしているだけでした。
    八時丁度にその電話はなりました。
    私はベッドから飛び起きると、電話に出ようとする妻を制止し、受話器をとりました。

    私「もしもし、○○です。」
    栗本「栗本です、遅くなってすみません。」
    私「奥さんと良く話し合ったか。」
    栗本「・・・はい。」
    私「でどうする。」
    栗本「出来ればお会いしてお話を・・・」
    私「当然だね、電話で済むむ問題じゃない。」
    栗本「出来れば昨日の事務所で・・・」
    私「良いよ、お互い家族には心配かけたくないからね。」
    栗本「すみません。」
    私「直ぐに出るから。」

    車で事務所に着くと、既に栗本は着いているらしく事務所には明かりがついていました。
    車を降りると、昨日と同じように栗本が入り口で出迎えました。
    事務室に入ると小柄な女性が一人、こちらに向かい深々と頭を下げていました。
    その人が栗本の奥さんであることは状況からして疑う余地は有りません。
    顔を上げたその人は、年齢は私より少し上に思えましたが、顔立ちの整った綺麗な女性でした。
    しかしその目元は少し腫れ上がり、昨日か今日かは分かりませんが、夫婦間で我が家同様の修羅場が展開されたことを私に想像させました。
    栗本の奥さんに小さな声で着座を促され、ソファーに座ろうとすると、妻が私に何か訴えかけているが分かりました。
    昨日は、私に栗本の隣に座るよう言われた妻は、今日は貴方の隣に座らせて欲しいとでも言うような目つきで私の顔を覗き込んでいました。
    私が隣に座る様に伝えると、安心した様に妻は腰を下ろしました。
    栗本の奥さんがお茶を持ってくる間、会話も無くただ重苦しい時間が数分間流れました。
    奥さんが私の向かいに座り、その後から栗本が妻の向かい側に座りました。
    最初に話し始めたのは、栗本の奥さんでした。

    奥さん「この度は、主人が大変なことを、申し訳ありません。」
    私「奥さんに謝って貰おうとは思ってませんから。」
    奥さん「でも、主人のしたことで、○○さんにご迷惑を・・・」
    私「私の妻も同罪ですから。」
    妻「申し訳ありません・・・」
    私「専務さん、それでどうしますか。」
    栗本「もう奥さんとは会いません。
       本当にすまない事をしたと思っています。
       許してください。
       謝って済むことでない事は十分分かっていますが。
       今はそれ以外に出来ることがありません。」

    そう言われた私は、返す言葉がありませんでした。
    栗本が、もう少しお互いに非がある有る様な言い方でもすれば、売り言葉に買い言葉で話はエキサイトしたのかも知れませんが、栗本の顔は、一晩でこんなに変わるのだろうかと思えるほど窶れて見えました。
    私が拳を握り、返答に困っていると、奥さんが話し始めました。

    奥さん「昨日、この人から今回の件を聞きました、○○さんには、大変申し訳ないと思っています。
        男として、けじめをつけなければならないと思います。
        ○○さんの気持ちが治まるようにするには、どのようにすれば良いでしょうか。」

    奥さんの言葉に私は、また言葉を失いました。
    奥さんにしてみれば、妻は夫を寝取った女、しかし妻を責めるどころか、夫の後始末を気丈にも行っているのです。
    ただ妻の浮気に動揺して、話の場に結論すら持ち合わせていない私に比べて、奥さんの言動は女性の強さを感じさせられるばかりでした。

    私「奥さんは、どうしようとお考えですか。」
    奥さん「大変失礼とは思いますが、
        慰謝料という形でお話しするしかないと。」
    私「すみません、私はお金が欲しくて話し合いに来たのではありません。」
    奥さん「ですから、失礼とは思っています。」
    私「奥さんを攻めているわけでは有りません。
      ただ、専務さんがどういうけじめをつけるのかが聞きたくて。」
    奥さん「この人も反省してます。
        手前どもの家も感じやすい年頃の子供が居ます、
        私もこの人を許すことは出来ませんが、
        子供のことを考えると、直ぐ離婚と言うわけにも行きません。」
        ○○さんにしてみれば、社会的な制裁を望んでおられると思いますが、
        今はそれが出来ません。

    奥さんにそこまで言われると、何の反論も出来ませんでした。
    もともと妻や夫のある身、喧嘩両成敗は仕方が無いことは分かっていました。
    しかし、私は遣り得的な状況だけは嫌だったのですが、奥さんにあそこまで言われれば、男として妻を繋ぎ止めて置けなかったおいめもあり、引き下がるしかないと思いました。

    私「慰謝料はお互い様ですから、請求するつもりは有りません。
      私は、今後こいつと遣っていけるかどうかわかりません。
      私の方からも奥さんに一言お詫びいたします。」

    結局、気丈な奥さんに優柔不断な男達が、仕切られた形で話し合いは終わりました。
    終始私と奥さんが、会話するのみで当事者の二人は会話に入ることはありませんでした。
    改めて栗本の小心さには驚かされました。
    帰りの車の中で私は妻に言いました。

    私「あの男のどこが良かったんだ。」
    妻「・・・ごめんなさい。」
    私「俺はあの男以下ということだよな。
      自分が情けないよ。」
    妻「そんなこと無いです、ごめんなさい。」
    私「だったら何故、あの男と寝た。」

    妻から返事が返ってくることは有りませんでした。


    部屋に帰ると、私達夫婦の間には、出掛ける前よりも一層距離感が増したような気がしました。

    私「これで終わったと思うなよ、俺達の事はこれから始まるんだからな。」
    妻「そんなこと思ってません。
      簡単に許して貰おうとは思ってません。
    私「そこからもう違うよ、俺がお前を許せるわけが無いだろ。
      もし俺がお前を裏切って浮気してたら、お前は俺を許せるのか。」
    妻「私にそんな権利は無いです。」
    私「そうじゃない、俺がお前を裏切っていたらとしたらだよ。」
    妻「解りません、今の私には。」

    今私が、由香里との関係を妻に伝えれば、妻の気持ちは直ぐに解るでしょう。
    逆上するか、それとも自分の立場を理解した上で、穏便に済ませるか。
    しかし私は、この時点で由香里との事は妻に伝える気は一切なく、この答えを知ることを意識的に先延ばしした。

