【友達と】青空の虜【エッチ】 オナネタ専用エッチな体験談

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    【友達と】青空の虜【エッチ】


    第1話□夏休みの午後 ※
    [1/3㌻]
    --------------------------------------------------------------------------------
    2年生の夏休みの午後1時。陽菜は、学校の最上階にある用具室に呼び出された。用具室とは名ばかりの物置で、使わなくなった机や椅子が雑然と積まれている。
    薄暗い室内。自分を呼び出した同級生の美沙樹たち3人の姿はない。
    仕方なく、「用具室につきましたけど」とメールを入れてみる。
    返信メールの変わりに電話が鳴った。美沙樹からだ。
    「あ、陽菜、そこで全裸になってー」
    美沙樹の楽しげな声。うしろから笑い声が重なる。由香里と綾奈もいるに違いない。
    「ここでですか?」
    「そうそう。さっさと脱ぎなよ。わたしらが来るまでに全裸になってなかったら、洒落になんないよ?」
    洒落になんないよ?は美沙樹の口癖だ。逆らえば、ひどい目にあわせる、と言っているだと経験でわかる。
    「わかりました」
    陽菜は、声を震わせながら、そう答える。
    「全部脱いだら、電話してきな」

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    そう残して、電話が切れた。
    陽菜は制服を脱ぐ。ブラウスもブラも脱ぎ、あたりをきょろきょろしながらショーツも脱いだ。
    ほこりを払った机の上に、衣服を置き、
    「脱ぎました」
    と電話した。
    「それじゃさ、近くにさ、銀色の箱みたいなカバンあんの、わかる?」
    「カバン…?」
    ドラマや映画で見る現金を入れるアタッシュケースを小さくしたようなものがあった。
    「それにさ、脱いだもの全部入れて」
    「ここに…ですか?」
    「いいから、さっさとやれっつってんだろ」
    はいっ、と返事をして、カバンの中に服を詰め込む。
    「靴も、靴下もだから」
    「え?」
    「全裸っつったろ?」
    美沙樹ひっどーい、とかそんな笑い声が聞こえる。
    「入れたか?」
    「はい」
    見てるわけではないので、嘘をつくこともできたが、後から確認しにこられたら、大変なことになる。
    「じゃあ、フタ閉めて」
    素直にいうことを聞くしかない。ばたん、とフタが閉まり、かちん、と金属音がした。
    「まさか??」
    あることに気がつき、慌ててフタを開けようとする。開かない!
    それを見透かしたように笑い声。
    「まじ、閉めたの? あーあ。やっちまったなー」
    「ど…どうやったら開くの?」
    声が泣き声になる。その間もフタについたボタンを押してみたりするが、一向に開く気配はない。
    「用具室から出てこいよ。出てきたら教えてやる」
    「え?」
    だって、今、私、裸で…
    そんな言い訳が通るようなら、最初から裸になんてさせていないだろう。
    「ほら、早く出てこないと教えるのやめるよ。ごー、よん…」
    それがカウントダウンだと気づいて、陽菜はドアノブに手をかけた。
    周囲をうかがうようにゆっくりと…
    「いやっ」
    その手が掴まれ、廊下に引きずり出された。
    声に出せない悲鳴を上げて陽菜は、その場にしゃがみこむ。それを囲むように美沙樹たちの笑い声。
    でもよかった、と陽菜は、少しだけほっとした。そこにいたのはいつもの虐めメンバー3人だけだった。
    「さて、よく聞きなよ?」
    美沙樹が、陽菜の髪をわしづかみにして顔を上げさせる。
    「あの箱を開けるには、鍵が必要です」
    それは、陽菜にもなんとなく想像できた。
    「その鍵は、玄関のあんたの靴箱の中にあります」
    まさか、それを…
    「いってることわかるよね? あんたはそれを取りにいってこないと、服を着れません。あと、携帯も没収。助け呼ばれてもつまんないし」
    美沙樹は、陽菜が握っていた携帯を奪い取る。
    「ってか、陽菜を助けるやつなんて、いなくね?」
    由香里と綾奈が笑い転げる。
    「ま、そういうことで、よーい、スタート」
    由香里が、しゃがんだままの陽菜の背中を押すと、陽菜はバランスを失って、ごろん、と転がった。
    さらに高くなる笑い声。
    「ほら、さっさといっといで」
    胸と股間を隠しながら、陽菜は早足でその場を後にした。
    「ケツ、丸見え~」
    美沙樹たちの声に、陽菜は泣きそうになった。

    第1話□夏休みの午後 ※
    [2/3㌻]
    --------------------------------------------------------------------------------
    スタート地点の用具室は最上階、5階にある。この階は教室などなく、他の階より狭い。
    すぐに階段をおりはじめる。この階段は、建物の西端で、玄関は東端にある。
    校舎の作りは双子の建物を3つの渡り廊下で繋いでいて、真上から見ると「日」の形をしている。
    幸い、用具室と玄関は、同じ建物にあった。
    単純な方法は、このまま階段を1階まで降り、まっすぐ玄関へ向かえばすむ。
    だが1階は、ほとんどガラス張りに近い状態で、外から廊下が丸見えになる。
    外を歩く生徒やグラウンドで練習する生徒たちに、絶対に見つかる。
    しかも職員室の前を通るのだ。教師たちにこんな姿を…虐められているところを見つかりたくない。
    やはり2~4階の教室がある階を通らなければならない。
    陽菜は、4階まで降りてきた。3年生の階。受験を控えた生徒たちのため、希望者を集めて夏期講習会が開かれている。
    全部の教室を使ってるわけではないが、この廊下を歩くのは危険だ。
    3階を目指す。夏だというのに、リノリウムの床は冷たく、足の裏が痛くなってくる。
    その痛みが、自分は全裸であると自覚させる。
    階段の段を降りるたびに乳房が揺れ、根元に鈍い痛み。片手で抑えて和らげる。
    もう片方の手で股間を押さえる。1週間ほど前にそられた陰毛が、中途半端にのび、ひげのようにちくちくと手のひらを刺す。
    3階。2年生はこの時間いないはず。補習授業は午前中に終わっている。陽菜自身がそれを受けていたから、わかる。
    そのはずなのに、廊下で笑い声が聞こえた。
    そっと顔だけ出してのぞく。誰もいない。どうやら、どこかの教室で雑談しているらしい。ドアが開けっ放しなのだろう。
    この階も、廊下を使えない。
    もうひとつ降りようか、と思ったとき、足音が聞こえた。
    どこ? 廊下じゃない。足元? 下の階からだ。
    どのぐらい陽菜と離れているのかわからないが、とにかくあがってきている。話し声も聞こえる。ひとりじゃない。
    勘の鋭いクラスメイトは、陽菜が虐められていることを知っているだろうが、他の生徒たちは知らない。
    そんな状態で、この姿を見られたら、ただの変態だと思われる。
    陽菜は、意を決して廊下を越え、階段正面の渡り廊下に飛び込んだ。
    渡り廊下は、上半分がガラス張り状態といっていいほど、窓だらけだ。
    姿勢を低くして走る。乳房やお尻が揺れる。
    渡り廊下は中ほどまで行くと、ちょっとした展望スペースのような感じで、左右に広がっている。
    その広がりの中に入れば、壁の陰で階段からは見えなくなる。
    陽菜は、展望スペースに飛び込んだ。近づいてくる話し声と足音。
    こっちにこないで。
    陽菜は膝を抱えるようにしてしゃがみこんでいる。抱え込んだ膝に押し潰された胸の先が、じんじんと熱を持つ。
    展望スペースと呼ばれるだけあって、そこは、足元までの巨大な窓になっている。向こう側の渡り廊下に人がいたら、見られてしまうだろう。
    話し声の主たちがこちらに来ないように祈りながら、視線がふと、下を向く。
    中庭に何人なの生徒がいる。お願い、見上げたりしないで。
    話し声が、小さくなる。さらに上の階に行ったのか、廊下を曲がったのか。とにかく助かった。
    普通教室がメインの建物と向かい合った双子のほうは、特殊教室がメインだ。
    渡り廊下をこのまま渡って、そっちを通ったほうがいいかもしれない。
    科学室、物理室、地学室、数学室… およそ夏休みの部活では使われないだろう教室の前を陽菜は、姿勢を低くして走る。
    普通に立つと、窓から見えてしまう。下から見えないように窓から離れても、向かい合った普通教室棟の廊下からは見えるだろう。
    中央の渡り廊下に来た。ここにも階段がある。ここから降りようか?そっとのぞく。
    踊り場から下側に、数人の生徒が座っている。ブラスバンド部の練習…というより雑談だ。
    「そういうのは、音楽室でやって」
    階段から見上げられないように、渡り廊下側を走り抜けた。
    なんとか建物の東側までこれた。あとは階段をおりていけば、玄関がある。
    静かに、けれど早足で、壁伝いに階段を降りる。2階はなんとか大丈夫だった。
    そして、1階へ。

    第1話□夏休みの午後 ※
    [3/3㌻]
    --------------------------------------------------------------------------------
    踊り場でしゃがみこみ、玄関の様子をそっと伺う。誰もいない。しかし、外に数人の生徒の姿を見かけた。踊り場から下の階段は、外から丸見えだ。
    陽菜は、美沙樹たちの虐めが、2年生になって酷さをましたように感じていた。1年生の頃は使い走りであったり、同級生の前でスカートをめくられたり、安直な虐めだったはずだ。
    それが徐々に、性的なものに変わってきている。
    1年の時は膝より少し上ぐらいの丈だったスカートも、強引に改造され、股下数センチしかない。
    短パンをはいていても、脚が見られることに恥ずかしがっていると知ると、今度は短パンをはくことも禁止された。こっそりはいてきても、朝から待ち伏せされ、剥ぎ取られる。
    3人の前で全裸にされたのは、ゴールデンウイーク明けだ。
    最初は全裸に向かれただけですんだが、数日後には、さまざまなポーズを強要され、それを写メに撮られた。
    夏休み前にはついに、陰毛を剃られた。両脚を由香里と綾奈に押さえられ、美沙樹が丁寧に剃っていく。
    「陰毛硬い」とか「つるつるにしたら赤ちゃんみたい」と散々笑われ、誰にも見せたくない部分をすべて確認された。
    そしてついに今日は、全裸で学校の中を走らされる羽目になった。
    自分ひとり、どうしてこんな目にあうのか。幾度となく考え、答えの出せない疑問。それを思うと涙が溢れそうになる。
    だが、ここで泣いて、もたもたしていられない。
    練習が休憩に入れば、外の生徒たちも水飲みやトイレのために玄関にきてしまう。
    陽菜は、思い切って階段を駆け下りた。
    誰にも気づかれず、シューズロッカーの陰に飛び込めた。気づかれなかったのか、気づかれたことに自分が気づかなかったのか、そんなことはどうでもいい。
    とにかく玄関まで来た。
    玄関も当然ガラス張りに近いから、角度によっては外から見えてしまう。真正面が正門だから、敷地の外を歩く人に見つかるかもしれない。
    自分のロッカーを開ける。
    「あった…」
    美沙樹たちは、約束を守ってくれた。安堵が生まれる。
    「なに、陽菜、こんなところで全裸になってるの?」
    わざとらしい大声が、玄関で響いた。
    美沙樹が、先回りしていたのだ。
    「いやぁっ」
    陽菜はシューズロッカーの陰から飛び出る。
    そとにいた数人の生徒たちと目が合う。とっさに顔を隠す。自分が誰か、ばれたくなかった。
    両手で顔を隠し、乳房も股間もお尻もさらしながら、階段を駆け上がる。
    2階で1年生の女の子ふたりとすれ違った。小さな悲鳴。かまってられない。
    3階。普通教室の廊下を駆け抜ける。胸もお尻も、まるでここに恥ずかしい部分がありますよ、と自己主張するかのように激しく揺れる。
    息が切れる。でも、立ち止まれない。
    開いたままのドアの前を通過した。男子生徒の歓声。声が背中にぶつかる。
    「陽菜ちゃん、何してんのー」
    クラスメイトだ。女の子の笑い声まで聞こえる。きっと廊下に出て、陽菜の後姿を見てるに違いない。
    陽菜は、泣きながら階段を駆け上がった。4階を越えたところで、転んだ。
    むき出しのすねを、階段の角で打った。それでも、駆け上がった。
    用具室に辿り着く。
    「どうしたの、そんなに息切らして?」
    「もしかして、校内、全裸で走り回って、欲情しちゃったとか?」
    由香里と綾奈の声もかまわず、用具室に飛び込む。
    鍵を差し込むと、フタはちゃんと開いた。
    服を取り出す。
    「??」
    下着がない。ブラもショーツも。しかも、ベストまで。
    「そんな…」
    ブラウスは薄い黄色だったが、当然透けるだろう。スカートは、強制的に短く改造され、ちょっとした動きや風で下着が見える丈になっている。
    「これで、帰るの…」
    全裸のまま、わずかな衣服を抱きしめ、陽菜はその場にへたり込んだ。
    「どうしたの、陽菜」
    「はやく一緒に帰ろう」
    「待ってるからね」
    美沙樹たちの楽しげな声が、廊下から聞こえた。
    【 完 】

    第2話□ペイント ※
    [1/5㌻]
    --------------------------------------------------------------------------------
    放課後になると一斉に文化祭の準備が始まる。
    陽菜が美沙樹だちに呼び出されたのは、5時になろうかというころだった。つまり、美沙樹たちは1時間と保たずに、文化祭準備に飽きたのだ。
    最上階の用具室に呼び出される。
    この時期、大抵の教室は文化祭の準備に使われ、人の出入りがあるのだが、この用具室は、その対象外だ。
    雑然と積まれた古い机や椅子が邪魔をして、作業スペースなどとれないし、作りかけの大道具を保管しておくにしても、最上階まで運んでくる者はいない。
    陽菜は、机4つを併せてできた上に上らされていた。
    四つん這いの姿勢。美沙樹たちは後ろから眺めている。
    当たり前のように美沙樹の手が、陽菜のウエストにかかり、スカートのホックをはずした。
    「やめてください」
    声に力はない。陽菜の拒絶の言葉など、この3人には届かないのだ。
    ファスナーをおろされると、すとん、とスカートは膝元に落ちた。
    白いコットンのショーツに包まれたお尻がさらされる。
    綾奈がショーツのゴムを引っ張り、ぺちん、と肌を打つ。
    「んっ」
    びくっ、と陽菜の身体が跳ねた。途端に三人の笑い声。
    次の瞬間、ずるっ、とショーツがずり下げられた。
    「いやっ」
    慌てて下着を押さえようとして、バランスが崩れる。机ががたがたと音を立てる。古い机の脚は、長さが狂っていて不安定だった。
    「どうして無駄だってわかってて、抵抗しようとするかなぁ」
    美沙樹が少しあきれた声を出す。
    「あんたの臭いマ○コも汚いケツの穴も、見飽きるくらい見てるんだから」
    「そうそう。写メだってかなりとったしね」
    美沙樹の言葉に由香里が続ける。
    「おとなしく私らのおもちゃになってなさい」
    綾奈が、デコピンのように陽菜のクリトリスを勢いよく弾いた。
    「んあっ」
    激痛の苦鳴をこらえる。あまり騒げば、誰かがきてしまう。
    こんな惨めな姿、誰にも見つかりたくない。
    「私らなんかより断然短いスカートはいて、毎日みんなにパンツ見せてる気分はどう?」
    陽菜のスカートを勝手に短く改造した張本人、美沙樹がきいてくる。
    短パンなんて、当然はくことを許されない。
    「恥ずかしいです」
    声も震えた。
    「恥ずかしいの?恥ずかしいのに、自分からパンツ見せてるんだ?恥ずかしいの好きなんだ」
    言葉で責めながら、ぺちぺちとお尻をたたいてくる。
    「違います」
    いくら否定しても、最後には、自分が変態だと力付くで認めさせられてしまう。わかっているけど、認めたくなかった。
    「ふーん。じゃあ、今日はパンツ見えないように、短パンはかせてあげる」
    え?どういうことだろう?
    背後で、かちゃかちゃと音が聞こえた。
    「え?何?」
    振り返ろうとすると、
    「いいから、前見てじっとしてな」
    お尻の肉を思い切りつねられた。
    何をされるのか予想できないままに、むき出しのお尻を相手に突き出しているのは、かなり不安だった。
    「ひぁっ」
    突然の感触に、陽菜は思わず声を上げた。冷たくねっとりとした感触が、お尻を撫でたのだ。
    そしてその感触が広がる度に、ちくちくと何かが、肌を浅く突く。
    毛先?
    「何を…」
    そういいかけたときには、何が起きているか理解し始めていた。
    「短パンはかせてやってるんじゃない」
    ペンキばけを持った美沙樹の手が見えた。陽菜のお尻に美沙樹たちが、灰色の塗料を塗っているのだ。
    「陽菜のケツの穴の周り色が濃いから、重ね塗りしないとだめじゃない?」
    肛門の上を何度も刷毛が往復する。
    「んっ」
    思わず、声が漏れた。
    「あはは。こいつ、ケツの穴いじられて感じてるよっ」
    「そっちもいけるんだ!すごい淫乱だねー」
    ただ少しくすぐったかっただけなのに…
    「マ○コも汚いから塗っておく?」
    「いっそピンクに、とか?」
    笑いながら3人は、陽菜の白い肌を塗りつぶしていく。
    後ろが終わると、正面を向かされ、前を塗られた。陰毛の上は何度も塗られ、ごわごわと肌に張り付いた。
    「よし、できた」
    文化祭の準備は雑な3人にしては丁寧な仕上がり。
    「近くで見なかったら、はいてるように見えるよ」
    自分たちでもかなり満足なできのようだ。
    「ほら、よくできてるよね」
    記念に、と何枚か撮られた写メを見せられた。陽菜の下半身は短パンをはいているように、きれいに灰色に塗られていた。
    ただ一カ所、性器の部分を覗いて。
    「陽菜に短パンをはかせたし、みんなで帰ろう」
    陽菜は、3人が何をしようとしているか気づいて、血の気が引いていった。

    第2話□ペイント ※
    [2/5㌻]
    --------------------------------------------------------------------------------
    陽菜は美沙樹たちにつれられ駐輪場にでた。
    「短パン」の上にスカートをはいている。それは、短パンのままでも大丈夫だ、という3人に土下座をしてはかせてもらったのだ。
    自転車は2台。美沙樹のこぐ自転車の後ろに陽菜。由香里の自転車に綾奈が乗る。
    「陽菜は立ち乗りだから」
    絶望的な宣言だった。
    陽菜を乗せた美沙樹が先頭。後ろに由香里たちがついた。
    陽菜は片手でスカートを押さえようとするが、段差があったり自転車がふらついたりするので、両手で美沙樹の肩を掴んでいないと危ない。
    「美沙樹、スピードだし過ぎだって」
    「陽菜のスカート、めくれてるよっ」
    わざわざ周囲に聞こえるような大声で叫ばなくても、陽菜にはわかる。
    スカートをめくりあげる風は、容赦なくお尻を撫で、開き気味になった脚の間も…そこだけはペイントされていない股間も撫で回しているのだ。
    綾奈たちの声に反応したのか、通り過ぎる人々の視線がこちらを向く。
    同じ方向に向かって歩く中高生。今は下校時刻だ。他校の生徒もたくさんいる。
    スーツ姿のサラリーマン、買い物帰りの主婦、小学生。行き交う車の窓から見える顔も、こちらを見ている気がする。
    大半の人が、ちらっとこちらを見るだけだ。陽菜のことなど風景として流れすぎ、まさかノーパンでいるとはわからないだろう。
    だが、同じ方向に自転車で進む者など、じっとこちらを見つめることができる者は、陽菜の下半身の不自然さに気づいているかもしれない。
    しかも歩行者より一段高い位置にいるのだ。もしかしたら性器も見えているかも…
    そう考えてしまうと、泣きたいぐらいの恥ずかしさで、身体中が熱くなる。
    自転車で走ったときに感じる心地よい風程度では、この熱を冷ますことはできなかった。
    大きな交差点にさしかかった。美沙樹がブレーキを使ってスピードを緩めていく。渡りたい信号は赤。自転車が止まれば、陽菜は自転車から降りなければならない。
    すでに信号待ちしている男女がいる。車道を挟んで向かい側にも数人いる。
    降りるときには、片足ずつ地面につけなければならない。飛び降りるような要領で、両足をいっぺんに、という方法も考えられるが、バランスを崩しそうで怖い。
    左足を自転車にかけたまま、右足をおろす。股が、大きく開く。持ち上がりそうになるスカートを片手で押さえ込む。
    「すぐ青になるから、片足かけておきな」
    絶望的な命令。
    車道を挟んでいるとはいえ、見ず知らずの人たちが正面にいるのに、大きく股を開いているなんて。
    性器はスカートと手で隠せているはず。けれど、お尻は…
    車が通り過ぎる度、強い風が肛門をなめていく。そのたびにめくれるスカートの後ろ。
    みんなにお尻見られてる…
    なるべく周りの人たちと目を合わさないようにしながら、
    「早く青になって…早く…早く…」
    そればかりを繰り返して祈った。
    祈りを聞いてもらえたとは到底思えない遅さで、車道の信号が黄色に、そして赤に変わる。
    意を決して陽菜は、スカートから手を離し、美沙樹の肩に手をかける。
    スカートがずれ、股間が露わになる。陽菜の視線からでも、塗料の塗られていない部分が見えた。
    「見られちゃう」
    陽菜が地面を蹴った瞬間、美沙樹が、自転車をスタートさせた。自転車を発進させることでバランスを保ちながら、後ろの人間の立ち乗りができるようになる…だった。
    まさに絶妙な、タイミングのずれ。陽菜は、足をかけ損ねて、再び大股を開いてしまった。
    「早く乗りなっ」
    美沙樹も、ちょっとびっくりした顔をしている。わざとではないのだ。
    「うっ、うん」
    ゆっくり進む自転車に合わせて陽菜は、再チャレンジする。動揺が、2度目の失敗を招いた。
    「ちょ、陽菜、何やってんの?」
    美沙樹は、驚きと笑いの混じった声を上げる。
    「ごめ…ごめんっ…えっ」
    また踏み外す。
    陽菜は自転車に片足だけかけた、大また開きのケンケンのような状態で、横断歩道を進んでしまう。
    乗るためにジャンプしているのだから、スカートはその度に大きくめくれ、隠れてほしいすべてがあらわになる。
    反対側からきた男子高校生の集団とすれ違った。後ろから大きな歓声。みんな、見たんだ…
    信号待ちの車の中からも、きっと見てる。
    追い抜いていった他校の女子が、変なものでも見るかのような目つきで1度振り返った。
    「ちょっと、やりすぎだって」
    美沙樹たちも予想外の展開なのだろう。大盛り上がりで笑ってる。
    後から考えれば、いったん両足を下ろして、横断歩道を渡りきってから改めて乗ればよかったのに、そんなことも思いつかなかった。