    私「お前に聞いておきたいことがある。」
    妻「はい。」
    私「栗本のことが好きなのか。」
    妻「・・・解りません。」
    私「そうやって誤魔化すのは止めろよ。
      さっきも言ったが、お前は好きでもない男とセックスが出来るのか。」
    妻「本当に解らないんです。」
    私「それじゃ、何であいつに抱かれたんだ?
      言ってみろ、理由があるだろ。
      俺とのセックスに不満があったのか?
      それとも、生活が嫌になったか?」
    妻「・・・」
    私「本当はあいつのことが好きで、セックスがしたくて堪らなかったんだろ。」
    妻「・・・違います。」
    私「何が違う、どう違うんだ言ってみろ。」
    妻「彼と寝たのは弾みだったんです、
      初めからそんなことする気は無かったんです。」
    私「それなら聞くが、セックスする前に栗本と会っていたことを何で俺に隠してた。」
    妻「それは、貴方が嫌がると思って。」
    私「普通の男は、自分の奥さんが他の男と、しょっちゅう二人で逢っていれば嫌がると思うぞ。
      お前は、俺が他の女と二人きりで、しょっちゅう会っていても平気か。」
    妻「すみませんでした、ごめんなさい。」
    私「お前が俺に黙っていたのは、何(いず)れあいつとセックスすることを期待していたからだろ。
      そうでなければ、黙って逢ってた理由が見つからない。」
    妻「ごめんなさい、もうしませんから。」
    私「麻美ね本当の事を言えよ、あいつと寝たいと思って付き合っていたんだろ。」
    妻「・・・そうかもしれません。」
    私「あいつと寝てからも、俺ともセックスしていたのは何でだ。
      あいつや俺に悪いとは思わなかったのか。
      あいつとの事がばれない様に、しょうがなく俺とも寝てたのか。」
    妻「そんな積もりは有りませんでした。
      栗本とは、何(いず)れ別れる積もりでした。」
    私「ばれなければ、これからも続ける積もりだったのか?」
    妻「今更言っても、言い訳にしかなら無いけど、貴方に申し訳ないという気持ちは何時も有りました。
      でもずるずると、続けてしまいました。
      こんなことになって初めて自分のした事が大変なことだと気付きました。」
    私「そんなことにも気付かないくらい、あいつとのセックスが良かったのか。」
    妻「そんな言い方しないで下さい。」
    私「でも、ずるずると続けていたのがその証拠だろ。」
    妻「そんなにセックスが良かった訳では有りません。
      ただ、こんな事を言うと貴方に嫌われるかも知れない気と、最初は貴方以外の男性に興味があったのかも知れない。
      それがたまたま、栗本だったんだと思います。
      だけど直ぐに止めなければと思い話したんだけど、かえって呼び出しが多くなって、最近では貴方が家に居るときまで、電話が来るようになってしまって、しょうがなく逢いに行くと、結果そうなってしまいました。」
    私「つまり、結果はどうあれ、お前も承知の上で浮気したのは間違いないということだな。」
    妻「本当にごめんなさい。
      貴方のことが嫌いになったわけではないです。
      栗本とのセックスが貴方より良いからじゃないです。
      気の迷いてです、許して下さい。」

    何処まで本当か、そんなことはこの時点で私にとっては、さほどの意味は有りませんでした。
    妻が他の男と寝ていた、その事実だけは私の心に重く圧し掛かっていた。
    私だけの妻であって欲しかった。

    --------------------------------------------------------------------------------

    「おめでとう」
    「いや〜 おめでとう御座います」
    何がおめでとうなのでしょうか・・僕にはさっぱり意味はわかりません。
    人間拍手をする時っておめでとうって気持ちになるのでしょうですか。」
    私「そうです。」
    由香里「ちょっと決まりの悪い分かれ方だったから、
        ちょっと気になって。
        外からまた電話貰えませんか。」
    私「また後で電話します。」

    仕事が終わったのは7時30分ごろでした。
    事務所を出た私は、由香里に電話を入れる前に自宅に電話を入れました、やはり妻のことが気になりました。
    自宅に電話を入れると、義母が電話に出ましたが直ぐに妻と変わりました。

    妻「麻美です、すみません。」
    私「帰ってたのか。食事はいらない。」
    妻「仕事ですか。」
    私「飲み会になりそうだ。」
    妻「分かりました、気をつけて。」
    私「遅くなるから、俺のことは気にしないで好きにして良いぞ。」
    妻「・・・」
    私「それじゃな。」

    陰湿です、妻に何か嫌味めいた言葉を言わないと気がすまないのです。
    妻がどう取ったかは分かりません、俺のことは気にしないで好きにして良いぞといったのは私の妻に対する嫌味の言葉でした。

    由香里のところに電話すると、直ぐに由香里が出ました。

    私「○○です。」
    由香里「無理言ってすみません。」
    私「いやそんなことは無いよ。」
    由香里「家の方はどうですか。」
    私「・・・。」

    事の次第を電話で話していると、私の声を遮る様に由香里が言い出しました。

    由香里「私の部屋に来ませんか。」
    私「お姉さんは・・・」
    由香里「○○さん、私一人暮らしだよ。」
    私「そうなんだ。」

    私と由香里は一度は関係を持った仲です、由香里の誘いを断る気持ちは一切ありませんでした。
    むしろ家に帰りたくない気持ちのほうが強く、引き寄せられるように由香里のアパートに向かいました。
    仕事柄、土地勘は有る方で、教えてもらったアパートは直ぐに見つかりました。
    真新しいそのアパートは、如何(どう)にも女性の好みそうな外観で、私には場違いのような気もしました。
    由香里の部屋は二階の奥にありました、チャイムを鳴らすと同時にドアが開き私は一瞬戸惑いました。

    私「びっくりしたよ。」
    由香里「足音聞こえたから、待ってた。びっくりしたね、ごめんね。」

    少し悪戯ぽい仕草が、私に笑顔を取り戻させた。
    その時由香里の言葉に変化を感じましたが、でもその時の私はそれが嬉しく感じられました。
    玄関に入り靴を脱ぐと、由香里は私の靴をそろえ、手に持ったバックを取り上げると、私の手を引き六畳ほどの居間に連れて行きました。
    私の手を握る由香里の手には力が入っていたように思え、私も力を入れ握り返していました。
    私と由香里は電話した時点で、お互いを求め合っていたのでしょう。



    居間に立ち尽くした私達に会話はなく、握り合った手を寄り強く握り合いました。
    由香里の手から私のバックがカーペットの上に静かにおかれた、私は由香里を後ろから抱くようにそっと右手をふくよかな胸元に回した。
    由香里の首筋に顔を近づけると、シャンプーの香りがした。
    初めて結ばれる訳ではないのに、まるで初めてのように鼓動は高鳴り次の行動に移れません。
    雰囲気を察したのか、振り向きざまに由香里が私の唇に軽くキスをすると、小さなキッチンに向かいお茶の支度をし始めた。

    由香里「座ってて。お茶、紅茶、それともコーヒー?」
    私「何でも。」
    由香里「それじゃ、紅茶にするね。」
    私「あぁ、何でも良いよ。」
    由香里「コーヒーあまりスキじゃないでしょ?」
    私「あぁ。」
    由香里「この間ホテルでもほとんど呑んでなかったもんね。」

    見透かされていました、と言うより由香里はそれほどに私の事を気にしてくれていたのだ思いました。
    私は居間の隅においてある少し低めの小さなソファーに座りました。
    間もなく由香里が紅茶を入れて持ってきました。
    テーブルに紅茶のカップを二つ並べておくと、私の隣にきてソファーの真ん中よりに座っていた私に対して、お尻で割り込むように隣に座りました。

    由香里「ソファーちょっと小さいね、お茶どうぞ。」
    私「ありがとう。」

    本当に小さなソファーです、しかも低い位置なので二人で座ると、たち膝か足を伸ばさないと座れません。由香里はラフなスエットの上下を着ています。飾らないその服装に少しは気持ちが落ち着いてきましたが、鼓動はなかなか正常を取り戻しません。

    由香里「大変だったね。」
    私「ん。」
    由香里「その話は、今日は止めようか?」

    その時私は由香里に話を聞いてもらいたい気持ちと、そんな話をするのは止めて由香里を抱きたい気持ちを天秤に掛けていました。紅茶を持つ手が少し震えています。

    由香里「緊張してる?」
    私「少し。女の子の部屋なんて滅多に入らないし。」
    由香里「そうなんだ。」

    由香里が突然テレビをつけた。野球放送やクイズ番組、チャンネルが定まらないまま、アパートの家賃話や、仕事の事など暫くの間取りと目の無い話が続きました。いつの間にか、テレビの画面がドラマのラブシーンになっていました。

    由香里「なんか、ちょっと恥ずかしいね。」
    私「ん・・・」

    お互いきっかけを待っていたのてしょう、どちらからともなく、また手を握り合いました。
    その間画面から目を離すことはありませんでした。
    ラブシーンが盛り上がってきたとき、由香里が私に寄りかかってきました。
    ここまでくればもう気持ちを抑えることは出来ませんでした。
    スエットの上着を捲くりあげていました、さっきは気付かなかったのですが、由香里はブラジャーをしていませんでした。
    豊満な乳房に小さな乳首私が口に含むと乳首が見る見るうちに硬い突起と化していきました。

    由香里「○○さん、ちょっとまって。スーツ駄目になっちゃう、隣の部屋に行こう。」

    由香里は立ち上がると、隣の部屋へ行きました。私も立ち上がると由香里の後を追いました。
    寝室には女の子が寝るには充分すぎる大きさのローベットがありました。
    由香里は振り向くと、私のスーツや下着を夢中で脱がせ始めました。
    私がトランクス一枚になると由香里は後ろを向き、自分の服を脱ぎ始めました。
    スエットの上を脱いだ瞬間私のは由香里をベットに押し倒していました。
    由香里に抵抗はありません、押し倒された状態で由香里は自分からスエットの下と下着を一気に脱ぎ捨て、私のトランクスをも取り去りました。
    一糸纏わぬ二人は、唇を奪い合うように吸い合い、長い長いキスを交わしました。
    由香里の性器に状態を確認することもせず、私は由香里の奥深く陰茎を差し込んでいました。
    由香里もその時を待っていたかのように、私の腰の辺りに両足を絡め、喘ぎ声を上げています。
    何故か前回にもまして、私は数分で絶頂に達してしまい、由香里の腹の上に果ててしまいました。

    私「ごめん。」
    由香里「ん〜ん、気持ち良かったよ。
        私、この間もそうだったんだけど、○○さんの気持ちが良いんだ。」

    可愛いことを言ってくれます。
    妻とするセックスでは、こんなに早く行くことは最近ありませんでした。
    由香里とのセックスは、新鮮で必要以上に自分を興奮させ、短時間で果てさせたのでしょう。

    私「タバコ吸っても良いかな。」
    由香里「灰皿持って来るね。タバコはスーツの中?」

    立ち上がった由香里は灰皿を手に戻って、スーツのタバコを探し当てると、私に渡しました。
    私がタバコを口にくわえると、すばやくライターを出し火をつけてくれます。

    由香里「美味しい?」
    私「あぁ。」

    由香里はタバコを吸う私の顔を微笑みながら、少し潤んだ目で見つめています。

    由香里「シャワー浴びる?」
    私「これ吸ったら。」
    由香里「私先に浴びて良いかな?」
    私「いいよ。」

    由香里が浴室に入って直ぐにタバコを吸い終えた私は、由香里のシャワーを浴びているところを想像していた。
    その時、妻のことは、頭のから完全になくなっていました、忘れたいと言う気持ちがそうさせていたのでしょうか。
    由香里の若い体を想像すると、私の陰茎は見る見る回復していきました。
    気がつくと、私は浴室のドアを開けていました。
    そこには、想像通りの光景がありました。
    私に理性はありませんでした、由香里に抱きつき胸に吸い付き、性器を弄っていました。

    由香里「駄目、ここは隣に聞こえるから。」
    私「ごめん、我慢できない。」

    由香里の手を私のいきり立ったペニスへ導くと、由香里は目を潤ませて、抵抗をやめ私のする事を受け入れてくれました。
    ディープキスを繰り返し、由香里は私のペニスを口に咥え、長いフェラチオしてくれました。

    由香里「ベットへ行こう。」
    私「ん。」

    浴室を出て、体を軽く拭くと寝室に行く数メートルの距離も、一時をも惜しむように唇を重ねあい、転げるようにベットに着きました、私直ぐにペニスをバギナに押し込みました。
    長い注挿の後、由香里と共に果てることが出来ました。
    またタバコを吸うため由香里から離れ、仰向けのなってタバコをタバコを吸っていると、由香里が愛しそうに私のペニスを摩っていました。
    その時突然、私の脳裏に妻が栗本と同じ事をしている光景が浮かんできました。


    気になるとどうしようもなくなる、まだ妻に対する嫉妬や未練があるのは認めますが、体までそれに反応してしまいます。
    由香里に申し訳ない気持ちと同時に、自分にも腹が立ってきます。
    由香里との行為に集中しようとしても、あらぬ妄想が膨らみペニスは萎えて行くばかりです。
    それに気付いた由香里は、体を起こしシャワーを浴びに行くと一言残し浴室へ消えた。
    浴室から戻った由香里は、下着とスエットの部屋着をきると台所に向かった。

    由香里「紅茶でいいね。」
    私「ありがとう。」
    由香里「ごめん、先にシャワー浴びる?」
    私「あぁ、そうするよ。」
    由香里「じゃ、上がったら入れるね。」
    私「ごめん。」

    ベッドから浴室に向かう途中、由香里と擦れ違うと、由香里が私の行く手を遮り、軽くキスをして「行ってらっしゃい」
    とはにかむ様に言う。
    体を洗い終え、浴室から居間に向かうと、レモンの輪切りを添えた紅茶が、テーブルの上に並べてありました。

    由香里「お帰り、早かったね。」
    私「さっきも浴びたから。」
    由香里「そっか。」
    私「さっきはごめん。」
    由香里「そんなこと無いよ、
        気にしないでょ。」
    私「本当にごめん。」
    由香里「気にしてないから、
        もう言わないで。」

    由香里の言葉に頷きながら、紅茶を啜りました。
    何だか暖かい気持ちになれました。
    その時の私には、ここほど居心地のいい場所は無いような気がしました。

    由香里「今日はもう帰ったほうがいいね。」
    私「あぁ、そうか。」
    由香里「深い意味は無いよ、でも昨日の今日だし、奥さん気になるでしょ。」

    紅茶を飲み終えると、身支度をして玄関に向かいました。
    後ろから私のバックを持って、由香里が付いて来ます。
    靴を履き立ち上がり由香里の方を振り向くと、バックを私に渡すなり抱きついてきました。

    由香里「また、連絡してもいい?」
    私「もちろん。」

    暫しキスをしながら、なごり惜しみながらも由香里の家をあとにしました。
    家に着くと時間は12時を過ぎていました。
    寝室に上がると妻がまだ起きていました。
    私から視線を離すまいとするように、クローゼットの前に立つ私に話しかけてきます。

    妻「お帰りなさい、車で帰ってきたんですか?」
    私「あぁ。」
    妻「飲み会じゃなかったんですか?」
    私「俺はほとんど飲んでないから、
      酔いを覚ましてから来た。
      それより、こんな遅くまで起きてて良いのか、
      明日も仕事だろ。」
    妻「はい、
      そのことで、お話が。」
    私「話、なんだよ。」
    妻「私、会社辞めたほうがいいと思って。」
    私「何でだ。」
    妻「あんな事してしまったし、貴方が嫌じゃないかと思って。」
    私「別に仕事は関係ないだろう。」
    妻「はい。」
    私「シャワー浴びてくる。」

    別にシャワーを浴びたくは無かったのですが、由香里との事が妻に気付かれるような気がして痕跡を隠すためだったと思います。
    シャワーから出てくると、妻はまだ起きていました。

    私「まだ、起きてたのか。」
    妻「私の事、嫌いになりましたか?」
    私「好きか嫌いか、そんなこと言われても、私にその答を聞くのは、酷じゃないか。」
    妻「そうですね、ごめんなさい。」
    私「ただ、今言えることは、前のようにお前を見ることが出来ない。
      これからもおそらく、お前にはまだ俺の知らない部分が有るような気がする。
      もしそうであっても、これ以上知りたくも無い。」
    妻「私と離婚したいと思ってますか?」
    私「その事は今考えている。」
    妻「私を殴ってください、私は貴方を裏切った、気の済むように殴ってください。」
    私「殴っても昔に戻れる訳じゃないだろ。」