    第2話□ペイント ※
    [3/5㌻]
    --------------------------------------------------------------------------------
    結局、横断歩道を渡り終える少し前で、ようやく乗ることができた。
    そのまま自転車は、橋に差し掛かった。
    「何、泣いてんの?」
    自転車をこぐ美沙樹が、いつもの冷たい口調で陽菜を見上げた。
    スカートを押さえるはずの片手で、涙をぬぐい、
    「泣いてない」
    陽菜は、少し微笑んでしまった。いつもと変わらぬ口調の美沙樹の瞳に、陽菜を案ずるような暖かさを見つけたような気がした。
    「そ。じゃあ、スピード上げるから、しっかりつかまってなよ」
    橋は半ばまで軽い上り坂だ。美沙樹も立ち漕ぎ出なければ、ふたり分を支えられない。
    下から吹き上げる風は、容赦なく、陽菜のスカートをめくりあげる。陽菜に抑える余裕はない。
    橋を渡るまでの数分間、完全に下半身をさらし続けなければならない。
    せめて性器だけでも気づかれないように…
    そうすれば、短パンをはいているように見てもらえるはず。
    陽菜は、必死に内腿を閉じ、力を込めた。
    「んっ ぁ…」
    その途端に走る、むずむずっとした…気持ちよさ…
    思わず力が緩む。
    そして気づいた。
    美沙樹のスカートもめくれあがっている。しかも、短パンをはいていない。ピンクの可愛らしいショーツが、見え隠れする。
    「美沙樹さん…見えてるよ…」
    「たまには、いいんじゃない」
    よくわからない返事をされた。
    後ろから、ふたり乗りをあきらめた由香里と綾奈の、待て、という笑い声が聞こえた。
    太陽は黄金色の光をにじませ、随分と西に降りていたが、それでも公園は明るかった。
    今日一日の総決算とばかりにはしゃぎまわる子供たち。暗くなるのを待ちきれない高校生のカップル。男子の方は、陽菜たちと同じ学校だ。
    樹木に溶けいりそうなほど、静かに散歩する老人もいる。
    そんな公園に、美沙樹たちは陽菜を連れてきた。
    学校で施された短パンのボディペインティングを多くの人にさらしながら、陽菜はここまでやってきた。
    緊張と恥ずかしさとが身体も心も責め立て、疲れてしまったのか、油断すると放心してしまいそうだ。
    「学校からバレーボール持ってきたさ」
    綾奈が自慢げに鞄から白いボールを取り出す。
    「かっぱらいだー」
    由香里が、からかう。
    「明日返すよ。それより、バレーしよ」
    「いいね」
    ちょっと何か思いついた顔で、美沙樹が話に乗ってきた。
    「陽菜、ジャージ借りるね」
    陽菜の返事も待たず、勝手に陽菜のバッグを開け、ジャージのズボンを取り出す。
    「パンツ見えるの気にしながらじゃ、本気になれないしね」
    陽菜のジャージをはくと、スカートを脱いだ。
    上が制服のブラウス、下がジャージというちぐはぐな出で立ちだが、美沙樹はいっこうに気にしていない。
    「美沙樹、なに、本気になってるの?」
    ちょっとびっくりした顔で、由香里が聞いてきた。
    「真剣勝負だよ。負けたら、あそこのコンビニ行ってアイスを買ってくる」
    「おっ。そういうことでしたら、負けませんよ」
    綾奈も乗ってくる。スカートの中に隠れるようにまくりあげていたジャージの裾をおろす。スカートを脱ぐと、膝丈のジャージ姿だ。
    「まじで?ってか、私の勝ちは不動だよ?」
    中学時代バレー部だった由香里が、余裕の笑みを浮かべる。
    「ほら、陽菜、なに突っ立ってんの?あんたも参加だよ」
    美沙樹が陽菜によってくる。
    「スカート脱ぎな」
    耳元で命令する。
    「ここで…?」
    周囲にはたくさんの公園利用者。特にこちらのことを注目している人間はいないとはいえ、こんな見晴らしのいい場所で、下半身裸になるなんて。
    「短パンはいてるんだから、いいでしょ?私らだって、スカート脱いだし」
    ふたりのやりとりを聞いていた綾奈が、なるほど、という顔をする。
    どうやら美沙樹が、急に思いついたことらしい。
    「私はこのままで良いや」
    由香里がスカートをめくってみせる。ブルマにも見えるぴったりとした短パンだった。
    「それは、ちょっと脱げないよね。けど、陽菜は普通の短パンだし、脱いだ方が楽だよ」
    「そうそう。間違って破けたら、明日から大変だよ。スカート、それしかないでしょ」
    美沙樹の口調は、遠回しに、脱がなかったらスカートを破く、と言っているようだった。

    第2話□ペイント ※
    [4/5㌻]
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    「わかりました」
    おそるおそる陽菜はスカートを脱ぐ。灰色の塗料でペイントされた下半身があらわになる。
    震える手で持つスカートを綾奈が奪い、自分の鞄にしまう。
    「あっ、えっ」
    あまりの手際の良さに、陽菜が反応できないでいると、笑い声があがった。
    由香里が指さすのは、陽菜の股間。
    「何?」
    陽菜は自分の股間を見て愕然とした。
    「なに、陽菜。我慢できずに私の自転車の上でオナったの?」
    陽菜の陰毛を塗り潰していた塗料がはげ落ちている。
    移動中、股間を隠すためスカートごと手で押さえていたのだが、それでこすれてしまったのだ。
    特に陰毛の上は、強引に重ね塗りをして塗り潰ししていただけなので、完全に乾くと、ぼろぼろと崩れ落ちてくる。
    塗料のかすをまとわりつかせた陰毛の縮れ具合が、かなり惨めに見える。
    「ま、遠くからならわからないって」
    美沙樹が簡単に言ってのける。
    確かにペイントが完全にはがれたわけではなく、重ね塗りの部分がこすれ、塗料の中に埋もれていた陰毛が飛び出てきた感じだ。遠目ならわかりづらいかもしれない。
    「内腿のところもはげてきてるけどね」
    見ると、そちらは泣き顔のメイクのような落ち方。何かで濡れて、塗料が溶け崩れたのだ。
    その原因は…
    「みんなにお尻見られて、ま○こから涎垂れちゃったんだ。仕方ない変態だね」
    美沙樹が嬉しそうに微笑む。
    「違うの。これは…」
    必死に否定しようと首を横に振るが、言葉が浮かんでこない。なぜ、身体がこんな風になっているのか、自分自身のことなのにわからない。
    「また、すぐそうやって涙目になる」
    美沙樹がの手が、陽菜の頬に当てられる。親指の腹で滲んできた涙を拭う。
    「素直になれば楽なのに…」
    呟くような美沙樹の声は、誰に向けてのものだったのか。
    「暗くなっちゃう。さ、やろう」
    美沙樹の声に、
    「かかってこい」
    見守っていたふたりが応える。
    ゲームが始まった。バレーといっても、ただ単にトスを回していくだけだ。
    「美沙樹っ」
    名を呼んで綾奈がトスを放つ。
    「由香里」
    美沙樹がトス。ボールを放つ者が、受ける者を指定するのだ。うまく返せなかった者が、敗者となる。
    「陽菜」
    4人は、ちょうど時計回りにボールを回した感じだ。
    「美沙樹さん」
    陽菜は、ふらつきそうになるのをこらえ、ボールを回す。
    どうしても、頭の中を罰ゲームがよぎる。
    「由香里」
    美沙樹のボールが由香里へ。由香里の身体はすでに、次のトスを回す予定の綾奈を向いている。
    「陽菜っ」
    フェイントだ。陽菜には対応できない。
    大股開きのまましゃがんで、なんとかボールを受けようとする。
    その瞬間、視界にランニングする男性の姿が目に入った。こちらを見ている?
    由香里たち3人も、しっかりと陽菜を…まさにぱっくり全開になった股間を見つめている。
    「いやっ」
    慌てて脚を閉じる。
    ボールが地面を転がった。
    「陽菜、マイナス1ポイント」
    わぁっと3人が盛り上がる。
    そこからが、美沙樹たち3人のチームワークの見せ所だった。
    「綾奈さん」「陽菜っ」「美沙樹さん」「陽菜っ」…
    誰にトスをしても陽菜に帰ってくる。
    「そんな…」
    ボールにさわる回数が増えれば、当然ミスする確率も増える。ましてや、陽菜は4人の中で、格段に鈍くさい。
    陽菜の心を焦りが埋め、頭の中を罰ゲームの想像が満たしていく。
    「はい、陽菜、マイナス2ポイント」
    弾む美沙樹の声。
    いやだ…このままじゃ…
    公園からも見える位置にコンビニはある。だがそこに辿り着くには、マンションや住宅の前を抜けていかねばならない。
    何人もの歩行者に、この恥ずかしい下半身をさらさなければならない。
    きっとスカートなんてはかせてもらえないから、制服の上に短パンという、ちぐはぐな姿でいかされる。
    下半身がペイントだと気づかない人たちも、そのちくはぐな出立ちに注目してくるはずだ。
    公園に来るまでは自転車だったから、目撃されても、すぐに通り過ぎることができた。
    だが今度は違う。歩くにしても走るにしても、きっとじろじろ見られてしまう。
    陽菜は頭の中を埋め尽くす羞恥的な想像で、身体を熱くした。下半身が鋭敏になりながら、宙に浮いているような、奇妙な感覚に陥る。
    「陽菜、マイナス6ぅ。ダントツ過ぎ」
    綾奈が、げらげら笑う。
    「そんな…だって…」
    時折フェイントのように、他のメンバーにボールが回るが、ほとんどが陽菜に来るのだ。しかも、陽菜にとって、微妙なポイントを狙ってくる。
    走り、大股開きになり、仰け反り、転びながら、陽菜はボールを追った。ひとり汗だくになって、荒い呼吸を繰り返している。

    第2話□ペイント ※
    [5/5㌻]
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    「このまま陽菜で決まっちゃうのかなぁ」
    美沙樹の楽しげな声。
    「もちろん、スカートなんてなしだから」
    由香里がつけくわえる。
    こんな姿でコンビニに入ったら、きっといろんな人に見られる。遠目なら短パンに見えるペイントも、近くで見たら不自然さに気づかれる。
    いくら本物の短パンを食い込ませたって、こんなにはっきりお尻の割れ目ができたりするわけがない。
    正面から見たら、陰毛だってはっきりわかる。仮にお客さんがいなかったとしても、レジにいけば至近距離だ。
    「陽菜、あと1回で罰ゲーム」
    もうだめだ…
    視界が霞む。落ちたボールを拾い上げるが、なかなか次の動作に進めない。膝ががくがくしている。
    緊張のせいか、おしっこを堪えているかのような痺れが、股間を責めてくる。
    ひんやりとした風が脚の間を抜け、そのせいで、自分の性器が普段以上の熱さを持っていると気づかされる。
    「何してんの、陽菜。早くしな」
    「はいっ」
    慌てた。けれど力が入らない。
    自分で軽く投げあげたボールなのに、それをトスし損ねる。
    ボールが小さく跳ねながら、美沙樹の足下に転がっていった。
    「陽菜の買い出し、決定!」
    綾奈が高らかに宣言する。美沙樹と由香里が、おめでとう、と拍手する。
    「そんな…許して…」
    脚が震える。放心してしまいそう。立っているのがやっとだ。
    「だめっ。私、ガリガリ君ね」
    綾奈が言うと、由香里と美沙樹が続けて注文する。
    逃げ場のない絶望感と、知らない人たちに変態的な姿を見せる緊張感。鼓動が高まり、吐息が切なくなる。まるで興奮しているように。
    「…ってのは嘘。さずがにその格好じゃ、ねぇ」
    美沙樹の言葉を最初、理解できなかった。
    え?許してくれるの?
    「そうだよね。そんな格好じゃ、警察に捕まるわ」
    由香里が、少し照れくさいような視線を向ける。
    「よくそんな格好でいままでいれたよね。ってか、もしかして、気づいてないんじゃない?」
    綾奈が陽菜の下半身を指さす。
    みんな、自分たちがこんな格好にさせたのに、どうしてそんな呆れたような、照れくさそうな顔をしてるのだろう。
    確かに、ペイントしているとはいえ、結局は下半身裸だし、陽菜自身だってそれを自覚しているから恥ずかしいのだ。
    多少、陰毛の辺りははげてきているかもしれないが…
    「えっ?」
    ようやく思考が追いついた。
    陽菜の下半身を覆う塗料は、こすったらはがれてしまうものだ。しかも、濡れても溶け崩れる。
    何回も転んだ。地面に尻餅もついた。汗もかいた。それに認めたくないけれど、性器は濡れている。
    陽菜は、自分の下半身を改めて確認した。
    脚の内側は、完全に塗料がなくなっていた。愛液と汗で溶け崩れ、こすれ落ちてしまったのだ。
    陰毛の部分も、毛穴に塗料のかすが残っているぐらい。そのせいで、逆に普段より、体毛が濃く見える。
    両サイドも、色は残っているが、まったくもって布にはみえない。
    身体をひねる。お尻の両頬も、完全に肌が露出していた。肌が露出してからも尻餅をついたりしていたせいで、肌が赤くなっている。
    地面に触れなかった割れ目の部分だけが、Tバックのようにくっきり残っていた。
    こんな姿になってたの?これじゃ、完全に下半身裸と一緒。いったいいつから?どのぐらいの人に見られたの?
    公園内もだいぶ薄暗くなってきたが、今いる場所は、早めに点いた外灯のお陰もあって、それなりに明るい。
    今更周囲を見渡しても遅いし、誰がいるのかを確認するのも怖い。目撃者の中に、知り合いでもいたら、明日から顔を合わせられない。
    「いやぁ…」
    とうとう立っている力を失い、陽菜はその場にへたり込んだ。
    頭が真っ白になり、身体中を痺れが駆け巡る。
    「ほら、立って。あっちのトイレいって、下半身洗うぞ」
    美沙樹の手が、陽菜の太腿に触れる。その瞬間、性器から背筋を通って頭まで駆け巡った電撃。
    「んあっ ああぁっ」
    頭の中が真っ白に弾け飛んだ。身体が、びくびく、と痙攣する。
    「え?」
    美沙樹が慌てて屈みみこみ、陽菜の身体を抱きとめる。
    「んぁっ んっ ぁぁ…」
    美沙樹の身体の温かさに寄りかかるように、陽菜もしがみつく。
    美沙樹の腕が背中を強く抱く。それだけなのに、それを感じるだけで、股間から頭の先までを快感が貫く。
    「まさか、いっちゃったの?」
    美沙樹の声は、どこか優しい。
    自分でも認めるしかない。こんな衝撃は、オナニーですら感じたことがない。
    陽菜は、涙を流しながら、小さく頷いた。
    「そっか、仕方ない変態だな」
    美沙樹が、陽菜の頭を優しく撫でた。
    【 完 】

    第3話□目撃者 佳代 ※
    [1/3㌻]
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    佳代は、中庭にいた。夏休みの学校。
    夏休み明けにある文化祭で出展する水彩画を仕上げようとしていた。
    今年の美術部は、佳代ともうひとり、男子は入っただけだ。その檜山くんは、校庭から校舎を描いている。
    佳代は、中庭に生えた樹を描くことにしていた。
    補習を受けていたときは制服だったが、今は、Tシャツと膝丈にカットしたジャージ姿だ。
    「んー」
    今日は、いまいち気分が乗らない。何度も座る姿勢を変えたり、背伸びをしたりしてしまう。
    ふと見上げると、樹の向こう、校舎2階の西側渡り廊下を歩く人影が見えた。
    展望スペースで立ち止まる。女子ふたり。
    誰だろう。1年生ではないのはわかる。ふたりとも制服だが、ベストは着ていない。上はブラウスだけだ。しかもひとりは黄色いブラウスだ。
    1年生であんな格好をしていたら、先輩たちに虐められる。
    挑発的な同級生が、ピンクのブラウスでベストも着ずに登校した日、2時間目から、Tシャツ姿になっていた。
    背中やお腹に「インラン」とか「非処女」「黒ちくび」などと落書きされているのが、白い生地から透けて見えた。
    しかも透けて見えていたのはそれだけではなく、本当に黒い乳首も透けて見えていた。
    後から噂で聞いたのだが、3年生に呼び出され、ブラウスを没収されたらしい。
    しかもブラまで剥ぎ取られ、背中やお腹、お尻に落書きされ、乳首をマジックで黒く塗りつぶされたという。
    「非処女」なんて言葉も書かれていたのだから、たぶんそれ以外のこともされたのだ。
    翌日から彼女は、まじめにベストを着てくるようになった。
    「美沙樹先輩と…陽菜先輩だ」
    どちらも中学からの先輩だった。中学のときはそんなに仲がよくなかった気がするが、高校に入ると、ふたり一緒にいるところをよく見かける。
    ふたりは、展望スペースの窓側にきた。前面ガラス張りだから、もう少し真下に行けば、パンツが見えるだろうな、とか考えてしまう。
    陽菜は背中を向けていたが、美沙樹はこちらを見下ろしている。手を振ってみようかとも思った。
    1年生からは、怖い、ともっぱらの評判の美沙樹先輩だが、同じ中学の後輩である佳代には優しい。
    「あっ」
    先に、美沙樹先輩のほうが小さく手を振ってきた。
    佳代も大きく手を振る。途端に、美沙樹先輩の手が口元にいった。
    何だろう? あ、「しー」って言ってるんだ。静かにしろ?なんでだろう?
    ああ、あんまり周りから見られたくないんだ。代わりに周りを見渡してみる。中庭にも校内にも、ふたりを見ているような人はいなかった。
    夏休みの午後ともなれば、ほとんど生徒なんていない。
    「え?」
    美沙樹先輩の手が、陽菜先輩のお尻にかかった。そのままスカートをめくりあげる。
    陽菜先輩が身もだえした。けれど、手でスカートを押さえたりしない。どうして?
    そして佳代は気づいた。陽菜は手を背中で縛られている。
    手首ではなく、腰より少し上で、折り曲げた肘から先を重ねるような格好で縛ってあるので、スカートをめくられても押さえられないのだ。
    しかも、お尻の肉が見えてる。Tバックをはかされてるみたいだ。
    美沙樹先輩は陽菜さんの耳元で何か喋る。なんて言っているのだろう?
    佳代はもう、絵のことなんか忘れていた。時折、あたりを見回しては、ふたりの様子を見守り続けた。
    「え?」
    美沙樹先輩がお尻から手を離しても、スカートは戻らなかった。裾をウエストのところに挟んでしまったらしい。
    陽菜先輩がいやいやをする。当然だ。あんな場所にいたら、誰かに見られてしまう。現に今、佳代が見ている。
    陽菜先輩は、佳代の存在を知っているのだろうか?
    陽菜先輩がこちらを向いた。いや、向かされた。そして佳代は気づいた。
    「目隠し?」
    陽菜先輩は制服のネクタイで、目隠しされているのだ。
    美沙樹先輩の手が、陽菜先輩の胸元にかかる。ボタンをはずしていくのがわかった。
    陽菜先輩が、一生懸命首を横に振るのがわかる。
    虐められてるんだ…それなら、逃げるとか、助けを求めるとかすればいいのに。
    それともできない、したくない理由があるんだろうか。