    妻は顔を曇らせたまま、何も答えませんでした。一度開いた溝を埋めることはそう簡単では有りません、妻もそれには気付いていた筈です。



    不倫は基本的には秘め事です。
    その事実が白日に曝された今、妻の栗本に対する気持ちも急速に冷めて行ったようです。
    いや元々妻にしてみれば、火遊び程度だったのかもしれませんから、栗本に対してそれ程の執着心は無かったのかも知れません。
    それが私にとっては、逆に妻に対して辛く当たらせる原因になって行きました。
    不倫をした妻当人が、ほんの数日で平静を取り戻し始めているのに、裏切られた私が辛い気持ちを引きずりながら生活している。
    私にしてみれば、不倫相手にも会えなくなり、旦那にも軽蔑され行き場の無い気持ちに撃ちししがれる妻、そうあってくれればもっと気持ちが楽だったかもしれません。
    妻にしてみれば、早く元の生活に戻りたいと思っていたのかもしれませんが、そんな妻を見ているだけでも嫌悪感を感じ始めていました。

    当然のごとく私は、由香里との時間を大事にするように成って行きました。
    家へ帰る時間は次第に遅くなり、時には朝方帰ることも有りました。
    そんな生活が一月位続いたでしょうか。
    久しぶりの日曜日の休みの日のことでした、私が出かけて来ると言うと、流石の妻も重い口を開きました。

    私「出かけてくる。」
    妻「何処へお出かけですか。」
    私「パチンコでもしてくる。」
    妻「子供達がパパが休みだからって、何か楽しみにしてるみたいで・・・」
    私「たまの休みだ俺の好きにしていいだろう。
      それとも何か、俺に子守をさせて、また、お楽しみですか。」
    妻「そんな言い方しなくても良いじゃないですか。
      最近帰りも遅いし、たまには子供達と・・、そう思っただけです。」

    そう言うと、妻は泣きながら二階の寝室に行ってしまいました。
    それまでの私は日曜の休みといえば、家業の手伝いか、それが無い日は子供達をつれて何処かへ出かけたり、それなりにマイホームパパをこなしていた私でした。
    最近の私の変わり様には、妻も危機感を持っていたのでしょう。
    無論、私はパチンコに行くわけではありません。由香里のところへ行くつもりでした。
    それを悟られまいと、妻に嫌味を言ってしまったのです。
    そんなことがあったからでしょうか、本当は由香里を連れて日帰りの旅行でもしようと思っていたのですが、終日アパートを出ることはありませんでした。
    それでも由香里は喜んでくれました、二人で一日中一緒に居られるだけでいいと。
    夜10時過ぎ、パチンコ屋の閉店に合わせるように私は由香里のアパートを出ることにしました。

    私「それじゃ、帰る。」
    由香里「このまま、泊まっていけば。」
    私「そうしたいけどな。」
    由香里「ごめん、冗談、冗談。」

    その時、由香里の目には、確かに涙か溢れていました。
    この一日が、私と妻と由香里の関係にとって、大きな転機となったのでした。

    後ろ髪を惹かれる思いで由香里のアパートを後にしました。
    家に着くと、二階の寝室の灯りが点いていました。
    私は浴室に直接行き、シャワーを浴びてから二階に上がりました。
    子供部屋を覗くと、二人の子供はすやすや寝息を立てながら眠っていました。
    子供達の顔を見た時、私の気持ちの中に言い様の無い罪悪感が襲い、心の中で謝罪しながら子供部屋のドアを閉めました。
    寝室に入ると、タバコの匂いがしました。
    ガラムの匂いです、もう火は消されていましたが、ついさっきまで吸っていたのでしょう、
    部屋には独特の匂いが充満していました。
    妻の顔を見ると、酒を飲んだようで赤ら顔で目が据わっています。
    無言の私に妻が話しかけます。

    妻「お帰りなさい、遅かったですね。」
    私「あぁ。」
    妻「お姉ちゃんが、パパはって言うから、仕事と言っておきました。」
    私「そうか。」
    妻「それと、私達が離婚するのか聞かれました。」
    私「何て言った。」
    妻「心配ないと言っておきました。」
    私「そうか、それでお姉ちゃんは何て言ってた。」
    妻「何も言ってませんが、安心したようです。」
    私「大分飲んでるのか。」
    妻「・・・はい。」

    妻は、そう言うと大粒の涙を流しながら俯いていました。

    私「何を泣いている。」
    妻「・・・私・・・」
    私「何だ。」
    妻「私、貴方に離婚されたら、あの子達に何て言ったらいいか。」
    私「それは、あんな事をする前に、考えるべきことだろう。今更言う事では無いだろう」
    妻「貴方お願いです、離婚だけは許して下さい。あの子達の父親でいて下さい。」
    私「まだ、離婚するかどうかは決めていない、俺だってあの子達は可愛い。」
    妻「じゃ、このままでいて下さい。」
    私「それは解らない。俺達は、前のような夫婦には戻れない。」
    妻「私の事は、前のようには思って貰えないのは解ります、あの子達の為にこまま・・・」
    私「そこまで言うのなら、何であの時思いとどまらなかった。自分の肉欲の為に家族を顧みないで、都合の良い事を言うな。」
    妻「本当に、御免なさい。二度としませんから、お願いします。
      貴方が何をしようと、文句は言いません。だから、お願いします。
      このまま、あの子達のパパでいて下さい。」

    妻は何か感じ始めていたのでしょう、私がこの家を出て行くことに異常に神経を過敏にしている様子でした。私は妻の涙を見ながら、由香里の涙との違いを考えていました。
    由香里の涙は、高まっていく思い中で私を独占したいと言う想いから来るものだとすれば、妻の涙は何なのか?子供に対する反省の念?それ以外は妻の保身としか私には思えませんでした。


    相変わらず私の帰宅時間は深夜が多く、家に居るのは寝るときだけ。
    そんな生活が続き、妻は完全にアルコール依存症に成ってしまったようです。
    私が帰ると、妻の体から発せられる独特のアルコールの匂いとタバコの匂いとが相まってむせかえる様な空気が、寝室中に充満している事もしばしばでした。
    そんなある日、由香里のアパートから自宅に戻り何時ものようにシャワーを浴びて寝室に入ると、
    部屋の様子が違いました、ベッドの位置は変わっていませんが、備品の位置やカーテンまで変えてありました。アルコールの匂いもタバコの匂いもしません。

    妻「お帰りなさい。」
    私「あぁ。」
    妻「カーテン古いから取り替えました。」
    私「あっそ。」
    妻「気に入らなかったら、前に戻します。」
    私「どうでも良いよ。」

    私の反応の無さに、妻は落胆の色を隠せませんでした。
    今の私にしてみれば、この部屋は寝るだけの場所に過ぎなくなっていました。

    妻「貴方・・・」
    私「何だ。」
    妻「1つ聞きたいことがあります、怒らないで聞いてください。」
    私「だから何だ。」
    妻「貴方・・・付き合っている人が居るんじゃ・・・」

    そう質問されたとき、不思議と冷静な私が居ました。
    いや早く妻に気付いて貰いたかったのかもしれません。
    かと言って、事後の対策が有った訳でもないのですが。

    私「だとしたら。」
    妻「・・・」
    私「居たとしたら何だというんだ。」
    妻「居るんですね。」
    私「あぁ。」
    妻「何時から出すか。」
    私「何時からって、何故だ。
      それを聞いてどうする。」
    妻「別にどうと言う訳では・・・」
    私「もしかして、俺が前からお前を裏切って、浮気でもしていたと思ったのか。」
    妻「そんなことは言ってませんよ。」
    私「残念だか、私が彼女と付き合い始めたのは、お前の不貞に気付いてからだよ。」
    妻「そうですか・・・」
    私「帳消しにでもなると思ったか。」
    妻「そんなこと、思ってません。
      ただ貴方が、このまま帰ってこないような・・・」
    私「そう成るかも知れないな。」
    妻「それだけは、勘弁してください。お願いします。この通りです。」

    床に頭を付けて謝る妻に対して、冷たい眼差しで見つめる私が居ました、他人がそこに居れば非道な男に見えたかもしれません。
    でも私は、それだけ妻に対しての私の信頼を踏み付けにされた気持ちを表さずには居られませんでした。
    由香里との事を名前は出さないにしても妻に告げたのは、最近の由香里の態度がそれを望んでいるようにも思えたからです。

    妻「その人の事どう思っているんですか。」
    私「どうって・・・好きだよ。」

    妻は這いつくばって私の足元に来ると、パジャマの裾を掴むと、首を横に振るばかりで何も声にならない様子でした。その時の妻の心の中に去来する物は何だったのでしょう。この状況になって、初めて自分の犯した事の重大さに気付いたかのように、その夜妻が私のそばから離れることはありませんでした。

    翌朝、目が覚めると妻がベッドの脇で寝込んでいました。
    時計を見ると8時を過ぎていました。
    慌てて起きて身支度をする私に気付いた妻が、また私に縋ります。

    私「いい加減に離してくれ。」
    妻「嫌、貴方帰ってこなくなる。」
    私「会社にも行けないだろ。
      行かなきゃ、飯も食えないぞ。」
    妻「その人の所に行くんでしょ。」
    私「仮に、そうだったとしても、お前に俺を止める権利は無いだろ。
      お前が、栗本と乳繰り合っていた日、俺がどんな気持ちでいたか、お前に解るか。」

    そう言い放つと、妻はやっと私を自由にしてくれました。
    そうはいったものの、焦点の定まらない虚ろな目をした妻が気に掛かった私は、
    出社後、直ぐに得意先周りに出かけるということで、外出し妻の会社の前を車で
    通りました。カウンターの向こうに妻の姿が見えたとき一瞬ホッとしました。
    気持ちは冷めているとしても、子供達の母親であることは間違い有りません。
    やはり万が一の事をあってはいけないと思っていました。
    安心した私は、由香里に連絡を付け、夕方早めに行くことを告げました。
    仕事を切り上げ由香里のアパートに付いたのは、夕方6時頃だったでしょうか。
    アパートに着くと何時ものように、由香里が出迎えくれました。

    由香里「如何したの、難しい顔して。」
    私「ちょっと話がある。」
    由香里「何、怖いな。怖い話は、嫌だよ。」
    私「向こうで話す。」

    居間に向かう途中に台所を覗くと、食事の用意の最中のようでした。
    私が居間に腰をかけると、由香里はそのまま台所に立ち、食事の用意を続けました。

    由香里「○○話って何。」
    私「由香に謝らないといけない事がある。」
    由香里「だから、何。」
    私「実は、女房に話したんだ。」
    由香里「え、何を。」
    私「俺が、他に付き合っている人が居るって。」
    由香里「え、本当に。」
    私「でも、相手が由香里だって事は言ってない。」
    由香里「別に言っても良いけど。でも、お姉ちゃんにもばれちゃうね。」
    私「ご免、迷惑は掛けないよ。」
    由香里「迷惑だなんていって無いじゃん。ご飯食べるよね。」

    あっけらかんと話す由香里に、返す言葉の無い私でした。
    その頃の由香里は、私の事を名前で呼ぶようになっていました。
    微笑みながら由香里が私に問いただします。

    由香里「○○は如何したいの。」
    私「・・・」
    由香里「○○の方が困ってるんじゃないの。しっかりして下さい。
        私は○○と一緒に居れればそれで良いよ。」

    結局結論を持っていないのは私だけのようです。
    妻は、自分の犯した事は別として、私の妻としてこれからも前のように暮せればと思っているのでしょうし。
    由香里といえば、たじろぐ事も無く私との関係は確実な物にしようと頑張っているように見えた。
    私はいったい如何したいのだろう、愛情の面では由香里を第一に思っているのは確実です。
    しかし、子供を理由にするのはずるいとは思うのですが、あの子達と離れて暮す勇気も無いのです。

    私「由香里は、本当は如何したい。」
    由香里「ん〜。本当に言っても良い。」
    私「良いよ。」
    由香里「でも、私がこれを言ったら、○○困っちゃうよ。」
    私「言ってみろよ。」
    由香里「本当に言って良い。後で、聞いてないって言わないでよ。」
    私「・・あぁ。」
    由香里「じゃ、言うね。私と一緒になって、奥さんと別れて。」
    私「・・・」
    由香里「ほらね、困っちゃった。・・・・だから直ぐでなくていいから、
        そうしてくれたら嬉しいなって・・・・ご飯にしよっか。」

    由香里は、私の気持ちが妻より由香里に向いている事は十分承知しているのです。
    それと同時に子供の事が気掛かりである事も知っているのです。
    だからこそ、あえて無理を言わなかったのでしょう。




    食事を済ませると、私の気持ちを察知したように由香里が言い出しました。

    由香里「今日は早く帰ってあげて。」
    私「何で?」
    由香里「だって心配なんでしょ。落ち着きがないよ。」
    私「そんなこと無いよ。」
    由香里「無理しなくて良いよ。」
    私「済まない。」

    私は進められるままに家へ帰りました。

    家へ帰るとリビングには儀父母いましたが、儀礼的な挨拶をしただけで寝室に上がりました。
    この頃になると、儀父母とは殆ど会話がありませんでした。

    寝室に入ると妻は既にベッドの中でした、私の方に背を向けて寝ている妻を見てみると、まだ寝込んでいる様子はありませんでした。

    会話することも無いので、私も寝ようとしてベッドの上掛けを捲った瞬間、私の動きが一瞬止まりました。
    上掛けの隙間から見える妻の後姿は、下着を着けていませんでした。
    冷静を装いベッドに滑り込みましたが、その後の妻の行動に私は翻弄されるのでした。



    お互いに背お向けた状態で、どれ程の時間が過ぎたでしょうか。
    言葉も発せず、身動きもせずに息を潜めるように横たわる私。
    妻の鼓動が聞こえてくるような静けさの中、妻が寝返りを打つのが解りました。
    次の瞬間、妻が私に話し掛けて来ました。

    妻「ね、貴方。帰って来てくれたんですね。有難う。」
    私「・・・」
    妻「彼女は、どういう人なの?綺麗な人なの?私より若いの?ね、貴方。」
    私「そんなこと聞いて如何する。」
    妻「聞いちゃ駄目なの?教えてくれても良いでしょ。」
    私「何でお前にそんな事を話ししなければ成らないんだ。」

    振り向きざまにそう言い捨てて、妻の顔を睨み付けた時、私は背筋が凍るような思いをしました。

    睨み付けた筈の妻の顔は、私以上の形相で私を睨み返して来たのです。
    その形相は、まるで能面のように冷たく心のうちを表に現さない、それは恐ろしいと言う表現しかしようの無い顔に思えました。自分の狼狽ぶりを妻に悟られないように私は言葉を続けます。