    第3話□目撃者 佳代 ※
    [2/3㌻]
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    ブラウスの裾が、スカートから引っ張り出された。そして完全にボタンが外されてしまう。
    ブラまで見せちゃうの?
    違う。佳代はすぐわかった。
    陽菜先輩は、白いブラウスの下に、ブラをつけていなかった。きっとあそこに辿り着くまでにも、ブラウスから透けた乳首を見せていたんだ。
    同級生のあの子みたいに。
    がばっ、とブラウスが容赦なく開かれた。太陽の光の下に陽菜先輩の両胸がさらされる。
    「すごい」
    見ている佳代の方がどきどきしてくる。吐息も荒くなってくる。
    美沙樹先輩はそのまま陽菜先輩のブラウスを肩まではだけさせてしまった。完全に開ききったブラウス。陽菜先輩がみもだえしても、全く閉じようとしない。
    美沙樹先輩がむき出しになった陽菜先輩の胸で遊んでいる。どんなことをしているのかまでは見えない。
    乳首を弾いたり、つまんだり、こねたり、引っ張ったり…
    佳代は勝手に想像してみる。
    陽菜先輩が、必死に耐えているのがわかる。それは、嫌がっているというより、美沙樹の行為を受け入れ、快感に耐えているように見えた。
    美沙樹先輩が後ろに回る。後ろから陽菜先輩に何か囁きながら、胸を刺激し続ける。
    まるで佳代に見せつけるように、乳房を持ち上げたり、こね回したり。
    目隠しされている陽菜先輩は、佳代が見ていることを知っているのだろうか?
    見られていることもわからないまま…誰に見られているかもわからないまま、裸をさらしているのはどんな気持ちなんだろう。
    大勢の人間の見ているかもしれない場所で、感じる場所を責められ続けるのは、どれほど気持ちいいんだろう。
    佳代は、もだえる陽菜先輩の姿に自分を重ねる。
    中庭に大勢のギャラリー。廊下にも向かい合う渡り廊下にも、窓辺に人が立ち、生徒全員が見ている。そんな想像までしてしまう。
    あの渡り廊下の展望スペースは、陽菜先輩をさらし者にするためのステージに思えた。
    佳代は無意識の内に、指でジャージの上から股間を刺激する。画板で隠していれば、誰にも気づかれないはず。
    陽菜先輩の胸から、美沙樹先輩の右手が離れた。
    後ろがめくれたスカートの中に手を入れ、右腰の辺りでもぞもぞしている。そして反対側も…
    いやいやを繰り返す陽菜先輩。
    次の瞬間、肩幅に開いた陽菜先輩の脚の間から、白いものが足下に落ちた。
    もしかして、あれって下着?
    きっと陽菜先輩がはいていたのは、両サイドが紐になっているショーツだったのだ。
    ってことは、今、陽菜先輩はノーパン…
    佳代は自分の胸の奥が切なくなるのを感じた。
    佳代の見ている前で、陽菜先輩はゆっくり屈んでいく。
    一緒にしゃがむ美沙樹先輩の手が、閉じようとする陽菜先輩の膝を開かせる。
    陽菜先輩、あそこの毛、剃ってる…
    中庭に向けて大きく開かれた脚の間にある性器には、陰毛がいっさいないように見えた。
    両胸をさらし、ノーパンでM字に開脚。
    陽菜先輩が隠しておきたい秘密の部分。その全部が、中庭に向けてさらけ出されていた。
    佳代はいつの間にか、両手を使ってオナニーしていた。
    片手でジャージをひっぱりあげ、布が食い込んで、まるで性器がみっちりつめこまれた袋のようになった股間を3本の指でひっかく。
    小学生の時に覚えたやり方は、今でも本気でいきたいときの定番になってしまった。
    学校の中庭であることを忘れたかのように…いや、学校の中庭であることが、よりいっそう、佳代の心まで刺激している。
    展望スペースでも、陽菜先輩が股間を刺激されていた。
    しかも佳代から見やすいように、美沙樹先輩は陽菜先輩のお尻の方から腕を回して、性器をいじっている。
    少し無理な体勢でしゃがんでいるので、脚を閉じる余裕がないのか、美沙樹先輩のショーツまで丸見えだ。佳代は少し得をしたような気分になった。
    美沙樹先輩がどんな指使いで、陽菜先輩を責めているのかここからではよく見えないけれど、陽光を浴びた陽菜さんの性器は、きらきら輝いて見えた。
    ピンク色の内側まで太陽の光を浴びるのって、どんな気持ちなんだろう…
    佳代は頭の中が飛びそうになる。けれどまだ美沙樹先輩たちは終わっていない。
    ここで先にいってしまうのは、後ろめたい気持ちだった。
    私も、もっと激しいことをしなくちゃ…
    何をどうしたら、激しくなるのか。よくわからないまま、ぼうっとした視界で辺りを探す。
    自分の指ほどのサイズの絵筆を見つけた。先のほうまで太く、先端が丸まっている。

    第3話□目撃者 佳代 ※
    [3/3㌻]
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    指の変わりに絵筆で性器をなぞった。ごりごりと固い感触が、割れ目をえぐり、敏感な芯を押し潰す。
    指とは違う硬質な刺激は、いつもの気持ちよさとは違うが、どこか別の何かに犯されているような感覚を佳代に与えた、
    「ん…ぁぁ…ぁぁ…」
    浅い呼吸を繰り返し、ふたりの先輩を見つめる。
    胸をもんでいた美沙樹先輩の左手が、今は陽菜先輩をヘッドロックするような感じで巻きついている。
    首を絞めたりしてる?違う。陽菜先輩の口を押さえてるんだ。そうしないと喘ぎ声が校舎中に響いちゃうくらい、激しく責めてるんだ。
    佳代も、自分自身を激しく責める。
    絵筆を持つ手に力が入り、ぐりぐりと割れ目にめり込む。
    最初は縦になぞっていたはずのそれは、今では膣の入り口をジャージの上から出入りするように動いていた。
    自分の中へめりこむ絵筆。それに引っ張られるように下着の布が動き、クリトリスを含めた性器全体を刺激する。
    「これ…ぃぃ…んぁ…」
    前かがみになりながら、顔だけはふたりをみつめ続ける。
    陽菜先輩がのけぞる。次の瞬間、びくんとその身体が跳ねた。びくんびくん、と縦に揺れる。
    まるで、ちんちんの姿勢で喜ぶ犬のような姿で、絶頂を迎える陽菜先輩。
    陽菜先輩、あんなはしたない格好で、いっちゃってる。見られてるのも知らないで…
    いや、そうじゃない。きっと佳代だけではない、いろんな人間に見られているところを想像させられながら、いかされたんだ。
    ぐったりとその場に座り込む陽菜先輩の身体を抱きとめる美沙樹先輩と目が合った。
    佳代自身が今、何をしているのか、どんな気持ちでいるのか、見透かされているような気がした。
    そう感じた瞬間、全裸でオナニーしている自分の姿が頭に浮かび、そのまま白く弾けとんだ。
    握力の緩んだ佳代の手から、ジャージの生地の伸縮性に負けた絵筆が飛び出て、芝生の上に転がった。
    数分後、佳代は校舎に戻っていた。
    我に返りあわてて周囲を見回し、誰も見ていなかったことに安心した。
    赤いジャージの股間の部分は、そこだけ色が濃くなっている。まるでお漏らしでもしたかのような濡れ具合だ。
    画板を背負いお尻を隠し、画材のセットで前を隠しながら校舎を歩く。みつかったら、オナニーしていたのがばれてしまう。
    美術室においてある制服に着替えようとむかっている廊下で、美沙樹先輩と出会った。ひとりだった。
    どんな顔をしたらいいのかわからなかった。
    「よっ」
    美沙樹先輩から声をかけてきた。
    それだけで、治まったはずの感覚が内側から溢れ出てくる。
    「こ…こんにちは。陽菜先輩は?」
    動揺し、思わず、そんな言葉が口から出た。これでは、さっきの光景を見ていました、と言ったようなものだ。
    「さすがにあれだけ虐めたからね」
    美沙樹先輩も、佳代が当然見ていたものとして話し始める。
    「ぐったりしちゃってさ。少し休ませてる」
    その微笑む目が、佳代は休まなくていいの?と問いただすようだ。
    「そ…そうなんですか…」
    頭を下げ、その場から立ち去ろうとした佳代の、画材を持つ手を美沙樹が掴んだ。隠していたそこをさらされる。
    「陽菜と一緒にいっちゃったんだね」
    やっぱりばれていた。私も…陽菜先輩と同じようにしてもらえるんだろうか?
    「ちゃんと着替えて帰らないと、まん汁の臭いで、野良犬が寄ってきちゃうよ?」
    わざと、佳代の羞恥心をあおるような単語。
    私も虐めてください、という言葉が胸に浮かんだとき、美沙樹の左腕が目に入った。
    歯型。血がにじんでる場所もあるぐらい、くっきりと。
    きっと陽菜先輩のだ。喘ぎ声を抑えるため自分の腕を噛ませていたのだ。
    「ああ、これ?」
    佳代の視線に美沙樹が気づいた。
    「気持ちよくなると口唇噛んじゃうのが陽菜の癖なんだよね。自分の喘ぎ声が恥ずかしいらしくて。
    口唇切っちゃうほど加減なく噛むからさ、代わりに噛ませてたんだ」
    ハンカチでも何でも、他に噛ませるものはあったはずなのに…
    「まあ、明日には消えるって」
    大切なものでもしまうように、そっとまくっていた袖を直す。
    「気をつけて帰りなよ」
    頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。
    佳代は胸の奥が、きゅっと締め付けられるような切なさを感じた。失恋に似ていた。
    「私も、誰か探そう」
    自分の歯形を愛しいと感じてくれる誰かを。
    佳代は、美術室に向かって歩き始めた。
    画材で股間を隠すのも忘れて。
    【 完 】

    第4話□くちづけ ※
    [1/8㌻]
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    夏休み明けの1週間弱。文化祭準備の追い込みだ。クラスや部活によっては、ここで一気に片を付けるたりもする。
    授業時間でも、クラス担任の担当授業なら、準備時間にあてられることもしばしばだ。
    朝から美沙樹が、学級委員長と熱心に打ち合わせをしていた。
    準備をさぼってばかりの美沙樹にしては、珍しいな、と思っていたら、4時間目に理由がわかった。
    「あまり寄り道するなよ」
    担任がそう言いながら、美沙樹と教室に入ってきた。
    「昼休みの間に戻ってきますって」
    教師と話す美沙樹としては異例なほど、上機嫌だ。
    「よし、陽菜。買い出しにいくぞ」
    文化祭準備に必要な物品の買い出し。そのために美沙樹は委員長や担任と交渉していたのだ。
    さぼるためなら、どこまでも努力家だ。
    「まずは…」
    委員長と書き出した買い物リストを眺め…
    「だいたい○○で買えるな」
    学校からさほどは慣れていないショッピングセンターに行くことになった。
    担任から大人数で行くのは許されなかったのか、美沙樹とふたりきり。
    由香里たちなら無許可でついてきそうだが、それもなかった。
    外出の相方に自分が選ばれたのは、良くて荷物持ちのためだろう。
    下手をすれば、ファーストフード店辺りで美沙樹だけがくつろいで、陽菜ひとりで買い出し、というのもあり得る。
    「昼もここで食べちゃいたいし、さっさと買っちゃうよ」
    とりあえず、ひとりで歩き回らずに済んだようだ。
    足りなくなった絵の具やマジック、画用紙やのり、布やビーズ。ひとつひとつは小さいが、細々といろいろあった。
    それらを美沙樹は手際よく買い揃えていく。事前にシュミレーションしていたのではないかと思うほど、効率的だ。目的の物を買い終わるまでに30分ほどしかかからなかった。
    「よし。なかなかの好タイム。さあ、マック行こう」
    結局サボるのが目的か。そう思ったのは、陽菜の勘違いだった。
    ショッピングセンターの2階にマックはある。適当にハンバーガーやシェイクを買うと、美沙樹に先導され一番端の席に来た。
    そこは横が透明なアクリル板になっていて、その向こうが1階からの吹き抜けだった。
    入り口前の広場で、ベンチに座る親子連れや老夫婦が見える。平日の日中なので、かなりまばらだ。
    丸いテーブル。ふたりとも吹き抜けに背を向けるように、席に着く。
    陽菜が座ろうとしたときに、
    「背もたれにスカート引っ掛けて、お尻だしな」
    耳元で美沙樹が囁く。
    「え?」
    陽菜が硬直する。
    「逆らうなら、あとで洒落になんないけど?」
    数日前に、どうしても実行できない命令があって、そのときにされたお仕置きの記憶がよみがえる。
    用具室で全裸にされ、身体のいたるところを洗濯挟みで挟まれたのだ。
    乳首も乳房の肉も、おへその縁も、伸びかけの陰毛にも。
    クリは皮ごと挟まれ、性器のひだには左右ふたつずつ。
    太ももやお尻は、無理やり薄皮をつままれ、脇にまでつけられた。
    口唇、舌、まぶた。鼻の穴の左右と真ん中の三ヶ所を挟まれたときには、あまりの惨めさに泣いた。
    「逆らい…ません…」
    毎日のように何かしらの責めにあい、命令されると最近では条件反射のように、身体が熱くなる。
    「あ、ちょっと待って」
    美沙樹の手が、陽菜のお尻を鷲づかみにする。
    「ぁっ」
    突然のことに声を出したが、賑やかな店内のおかげで、誰も気づかなかった。
    「このほうが、楽しいかも」
    美沙樹の手が巧みに動く。お尻の割れ目にショーツの生地が食い込んでいく。
    「よし。座りな」
    命じられたとおりにスカートを背もたれにひっかけ、そのまま座る。
    お尻に冷たく硬い気の感触。
    「ちょっとめくれすぎ?」
    横に座る美沙樹が笑う。横からもピンクの下着が覗いていた。
    「下からも見えてるかな、パンツ。ってか、陽菜のケツ」
    椅子の背もたれは、背に当たる場所にしか板がなく、腰から下は後ろから見えてしまう。
    ポテトを数本まとめて口の中放り込むと美沙樹は立ち上がり、
    「ちょっと下から見てくるから、そのままでいな」
    店を出て行った。

    第4話□くちづけ ※
    [2/8㌻]
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    スカートをめくり、お尻を露出したまま陽菜は、ひとり取り残された。
    あまりの緊張で、脚を硬く閉じる。何もできず、トレーに乗せられた広告を見つめる。
    美沙樹さんが下に到着するまで、どのぐらいの時間だろう…
    その間だけでも、スカートを戻しておくこともできたはずだ。けれど、陽菜の心の中に、美沙樹との約束は守らなければ、という気持ちが存在していた。
    毎日義務付けられている、美沙樹の名を呼びながらのオナニーもそうだ。
    最初の頃は、証拠として動画を撮ることになっていたが、最近では、始めるときといったときに報告のメールを入れるだけだ。
    それだって、適当に時間を見計らってメールだけ入れればいい。そうしないのは、うまく表現できないが、美沙樹への想いだった。
    美沙樹は陽菜を虐めるためなら、労力を惜しまない。他の者が陽菜を虐めようとすると、相手が男子だろうと、殴りかかってでもそれをとめる。
    その美沙樹の気持ちに自分も応えたい、と思うようになっていた。命令を、約束を守ること。それが美沙樹との絆のように感じられるのだ。
    メールがきた。携帯を開く。
    『マルミエ』とだけ本文があり、下から取った写メが添付されていた。
    画像は小さく、よくわからなかったが、そのせいで陽菜がスカートをはいていないように見えた。
    下からは、こんな風に見えている…
    そう知ってしまうと、余計にお尻に神経が集中してしまう。
    椅子の冷たさは消え、下半身が熱い。
    アクリルの柵の下は、数センチの隙間があり、そこから吹き上げてくる風が、むき出しの肌を撫で回す。
    陽菜は顔まで熱くなるのがわかった。
    正面を向く。若いカップルは大学生だろうか。小さい子を連れたお母さんもいる。サラリーマンがこちらをチラ見しているように思える。
    自分の意思で下着を食い込ませ、お尻を出してるって気づかれたら、どうしよう…
    美沙樹さん、早く戻ってきて…
    「よっ」
    と美沙樹の姿が見えたときは、安堵から笑みを浮かべてしまった。
    「何、お前、きも。ケツ出して笑うなよ」
    美沙樹が隣に座りなおす。
    「気づかれないように、下見てみな」
    陽菜は、ゆっくり首を美沙樹の方に向け、視線だけを吹き抜けの下に送る。
    広場ベンチにサラリーマンがいた。頭をかく振りをしたりして時折顔を上げる。
    あからさまに見上げているおじさんもいた。
    店内に入ってきた男ふたりが、歩きながら徐々に顔の角度を上げていく。ひとりが指を刺した。
    「みんな、陽菜のケツ見てる。下からだと、パンツもあんまりよくわかんないからさ、下半身裸にみえるさ」
    写メのせいだと思っていたが、肉眼でもそんな風に見えているのだ。
    陽菜は、もう頭の中が恥ずかしさで埋め尽くされていた。
    「そのビックマック、食べ終わったら、スカート戻していいよ」
    ひと口も食べていない。
    こくり、とうなずくと、陽菜はハンバーガーにかぶりついた。
    早く食べないと。注文したときには感じていた空腹など、すっかり消えている。
    下半身の熱さが身体を満たしていた。
    早く食べないと、こうしている間にも、いろんな人が、自分のお尻をみてるかもしれない。
    美沙樹が持ってきてくれた水で、のどのつまりを解消しながら、何とか食べきった。
    「スカート、戻していいですか?」
    「いいよ。けど、戻したら、パンツ脱いでね」
    さらりと美沙樹が言った。
    「ここで…ですよね…」
    断るつもりはなくなっていた。美沙樹さんが隣にいてくれたら、大丈夫。そんな気持ちになっていた。
    「もちろん」
    こちらをチラ見していたサラリーマンはもういない。他にこちらを気に留めている人はいないようだ。
    座ったまま、スカートの横に手を入れる。
    こんな短いスカートで…正面に人がいたら、見えちゃうかも…
    「もたもたしてると、怪しまれるんじゃない?」
    スカートに手を入れたまま硬直する陽菜に、美沙樹が囁く。
    「うん…」
    少し腰を浮かせた。目だけ動かして、周囲をうかがう。
    大丈夫。下着を下ろした。一気に膝まで。
    身体を折り曲げて、ひざを通す。そこで止まった。
    男性がひとり入ってきた。ふらふらと席を探す。こちらを見た。
    下着を掴んだまま、陽菜は硬直した。男性の視線が、ひざまで降りた下着に、その奥の股間に注がれているような気がする。
    しかし、男性は表情ひとつ変えず、少し離れた席に、背中を向けて座った。
    どうやらテーブルの陰になる角度だったらしい。
    「ほら」
    促される。
    テーブルとひざとの間はあまりない。膝を上げて、片足ずつ抜くわけにもいかない。靴を脱ぎ、ショーツが引き抜きやすいようにすると、一気に足首までずり落とした。
    踵を上げ、下着を通すと、そのまま爪先を抜いた。