    私「何だ、その顔つきは、文句でもあるのか。」
    妻「私、貴方とは絶対に別れませんから、その女に、貴方を渡しはしないから。」
    私「お前、何言ってるんだ、自分の立場をわきまえろよ。」
    妻「そんなに私が嫌い、私の体そんなに汚いの、浮気したのは悪いけど、貴方だって、他の女とセックスしてるじゃない。」
    私「お前、自分の言っている事が解っているのか、開き直るのもいい加減しとけよ。」

    私が起き上がると、妻も起き上がり私を尚も睨み付けます。
    私は次の瞬間、思わず妻の頬を平手で殴っていました。

    妻「殴りたければ、もっと殴って頂戴、幾ら殴られても、貴方とは絶対に別れない。」

    突然妻は、私の手を掴むと何も付けていない自分の胸を私に掴ませ、言葉を続けました。

    妻「この胸も、貴方の子供を二人も生んで、こんな形になった、貴方と別れたら、こんなおばちゃん誰も貰ってくれない。貴方達だけが幸せに成るなんて、私我慢できない。」

    妻の言っていることは、支離滅裂で脈略がありませんが、唯一私に伝わったのは、嫉妬に駆られた女の理不尽な言い分だけでした。
    妻の手を払いのけた私は、今まで心のどこかで迷っていた気持ちに踏ん切りを付ける様に切り出した。

    私「そこまで言うのなら、俺も言わせて貰う、お前とはもう遣っていけない、離婚しよう。
       お前も栗本と再婚すれば良いだろ。
       あいつは、そんなお前でも良くて抱いてくれたんだろ。
       お前がその気になれば、寄りを戻せるだろう。
       只言っておくが、栗本とお前の場合はそれなりの代償が必要だからな。」

    そう妻に言うと、私はベッドから立ち上がり身支度を始めました。
    それを見た妻は、追い討ちを掛ける様に続けました。

    妻「貴方行かないで。貴方が出て行くのなら、私、あの子達と一緒に死ぬから。」

    口惜しく、歯がゆい思いでその場にたちすくむしか、その時の私には成す術がありませんでした。




    妻は私に対する監視の目を強くしていきました。私の言動に細心の注意を払っているようでした。
    家を出るときは、帰りの予定を聞き、帰宅すれば一日の出来事を根掘り葉掘り聞きだそうとします。
    無論私は、一々取り合うことはしませんでしたが、自殺をほのめかす言動が有ってからは、由香里と過す時間が少なくなっていました。

    二週間程そのような状況が続いたでしょうか、昼間、由香里から連絡があり電話してみると、話がしたい事があるから直ぐ会いたいとの事でしたので、営業先から由香里の部屋へ向かうことにしました。それでも、仕事を済ませて由香里の部屋に着くまで一時間位かかったでしょうか。由香里は待ちかねたように私を居間に案内しました。

    由香里「今日会社に戻らないと駄目かな。」
    私「連絡してみないと分からないけど。」
    由香里「お願い出来れば、話が長くなりそうだから。」
    私「分かった、連絡してみる。」

    由香里の言葉に多少不安を覚えながらも、会社に電話を入れ適当に理由をつけて、
    直帰することにして今日は事務所に戻らないことにした。

    私「連絡したから、戻らなくて良いよ。由香は会社大丈夫なのか。」
    由香里「今日私休みだよ。」
    私「だから、ポケベルの番号が部屋だったのか。」
    由香里「最近私の休みも良く分かってないでしょう。」
    私「ごめん。」
    由香里「奥さんにあんなこと言われたら、しょうがないよね。」
    私「話って何。」

    その言葉を出した瞬間、自分の鼓動が早まっていくのが分かりました。
    由香里は少しはにかみながら答えました。

    由香里「話長くなるから、その前にお願いがあるの。」
    私「なに。」
    由香里「久しぶりに、一緒にお風呂に入って。」
    私「・・・良いよ。」

    思えば最近、妻の行動に振り回されて、由香里との営みもおろそかになっていたような気がしました。
    由香里が脱衣所に向かって程なくして、私は後を追いました。
    狭い脱衣所のでは、既に由香里が下着だけの状態になっていて、ブラジャーを外そうとしているところでした。
    その後姿を見た瞬間、私は後ろから由香里を抱きしめていました。
    久しぶりに明るい中で見る由香里の体は、私を瞬時のうちに欲情させました。
    片手でブラを捲り上げ胸を揉み、片手はパンティーの中をまさぐります。
    由香里は、だめよ、とは言うものの言葉と体は裏腹です。
    言葉は振るえ、振り向きさまに私の唇を求めてきます。
    ねっとりとしたキスをしながら、私の服を起用に素早く脱がせて行きます。
    トランクス一枚にされるのに時間はかかりませんでした。
    由香里は、トランクスの上から私の膨らみを暫くの間摩っていました。
    私も由香里の下着の中の手を休ませることなく動かします。
    そして、由香里のバギナに入れた指を注挿し始めると、感極まったのか、由香里は大きな喘ぎ声を上げました。

    私「由香、そんな大きい声出して、隣に聞こえないか。」
    由香里「意地悪。でもこの時間は、隣はいないから大丈夫。」

    そういうと由香里は、お返しとばかりにトランクスの中に手を入れると、いきり立った陰茎を握り摩り始め、唇を求めてきます。
    立ったまま状態で吐息交じりの行為は暫くの間続きましたが、由香里の「・う・」と言う言葉と体の振るえと同時に、私も手の動きを止めました。
    もたれ掛かる由香里の下着を脱がせ浴室に運び、シャワーで体を軽く流してやり、湯船に抱きかかえるように二人で入りました。
    少しサッパリした様子の由香里は、また私の陰茎を摩り始めました。
    私のそれは、見る見るうちに大きさを変えていきます、それを見た由香里は私の腰の下に手を入れてきました。
    状況を理解した私は、その行為がし易いように腰を浮かせます。
    湯面に陰茎がグロテスクにそそり立つと、私と視線を合わせないようにしながら、
    由香里は何か愛しいものでも扱うように、両手で摩り、隅々まで嘗め回し、先端の部分から徐々に口に含んでいきました。
    歯を立てないように注意しながらも、その行為は丹念に行われていきます。
    されている私は無論この上ない快感であることは間違いありませんが、由香里自身も顔を上気させ潤んだ目になっているようでした。
    陰茎が限界に近づいたのを察知した由香里は、顔を上げ私の目を見るのです、言葉にはしなくても何を求めているのか、私には解りました。
    私が頷くと、由香里は中腰の状態で後ろ向きになり、後ろ手に回した手で陰茎を掴むと、自らバギナの入り口にあてがいました。
    ゆっくりと腰を沈め、少しずつ飲み込むように上下させていきます。
    すべてが由香里の中に入ると、私は両の手で由香里の胸を揉みしだきはじめます。
    後ろ向きになりながら、唇を求めてくる由香里、下から腰を打ち付ける私、由香里のくぐもった喘ぎ声が頂点に達しかけた頃、私が由香里から離れようとすると、
    「そのまま・そのままでお願い。」と首を振りながら絶頂に達しようとしている由香里に、「子供できちゃうぞ。」。
    そう私が耳打ちすると、「今日は大丈夫だから、そのままお願い・・・」。
    そういい終えると、さっき脱衣所で発したのより更に甲高い声で「はぁぁ・う」由香里は大きくのけぞり、胸元をピンク色にそめ、小刻みに震えていました。
    私も少し遅れて由香里の中に果てましたが、私が果てる間の注挿のリズムに合わせるように由香里の口からは、
    「う」とも「ん」とも判別の付かない喘ぎが発せられ、狭い浴室に響いていました。