    第4話□くちづけ ※
    [3/8㌻]
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    「ちょうだい」
    美沙樹が手のひらを出す。テーブルの上に。
    拾い上げたピンク色の薄布を拳の中に握りこんだまま、陽菜はテーブルの上に手を出した。
    握り拳の横から、ショーツの端が見えている。
    「ほら。ハンカチ、早く貸して」
    美沙樹の言葉がフォローになっているかわからなかったが、拳のまま美沙樹の手のひらに自分の手を乗せた。
    手がかすかに震えている。
    美沙樹が空いた手を陽菜の拳の上に重ねる。
    促されるまま手を開く。陽菜と美沙樹の手のひらの間で、暖かい布が膨らんでいく。
    「よくできました」
    陽菜は、美沙樹の手の間から、ゆっくり手を引き抜いた。
    「どれどれ、ハンカチはどのぐらい汚れてるかな」
    美沙樹が上に乗せていた手のひらをどける。
    明るい店内にさらされるピンクの塊。ゴムの力で小さく丸まっているが、ハンカチには見えない。
    「やっ」
    手を伸ばして奪い返そうとする陽菜を制し、
    「暴れると、スカートめくれるんじゃない?」
    「ぁ…」
    慌てて、スカートを押さえ、脚を閉じる。
    「うあ…」
    両手のひらでうまく隠しながらもテーブルの上で、美沙樹は下着を裏返した。
    「ぅ…」
    それをみて陽菜は、性器の奥が締め付けられるような感覚になった。
    蛍光灯とそれを上回る天窓からの陽光に照らされ、陽菜の下着の性器を包んでいた部分は、ぬめぬめと光る痕を残していた。
    「変態」
    ひと言囁くように。美沙樹の声は楽しそうだ。
    「今、スカートの中、どんな感じになってるの」
    スカートのポケットに下着をつめると、残りのポテトを食べながら聞いてくる。
    「スカートが短いので、お尻の下の方が、椅子に直接当たって冷たいです」
    か細い声で答える。
    「それから?」
    続きを求める美沙樹の声。
    毎晩のオナニーの際、たまに美沙樹から実況しろと電話がかかってくることがある。自分の指の動き、感じ具合、性器の濡れ、緩み方。事細かに説明させられる。
    そのときと同じ口調だった。
    「それと、あそこの…」
    「ん?」
    電話での実況は、漠然とした表現を許して貰えていない。
    「ま…」
    こんな人のいる場所で、その言葉を口にするのは初めてだった。声が震える。
    「ま…んこの…お尻に近い側も、椅子に当たって、冷たくて…」
    冷たいです、と言ってしまうだけで良かったのに。
    「…気持ち…いいです」
    「こんなことして気持ちよくなっちゃうんだ。じゃ、ま○こ濡れてる?」
    「たぶん…」
    「ちゃんと確認した?」
    陽菜は身体が固まる。深く息を吸い込んで、呼吸を止める。そろそろとスカートに手を入れ、中指の先で割れ目をなぞった。
    「ん…」
    なぞるだけのつもりだったのに、簡単に第一関節まで潜り込んでしまった。
    「濡れて…ます」
    手を引き抜く。
    その手を美沙樹は掴み、テーブルの上に乗せる。下着以上に、生々しく光る指先。
    「どうして?」
    「陽菜は…」
    電話でしか、自分の部屋でしか伝えたことのない言葉…
    「陽菜は、裸を見られて感じる…変態なので…」
    呼吸が荒くなる。頭が白くなる。
    「たくさんの人にお尻をみられて、恥ずかしくて…」
    スカートの裾をぎゅっと掴む。
    「美沙樹さんに命令されると…それだけで、身体が熱くなって…」
    美沙樹の表情が少し、驚いたようになった。今まで言ったことのない台詞。
    「美沙樹さんの隣で…感じてるって思ったら…」
    身体が熱いのに、鳥肌の立つような感覚。腰の中がずきずきする。
    「私が、陽菜の感じてるのに気づいてたら、どうなるの?」
    美沙樹の瞳。心の奥まで見つめられている気持ちになる。
    声が震える。頭の中が美沙樹でいっぱいになる。
    「余計…恥ずかしくて…ん…気持ちよくて…」
    陽菜の身体が小さく震える。自分の身体を抱く。抑えないと弾けそう。
    「ゃ…だめ…助けて…」
    身体を襲う波が大きくなる。とめられない。
    「いきそうなの?」
    美沙樹が静かに聞く。
    陽菜は頷くだけで精一杯だ。
    「こんな人前で、下半身さらけだして、恥ずかしいのに感じてるの?」
    耳から身体の内側を刺激する愛撫のような声。
    「私に命令されるだけで、ま○こぐちゃぐちゃに濡らしてるの?」
    身体が震える。頷くことさえできない。
    「いきなさい」
    美沙樹が陽菜を強く抱きしめた。きつく、優しく。
    「はぃ…」
    美沙樹が押さえ込んでくれる中で、陽菜は痙攣を繰り返す。

    第4話□くちづけ ※
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    意識が戻ってきたとき、シャツの上から美沙樹の肩を噛んでいることに気づいた。
    「大丈夫?」
    痛みなど顔に出さず、美沙樹が頭を撫でる。
    「テストの点数悪かったぐらいで、いちいち泣いてってしょうがないだろ」
    テスト?
    焦点の合ってきた目で周囲を見渡すと、こちらを見ている人たちが何人かいる。
    「うん…ごめんなさい…」
    私、こんな人前で、いってしまったんだ。そんな私のこと、美沙樹さんは、ずっと抱きしめてくれていた。
    私は意識が跳んだからわからないけど、美沙樹さんは、周囲の人たちが注目していることを知っていたはずだ。
    それでも、ためらわずに…
    「ごめんなさい…」
    陽菜はもう一度言うと、本当に涙をこぼした。
    「ほら、そろそろいかないと、先生に怒られるし」
    ポケットから出したハンカチで、陽菜の涙を拭いてくれた。
    そのピンク色に見覚えがあって、陽菜は固まる。
    「このハンカチが、何か?」
    美沙樹が楽しげに微笑んだ。
    マックを出ても美沙樹は、下着を返してはくれず、そのままふたりはショッピングセンター内を歩き始めた。
    陽菜は、美沙樹の腕を掴んでいた。
    まだ、頭と身体がふわふわとしている。「いった」と表現するのが正しいのか、よくわからない。初めての感覚だった。
    全身が暖かな充足感に包まれ、それは脳内まで満たしている。
    「すっげー間の抜けた顔してるんだけど?」
    美沙樹が顔をのぞき込んでくる。これだけ陽菜を辱めておいて、まだやりたりない、という顔。
    「もう…戻ろうよ…」
    身体がおかしい。立っていられない。
    というより、横になって、この余韻に浸っていたい。
    「それでいいの?」
    え?いいに…決まっている。
    それなのに、迷ってしまった自分がいる。
    腰の中に溜まった熱さが、治まることなく疼いている。
    「このまま教室に戻って、みんなの前で普通の顔していられる?」
    美沙樹の問いに、陽菜は首を横に振っていた。自分でもどうすることもできない感覚。
    「じゃあ、いかせてほしい?」
    頷く。美沙樹なら、自分ではもうどうすることもできなくなったこの身体を救ってくれるように思えた。
    「じゃあ、私のいうことに服従だからね」
    「はい…」
    服従…その言葉だけで、身体が溶けていきそうだった。
    ショッピングセンターの2階の通路は、中央が吹き抜けになっていて階下を見下ろせる。
    当然1階から見上げたら…
    陽菜は、吹き抜け側を歩かされた。
    下を向かないよう視線をそらす陽菜に、
    「ちゃんと下を見な。誰にみてもらえたか、ちゃんと確認しなよ」
    1階を歩く人たちは、それがマナーであるかのように、見上げることはなかった。
    見上げたからといって、陽菜のスカートの中が、はっきり見えるわけでもない。それでも、真下から突き上げてくる視線を感じ、陽菜は吐息を荒くしていた。
    「美沙樹さん…」
    助けてもらえるどころか、身体の疼きはひどくなる一方だ。
    マックの店内では、このまま頭の中が白くなったが、それもない。
    一度達した身体は、それ以上の本質的な快楽を求めていた。
    「少し、座るか」
    前方に見えるベンチを指さす。
    「由香里からのメールも返したいし」
    ふたりはベンチに座る。
    「まん汁ついたら困るから、スカート下にしないように座りな」
    硬い感触がお尻にめり込む。
    数枚の板が透き間を空けて並べられた作りで、板の一枚一枚が微妙に湾曲している。
    そのため波打った板の角が、下半身をぐりぐり責めてくる。
    「脚開きな」
    言いながら美沙樹は、携帯をいじっている。
    「もっと」
    見ていないようでしっかり陽菜のことを観察しているようだ。
    陽菜は、両膝を開いた。拳2個以上は開いている。
    正面から風が吹き付け、性器の前に視界を遮るものがないと教えてくれる。
    「メール終わるまで、そのままでいな」
    「はい…」
    陽菜の声の震えに気づいたのか、
    「大丈夫だって。角度的に正面からは見えないって」
    そうだよね。陽菜は、自分に言い聞かせる。
    前方にいる人は皆、立っているか歩いているかだ。
    その角度からスカートはのぞけないはず。
    見える角度まで離れたら、今度は暗すぎて見えないはず。
    「下から誰も来なければね」
    美沙樹が言葉を続ける。
    「え?」
    陽菜は言葉の意味がよくわからなかった。
    だが次の瞬間、自分の目の前に頭が見えて気づいた。その頭は徐々にあがり、男の顔が見えた。
    「やっ」
    陽菜は思わず、膝を閉じる。
    ベンチの目の前にエスカレーターがあるのだ。

    第4話□くちづけ ※
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    わかっていたが、わかっていながら、それがどんな事態を引き起こすかまで、想像できていなかった。
    下の階から上がってくる人からは、真っ正面に陽菜の股間が来る。それは数秒のことかもしれないが、確実に目撃されるだろう。
    「誰が脚閉じていいって言った?次、閉じたら…いかせてやらないけど?」
    美沙樹の澄んだ冷たい声。さっきまでの上機嫌さはなくなっていた。
    「開きます」
    陽菜は、さっきと同じぐらいに脚を開く。
    「ごめんなさい…」
    「もっと開けよ」
    美沙樹の手が乱暴に陽菜の脚を開く。
    膝の間は、拳3個以上開いた。
    スカートも開いた脚のせいでずり上がる。
    垂れた生地が前を隠してくれる状態ではなくなっていた。
    「手は膝」
    厳しい声。
    「下見て、目を瞑りな」
    容赦なく命じる。
    「ちょっとトイレ行ってくるから、その間そのままでいな」
    「はい…」
    美沙樹が立ち上がる気配を感じた。
    陽菜は、ベンチにひとり取り残された。
    肩幅まで開かれた脚。股間ぎりぎりまでずり上がったスカート。
    蛍光灯と太陽に煌々と照らされた明るい店内の明かりは、容易く陽菜のスカート内に侵食してくる。
    スカートの陰にもならず陽菜の性器は見えているはずだ。
    先ほどまで羞恥心を煽られ続け、潤みきった性器を公の場で晒している。
    エレベータを上がってくる人の目に飛び込んでくるはずだ。
    脚を開いたはしたない姿。そしてその奥に隠されもしない股間。中途半端に生えてきた陰毛。
    エレベータに平行して設置されている階段を上ってくる人だって同じだ。
    もしかしたら、足を止め、じっと観察しているかもしれない。
    目を閉じるように命令され、視界を奪われた陽菜には、それを確認することはできない。
    怖いよ…
    肩が震える。膝の上の手も、無意識のうちに握り拳になっていた。
    美沙樹さん、早く戻ってきて…怖い…
    下からやってくる者たちだけではなく、今の状態なら、正面にいるだけでスカートの中が見えているかもしれない。
    そうだとしたら、もっと大勢の人が、性器を露出する陽菜のことを見ていることになる。
    いやらしい目で。軽蔑した目で。
    発情して見境なくなったメス犬と思われて、声をかけられてしまうかもしれない。
    いや、頭のおかしい変態として、警備員に通報されているかも…
    「?」
    目の前に人の立つ気配。瞼を閉じていても、光を遮る陰の存在はわかった。
    「ごめんなさい…」
    陽菜の声はか細く、震えていた。
    それでも目を開けることも、脚を閉じることもしない。
    もう約束を破りたくない。美沙樹さんの不機嫌な声を聞きたくない。
    いや…
    もっと美沙樹の楽しげに弾んだ声を聞いていたい。
    それが、自分自身を虐めることによる楽しみだとしても。美沙樹さんの笑顔を見たい。
    「見逃してください…」
    あまりの恥ずかしさに脚が閉じようとする。膝に置いた手が、それを押さえつける。
    人影は無言で、迫ってくる。膝の…股間のすぐ前。そこでしゃがんだ?
    「脚を閉じなさい」
    「ごめんなさい…できません…」
    「いいから…目も開けて」
    膝に手がかかる。
    思わず逃げ出しそうになるが、それでも身体に力をいれ、
    「できません…」
    言いかけて気づいた。この声…
    「美沙樹さん?」
    目を開ける。目の前にしゃがんだ美沙樹の姿。
    途端に安堵の涙が溢れ出る。
    「そんなに、いかせてもらいたかったの?」
    あきれたような顔をして、陽菜の脚を閉じさせる。スカートも直してやる。
    陽菜は首を横に振る。声が出せず、涙ばかりが流れる。
    「ごめんなさい…」
    なんとか言葉を発する。
    「美沙樹さんを…怒らせて…ごめんなさい…」
    鼻水まで出てくる。
    「もう…逆らいませんから…笑顔でいてください…」
    美沙樹の手が、陽菜の顔に迫る。その手にはティッシュがあった。
    「はいはい。わかったから、泣くなって」
    口に入りそうになる鼻水を拭いてやる美沙樹の声は、優しかった。
    「顔、ぐちゃぐちゃだよ?もとからだけど」
    涙も拭く。
    「さ。立ちな。さすがに周りのやつら、変な目で見てるわ」
    陽菜は、うなずいて立ち上がる。周りの様子を確認するのが怖くて、下を見たままだった。

    第4話□くちづけ ※
    [6/8㌻]
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    ふたりは更に3階まで上った。
    3階といってもそこは、屋上駐車場への出入り口だ。エレベータと自販機があるぐらい。
    そこの階段脇のスペースがカート置場だ。階段横の柵と壁との間は1メートル弱。ショッピングカートの間をすり抜けて、奥の何もないスペースに入った。
    2階の柵は、透明なアクリルボードが張られていたが、3階はベージュっぽい色の板だ。
    ふたりの下半身は、階下からは見えない。
    カートの近くに来なければ、同じ階にいてもわかりづらい場所だ。
    「あんな無茶なことして」
    そう命じたはずの美沙樹が責める。しかし声は、暖かい響き。
    「ごめんなさい」
    陽菜も、お前が命令したんだろ、とは言わず、素直に謝る。
    「さっきの、笑顔でいて、ってどういう意味?」
    美沙樹は柵にもたれ、階下を見下ろす。ここも吹き抜けになっていて、1階の広場が見える。
    「それは…」
    さっきまでは、押し寄せてきた羞恥心と快感、その後の恐怖で、頭が混乱していた。
    冷静に考えれば、イジメを受けている陽菜が、こんなことを考えるのはおかしい。
    けれど、これはきっと、本心。
    「美沙樹さんの楽しそうな顔…好きなんです…」
    陽菜は美沙樹の横顔を見つめる。同級生とは思えぬほど、大人びた奇麗な顔。メイクの技術を差引いても、陽菜などより数段美形だった。
    その顔が、驚いた表情になる。
    「私を…虐めて、美沙樹さんが楽しいと思ってくれるなら…それでいいって…」
    陽菜は心にある漠然とした何かを必死に言葉にしていく。
    「だから、いかせてほしい、とかじゃなく…笑ってほしくて…私のせいで機嫌悪くなってほしくなくて…」
    また涙が出そうになる。
    「陽菜」
    美沙樹の厳しい声。
    「はい」
    また怒られる…こんな変なこと言われたら、怒るに決まってる…
    「下見てなよ。誰か来たら教えな」
    美沙樹は、陽菜の背後に回る。
    慌てて陽菜は柵に両手をかけ、言われた通りにする。
    「今日は、口塞いでやれないから、自分で塞いでなよ」
    美沙樹は、陽菜の両脚を大きく開かせると、その間にしゃがみこんだ。
    「え?や…」
    陽菜の性器は愛液にまみれ、今はそれが乾いてこびりついている。そんなところを間近で見られてる。
    「や、じゃない。せっかく頑張ったんだ。ちゃんといかせてやる」
    次の瞬間、股間を襲った刺激は、脳天まで駆け上がり、
    「ああっんっ」
    思わず声が上がる。無人の3階に響き、慌てて口を押さえる。
    皮をめくるようにそれは動き、クリトリスを刺激する。ねっとりとした動きで、亀裂に沿って撫でていく。
    今までに感じたことのない刺激に、脚が固くなるが、その脚は、美沙樹の両手でしっかりと押さえられている。
    「え?両手?」
    それが、手による…指による刺激ではないことに、そして美沙樹がどうやって責めているのかに気づいた。
    「美沙樹さんっ、んあっ…だめ…汚い…」
    ぴちゃぴちゃ、という音。美沙樹の唾液と、陽菜の愛液。
    「ほんと、汚ぇま○こ。まん汁まみれだし、臭ぇし」
    それでも美沙樹の舌は止まらない。クリトリスの辺りに口唇をつけ、じゅるじゅる、と音を立ててすする。
    「けど、美味いよ。陽菜の味がする」
    汚れていると思っている部分、汚いと罵られてきた部分の味を知られてしまった恥ずかしさと、未知の刺激に、陽菜は言葉が出せない。
    「んぁ…んんっ」
    出そうとすると全てが喘ぎになる。自らの腕を噛んで、必死に押さえこむ。
    「いいか…陽菜…」
    口唇が陽菜のそこからはずれ、代わりに指先が責め始める。
    「私は、陽菜を虐めてて、楽しい…それは、本当だ…」
    陽菜の右のお尻に口づけ。
    「陽菜が私の命令で困ったり、泣きそうになったりするのをみてるが…すごく楽しい…」
    舌先でお尻の割れ目をなぞる。
    「だけど、ほんとにやったら、まずいだろって命令もしてしまうことがある。勢いとかで、さ」
    躊躇いもなく、肛門を舌先で舐め、ほじるように責める。
    「そこ…汚…ぃよ…」
    陽菜の言葉に抵抗するかのように、つきたてる。
    「そのときは、できませんって言っていいんだ」
    美沙樹の言葉に戸惑う。虐められてるのに、拒絶していいの?
    聞き返そうとするが、クリを小刻みに刺激する指先に邪魔をされる。
    「そりゃ、なんでも、できないとか言われたら、腹も立つけどさ。でも、できないと思って命令することもある」
    反対側の頬に唇が移る。
    「そのときは、ちゃんとお仕置きしてやるから、安心しな」
    ちゅううっ、と音が出るぐらいに、きつく皮膚が吸われる。

    第4話□くちづけ ※
    [7/8㌻]
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    「さっきだってそうだ。お仕置きしてやろう、と思って命令したのに、守りやがって」
    「んぁっ」
    柔らかな肉に、美沙樹が歯を立てる。
    「股開いてる間中、私が前に立ってなかったら、お前、ほんと犯されてたぞ」
    トイレに行っていたのではなかったのか…
    「ばーか」
    そして再び、口唇は、陽菜の性器へ。
    充分に緩みきった割れ目の中に舌先がもぐりこむ。中身をすくい出されてしまうような動き。
    「わかったら、返事」
    性器に口をつけたまま喋る。
    「ふぁあっ いっん」
    膣内に直接響くような声に、まともな声が出ない。
    性器を舌が這い、ぴちゃぴちゃ、じゅるじゅる、と淫猥な音が聞こえ、その間も指先は、内腿をなぞり、お尻をもむ。
    とろけそうな感覚。膝ががくがくとして、今にも崩れそうになる。
    かすんだ視界に、階段を上る子供が見えた。母親に手を引かれ、1段ずつのぼってくる。
    「美沙樹さん…人…んあっ」
    「いいんじゃね?見せてやろう」
    口ではそう言いながらも、美沙樹は立ち上がる。
    親子の姿を確認して、背を向け、柵に寄りかかる。
    「美沙樹さん…口…」
    美沙樹の口の周りは、濡れ光り、べとべとだ。口紅もとれてしまっている。鼻の頭、顎の先まで愛液まみれだ。
    「お前が濡らしすぎなんだ。変態」
    言いながら手が、柵と陽菜の腰の間にもぐりこむ。
    スカートをめくり、指先が潜り込む。
    「ちゃんと、のぼってくるとこ見てろよ」
    指先も愛液にまみれ、その先で、集中的にクリトリスを責める。
    「んんっ」
    陽菜は口唇を噛んで、必死に喘ぎをこらえる。
    上りきった親子は、陽菜たちとは反対側の出口から、屋上に出て行った。
    自動ドアの閉まる音と同時に、
    「こっち…」
    向け、まで言わずに、陽菜の身体を反転させる。
    視線だけで誰も来ないことを確認すると、美沙樹は、自らの口唇を陽菜のそれに重ねた。
    驚き、陽菜が目を見開く。
    美沙樹が口で陽菜の性器を責めたのも初なら、口唇を犯すのも初めてだ。
    これ…キス…だよ…
    混乱する陽菜から、一旦離れ、
    「これが、陽菜の味だ。どんな味した?」
    「臭いです…」
    あまりのことに思わず、素直に答えた。
    美沙樹は、大笑いした後、
    「だろ?」
    再び、口唇を重ねてくる。
    性器を犯していた舌先が、陽菜の口唇を割って、潜り込んでくる。
    噛んじゃいけない、と思うのが精一杯で、陽菜は口をあけ、それを受け入れる。
    陽菜の舌にそれが絡まる。脳が溶けそうな甘い刺激に、逃げようとしてしまう舌を美沙樹が追いかける。
    追いかけながら、上、横、歯茎、歯と口唇の間…至る所を舐め、舌先で刺激し、舌全体で味わってくる。
    陽菜の舌がいつの間にか、それを追いかけていた。抵抗するように、舌先で押し返し、退かれると追いかけ、すがるように絡みつく。
    「んあ」
    唾液の混じる淫らな音に混じる喘ぎは、陽菜の声。それとも、美沙樹の…
    美沙樹の腕が、力強く陽菜の腰を抱く。
    気づいたら、ブラウスのボタンははずれ、ブラはずれ、美沙樹の手が乳房を嬲っていた。
    「だ…ぇ…んあっ」
    口唇が離れても、舌は絡み合い、離れていく美沙樹を陽菜が追いかけ、口唇を奪う。
    美沙樹にされたようことを復習するように、美沙樹の口の中で再現していく。
    美沙樹の腕に力が込められ、陽菜も負けない力で美沙樹を抱きしめる。
    開かれた陽菜の脚の間に、美沙樹の膝が割り込んでくる。
    かたい感触が、陽菜の股間にめり込む。
    陽菜の脚から力が抜け、体重が美沙樹の膝にかかる。
    性器が変形するほど押し付けられ、ぬちゃぬちゃ、とこすり付けられる。
    「陽菜…自分から、腰動かしてるのに、気づいてる?」
    口唇から離れた美沙樹が、耳たぶをあま噛みしながら囁く。
    「ぁぁ…」
    教えられて初めて気づいた。恥ずかしい。自ら快感を求めている…
    それなのに腰が止まらない。
    「だって…気持ちよくて…」
    「じゃあ、もう一度、ちゃんとお願いしてみな」
    美沙樹が首筋を噛む。
    「お願い…します…いかせてください…」
    「よし。いかせてやる」
    膝が、ぬちゃ、と音を立てて離れると、美沙樹の手が代わりに潜り込む。

    第4話□くちづけ ※
    [8/8㌻]
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    クリトリスと尿道口の辺りを集中的に指先が、小刻みな動きで責めていく。
    美沙樹の得意な…陽菜の好きな、責め方。
    「ああああ…」
    溢れる声は止まらない。
    「みんなに聞こえるよ」
    陽菜の後頭部に手を回し、美沙樹は自分の肩に陽菜の顔を押し付ける。
    「あ、反対。さっき、こっちだったから…」
    左右を入れ替える。深く理由も考えられないまま、陽菜は条件反射のように、美沙樹に歯を立てる。
    最後の足かせが外れたように、美沙樹が激しく動く。強く抱かれる腕の力さえ、快楽だった。
    「んんんんん…」
    くぐもった喘ぎ声。自分の快感を直接美沙樹の身体に伝えるように、顎に力が入る。
    次の瞬間、がくんっ、と陽菜が跳ねた。意識が飛ぶ。
    痙攣する自分の身体を強く抱き寄せてくれた美沙樹の顔が、かすんで見えなくなる。
    気づいたら、ふたりで床に座っていた。
    ブラウスは治っていたが、ブラはずれたままだ。
    隣で美沙樹が、指を舐めていた。猫のように思えた。
    「美沙樹さん…」
    名を呼ぶだけで、身体が温かくなる。
    「動けるか?」
    美沙樹が立ち上がる。
    「ちょっと…まだ、腰が…」
    そう言いながらも差し出された手をとって、立ち上がる。
    不審そうな目でこちらを見ながら、男性が通り過ぎる。
    「さすがに、怒られるな」
    腕時計を見る。陽菜も覗き込む。
    「え?どうしよ?」
    昼休みはとっくに終わり、5時間目もあと10分ほどで終わる。
    「いっしょに、怒られるか」
    美沙樹が苦笑いする。
    「はい」
    陽菜が、笑って答える。
    「なんだ、そのうれしそうな顔。武田に怒られて、ま○こ濡らすなよ」
    担任の怒る顔が浮かんでくる。
    「濡れません」
    ふたりで笑う。
    「まずは、トイレだな」
    「服、なおさなきゃ…」
    そして気づいた。
    「美沙樹さん、それ…」
    美沙樹の肩に滲む赤。淡いピンク色のブラウスに染みている。しかも両肩。
    「ごめんなさいっ」
    「あ、気にするな。噛ませたのは私だし」
    染みてる血を確認し、
    「次は、声出してもいい場所にしないとな」
    ふたりでトイレに向かう。
    だが、陽菜が、内腿やお尻、乳房についたキスマークに気づくのは、トイレではなく、家に帰ってからだった。

    「ところで、買い物袋、どこに置いてきたっけ?」

    【 完 】

    第5話□コスプレ文化祭 ※
    [1/4㌻]
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    学校からの指導もあって、文化祭パレードの衣装は質素なものだった。
    余りに露出の高いセクシーな衣装が増えすぎたため、パレードコースになっている近隣住民から苦情が入ったのだ。
    陽菜にとってはありがたいことだった。
    陽菜は、肌を見せることや身体のラインがでる服が、嫌いだった。
    プロポーションは悪い方ではない、と美沙樹に言われたことがある。
    ただ、自分としては、もう少し身長がほしい。身長が低いばかりに、胸ばかり育って見えてしまう。
    美沙樹も虐め仲間の由香里も身長が高い。由香里は、中学時代バレー部だったせいか、170センチを越える。
    そこまでほしいわけではないけど、あと5センチぐらいはあってほしい。
    そんな些細なコンプレックスのせいだけではないのだろうが、羞恥心が異常に育ってしまった。
    本当は短いスカートなんて論外なのだ。
    午前中のパレードの抑圧のため、校内の模擬店はとんでもないことになった。陽菜のクラスの学級発表は喫茶店。しかもコスプレ喫茶。
    暗躍する美沙樹の姿が目に浮かぶ。
    クラスでは目立たないはずの陽菜が、気づけばウエイトレス役にされていた。皿洗いなどの裏方が良かったのに。
    しかも、通常はウエイトレス役の生徒自身が、自分たちの着る衣装を手がけるはずなのに、陽菜の分は美沙樹たちが作った。
    陽菜自身は、テーブルクロスやその他の内装係。作業も別部屋で行われ、どんな衣装かわからないまま、当日を迎えていた。
    教室の1区画をカーテンで仕切っただけの準備室。
    とりあえず「厨房」と呼ばれているが、コップ1杯100円の暴利価格を設定したジュースの入った冷蔵庫があるだけ。クッキーが手作りなだけ良心的だ。
    ウエイトレスたちは、その厨房で着替えることになっていた。ウエイター役の男子は、店内で着替えている。
    「陽菜の分は、これだから、さっさと着替えな」
    バッグの中から、白い服を取り出した美沙樹が言う。自分の衣装も出す。クラスメイトからもらった黒いワンピを改造したメイド服だ。
    美沙樹は、もう2ランク上の高校にもいけたほどの学力を持ち、スポーツも得意。その上かなりの美人。
    陽菜は、メイド服を見て憂鬱な気分になる。
    裁縫の腕まであるのだから、神様はよほど美沙樹のことが好きに違いない。
    それに比べて自分は…
    「なに、ぼーっとしてんのさ」
    売り物のクッキーを摘みながら、美沙樹が言う。メイド服に合わせたのか、上下とも黒い下着姿で、堂々としている。
    バランスのとれたプロポーション。同性の陽菜が見ても、どきどきしてくる。
    「あ、うん。ごめん」
    他の女子たちも大半が着替え終え、厨房から出ていく。
    「え?これ…」
    胸の前に広げたコスチュームは…
    「看護婦さん」
    しかも何となく小さい。
    「コスプレの定番だろ、ナースは」
    おやじ。
    「でも、これ…」
    「いいから。着たらちゃんと伸びるから」
    それはそれで、嫌な予感がしたが、もたもたしていられないのも確かだ。開店時間になれば、厨房内も慌ただしくなり、男子も女子も出入りするようになる。
    陽菜が下着姿になったときに、
    「覗くんじゃねぇよ、村井っ」
    美沙樹がクラスの男子の名を怒鳴る。
    陽菜は慌てて衣装で身を隠すが、どこから、いつから覗いていたのかわかっていない。おそらく下着姿を完全に見られただろう。
    美沙樹の方は、男子の視線など気にしていないのか、下着姿のまま売り物の紅茶を飲む。
    「ああいうバカも出てくるから、さっさと着るよ」
    美沙樹は、上から被るだけ。陽菜の衣装も同じような作りだ。
    胸前のファスナーを開け、Tシャツを着る要領で着る。確かに生地は伸縮性があり、身体に合わせて伸びるが、かなりタイトだ。
    「ぴったりじゃね?」
    正面に立った美沙樹が、胸前のファスナーをあげる。服はさらに伸び、胸が強調される。
    ファスナーは胸元までしかない。谷間どころか、下着まで見えそうだ。
    「これ…恥ずかしい…よ…」
    陽菜は身体が熱くなる。
    「いいから、いくよっ」
    抵抗もできないまま、飾りのようなナースキャップを被せられ、自称厨房から引っ張り出される。

    第5話□コスプレ文化祭 ※
    [2/4㌻]
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    教室の賑わいが一瞬、やんだように思えた。そして注がれる視線。
    陽菜の衣装は簡単に言ってしまうと、ナース服風Tシャツワンピだ。身体にぴったりはりつき、ラインがはっきり浮かび上がっている。
    白く薄い生地。肌の色こそ透けていないが、胸の大きさも、お尻の形も、ウエストのくびれ具合も一目瞭然。
    普通に裸になるだけならあまり気にならないお腹も、少し出ているように感じられるのは、きれいに浮き出たおへそのくぼみのせいだろうか。
    そして何より恥ずかしいのは、下着が透けていることだ。
    誕生日に美沙樹が買ってくれた、派手なピンクのブラとショーツ。大切にしまってあったが、美沙樹にリクエストされ、今日は身につけてきた。
    そのピンク色だけでなく、ブラのカップやショーツのサイドにあしらわれた花柄もわかる。しかも色や柄だけではない。張り付いた薄い生地は、下着の形まで浮き上がらせているのだ。
    これでは下着姿でいるのと変わらない。
    ショーツはかなりきわどい位置までレースが使われ、陰毛が透けているが、そこまでは見えていないようだ。
    「あんまり発情した顔してっと、わざと下着見せてる変態ってばれるよ」
    美沙樹が耳元で囁く。
    「うん…」
    けれど、もう下半身の奥が熱い。耳元に感じた美沙樹の吐息が、火種を煽ったのだ。
    「うんって…」
    美沙樹が苦笑いする。
    「あ、や、えと、わざとじゃなくて…」
    陽菜の頭の中は、パニックになってしまう。無意識の内に、露出好きということを認めてしまったのだ。
    「はいはい。変態さん。下着の替えなんてないんだから、あんまり汚さないようにね」
    陽菜は頷くことしかできない。すでに下着を汚してしまっているのを自覚していた。
    「さあ、仕事仕事」
    美沙樹が陽菜の背中を押して、ホールへ進んでいく。
    「はい」
    陽菜はみんなにならって、開店の準備を始める。
    スカート丈は膝上3センチぐらい。制服より長いので、気持ちは楽だ。
    かえって美沙樹の方がスカート丈は短い。ひらひらと広がっているせいもあって、ちょっとした動きで下着が見えてしまいそうで、見ている陽菜がはらはらする。
    当の本人は、それを楽しんでいる様子で、くるくる回って見せたりして、周りの男女を盛り上げている。
    他のウエイトレスの中にも過激な衣装があった。胸とお尻を毛皮で覆っただけの猫耳や、ミニ浴衣、赤と青の全身タイツで胸にヌーブラを貼っているふたり組みもいる。
    メイド姿は美沙樹を入れて3人。衣装の出来からいっても、着ている人間からいっても、美沙樹が一番だ。ただ、あの偉そうな態度は、メイドとしてはいかがなものか。
    準備が終わると同時に開店した。
    他校の男子生徒が、客の大半を占めた。主にナンパ目的だが、ウエイトレスの側の同じようなものだった。
    最初は客の入りも少なく、陽菜は接客するより、裏方を手伝ったり、会計をしているほうが多かったが、1時間もたつと、ほぼ満席になっていた。
    そうなってくると、ウエイトレスとしての本分を全うしなければならない。
    トレイに水を乗せて、客のもとへ向かう。
    やはり他校の生徒。メニューより女の子を物色するほうに集中している。
    「あのメイド、可愛いよな?」
    「あっちの猫耳、パンツみえそう」
    下心丸出しのひそひそ話を聞こえない振りしながら、テーブルに水を置く。
    「いらっしゃいませ」
    美沙樹をじろじろ見てたので、視線を遮るように立った。
    「ご注文はお決まりですか?」
    ふたりの視線が胸に集中するのがわかる。ブラの構造と衣装の締め付けで、いつも以上に谷間がはっきりしているのだ。
    「飲み物は…何になさいますか?」
    何とか視線をそらしてもらわないと、恥ずかしさで顔が熱くなってくる。
    テーブルの上に置き、メニューをみるふたり。わざわざ陽菜の近くに置いている。
    その理由に気づいて、陽菜は身体が固まった。
    テーブルとして使っている机は、ちょうど陽菜の脚の長さぐらい。美沙樹への視線を遮るため、テーブルに近づきすぎていた。
    男たちの視線は、メニューではなく、その先の陽菜の股間に注がれていたのだ。白い生地の向こうに透けて見えるショーツに。
    「あそこの毛まで、見えたりしてないよね…」
    変な妄想が頭の中に芽生え始めて、陽菜は慌ててトレイで前を隠す。
    「コーヒーセットふたつで」
    客は残念そうな声で注文する。
    注文の確認も忘れて、身を翻すと厨房に向かう。

    第5話□コスプレ文化祭 ※
    [3/4㌻]
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    ホール内を歩くだけでもかなりの視線を感じるのに、テーブルに着くとこんなにも集中して視線を注がれてしまう。
    下着姿で歩き回っているような恥ずかしさ。堂々としていないと変に思われるから、隠すこともできない。
    コーヒーセットを持って再び、あのふたりのもとへ。
    テーブルにコーヒーとクッキーの載った皿を並べていると、自然と前屈みになり、谷間をさらけ出すことになった。
    テーブルを去るときに、
    「巨乳じゃね?」
    「ってか、あれ水着?かなり透けてたよな」
    男たちの声が聞こえる。
    ここまで間近で、男たちからの性欲丸出しの視線を感じたことは今までなかった。緊張を越えて、恐怖すら感じる。
    「顔が固いぞ」
    美沙樹が、近づいてきた。
    「どうせ襲われたりなんかしないんだから、みんなに見られて、気持ちよくなんな」
    「無理です。こんなに…ちょっと怖くなってきます…」
    「じゃあ、仕事に集中してな。周りがどんな風に見てたか、後で教えてやっから」
    後で美沙樹さんに…
    熱い感情が身体を満たす。
    「いきなり顔がふやけたぞ。発情しすぎだ。仕事しろ、仕事」
    陽菜が否定しようとするより早く、美沙樹は新しい客に、いらっしゃいませ、ご主人さま、と笑顔を振りまいていた。
    3時を前にして、忙しさはピークを迎えていた。
    開店時は10人いたウエイトレスやウエイターも、いまは5人しかいない。交代で休憩するはずが、時間になっても戻ってこないヤカラがいるのだ。
    しかもナンパ目的の男子だけではなく、休憩場所を求める客も増え、常に満席状態。周囲の視線も囁きも気にかける余裕がない。
    だが、陽菜が意識するしないにかかわらず、下着は透けているし、テーブルを拭けば胸は覗かれる、ごみを拾おうと屈めば、お尻ぎりぎりまで太ももが露になる。
    そこに注がれる視線に、不意に気づいてしまうと突如として羞恥心が襲ってくる。意識していなくても蓄積されているのか、性器を直撃するような刺激だ。
    だが、その刺激に酔おうとしても、店の混雑がそれを許さない。強引に現実に引き戻される。
    それは、いきたいのにいかせてもらえない、じらしの責めに似ていた。
    「いらっしゃいませ」
    「今、こちらの席を片付けますので」
    疲労もピーク。客の誘導と配膳がかみ合わない。
    客が誘導されてくる席に残ったままのカップや皿を美沙樹が手際よく片付けていく。
    近くにいた陽菜も手伝おうとテーブルと椅子の間に入った。
    「陽菜、そこ気をつけな」
    美沙樹がいい終える前に、テーブルクロスが脚に絡んだ。水の入ったコップが陽菜に向かって倒れる。
    テーブルと椅子の狭い隙間に中腰のように入っていた陽菜の股間に、水が注がれるようにかかる。
    「そこ、だめ」
    美沙樹がコップを立てながら、小声で怒鳴る。
    「ひぁっ」
    水をよけようと後ろに下がった陽菜は思わず、椅子に座ってしまった。その椅子が冷たい。濡れてた。
    先にいた客が椅子の上に水を零してしまっていたのだ。それを美沙樹が注意しようとしたが、間に合わなかった。
    「立ちな…」
    美沙樹の声に反応しようとして、陽菜が固まる。
    濡れた股間からショーツが透けている。白い布の色など完全になくなり、鮮やかなピンクがはっきり見える。
    そして、レース生地から透けた陰毛の黒。それが目に飛び込んできたのだ。
    気づいた美沙樹が、テーブルに載った空のトレーを手渡す。
    トレーでぎくしゃくと股間を隠しながら、陽菜は立ち上がる。
    席の空くのを待っていたカップルの視線は、怖くて確認できなかった。
    「乾くまで厨房と替わってもらいな」
    「うん。ごめん」
    陽菜はそう答えるだけで精一杯だった。
    くすくす、と笑い声の聞こえる中、トレイで股間を隠したまま、厨房へ向かう。その陽菜の耳に聞きなれた電子音が飛び込んできた。携帯のシャッター音。
    振り返ると、他校の男子3人がはしゃいでいた。ひとりの手には携帯。
    濡れて透けたのは前だけではない。濡れた生地がべっとりと張りつき、下着も形もリアルに浮き上がったお尻を撮影されたのだと気づき、恥ずかしさと怒りとで身体が固まる。
    振り返って何か言ってやりたいのに、口が動かない。
    「てめえ」
    その声が美沙樹のものだとわかったときには、男たちの目の前に美沙樹が立っていた。

    青空の虜
    第5話□コスプレ文化祭 ※
    [4/4㌻]
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    「あそこに書いてんの読めねえのか」
    壁に貼られたポスター。「店内禁煙」「撮影禁止」「おさわりご遠慮願います」。
    びっくりした顔の男子から携帯電話を奪い取る。
    「何すんだっ」
    男たちがようやく反応したときには、他人の携帯だというのに手早く操作した美沙樹が画像を消去し終えていた。
    「ひとの携帯、勝手にいじんじゃねえよ」
    携帯を奪われた本人ではない男が、キレて椅子を蹴飛ばす。静まり返る店内。クラスの男子も他の客も何もできない。
    陽菜自身も、動けない。
    「だめーっ」
    それでも声が出た。自分でも驚くぐらい、大きな声。
    美沙樹に掴まりかかろうとした男の動きが止まる。
    その瞬間、美沙樹が動いた。携帯を自分の足の間に突っ込む。同時になるシャッター音。
    誰もが、一瞬、何をしたのか理解できなかった。
    「ほら。ありがたく待受にしろ。次からは金とるぞ、ご主人様」
    自分のパンツ画像をおさめた携帯を相手に投げ返す。
    あまりの出来事に、男たちは放心してしまった。
    静かだった店内に、賞賛に似たどよめきと、笑い声が甦る。
    立ち尽くす男たち。謝ることも、暴れることもできないまま、選択を迫られている。
    「引き際、間違えるなよ、兄ちゃんがた」
    いつの間にか男たちの後ろに立っていた、3年の男子が、にやり、と笑って出口を指差す。
    よく今まで籍が学校に残っているものだと噂される、木崎先輩だった。出口には、その仲間が数人立って、こっちを見ている。
    男たちは、木崎と美沙樹を交互に見たあと、何も言えずに、店内をあとにした。もちろん、仲間のいないほうから出て行った。
    「木崎さん出てこなくても、やれたんすけど」
    美沙樹がふてくされたように言う。
    「うるせ。お前がやったら、折角の店内、壊れんぞ」
    「余計なお世話ですよ。けど、あれです…ありがとうございます」
    ヤンキーのように頭を下げる。
    「コーヒーおごります」
    「いいよ。それより、ここ終わったら、ちょっと付き合ってくれ」
    「わかりました」
    何事もなかったように、木崎は店内を出て行く。
    陽菜は、その光景を呆然と見詰めていた。
    木崎先輩と美沙樹さんが仲いいことは知っていたけど、後で付き合ってってどういうことだろう?
    こういうイベントのあとに告白、というのはよくきく話だ。それで付き合い始めたカップルも知っている。そういうことだろうか?
    木崎は、かなり素行が悪く、学校としては評判の悪い生徒だ。しかし、女子や後輩に対するフレンドリーさとルックスで、かなり多くのファンがいる。
    そんな先輩に、告白されたら…
    「陽菜っ」
    美沙樹の声に我に返る。
    「前!」
    あまりの出来事の連続に、いつの間にか前を隠すことを忘れてしまっていたのだ。
    「やっ」
    慌てて前を隠し、厨房のカーテンに飛び込む。
    店内の笑い声が、カーテン越しにも聞こえた。