    浴室から出た私達は、そのまま寝室に向かいました。
    少し体のほてりがおさまった頃、私が由香里に切り出しました。

    私「ところで話って何だい。」
    由香里「・・実はね、お姉ちゃんにばれちゃった。ごめんね。」
    私「・・あ・そう。」
    由香里「てっ言うより、私から話しちゃったの。だって、何(いず)ればれるでしょ。だから。」
    私「そうだな。」
    由香里「でもね、お姉ちゃん怒ってなかった。逆に、応援してくれた。」
    私「何で。」

    由香里の姉の反応に私は少し戸惑いを覚えました。
    妹の恋愛相手が、妻帯者である事を知れば大抵の場合は反対するのが一般的だと私は思っていたからです。
    由香里は話の途中であるにもかかわらず、また私の陰茎を摩り始めました。

    私「それじゃ、お姉さんにちゃんと話しないとね。」
    由香里「まだ、話はあるんだけど・・・」
    私「次は何。」
    由香里「後でまた話す。今日は時間が有るし。」

    由香里の手は、陰茎をさする速さを上げていきます。
    私もそれ以上の質問は出来なくなり、由香里に覆い被さって行きました。
    その後由香里から聞いた話は、妻に関しての話でした。
    私は更に妻の一面を知ることになるのです。



    貪る様に求め合った私たちが、二つに離れた頃には、外はもう暗くなっていました。
    お互いの息が整った頃、話の続きをし始めました。

    私「由香、話の続きは。」
    由香里「あのね、告げ口するようで嫌なんだけど、お姉ちゃんに聞いた話だからね・・・」
    私「何を聞いたの。」

    由香里の言葉に何か嫌な予感がしました。
    なんとなく妻のことだろう事は予想がつきましたが、聞きたい気持ちとは別の感情が心の何処かに頭を擡げ始めました。

    由香里「落ち着いて聞いてね。お姉ちゃんも確証はないらしいんだけど。
        麻美さんね、栗本さんだけじゃなかったみたいよ。」

    私は、由香里の言葉を飲み込むのに暫しの時間を必要としました。

    私「・・今何て言った。」
    由香里「だからね、確証は無いらしいんだけど、麻美さん、栗本以外にも付き合っていた人がいたらしいの。」
    私「・・何で、お姉さんが知ってるの。」
    由香里「その人、お姉ちゃん達の会社の人らしいから。」
    私「誰だそいつ。」

    私は何時しか、由香里に対する口調が荒々しくなっていました。
    確証は無いにしろ、私にして見れば一度ならずも二度までもという感じで、妻に対する怒りを由香里にぶつけていました。
    由香里の話を要約すれば、妻の会社に妻と同期の阿部という男性社員がいる、その男とは私も何度か面識があった。
    妻が過去に一度出産と育児のため会社辞めた時期に、由香里の姉がその阿部と付き合っていた時期が有ったらしい。
    妻が再雇用された時期に、何度か妻と阿部が二人きりでスキーやハイキングと称して出かけた事が有ったというのである。
    その頃には、由香里の姉も阿部とは付き合いを止めていたので、とがめる事が出来ずにいたらしい。
    とは言っても、過去に付き合いのあった男ですから、由香里の姉としても多少の嫉妬心からか、忠告の意味も含めて、阿部に対して人妻と関係してはいけないと言うと、阿部は肉体関係を否定したらしいが。。
    由香里の姉の目には、二人の関係が同僚以上に見えて仕方なかったらしい。

    その話を聞いたときの私は、茫然自失、徐々に妻に対しての怒りが頭の中を支配しました。

    由香里「やっぱり、話さなければ良かったかな。ご免ね。」
    私「・・・いや、ありがとう。」
    由香里「大丈夫、本当にごめんね。」

    私の頭の中では、妻に対しての詰問の数々が渦巻いていました。
    私は一人起き上がると身支度を始めました。

    由香里「帰るの。」
    私「あぁ。」
    由香里「さっきの話、確証は無いんだからね。私から聞いたなんて言わないでね。」
    私「解ってるよ、大丈夫。」

    由香里の部屋を出て、家に着いたのは11時近くだった。
    私は何故か駆け込むように家へ入り、二階の寝室へ上がった。
    ドアを開けると、妻がベッドに横たわりガラムを吸いながらこっちを見ていました。

    ドア閉めバックを机の脇に置き、クローゼットの前に立った私は、さっきの話をどうやって妻に切り出そうか考えながら、気持ちを落ち着かせる為大きく息を吸いました。
    部屋の空気は、ガラムとアルコールの匂いが混じりあった独特の匂いがしました。

    妻「遅かったのね。また、彼女のところ。」
    私「あぁ。だったらどうした。」
    妻「別に何も。」
    私「また、栗本から教えてもらったガラム吸ってるのか。」
    妻「タバコくらい良いでしょ。別に浮気してる訳じゃないんだから。」

    酒の力も手伝ってか、妻の口調も少し棘があるように思えました。

    私「そうやって、ガラム吸っているのも、まだ、栗本の事を忘れられないからじゃないのか。」
    妻「あの人の事はもう関係ないわ。そんなに言うなら止めれば良いんでしょ。」

    妻の口調は段々荒くなっていきました。

    私「まあいい、お前に確認しておきたい事がある。」
    妻「何を。」
    私「栗本のことはもう解ったが、それ以外に、俺に隠している事は無いか。」
    妻「何のこと、タバコだってこうやって貴方の前ですってるし。」
    私「そんな事を聞いてるんじゃない。」
    妻「他に何も無いわよ。」
    私「本当に心当たりは無いんだな。」

    妻の顔が青ざめていくのが、ハッキリと解りました。



    妻は自ら話始めました。

    妻「誰から聞いたの。」
    私「誰だっていいだろ。」
    妻「阿部さんのこと・・・」
    私「ああ、そうだ。」
    妻「隠すつもりは無かったの。
      貴方に話そうと思ったけど、
      栗本の件で、これ以上話したら誤解されると思ったから。」
    私「誤解って何をだ。」
    妻「・・・浮気していたと思われるのが嫌だった。」
    私「浮気してたんじゃないのか。」
    妻「違います、貴方も知っている様に、同期の人だから、友達の感覚で遊びに行ったりしただけ。」
    私「そんなこと俺は知らなかったぞ。何で俺に黙って、二人きりで行くんだ。」
    妻「・・・言えば貴方が嫌な思いをすると思って。」
    私「俺に隠す時点で、やましい気持ちがあったんだろ。友達だなんて、子供だましは止めろよ。」
    妻「・・・本当に友達としてしか・・・」
    私「寝たのか。」
    妻「それはしてません、絶対に。」
    私「信じられないな。」
    妻「・・・ごめんなさい。それだけは信じてください。」
    私「お前は、何時からそんな女に成ってしまったんだ。栗本の時と同じように、添乗の仕事と言って俺を騙していたのか。」
    妻「・・・」
    私「麻美、答えてくれよ・・・」

    私の目からは大粒の涙が止めどなく流れ、どうしようも有りませんでした。
    言葉を発しない私の顔を見た妻は、私の涙に気づき大きな声で鳴き始めました。
    思えば妻の前でこんな自分を見せたことは無かった様に思う。
    私は涙を拭うこともせず妻に近寄り話しかけました。

    私「麻美、本当のことを言ってくれ。」
    妻「・・・これ以上のことは何もありません、本当です、信じてください。」
    私「阿部とは何で、一緒に出かけるようになったんだ。」
    妻「貴方に内緒にしたのは、本当に悪かったです。何故そうしたのか、私にもよく解らない。寂しかったと言ったら嘘になる。でも、家や仕事以外の楽しみが欲しかった。」
    私「結局、俺はお前にとって何だったんだろうな。」
    妻「貴方ごめんなさい、今更何を言ってもしょうが無いのは解ってます。でも貴方と別れたくない。貴方を他の人にとられたくない。私の我儘(わがまま)だってこと解ってる、でも・・・」