    第6話□それぞれの想い ※
    [1/7㌻]
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    結局濡れた下半身は、閉店時間まで乾かなかった。
    厨房と店内の境におかれたカウンター代わりのテーブルが、机より高いので、その陰に下半身を隠すようにして仕事をした。
    実際に隠れているのは、正面からだけで、斜めから覗き込めば、透けたところが見えるかは別としても、下半身が見える。カウンターを挟んで、お客さんとやりとりをするときなどは、かなり緊張した。
    けれど、身体を羞恥心の熱さが苛んでも、心のどこかがそれを拒絶する。快楽と正反対の感覚が、心に冷たく重い石のように存在するのだ。
    不安。
    その原因が、木崎の言葉にあることは、わかっていた。だが、なぜ、これほどまでに心が乱されるのか。
    陽菜は自分の変化に戸惑っていた。身体も心も、いつのまに変わってしまったのか…
    心に石を抱えたまま、コスプレ喫茶の初日は閉店した。
    そして今、陽菜は、由香里とふたりで用具室にいる。木崎に呼び出された美沙樹の戻りを待っていた。
    由香里は陽菜のことなどどうでもいいとでもいうように、椅子に座って携帯をいじっている。
    陽菜は、ふたつ並んだ机の間に立たされていた。ふたつの机を結ぶように置かれた鉄パイプ。そこに跨っている。
    爪先立ちになっても、硬く冷たい棒が一直線にめり込んで、割れ目を押し広げている。
    下着は脱がされ、白い薄布からは硬く尖った乳首が浮き出ている。スカート部分は、ウエストまでまくりあげられ、鉄パイプを抱え込んだ股間が丸見えだ。
    陽菜は、性器が押し開かれ、クリトリスが歪み、肛門にまで襲ってくる圧力に必死に絶えていた。快感というよりも鈍い痛みが熱のように下半身を覆っている。
    後ろ手にガムテープを巻かれている。両太腿もガムテープで閉じあわされているので、自力でパイプから降りることはできない。
    たとえ拘束されていなくても、陽菜は降りる気などなかった。美沙樹から、戻ってくるまで降りるな、と命令されているのだ。
    言いつけを守っていたら、美沙樹さんは戻ってきてくれる。木崎先輩とと間には何事もなく、いつものように戻ってきてくれる。いつの間にか、自分にそう言い聞かせていた。
    「ねえ、痛くないの、ま○こ?」
    由香里が、こちらを見もせずに聞いてきた。
    「痛い…っていうか、苦しいような…そんな感じです」
    もう少し食い込む力が軽かったら、快感になっていたかもしれない。
    「まあ、自分の体重と脚の短さを恨むしかないよね」
    そう言って、再び携帯をいじり始める。時折鳴る音楽からすると、どこかのゲームサイトにアクセスしているようだ。
    「ああっ、もう!」
    うまくいかないのか、乱暴に携帯を閉じ立ち上がると、陽菜に近づいてきた。
    「おろしてあげようか?辛いんだろ」
    鉄パイプの固定された机に腰を下ろす。
    「んあ」
    その振動がパイプを伝って股間に響き、陽菜は身もだえする。
    「いえ…大丈夫です…」
    声が苦痛で震えていた。
    「ふーん」
    座ったまま由香里が、がたがた、と机を揺らす。
    「ああああ…」
    揺れに合わせて、陽菜が声を上げる。
    「きつい?」
    「はい…揺れると…痛いです…」
    「じゃあ、降りなよ。美沙樹からは、陽菜が本当に辛そうだっら降ろしていい、って言われてるんだ。私が降ろしたら、美沙樹だって文句は言わないよ」
    陽菜は、首を横に振る。
    「あんた、まじMなの?痛いの好きなの?」
    服の上に突き出た乳首をつまむ。そのまま捻る。
    「いあっ、ち…がいますっ」
    「じゃあ、なんで降りないのさ」
    乳首を捻ったまま、上下左右に動かす。
    「ちぎれ…やめて…」
    絶叫しそうになるのをこらえ、訴える。
    「美沙樹さんの、命令だから…」
    「何それ?」
    指が離れた。じんじんとした痛みが、それでも乳首を襲っている。
    「その美沙樹が降りていいって言ったんだよ。それとも、私が嘘ついてるって思ってる?」
    由香里の声は、厳しい。何にイラついているのか。
    「違います」
    どう告げたら、由香里に伝わるだろうか。どんな説明をしても、頭がおかしいと思われるかもしれない。
    「命令…守りたいんです…」
    「守ったら、美沙樹がご褒美くれるとでも思ってるの?気持ちいいことしてくれるって思ってるの?」
    「いえ…そんなんじゃ…」
    「じゃあ、何?」
    由香里は机から降り、鉄パイプを蹴り上げる。目の前に火花が散るような激痛。
    「あっ、ぁ……」
    あまりのことに声さえ出ない。目に涙が溜まる。

    第6話□それぞれの想い ※
    [2/7㌻]
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    「あんたさ、私らにさ…美沙樹に虐められて、いっつもま○こ濡らしてんじゃん。おかしくね?変態だろ、それ」
    由香里は、まくし立てるように喋る。
    「美沙樹はあんたにとって何?虐めっ子?ご主人さま?気持ちよくさせてくれる道具かなんか?ローターみたいなもん?あんたのオナニーに私ら、つき合わされてるわけ?」
    今度は、誰もいない椅子を蹴った。
    陽菜は、下半身に残る鈍痛に耐え、由香里の変貌の意味を考えようとした。
    「なあ、あんたにとって、美沙樹って何?美沙樹のこと、どう思ってる?」
    掴みかかってくる。近づいてくる由香里の顔。目元に光るのは、涙?
    「美沙樹が、あんたのことどう思ってるのか、本気で考えたことあんのかよ」
    涙が零れ落ちる前に手を放し、由香里は陽菜に背を向けた。
    「私…よくわかんない…です。自分でも…」
    陽菜の声は震えていた。肉体の痛みとは違う、心の中の混沌が涙を生んでいた。
    「虐められるの…いやです。痛いことも恥ずかしいことも…でも、美沙樹さんが隣にいると…最近…安心するんです…」
    「はあ?」
    由香里が振り返る。じっと陽菜を見つめる。陽菜の言葉の続きを待っている。
    「安心って言い方…変かもしれないですけど…美沙樹さんに命令されると、怖くないんです」
    陽菜は、由香里を見つめる。
    「おびえる自分も、恥ずかしがる自分も…感じてる自分も、全部さらけ出せるんです。美沙樹さんが全部許してくれる…受け止めてくれるって…思えるんです」
    陽菜の頭の中にあった霧のような想いが、言葉にすることによって、徐々に凝縮され形を整えていく。同時に、疑問もわいてくる。
    「私…由香里さんのいうように、変態みたいです。虐められて感じるMなんです」
    「なんだよ、それ。ひらきなおり?」
    由香里の声に、先ほどのきつさはない。
    「美沙樹さんが、私の中から見つけ出してくれたんです。だから…美沙樹さん専用のMなんです」
    由香里は、ふう、と少し大げさな溜息をつく。
    「じゃあ、私や綾奈は、ただのアシスタントなの?ずいぶん損な役回り。ま、わかってて付き合ってるんだけどさ」
    最後は、由香里の独り言のようだった。
    「わかってて?」
    「いいんだよ、うるせ。Mの癖に、つっこむな」
    床に転がった椅子を直し、座る。
    「あの…」
    美沙樹が戻る前に、今浮かんできた疑問を由香里にぶつけてみようと思った。
    「ん?」
    「あの、わからなくて…」
    「何が?」
    「私…女です…」
    由香里が吹き出す。
    「そうだな。女だ」
    まじめな顔に戻り、
    「美沙樹も、ね」
    その瞳に、優しい色が浮かぶ。友達を想う、静かな優しさ。
    「それに…私ばっかり…その…気持ちよくなってて…美沙樹さん、楽しそうだからいいんですけど…」
    うまく言葉にできなかったが、それでも由香里は理解したようだ。
    「美沙樹にも気持ちよくなってもらいたいって?」
    そう指摘されて、ずいぶんと自分が上から目線で喋ってしまったように思えた。
    「そんな…偉そうなこと…言えないですけど…」
    「わかんないっ」
    由香里は立ち上がる。
    「SとかMとか、私には全然わかんない。女同士とか、もうさっぱり。私は、ち○ぽのほうが好きだしさ。その辺のことは、ふたりで話しなよ」
    陽菜に近づく。
    「まあ、あんたを虐めるのが楽しいってのは、わかるけど」
    ずり落ちかけてた陽菜のスカートをきちんとめくりなおす。
    「さっき、ごめんな。興奮しちゃって、さ」
    パイプを蹴り上げたことだった。
    「痛かったろ?」
    言いながら、陽菜の顔ではなく、パイプの食い込んだ股間を覗き込む。
    「処女膜、破れてないよな?血、出てないよな…」
    「すごい痛かったですけど…たぶん、大丈夫だと…」
    何の根拠もなく、答える。
    「やばいな。こんなんで、私があんたの処女奪ったら、美沙樹にまじ殺される」
    べりべり、とガムテープを剥がし、
    「ちょと脚開け」
    「はい…んん…」
    左右に開いた分、余計にパイプがめり込む。
    「もうちょい」
    「これ以上、無理です…」
    バレリーナ並みの爪先立ちでできた空間に、由香里が顔を突っ込む。
    「え?ちょ…っ」
    膝が、がくがくする。つりそう。
    「大丈夫そう…ってか、昼間、どれだけ感じてたのさ。まん汁のたれた跡、内腿についてるし」
    脚の付け根に指を当て、左右に広げながら確認する。

    第6話□それぞれの想い ※
    [3/7㌻]
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    「由香里さん…まじ…やばいです…脚、つりそう…」
    「おっ。ごめんごめん」
    由香里が起き上がる。同時に、陽菜は脚を閉じる。
    パイプに食い込んだ状態で左右に広げられたため、さっきまで触れていなかった内側の部分がパイプに当たっている感じがする。
    「一回、降りるか?」
    「いえ…大丈夫そうです」
    「ほんとに美沙樹来るまで、耐えるつもりなの?」
    「限界までがんばるって決めたんです。それでしか、美沙樹さんに応えられないから」
    「はいはい」
    あきれたような声。優しげな微笑。
    10分ほどたった頃、制服姿の美沙樹が帰ってきた。
    由香里は再びゲームに挑戦している。今度は、調子良さそうだ。
    「よ」
    美沙樹の方も見ずに、片手で挨拶。
    「なに、まじ、耐えてたの?」
    美沙樹は驚いた声をあげ、腕時計で確認する。
    「限界までがんばるんだもんな」
    途中でゲームを切り上げ、由香里が立ち上がる。
    「え?なんの話、それ?」
    美沙樹の問いには答えず、陽菜の方を向く。
    「不安なことはちゃんと言葉にするっていうのがお互いの理解を深める第一歩、ってこの間読んだ占いに書いてあった」
    携帯をポケットにしまうと、
    「これから、ちょっと男のところ行くからさ。悪いけど、先帰るわ」
    「あ…おう」
    いまいち状況が飲み込めないまま、美沙樹が応える。
    「彼氏のいるやつは、付き合い悪いな」
    苦笑いしながら、陽菜に近づく。
    「パイプの感想を教えな」
    静かにパイプの乗った机に腰掛ける。
    苦痛に歪む陽菜の表情を堪能できていないからか、まだパイプから降ろそうという気にはなっていないようだ。
    「はい…」
    陽菜は、心の中に浮かんだ疑問を美沙樹に伝えようと決めた。
    これからのふたりのために。
    「鉄パイプ、どんな感じ?」
    パイプの渡された机の片方に座り、その硬さを確認するようにパイプを撫でる。
    「自分の体重が…ま○こにかかって…苦しいような…痛いような感じです…」
    苦しいはずなのに、喘ぎ声のような甘さが滲む。
    「苦しいの?ま○こ、裂けそう?」
    美沙樹は指先でパイプを叩いてくる。その振動が膣内に響く。
    「裂けそう…っていうより…潰れそうです…クリとか…ラビアとか…変形してます」
    由香里といたときとは、明らかに違う感覚が身体を包み始めていた。
    「苦しいんだろ?」
    「はい…」
    「辛そうな顔してるもんな。けど、目が潤んでるよ?乳首だって、かなり突き出てるし」
    布の上から、指先でこする。
    「んあっ…いっ…」
    敏感ななった身体の先端を刺激され、身をよじる。その動きで股間を割るパイプがさらに食い込む。
    慌てて爪先に力を入れて踵を浮かせるが、脚が震えてくる。
    「本当は気持ちいいんじゃないの?」
    美沙樹はわざとじらすように、乳房の横やお腹、太股を撫でる。
    「ま○こは苦しいです…けど、それなのに…頭の中がどんどん…えっちになっていきます…」
    じわじわとした刺激に、身体が熱くなる。
    「美沙樹さんが目の前にいるっていうだけで…身体が発情して…もっと虐められたくなります…」
    「今日はずいぶん素直だな。ってか、積極的じゃね?」
    美沙樹が立ち上がる。両手で陽菜のお尻を掴むと、左右に広げる。
    「あああああ…」
    さっきまで触れていなかった部分にまで、鉄の感触。
    「このまま押さえててやっから、足浮かせてみな」
    「はい…」
    陽菜はおそるおそる足を…離す…
    「んあっ。あっ。んあああ…」
    「どんな感じ?」
    「どんどん…めりこんできます…」
    実際には骨に当たって止まるはずなのに、お臍のすぐ下までパイプが来ているような感覚。
    「ま○こ、潰れて…お腹にめりこんでるみたい…です…」
    「私が10数えたら、おろしな。いーーーち、にーーーぃ…」
    美沙樹がゆっくりと数える。
    陽菜は歯を食いしばって耐える。
    「ごーーーぅ、ろーーーく…ほら、足、下がってきてる」
    「はいっ」
    脚を曲げる。
    「ま○こで体重支えて、つらそうだね」
    美沙樹の声が、かすかに甘い香りを漂わせる。
    「ま○こ、壊れそう…です…」
    それでも、陽菜は脚を降ろさない。身体が、ぷるぷると震える。

    第6話□それぞれの想い ※
    [4/7㌻]
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    「あ?どこまで数えたかわかんなくなった」
    「なな…です…7から…」
    「そかそか」
    再び数え始める。
    「はーーーち、きゅーーーぅ、じゅーーーっ、よし」
    いわれた瞬間に脚を降ろす。息切れまでしてしまう。
    「良く耐えたな。えらいえらい」
    頭の代わりに、お尻を撫でられる。
    「あの…」
    陽菜は心に淀む不安をぶつけてみようと考えていた。今を逃したら、美沙樹の責めによる快感に溺れ、尋ねるタイミングを失ってしまいそうだった。
    「何?」
    お尻をぺちぺちと叩く。
    「美沙樹さん…楽しいですか…?」
    突然の陽菜の問いに、美沙樹が驚いた顔をする。
    「楽しいに決まってるだろ。陽菜は辛いだろうけどさ」
    「つらいです…でも…」
    この続きを言ったら美沙樹は、ひくだろうか?
    「美沙樹さんに虐められると、ま○こ濡れてしまいます…」
    「なあ、陽菜本当におかしいぞ、今日。どうした?」
    叩くのをやめ、陽菜を見つめてくる。その瞳の奥に、陽菜は自分と同じ色を見つける。美沙樹も不安なのだろうか?
    なら、今自分の思っていること、感じることを伝えなければ。
    「私、美沙樹さんに虐められたり、恥ずかしい目に合わされたりすると、感じる身体になりました。自分でもびっくりするぐらいに、えっちになってます」
    「それが、いやなのか?」
    思い切り首を横に振って否定する。
    「違います。何て言ったら…美沙樹さん、私のこといっぱい虐めてくれます。それで…その…私ばかり気持ちよくなって、いかされたりしてるのに…美沙樹さん自身は…」
    こんな私が、美沙樹さんに気持ちよくなってほしい、感じてほしいだなんて、思い上がりに違いない。
    「泣くなって」
    美沙樹の手が、頬に触れる。陽菜はいつの間にか、泣いていたのだ。
    さらに何か言おうとする陽菜の言葉をさえぎると、
    「今日は朝からがんばったし、パイプにもきちんと耐えてるし、素直だし。しかたないから、ご褒美だ」
    美沙樹は自分のスカートに手を入れる。なんの躊躇いもなく、ショーツを脱いだ。
    「見ろ」
    陽菜の顔の前に、黒い下着が差し出される。美沙樹の顔が赤い。照れているのだろうか。
    「こんなに濡れてるんだ」
    性器を包んでいる部分の裏地が、蛍光灯の光を反射して、てらてらと光って見える。そして光の下には、白く乾いたシミが幾重にも。
    「喫茶店で恥ずかしがってる陽菜を見て、私も感じたんだ。パイプの食い込みに必死で耐えてる陽菜の顔で、私も濡れてるんだ」
    脱いだショーツをスカートのポケットにしまう。
    「この間もいったろ?私は、陽菜の困った顔や嫌がる顔、恥ずかしがる顔、そういうのを見るのが楽しいって。楽しいって事は、つまり感じてる、興奮してるんだ」
    「でも…」
    気持ちよくなったり、いったりするのとは違う気がする。
    「陽菜の言いたいのは、身体が気持ちよくなってない、ってことだろ」
    「はい」
    「もちろん身体が気持ちいいのも好きだけど、ここがな…」
    自分の頭を指差しながら、片脚をあげパイプにかける。スカートがめくれ、股間が見える。
    「頭の中が気持ちよくなるんだ。そうすると身体も一緒に気持ちよくなる。身体だけが気持ちいいのより、何倍も満たされるんだ」
    言いながら、パイプに上げた脚を反対側に下ろす。
    「え?美沙樹さん…」
    「うあっ。これ、けっこうくるな…」
    陽菜と向かい合うように美沙樹自身もパイプにまたがったのだ。机と机の間隔はそれほどないので、身体が密着する。
    自分の陰毛が美沙樹の柔らかな陰毛に触れているのがわかる。
    「陽菜、これによく耐えてるな」
    美沙樹の方が背が高く、当然脚も長い。爪先立ちになってる状態だから、陽菜よりも食い込みは浅いはずだ。
    「降りたほうがいいです。痛いですよ」
    自分のことなどより、美沙樹が心配になる。
    「どのぐらいのものなのか、やっぱわかってた方がいいから…さ…」
    後ろの机に手をついて、美沙樹は両足を上げてみた。
    「んんっ、あっ、痛っ。まじ、やば。これ、つらすぎ」
    5秒ともたず足を下ろす。
    「さっき、よく耐えたな」
    美沙樹が陽菜を抱き寄せる。さらに身体が密着する。下腹部がぶつかり合い、乳房が押しつぶされる。
    「んあっ」
    パイプの上を性器がこすれ、美沙樹の乳房の弾力に乳首がこねられ、陽菜が喘ぐ。

    第6話□それぞれの想い ※
    [5/7㌻]
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    「見な」
    美沙樹の顔を見つめる。さっきよりも顔が赤い。目が潤んだように光っている。
    「私も興奮した顔してるだろ」
    「うん…」
    軽く口唇を重ねてくる。
    「私も変態なんだ。好きなやつを虐めて、支配して、それで感じる変態なんだ」
    好きなやつ…それが、私?
    問いかけることもできず、口唇が奪われた。力いっぱい潜りこんでくる舌を陽菜は、躊躇わず受け入れた。
    キスの感触が、言葉で聞かずとも問いの答えだとわかった。
    陽菜も必死になって美沙樹の舌を吸う。自分の舌を絡める。唾液が口の端からたれても、かまわなかった。美沙樹の気持ちに応えたかった。自分の気持ちを伝えたかった。
    脚に力が入らず、パイプの圧力が性器を潰す。それは、美沙樹も同じだった。
    「だめだ…耐えられない。陽菜、おりるぞ」
    後ろ手に拘束されている陽菜は、自力ではうまく降りられない。パイプにまたがったまま、美沙樹が陽菜の身体を支える。
    「ほら、はやく。まじ、きついから」
    「はい」
    片脚を大きく上げる。支える側にあまり負荷がかからないということは、美沙樹に負担がかかっているということだ。
    「美沙樹さん、先に降りたほうが…」
    「ばか、いいから。そこまできてんだから、さっさと降りろ。ま○こ裂けるって」
    「は、はい」
    陽菜が、ケンケンの要領で移動しようとする。パイプに脚がぶつかる。
    「痛ーっ」
    苦痛に美沙樹の顔が歪み、支える手から力が抜ける。陽菜がバランスを崩す。
    「やば、陽菜」
    美沙樹が、倒れそうな陽菜のウエストを抱き寄せる。美沙樹自身もバランスを崩す。
    「あーーーっ」
    鉄パイプを固定するガムテープがはがれ、陽菜と美沙樹は、床に倒れこんだ。
    「美沙樹さんっ」
    次の瞬間、陽菜は自分の下に美沙樹がいることに気づいた。手が拘束され受身の取れない陽菜をかばったのだ。
    「美沙樹さんっ」
    「いたたた…大丈夫か?」
    「大丈夫です。美沙樹さんこそ」
    「背中打ったけど、大丈夫だ。だから、降りてくれ」
    慌てて、転がるように美沙樹の身体から降りる。
    「ごめんなさい」
    「どじ。ばか。運動おんち。淫乱。マゾ。巨乳」
    罵りながら立ち上がり、座り込んだままの陽菜の身体を叩く。身体についた埃を払っているのだ。
    「ご褒美なんて、取り消しだかんな」
    陽菜の服のファスナーを一気に下ろす。勢いよくゆれながらあふれ出てくる乳房。
    そのまま服をずり下げ、ウエストの辺りにまとめてしまう。
    「や…」
    隠したくても腕が動かせない。胸だけが揺れる。
    「や、じゃない。どうせさっきから、全裸みたいなもんだったろ」
    美沙樹は、椅子に座る。左右に大きく脚を開き、短いスカートをめくる。
    陽菜は初めて見る美沙樹の性器に釘付けになった。自分のそれより、はるかに大人びた形状。陽菜より肌の色が濃いせいか、そこも赤黒く見える。
    それが、雨上がりの花のように濡れ光り、美しいと感じた。
    「ばか。誰が、観察しろっていったんだ」
    美沙樹がスカートを下ろす。
    「こっち来て、口で奉仕しろ。さっき言ってたろ。自分ばかり気持ちよくなって、って。それなら、私をいかせてみなよ」
    美沙樹の声が少し上ずっている。興奮している?緊張している?
    陽菜は膝立ちで、美沙樹に近づく。性器の前にくる。
    「いいんですか?」
    顔を見上げる。
    「さっさと舐めろ。だけど、覚悟しておけよ。陽菜を昼間から虐めたせいで、何度も濡れたんだから、かなり蒸れてるからな」
    見下ろし言うと、スカートをもう一度めくりあげた。
    「はい…」
    陽菜は、異常なほど胸を高鳴らしながら、脚の間に顔をうずめる。
    「ストップ」
    目の前に性器、というところで、髪を鷲づかみにされた。舐めようと舌を出しかけた間抜けな顔のまま、陽菜は固まる。
    「いただきます、は?」
    「いただきます」
    「よろしい」
    髪を掴んだまま、自分の性器へ陽菜を導く。
    初めて生で見る他人の性器。しかも大好きな人の。感じてもらいたい人の。
    舌を限界まで出し、下から上へ一気に舐め上げた。
    「ああっ」
    美沙樹の身体が、びくん、とのけぞった。
    「ばか、がっつくな」
    自分の声に動揺した声。
    「こっちだって、かなり敏感になってるんだ。もう少し、やさしく舐めろ」
    「ごめんなさい」
    「どうだ、私の味?臭いだろ」
    「いえ。美味しいです。美味しいし、いい香りがします。嗅いでるだけで、どんどん頭の中、いやらしくなってきます」
    本心から、そう言えた。
    「ばか、言いすぎだ。さっさと舐めろ」
    美沙樹の顔は見えない。けれど、照れているのがわかる。

    第6話□それぞれの想い ※
    [6/7㌻]
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    「はい…」
    陽菜は、ゆっくりと舌先で舐め始めた。
    唾液を絡めた舌を尖らせ、小陰唇をそっとなぞっていく。
    「ん…」
    美沙樹の押し殺した声が聞こえる。
    「気持ちいいですか…」
    「うるせ、黙って続けろ」
    「ごめんなさい。だけど、初めてだし…」
    「陽菜の感じるところは、私だって気持ちいいんだ。わかるだろ」
    「はい」
    再開する。ゆっくり舌先で縁をなぞり、時折、入り口を縦に舐め上げ、愛液をすくい上げる。
    「いいよ…陽菜…もっとなめろ…」
    溶けかけた美沙樹の声。感じてくれている。
    溢れてくる愛液と唾液が混ざり合い、ぴちゃぴちゃ、と音がする。何度か入り口付近を舐め上げ、そのままクリトリスへ。
    大きく充血したそれは、めくれた皮から顔を覗かせている。それを触れるか触れないかのぎりぎりで、ちろちろ、と舐める。
    「ば…ぁっ、か…ほん…とに、んんっ、初めて…かよ…」
    頭を鷲づかみにする美沙樹の手に力がこめられる。
    美沙樹に指示されて覚えたオナニーの指使い、美沙樹がしてくれる指での責め。それらを舌で再現していく。
    自分の気持ちいいところは美沙樹も気持ちいいのだ、と美沙樹は言った。なら、美沙樹にされたことをひとつひとつ再現しよう。
    わざわざ記憶を探らずとも、身体が覚えている。美沙樹の指と、舌と、口唇が触れた場所を。
    舌先を中に差し入れ、かき回すように舐める。鼻先がべたべたになったクリに当たる。じゅるじゅる、と音を立てて愛液をすする。小陰唇を口唇でくわえる。
    美沙樹に言葉はなく、ただ押し殺した喘ぎ声が耳に届く。
    「だ…め…ぃっ、いきそ…」
    美沙樹の声。その言葉に、舌の動きを早める。集中的にクリを小刻みに。
    「うぐっ」
    顔が性器に押し付けられる。脚が閉じられ、顔が締め付けられる。肩に脚が乗っかる。
    呼吸できないほど、口と鼻が美沙樹の性器に密着する。
    美沙樹の身体が、痙攣する。椅子の脚が、かたかた、となる。
    息苦しさを陽菜は耐えた。美沙樹さんが、いってる。私で感じてくれてる。
    このまま呼吸できなくなってもかまわない。本気でそう思えた。
    やがて脚が緩む。顔が性器から離れると、新鮮な酸素を求めて、勝手に呼吸が始まる。愛液が鼻に入って、咳き込んだ。
    「ごめんごめん。やりすぎた」
    美沙樹が慌てて、背中を叩いてくる。脇のバッグからティッシュを取り出し、愛液と鼻水にまみれた陽菜の顔を拭く。
    「まさか、本当にいかされると思わなかった」
    顔をひと通り拭くと、陽菜の頭を撫でた。いつの間にか、美沙樹は上半身裸になっていた。
    陽菜に比べれば小ぶりだが、張りのある形のいい胸。小さめの乳輪と蕾のような乳首。引き締まったウエスト。座っていても縦長のお臍。
    中学時代の修学旅行で見て以来の、美沙樹の裸。あの頃より、数段大人っぽく、そして美しくなっている。
    「私の裸見れて、幸せでしょ」
    照れ隠しか、おどけた口調。
    「はい」
    陽菜は素直に答える。
    「ばか。発情しすぎなんだって」
    やさしく微笑む。
    「自分の股の下、見てみろ」
    「え?…あっ、いやっ」
    慌てて脚を閉じる。床がぬるぬるとした。陽菜の溢れ出た愛液が、床を汚していたのだ。
    「よし」
    美沙樹は、床に直接座ると、壁に寄りかかった。方膝を立てる。
    「私をいかせたご褒美に、私の身体でオナニーさせてやる。ここにこすり付けて、いってみろ」
    自分の膝をぽん、と叩く。
    「はい…」
    滑らかな肌の内腿とその奥の茂みに吸い込まれそうになりながら、陽菜はゆくりと美沙樹の脚にまたがった。
    腰を落とすと、膝の感触が性器を広げる。
    「んあっ」
    それだけで胸の奥から熱い吐息が溢れ出る。
    「どう、いけそう?ま○こ、痛くない?」
    美沙樹が見上げる。手を伸ばし、下から持ち上げるように胸をもんでくる。
    「はい。も…いきそう…です。美沙樹さんの、膝…気持ちいいです…」
    意識しないうちに、すでに腰が動き始めてていた。性器のすべてをこねるように、膝の丸みに押し付ける。
    「オナニー、大好きだもんな、陽菜は」
    「はい。美沙樹さんに見られながら、声聞かれながら、ま○こいじるの大好きです」
    喘ぎ声のせいで、ほとんど言葉にはならなかった。
    「ちゃんと見ててやるから、いっちまえ」
    それでも美沙樹は、陽菜の言葉を聞き取り、膝を動かす。
    「あああ…」
    声を抑えることができない。恥ずかしい、興奮した声を美沙樹さんに聞かれる。
    胸が痛いぐらいに揺れるほど、身体全体が動いていた。美沙樹の膝を飲み込んでしまうのではないかというほどに腰が動く。
    ぐちゅぐちゅ、と性器がこね回される音がする。
    「かわいいよ…陽菜…」

    第6話□それぞれの想い ※
    [7/7㌻]
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    霞んだ視界に片手で自分の乳首を摘み、片手を股間に当てた美沙樹の姿が見える。
    私の感じてる姿で、美沙樹さんもオナニーしてくれてる。
    その考えが身体をいっそう熱する。頭の中が溶ける。
    「美沙樹さん、いっちゃう、いっちゃう」
    廊下に響くのではないかというほどの声。抑えられない。
    「これからも、陽菜を虐めてください…ずっと…ずっと…」
    「ああ。虐めてやる。私じゃないとだめだ、ってなるまで虐めてやる」
    美沙樹の声も熱く、響く。
    「いけ、陽菜」
    「はいっ。んんあ、だ…ぃっ好きっ」
    身体が痙攣する。頭の中が白く弾ける。次の瞬間、意識が途絶え、美沙樹の中に倒れこんだ。
    「んあっ」
    乳首を襲う快感に目が覚めた。いったばかりで感覚が鋭敏になっている。
    「だから、重いんだって。陽菜の乳」
    陽菜は美沙樹を押し倒すような状態になっていた。いつの間にか床に寝ている。
    どのぐらいの時間、美沙樹の上に乗っかっていたのだろう。美沙樹は陽菜が目覚めるまで、黙って待っていたのだ。
    「ごめんなさい」
    起き上がろうとしたが、美沙樹の腕が巻きついていて離れない。ガムテープの拘束は剥がされていた。
    「美沙樹さん…?」
    「もう少しなら、乗っててもいいぞ」
    腕の力が強くなる。
    「ああっ」
    陽菜の反応に美沙樹が驚く。
    「ごめんなさい。抱きしめられるのって、こんなに気持ちいいんですね」
    「何だそれ」
    「んっ」
    自分の胸に、美沙樹の乳房の弾力を感じる。
    「それに…美沙樹さんの乳首とわたしの…ぶつかってる…」
    陽菜が身体を動かすと、互いの弾力で乳首がこねられる。
    「んっ…ばか、はしゃぎすぎだ」
    美沙樹が小さく喘いだ。
    「先生の見回りが始まる時間だな…そろそろ服きないと…」
    美沙樹は、そういいながら腕を緩めない。
    「そうですね」
    陽菜も立ち上がろうとしない。
    「降りろって」
    「腕、解いてください。脚も」
    美沙樹は脚も絡めてきていた。陽菜の恥骨の辺りが美沙樹の骨盤にこすれ、美沙樹の陰毛が陽菜の太腿に触れている。
    そのまま、どちらともつかず、身体をゆすり始めた。
    身体すべてが性感帯になったように、気持ちいい。
    「ば…か…やめろ…って」
    それは、美沙樹も同じだった。声が上ずっている。
    「美沙樹さん…こそ…」
    まるで自分が美沙樹を犯しているような感覚。
    「これじゃ、いつまでも帰れませんよ…」
    「今、ドア開けられてたら、陽菜のケツ、まるみえだな」
    言いながら、両手をお尻に回し、陽菜のお尻を開く。
    「いや、だめっ」
    逃げようと身体をくねらせる。
    「あ、んっ。動き…すぎだ…でか乳淫乱」
    美沙樹が腕と脚にさらに力をこめ、陽菜を抱きしめる。
    「これじゃ、虐めっ子の威厳なんてないな…」
    「そんなことないです。明日からも、いっぱい虐めてください」
    「こんなの、虐めじゃないんだぞ」
    「そうですね。でも、好きですよ」
    美沙樹が顔を背ける。顔が耳まで赤い。
    「うっせ、ばか、死ね。明日は下着なんかなしで、ナースの格好させてやる」
    「う…それは…」
    「できないなら、お仕置きだ」
    そういいかけて、ふたりは硬直した。足音が耳に飛び込んできた。
    がちゃがちゃ、とドアを開けようとする音。鍵がかかっている。
    「誰かいるのか?」
    教師の見回りだ。
    「やば。武田だ」
    ふたりは息を殺して、ドアを見つめる。
    がちゃがちゃ、と音はしつこく続いたが、何の反応もないことで諦めたようだ。
    「10分後に戻ってくるからな。中にいるやつ、それまでに帰れよ」
    どうやら、大目に見てくれるらしい。
    「私たち…ばれてますかね…」
    「たぶん、普通に男女がやってる、とか思ってんじゃね?」
    美沙樹が脚の力を緩め、ゆっくりと腕を解いた。
    「さ、服着て帰るぞ」
    陽菜が無言になる。
    「どうした?」
    「制服、教室です」
    下着は、ここにあるが。
    「まじ?」
    コスチュームのまま連れ出したのは、美沙樹なのに。
    「よし、陽菜はその格好のままで、教室にいくぞ」
    「え?」
    床にぺったりと座りこんだまま反論しようとして、その口が、美沙樹の口唇にふさがれる。
    短いが、熱いキス。顎先を掴れ、顔を上向きにされ、上から何もかもを注ぎ込むような。
    「ほら、立て」
    とろけそうになるのを強制的に引き戻され、ふたりは立ち上がった。
    「武田が戻ってくる前に、いくぞ」
    「はい」
    美沙樹が身支度を整えるのを待って、ふたりはドアに手をかけた。
    「でたら、武田、立ってたりして」
    美沙樹が冗談で口にしたが、
    「まさか、本当にいたりしないだろうな…」
    怖くなって、そろそろとドアを開けた。
    【 完 】
    第7話□美沙樹先生
    [1/3㌻]
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    誰もいなくなった夕方の教室。真昼より赤みを帯びた陽光が、窓から差し込んでいる。
    陽菜は机に向かうように椅子に座わり、その机には、美沙樹が腰を下ろしていた。
    「陽菜、あんた、本当にばかだよね」
    美沙樹はかなり不機嫌だった。
    「毎日毎日オナニーばっかりして、勉強なんてしてなかったんでしょ」
    上履きを脱いだ足を陽菜の膝の上に置くと、軽く足を振って、又を開かせる。
    「ここからまん汁と一緒に、脳味噌まで垂れ流してんじゃないの」
    足の先で、陽菜の股間をつつく。
    「んっ」
    陽菜はそれだけで身体を反応させてしまう。
    「ほら、ちょっとつつかれただけで、喘ぎ出す」
    そこまで陽菜の身体を開発したのは、当の美沙樹だ。
    「ごめんなさい」
    謝っている間も、美沙樹の足は陽菜の性器を下着越しに刺激し続けている。
    「ごめんなさいって、陽菜、なんで私が怒ってるかわかってる?」
    「テストの点数、悪くて…」
    文化祭明け早々に行われた、生徒の気持ちを完全無視したテスト。そのテストの成績が、かなり悪かったのだ。
    「そうだよ。あのテストの範囲、夏休みの宿題だよ。あれだけ真面目にやっとけっていったじゃない」
    美沙樹は、学年のトップ10に入っていた。もちろん進学クラスを含めて、だ。
    「陽菜、下から数えた方がはやいんだよ?」
    陽菜は何もいえなくなる。その間も足の指は適度に動いて、クリトリスを刺激する。
    「私、変態の陽菜は好きだけど、ばかは嫌い」
    一度に天国と地獄を味わうような言葉。はっきりと、好きといわれたのも、嫌いといわれたのも、これが初めてだ。
    「努力しないで、自分はばかだから、って言い訳してる奴は、もっと嫌い」
    陽菜は、ぽろぽろと涙を流し始める。性器は刺激され気持ちいいはずなのに、それ以上の悲しみが心を染めていた。
    「ごめんなさい。これからはちゃんと勉強もがんばります」
    決して口先だけではない言葉のつもりだったが、具体的にどうするのかがわからないままの謝罪。それなら、結局は言い逃れと変わらない。
    「がんばる、っていうぐらいなら、誰でも言えんの。これから、どうするの?」
    陽菜にはわからなかった。勉強のこともだが、美沙樹の気持ちも分からない。
    屈辱と羞恥で陽菜の身体の中に潜んでいた性欲をかき回し、身体も心も開発しているのは、美沙樹自身だ。今更、何を求めているのか。
    「私にも責任あるのはわかってんだ。ごめん」
    股間に当たる指の動きは止まっていた。
    「そんな…」
    美沙樹の顔を見つめる。
    「よし。まずは復習だ。テストで間違ったところをきっちりやり直そう。わからないところは、私が教えてやる」
    美沙樹の両足が陽菜の太股に乗る。そのまま限界まで開かれ、シミの付いた下着が丸見えになる。
    美沙樹はテスト結果の発表があるまでご機嫌で、朝はトイレで、昼休みは屋上で陽菜をいかせて遊んでいた。その痕がはっきり残っている。
    「美沙樹さん…教えてくれるの…」
    ふたりで机を挟んで向かい合い勉強する光景。そしてそれ以外のことも…
    頭の中に浮かんでくる、不謹慎で幸せな妄想。
    それは、あっという間に打ち砕かれる。
    「その間、陽菜はオナニー禁止だ。触ってもいいけど、いくまでやってはだめ」
    美沙樹は突然、毎日義務づけていた陽菜のオナニーを禁止してしまった。
    「陽菜だけ禁止じゃ不公平だから、私も陽菜を虐めるのをがまんする」
    つまりそれは、自分自身でいくことも、美沙樹にいかせてもらうこともできない、ということ。
    「期限を決めないとな。よし、1週間。来週のこの時間まで」
    1週間も、オナニーさえできないなんて…
    「わかった?」
    「あの…今夜からですか?」
    「なにそれ。今、最後のオナニーしようとか思ってるの」
    美沙樹は再び足先で、陽菜の性器を刺激する。
    「だめですか…」
    「こんな、誰が来るかもわからない場所で、ま○こ広げて、クリいじるつもりなの?」
    頷いてしまう。
    「だめ。たった今、この瞬間から禁止」
    美沙樹は、言うなり足を降ろしてしまう。
    陽菜は、それでも求めるように脚を開いていたが、
    「そんなにしてたら、あとあと辛くなるよ。もう決めたんだから、来週まではいかせない」
    あきらめたように陽菜は膝を閉じる。
    「来週、もう一回テストをやってみて、陽菜がちゃんとがんばったのがわかったら、ご褒美あげるから」
    美沙樹に頭をくしゃくしゃと撫で回され、陽菜は頷くしかなかった。

    第7話□美沙樹先生
    [2/3㌻]
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    放課後の教室で、図書館で、陽菜は勉強を教えてもらうことになった。美沙樹がバイトの日は、ひとりでも勉強する。
    中間テストでも期末テストでも、これほど集中して勉強したことはない。
    4日が経過した放課後、陽菜と美沙樹は図書館にいた。学校の図書室ではなく、近くの市立図書館だ。
    「ほら、そこ違う」
    定規で陽菜の頭を叩く。しかも縦で。
    「痛いです。脳細胞死んじゃいます」
    「うっさい。刺激しないと、陽菜の脳細胞はすぐ怠けるんだ」
    得意な数学のときは、特に厳しい指導になる。
    図書館には陽菜たちのように勉強しに来る学生たちのために自習室が設けられていたが、そこはひとつひとつの机が仕切りで孤立されているため、向かい合って教えるような状況には適さない。そのためふたりは、1階にあるロビーで勉強していた。ここなら多少の会話をしても苦情を言われたりしない。
    休憩用に設置された丸テーブルの席を使って、ふたりは勉強をしていた。
    巨大な窓から差し込む光も西日になってきた頃、
    「ちょっと休憩」
    紙コップのジュースをふたり分持ってきた美沙樹が言った。
    「はい」
    陽菜はかなりぐったりした顔をしている。それは、勉強のせいばかりではなかった。
    「どう?」
    コーラをひと口飲んだ後、美沙樹が聞いてきた。
    「結構、わかってきました。ありがとうございます」
    「そうじゃないよ」
    「え?」
    「淫乱陽菜は、ちゃんとま○こいじるの、我慢してんの?」
    突然の質問に、顔が真っ赤になる。
    「聞こえちゃう」
    ロビーには自販機の他に新聞なども置いてあり、今も数人が利用している。少し離れたところには同年代のカップル、テーブルに新聞を広げた男性。
    隣の席には、ひとり自分で持ってきた文庫本を読んでいる大学生風の女性がいる。陽菜と背中合わせに座っていて、会話の内容が完全に聞き取れてしまう距離だ。
    「いいから。ちゃんと報告しなさい」
    美沙樹の目が、虐めモードに入っている。
    「自分だって、虐めるの我慢するって…」
    「うっさい。虐めてねえ。ただ命令守れてるか確認だけだ」
    手に持ったままの定規で、陽菜の頭を叩く。
    「ほら、報告」
    「はい…」
    股間がすでに熱くなっている。
    「ちゃんと…我慢してます…」
    「何を?」
    「お…な…」
    どうしても後ろが気になる。
    「ん?聞こえないんだけど」
    距離的には、後ろの女性より、美沙樹の方が遠いぐらいだ。
    美沙樹の顔は、とても楽しそうだ。背後の人に聞かれるのを意識して恥ずかしがっている陽菜を見て、楽しんでいる。
    「ちゃんと…オナニー我慢してます」
    美沙樹さんが楽しいなら…
    陽菜は、声が震えそうになりながらも答えた。
    「毎日してたのに、しなくても大丈夫なの?」
    美沙樹の声ははっきり聞こえる。後ろの人に、自分が毎日オナニーしていることが、そしてその日課を美沙樹が把握していることが、伝わってしまう。
    「大丈夫じゃ…ありません」
    大丈夫です、と答えたら、この会話は終わったかもしれない。
    けれど、美沙樹の目は、そんな答えなんて求めていない。今の陽菜の身体に、心におこっていることを素直に伝えなければ、満足してくれない。
    「へえ。やっぱ、オナ禁は辛いんだ」
    「辛いです。勉強してても、あそこ…」
    「ん?」
    「ま○こが、疼きだしてしまって…その…毎日していた時間になると、身体が勝手に…疼いてきちゃうんです…」
    身体が熱い。自分の淫乱な肉体を美沙樹に説明していることも、それを他人に聞かれていることも恥ずかしく、股間が濡れていくのが感じられる。
    「勉強に集中して、忘れようとしても、美沙樹さんが…思い出させるようなメール送ってくるし…」
    「そんなメール送ってたっけ?」
    メールの内容も言わせようとしている。
    「『オナニー我慢して勉強してるか?』ってわざわざ思い出させるような内容とか…」
    「それだけ?」
    「私の…写メ…美沙樹さんに…」
    こんなことまで、後ろの人に聞かせちゃうの…
    「美沙樹さんに報告するのに撮った…その…オナニーしているときの写メを送り返してきたり…」
    「そうそう。全裸で大股開きで、恥ずかしげもなくま○こ広げてる写メ。あんな姿をわざわざ自分で撮影して、私に送ってるんだもんね」
    だめだ。身体がおかしい。下半身がどろどろになって溶けていきそう。
    「勉強ばっかりして頭は疲れてるのに、寝ようとすると、身体が熱くてなかなか寝付けなくて。夢の中にも美沙樹さん出てくるし…」