    人は時として、過ちを犯します。
    それは私も例外では有りません、しかしその過ちを理解し許すことは、並大抵のことではありません。
    私は、それを持ち合わせている人間ではありませんでした。
    同時に、包容力の無さに自らを卑下し、男として妻を守りきれなかった自分に情けなさを感じました。その時私は、妻をきつく抱きしめていました。

    私「麻美、お前を守って遣れなかった。お前を攻めることしか出来ない。許して欲しい。」
    妻「・・・」
    私「もう、こんなこと終わりにしようよ。」
    妻「終わりって。」
    私「・・・」
    妻「嫌だー。」

    私は、泣き叫ぶ妻を胸の中で受け止めて遣るしか出来ませんでした。
    不倫の代償は大きいものです、すべてのケースがそうとは言いません。
    私達の場合は、余りにもその代償が高く付いたケースでしょう。


    ------

    妻は安心したように、眠りにつきました。

    翌朝、久しぶりに妻の声で起こされました。

    妻「お早うございます。」
    私「あぁ、お早う。」
    妻「・・・あのー、今日は帰り遅いですか。」
    私「どうしてだ。」
    妻「相談したいことが・・・」
    私「今じゃ駄目なのか。」
    妻「時間大丈夫ですか。」
    私「難しい話なのか、
      時間が掛かるなら、今晩にしようか。」
    妻「簡単な話です。」
    私「じゃ、言ってみな。」
    妻「私、やっぱり会社辞めようかと思って・・」
    私「どうしてだ。
      何で辞めるんだ。」
    妻「だって・・・」
    私「麻美が会社を辞めて何になるのか、俺には解らない。
      これからの事もあるし、仕事は持っていた方が良いと思うぞ。」

    私の言葉の意味を理解したように、妻はうな垂れていました。

    妻「やっぱり、やり直す事は出来ませんか。」
    私「・・・すまない。」

    その日、由香里には、昨晩のことを伝え早めに家へ帰りました。
    子供たちは、夕食を済ませお風呂に入っているところでした。
    リビングには丁度、妻と儀父母がなにやら話をしている最中の様でした。
    丁度良い機会と思った私は、妻と儀父母に声をかけました。

    私「子供たちが眠ってから、話があります。お願いできますか。」

    覚悟を決めていたように、各々頭を立てに振っていました。
    私は、子供たちと風呂に入ることを告げると、リビングを後にして風呂場に行き、
    一頻り子供たちとの入浴の時間を楽しみました。
    子供たちは、お風呂から上がると直ぐに眠ってしまいました。
    子供たちの就寝を確認した私が、リビングに下りていくと、重苦しい空気の中で三人が私に視線を集中しました。
    テーブルを挟んで、向かい側に儀父母が座ったいて、その向かいの椅子に妻が座っていました。
    私は長いソファーの端に座った妻に少し距離を置くように腰を下ろしました。
    私は腰を下ろすなり間髪を入れず、本題を話し始めました。

    私「話というのは、察しが付いているとは思いますが、麻美との事です。」

    話を切り出した私に、誰も視線を合わせ様としませんでした。

    私「結論から言いますと、麻美と離婚しようと思います。」
    義母「子供たちは、如何するつもりですか。」
    私「そのことが一番難しい問題なんですが。」
    義母「勝手なお願いかもしれないけど、孫たちは連れて行かないでください。
       お父さんからも、お願いしてください。」
    義父「私からもお願いする、どうか・・・」
    私「・・・」
    妻「貴方、お願いします。あの子達まで居なくなったら、私・・・」

    そのことについては、私自身これまで色々と考えてきました。
    私とて、子供たちと生活を出来なくなるのは、身を裂かれる思いであるのは本当の気持ちです。
    しかし、自我を抑えて勤めて冷静に子供たちの成長を考えたとき、子供から母親を切り離すのは、子供たちにとって、大人の私より辛い事だろうと私は判断しました。
    一緒に暮らしていて子供が高熱を出したり体調が悪いとき、やはり子供たちは母親の名前を口にします。
    もし私と暮らす事になったとき、そのような状況になったときに子供達の安住の場は、やっぱり母親の元だと私は考えたのです。

    私「子供たちは、置いていきます。
      ただし、条件があります。
      定期的に、合わせてください。
      私は、あの子達の父親ですから。
      私からの条件は、これだけです。」

    それ以上の会話はありませんでした。
    寝室に戻った私の後を追うように妻も寝室に入ってきました。

    妻「貴方、ありがとう。」
    私「・・・」
    妻「本当に、ごめんなさい。私馬鹿でした。もう如何しようも無いんだよね。何を言っても信用してもらえないよね。」

    私は泣いてしまいそうな自分を抑えるのが精一杯でした。
    妻との出会い、子供達が生まれてからの生活、ドラマの回想シーンのように
    次から次えと私の心に押し寄せてきます。
    次第に抑えきれなくなった涙がこぼれて来ます。

    二週間後、私達の協議離婚が成立しました。
    私は直ぐに由香里の部屋に同居することはしませんでした。
    町の郊外に、ロフト付きのワンルームを借り一人で生活することに決めました。
    男の一人暮らしには十分な広さです。
    離婚成立から一週間後、いよいよ私が家を出る日がきました。
    友達の業務用のワゴン車に荷物を積み終えると、妻が子供達を二階から連れてきました。
    玄関に立つ私に娘が近づいてきて、何か言いたげしていました。
    私は娘の視線まで身を屈めると、ゆっくりと話しました。

    私「お姉ちゃん、パパは今日引っ越すんだ。
      お姉ちゃんとは毎日会えなくなるけど、
      パパに会いたくなったり、お話がしたくなったりしたら、
      何時でも言っておいで、パパ直ぐに来るからね。」
    娘「何でパパ居なくなるの、
      ○○と一緒に居てくれないの。」
    私「パパとママは一緒に暮らせなくなったんだ、
      だからパパは別のお家で暮らすんだ。」
    娘「嫌だよ、パパ行かないで、○○良い子にするから、我がまま言わないから。
      ママもパパにお願いしてよ。」
    妻「お姉ちゃんご免ね、ママが悪いの、お姉ちゃんが悪いんじゃないの。」
    娘「じゃ、○○がママの分も謝るから、お願いパパ行かないで。」

    後ろ髪を引かれる思いで、玄関を閉め駐車場のワゴン車の助手席に乗り込み、助手席の窓を開けると、家の中から娘の鳴き声が聞こえてきます。
    それに釣られたのか息子の鳴き声もしているようでした。

    あれから数年、私は部屋を替え由香里と暮らしています。
    年頃になった子供達は、由香里と同居した当時は私を避けるようになりましたが、最近は事の次第を理解したようで、たまに遊びに来てくれます。
    麻美は、再婚もせず未だに一人身で居ます、子供達を介して私からも再婚を勧めて居るのですが。
    本人にその気が無いようです。
    由香里とはまだ入籍していませんし、子供も居ません。
    それは、由香里からの申し出で子供達が独立するまでこのままの状態で良いというのです。

    これが、妻の浮気が発覚してからの私達の話の一部始終です。
    今でもたまに、ガラムを吸う人を見かけたり匂いを嗅ぐと、あの辛かった時を思い出す事があります。

    LastUpdate:2008年12月15日(月)9:20


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