    第7話□美沙樹先生
    [3/3㌻]
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    「へえ。それ、初めて聞いた。どんな夢なの?」
    「いえ。あの、夢の話ですし…たいしたことじゃ…」
    陽菜は慌てる。思わず、調子に乗って必要のないことまでしゃべってしまった。
    「言え。言わないと、もう1週間延長するけど」
    「だめっ。無理です。そんなことされたら、私…おかしくなります」
    「じゃあ、言いなさい」
    後ろを少しだけ見る。女性は、気にせず文庫のページをめくっている。
    「美沙樹さんに虐められてる夢とか…」
    「どんな風に?」
    「教室で…みんなが見てるのに…ま…んこ…いじったりして、いかされるんです…」
    美沙樹は、くすくす笑うと、
    「さすが、変態だね。夢の中でも、そんな夢みるんだ」
    本当に嬉しそうだ。
    「他には?」
    「あと…その…怒りませんか?」
    「内容による。けど、言わないなら、もっと怒る」
    「美沙樹さんと…」
    本当に言っていいのだろうか?美沙樹に伝えるのも躊躇われるが、それ以上に、見ず知らずの他人に伝わっていいのだろうか?
    「私と?」
    美沙樹は、なんとなく内容を想像できているようだ。それでも先を促している。
    「美沙樹さんと…エッチする夢です。あの時みたいに…ごめんなさい…」
    陽菜はあまりの恥ずかしさに下を向く。
    「私もそんな夢はよくみるから、気にすんな」
    この段階では、やはり美沙樹の想像の範囲内だったようだ。
    「けど…私…そんな上手でもないくせに、夢の中では、すごいテクニック使ってて…」
    「何だ、それ?」
    わくわくした顔。
    「いっぱい、美沙樹さんを…いかせちゃって…ほんと、ごめんなさい」
    「ばっかじゃないの?」
    そこまで陽菜が妄想を膨らませているとは考えてなかったのか、美沙樹は顔が真っ赤になっている。
    「たいしたテクもないくせに、ちょっと1回私をいかせたぐらいで、何、調子こいた夢みてんだ、ばか、死ね」
    美沙樹は立ち上がる。
    「ちょっとトイレいってくる。戻ってくるまでに、さっきの問題、解いておけよ。できてなかったら、まん毛、また剃るからな」
    言うだけ言って、陽菜の反論も許さず、つかつかとトイレに向かう。
    「はい…」
    陽菜は教科書を開く。
    「ん…」
    脚を閉じただけで、じわっと愛液が下着から染み出てくる感じだ。これだけ発情させられたのに、オナニーをさせてもらえないなんて。
    「仲、良いんですね」
    突然、背後から声がした。
    「え?」
    振り返ると、文庫本を読んでいたはずの女性がこちらを見ていた。
    物静かそうな、美沙樹とは違う大人の雰囲気。数年後、今の彼女と同い年になっても、こんな風にはなれないだろう。
    「やっぱり…聞こえてましたよね…」
    声が震える。
    「もちろん。その覚悟があったんでしょう?あなたにも、あのご主人さまにも」
    陽菜と美沙樹の関係も理解しているようだ。
    「あの…今の聞いたこと…秘密にしてください」
    「素敵な話だったのに?」
    きょとんとした顔をする。
    「私は…変態だから…あきらめます。けど、美沙樹さんのことは…美沙樹さんがこんな変態を…かまってくれてるって周りにばれたら…」
    「うそですよ。言いません」
    女性はにっこりと微笑んだ。
    「ただ、気をつけてくださいね。こういうこと理解してくれない人も多いです。身元のばれるような格好の時には、特に」
    「あ…」
    自分たちが制服を着ているのだと思い出す。
    「はい。ありがとうございます」
    女性は立ち上がる。
    「おい。そこ。私の陽菜に何ちょっかいかけてるんだ?」
    早足で戻ってくるのは美沙樹だ。
    「誤解、解いておいてくださいね。それと、問題も解いておかないと、パイパンにされちゃいますよ」
    陽菜の耳元で囁くと、女性は美沙樹に軽く会釈をして立ち去った。
    「あのやろ」
    追いかけようとする美沙樹を陽菜がとめる。
    「大丈夫です、何でもありません」
    「何か言われてたろ」
    「仲が良くて、いいですね、って言われたんです」
    「何だ、それ?」
    興奮が冷めないまま、美沙樹は椅子に座る。
    「美沙樹さん、質問なんですけど?」
    「何?」
    「パイパン、って何ですか?」
    陽菜のノートを見た後、
    「言いつけ守れなかった、ばか巨乳がされるお仕置きのことだ」
    トイレまで持っていってしまっていた定規で、空白のノートを指す。
    「あ…」
    「せっかく人が、修学旅行に行くまでに生えそろうよう、気を使ってやったのに、またつるつるに逆戻りだな」
    あきれた微笑を浮かべ、美沙樹は定規で陽菜の頬を撫でた。
    【 完 】

    第8話□君にすべて捧ぐ
    [1/8㌻]
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    「ご褒美は何ですか?」
    と尋ねたとき、
    「陽菜のお願いをひとつきいてやる」
    と答えられた。
    それが拍車をかけた。陽菜の中にある知識と妄想がフル稼働してしまった。それも見越した美沙樹の言葉責めなのだと理解していても、膨らむ妄想と性欲を抑えられない。
    「どうした、陽菜。テスト自信ないか?」
    今日1日俯いたままでいることが多かった陽菜に、美沙樹が聞いてきた。
    顔を覗き込もうとするのを制し、
    「何でもありません」
    その顔も、美沙樹から逸らす。
    「体調悪いのか?今日はやめとくか?」
    ふたりは美沙樹の家に向かっていた。
    試験会場は美沙樹の家。それが余計に妄想をかき立てる。
    「やめません。ってか、やめてください」
    自転車のふたり乗り。陽菜が立ち漕ぎし、サドルには美沙樹が座っている。ウエストに抱きついたり、スカートめくったりは頻繁にされ、人目からの死角では太股をさすり、お尻を撫で回す。
    「これ以上されたら、いっちゃうので、本当にやめてください」
    かなり本気で怒った。せっかく今日までがんばったのに、こんなささいな悪戯で不意にされたくない。
    「わりいわりい。てか、お尻触られただけでいきそうなの?」
    美沙樹が素直に手を離す。
    「そうです。もう破裂寸前なんです。お尻なんかだけじゃなく、脚でも腕でも、美沙樹さんに触られたら、喘ぎますから」
    羞恥的な内容とは裏腹に毅然とした口調。
    「美沙樹さんのこと見つめるだけで、何回壊れそうになったか…」
    かなりせっぱ詰まっているのだとわかる。
    「確かに、まん汁でごわごわになったパンツ見せつけられると、言い返す言葉もございません」
    スカートをめくっては、そんな場所を確認していたのか。
    「言葉でだっていけるんですよ!」
    通りがかった男性が、驚いた表情をする。
    「わかった。わかった。テスト終わるまで、何もしません」
    美沙樹はバンザイして見せた。
    「危ないから、ちゃんと乗っててください」
    怒られた。
    そして試験会場。美沙樹の家はマンションの最上階にある。
    リビングに通された。
    「ここでやろう」
    美沙樹はテーブルに、問題用紙を乗せる。
    「武田に言って作らせた再試問題。英、数、古文。陽菜が特にできなかったところを重点的に扱ってるから。制限時間は1時間」
    1枚の紙に3教科がまとめられている。これを担任教師に作らせるとは。
    「私は自分の部屋でで解答作ってるから。武田のハゲ、解答は自分で、とかぬかしやがった」
    ぶつぶつ文句を言いながら自室へ消える背中を見送り、陽菜はリビングを見回した。
    久々にきた美沙樹の家。高校に入ってからは訪れていなかったが、相変わらず質素だ。いや、家具も家電も陽菜の家と比べるのも恥ずかしいぐらいに高級だ。それなのに生活感が感じられない。
    モデルハウスの方が、よほど人の匂いがある。
    母親がいないせいだろうか。美沙樹が中学に入ってすぐ両親は離婚した。美沙樹と姉は会社役員の父親に引き取られたのだ。その父親は仕事の多忙を理由に、ほとんど帰ってこないらしい。
    それ故の生活感の欠如。3歳上の姉が進学を機に家を出たのも、それに拍車をかけているのだろう。
    この広い部屋にひとり…
    暗いリビングで、ひとりコンビニ弁当をつつく美沙樹の姿が思い浮かぶ。
    絶対に合格点を取る。陽菜は改めて決意する。そして私の望みを叶える。
    本当は、オナニーなんて後回しでかまわない。
    30分が経過した頃、美沙樹がリビングに戻ってきた。制服から部屋着に着替えている。
    ローライズのデニムミニは、上からショーツが見えているにもかかわらず、下も股間ぎりぎり。お尻がはみ出ている。
    ぴったりしたTシャツからは、形のいい乳房が浮かび上がり、突き出た突起からノーブラだとわかる。
    「美沙樹さん、私、真剣なんですから、そんな挑発するような格好でうろつかないでください」
    「へーい」
    少し離れたソファの上であぐらをかく。股間が丸見えだ。
    「その内この格好で、外に連れ出してやるからね」
    どきん、となる台詞。
    「美沙樹さんっ」
    ぐーを作って、殴りますよ、と怒る。
    「へーい」
    しゅんとして座り直し、美沙樹は自分の答案用紙を見直し始めた。

    第8話□君にすべて捧ぐ
    [2/8㌻]
    --------------------------------------------------------------------------------
    美沙樹の携帯が鳴った。試験終了を告げるアラーム。
    「この難易度だと、合格点は80点ってところだな」
    言われて慌てて、答案を見直す。
    「よし、採点採点」
    楽しげにテーブルに近づいてくる。赤ペンを持ち、陽菜の答案に向かった美沙樹を注視してしまう。
    「そんな見つめられると、やりづらいんですが」
    「いいから、さっさと採点」
    立場が逆転。
    「うー」
    美沙樹は唸って、
    「私にそんな口を利くと、ぎりぎり赤点にしてやる」
    「ごめんなさい」
    再逆転する立場。
    「採点が終わるまで、ここにのぼってな」
    テーブルをペンで示す。
    「え?」
    「もたもたしない」
    「はい」
    テーブルに上ると、M字に開脚させられた。
    「手は後ろに着く」
    「はい」
    「もっと脚開いて。ケツ下につけない。ま○こ突き出すように」
    股間を美沙樹に見せつける恥ずかしいポーズ。
    「何日はきっぱなしなの、ってぐらい、まん汁でごわごわ」
    言いながら、ペンの後ろで性器の辺りをつつく。
    「やめて…ください…」
    喘ぎ声。性器から新しい愛液が溢れでるのが、自分でもわかる。
    「気持ちよくない?」
    「気持ちいいです。だから…こんないきかた…したくない…」
    「1週間ぶりだもんねえ」
    言いながらさらに責める。
    「ほらほら、腰が動いてるよ」
    「だめっ、やっ、んんっ」
    弾けそうになる寸前で、美沙樹は手を離す。
    それでも上り詰めてしまいそうになるのを必死で押さえ込み、
    「お願いします、採点して下さい」
    「仕方ないな。終わるまで、その格好でいろよ」
    黙々と採点し始める。
    「こっち見んな。天井見てろ」
    身体をぷるぷると震わせながら、美沙樹に従う。
    耳には赤ペンの動く、しゅっ、と言う音が聞こえる。その音の長短でマルバツがわかりそうだ。だが、不安と股間の疼き、体勢のきつさで、マルの数もバツの数もわからなくなった。
    「よしっ。終了」
    ペンをテーブルに置く音。
    「陽菜、そこで正座」
    「はい」
    慌てて従う。
    美沙樹は手のひらで点数を隠している。採点された答え自体は見えているから、その気になれば点数もわかりそうだが、
    「結果発表」
    そうなる前に美沙樹が話を進める。
    「まずは、一の位からです。じゃかじゃかじゃか…」
    「いや、そういうのいらないです」
    「のり悪いな。こういう演出が視聴者の興奮を高めるんだろ」
    「視聴者なんていません」
    「いいんだ。じゃかじゃんっ!」
    手のひらをずらす。出てきた数字は「9」。
    もしかしたら、79点でぎりぎりアウトとか。陽菜の不安が高まる。美沙樹の演出にまんまとはまっていた。
    「さあ、いよいよ十の位。陽菜はご褒美を手にできるのか、それとももう一週間オナ禁か?」
    じゃかじゃかじゃか…
    「気になる結果は、しー…」
    「CMなんてありませんっ」
    ぴしゃりと言われて、ちょっと膨れたが、
    「じゃかじゃんっ」
    最後まで演出をやりきり、手を離す。
    「89点!おめでとう、陽菜!」
    思わずふたりでガッツポーズ。
    「これで毎日オナニーし放題。いきたい放題。まん汁垂れ流し放題」
    ペンをマイクに見立て、陽菜に突き出す。
    「この喜びを誰に伝えたいですか」
    「はい。こんな私を最後まで見放さず、応援してくれた、大好きな美沙樹さんに伝えたいです」
    びっくりした美沙樹の顔。
    「本当にありがとうございます。ばかなりに頑張りますので、これからもよろしくお願いします」
    真剣な陽菜の眼差しに見つめられ、
    「こ…ちらこそ…」
    照れながらも、見つめ返した。
    テーブルから離れ、ふたりはソファに座った。どういうわけか、互いに距離をとって座っている。
    「それで…ご褒美の件なんですけど…」
    陽菜は固く膝を閉じ、その上に手を置いている。
    「…おう」
    膝を抱えるようにして座った美沙樹も、声が固い。
    「何でも言うこと聞いてくれるんですよね」
    「おう。言っちゃったからな。嘘はつかない」
    「じゃあ…」
    陽菜が顔を上げ、まっすぐ美沙樹を見つめる。美沙樹が気圧されるように、ちょっと退く。
    「今夜、一緒に寝て下さい」
    「え?」
    びっくりした美沙樹の顔。
    「泊まってくってこと?そんなの全然OKだし、そのつもりだったし…」
    「ぎゅって抱きしめて、寝て下さい」
    驚いた顔から、爆笑に変わる。
    「そんなんでいいの?もう、いくらでも抱きしめてやる」
    「ありがとうございます」
    「じゃあ、いかせてもらえなくてもいいんだ」
    「え?あのそれは、ワンセットで…」
    「そんなセットねえし」
    意地悪そうな微笑み。いつもの美沙樹。

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    「でも…美沙樹さんなら、全裸の私を抱きしめて、それだけで終われないですよね」
    陽菜も反撃してみる。
    「何だと。私をこらえ性のない中学生みたいに言うな」
    「違うんですか?」
    「違うね。もっと成熟した大人だ。もう、おやじのセックスみたいに、ねっとり愛してやる」
    それは言葉の文だったが、陽菜も、言った美沙樹自身も、その言葉に気づき顔を赤らめる。
    「できれば、最後の部分をもう一度…」
    「うっせ。何個も何個もいうこときくか」
    言いながら陽菜との距離を積つめ、一気に押し倒す。
    そのまま口唇を重ねる。
    ひとしきり陽菜の口の中を舐め回すと、口唇を離し、耳元で囁く。
    「愛してやる」
    返事をする間も陽菜に与えず、再び口唇にむしゃぶりつく。
    吸いつく音、唾液の音、舐め回す音、荒く甘い息づかい、衣服のこすれ合う音。
    「あう…」
    口唇か離れたとき、そんな声が陽菜から漏れた。
    「どうした?脳味噌溶けたか?」
    「はい…とろとろです…」
    すでにブラウスは全開、ブラも外され、乳房が溢れでている。美沙樹は、それだけのことをキスしながらこなせてしまう。
    「美沙樹さん…お願い…もう…」
    「やばい顔になってる」
    美沙樹の脚は、陽菜の膝を割って入り、膝で性器を刺激している。
    「一回いかせてやるか」
    「あぁ…ん」
    その宣言だけで、陽菜の身体が痙攣する。
    「おもしろいよな。発情した陽菜の反応って」
    言いながら、陽菜の腰を浮かせ、膝上までずり降ろすと、脚の指にひっかけて一気に脱がしてしまう。
    「さて、1週間濡れに濡れまくった、とろとろま○こ、味見しちゃおうかな」
    だらしなく開いた陽菜の脚の間に顔を埋める。
    「だめっ」
    それに気づいて思わず脚を閉じる。膝が美沙樹の頭を両側から挟む。
    「痛ぇ。ばか、てめ。何すんだ」
    美沙樹が怒鳴る。
    「あ、ごめんなさい」
    慌てて脚を開き、美沙樹の頭部を解放すると、両手で性器を隠す。
    「汚いから…口…だめです…」
    「陽菜のま○こが、汚えのは、わかりきったことだろ。今更何言ってんだ」
    がばっと限界まで脚を押し開く。
    「いきたいだろ?手をどけろ」
    「いきたいです。けど、ほんと、汚いんです」
    「いいんだって。陽菜のま○こなんだから」
    いらついた声。
    「あの…洗ってないんです…」
    「はあ?」
    「昨日とか一昨日とか、シャワー当たるだけでもおかしくなりそうで、感じそうなところ…触れられなくて…」
    「で、洗ってないの?」
    頷く。
    「どこを洗ってないの?」
    「胸とま○こと…お尻…」
    「うわっ。汚ね」
    言いながら、いきなり乳首をくわえる。
    「ふあぅっ」
    ぺろぺろと舐め、
    「うわ。まじ、しょっぱい」
    美沙樹の言葉に、恥ずかしさで泣きそうになる。
    「さあ、次は下だ。手、どけな」
    厳しい口調。
    首を横に振る。
    「私に逆らうの?」
    上から見下ろされる。
    「逆らい…ません…」
    力の抜けた手が、股間からどかされる。
    「よしよし」
    ゆっくり美沙樹が、陽菜の脚の間に顔を埋める。
    「脚閉じんなよ」
    顔が性器に近づく。
    「はい…」
    次の瞬間、
    「くさっ」
    大げさに顔を背ける。
    「ひどいっ」
    陽菜は脚を閉じ合わせる。
    「だから言ったのに…ひどいよ…」
    たまらず泣き出してしまった。
    「ごめんごめん」
    美沙樹が脚に手をかけるが、がんとして開かない。
    「もういいです。どうせ臭いです。美沙樹さんに舐めてもらおうって思い上がってすみませんでした」
    身体を丸めてしまう。それはそれで性器もお尻の穴も丸見えなのだが。
    「ほんとごめん。大げさにしすぎた。本当はそんなに臭くないよ。ちょっとチーズっぽい感じしただけ」
    「ひど…」
    完全に身体を丸め、顔も背ける。鼻をぐずぐず鳴らし、泣いている。
    「ごめんって。ね、舐めさせて」
    丸まった陽菜に、覆い被さって囁く。耳や首筋にキスをしていく。
    それにいやいやをしながら、
    「いいんです。もう…」
    鼻声で答える。完全にぐれてしまっていた。

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    「陽菜のま○こ、舐めたいよ」
    「じゃあ、いつも私に言わせてるみたいに言って下さい」
    「はあ?なんでそんな…」
    「だから、もういいです」
    んー、と美沙樹は身体を起こし、少し考えた後、
    「陽菜さまのおま○こ、食べさせて下さい。お願いします」
    再び耳元で囁く。
    「本当に舐めさせてほしい?」
    「はい、舐めさせて下さい」
    陽菜が身体をゆるめる。
    その瞬間を逃さず、美沙樹は獣のようにとりつき、脚を開かせた。
    「あっ」
    「いただきます」
    じゅるるる、と大きな音を立てて愛液をすすり上げる。そのままクリトリスを口
    唇で刺激する。
    「あああああ…」
    一気に襲ってきた快感に、身体が痙攣し、何の抵抗もできない。
    「どうですか、くさまん陽菜さま」
    仕返しとばかりの攻撃。
    「いいいいい…です…」
    緩みきった肉の中に舌先が差し入れられ、ぐちゅぐちゅと音をたてる。
    「まんかすまで、出てきましたよ、陽菜さま」
    「ややややや…ももも…ごめっごめっ」
    びくんっびくんっ、と身体が跳ねる。
    「我慢しないでいってください、まんかす陽菜さま」
    「はいっいっ…いっ…」
    いく、まで言えないまま、頭が弾け飛んだ。
    「あひっんっ、やうっ」
    陽菜がいったとわかっていながら、美沙樹は敏感な箇所を集中的に責め続ける。
    「だだだめ…あああ…」
    身をよじり、時には美沙樹を蹴ってしまっているのに、それでも責めはとまらない。
    「あううううう…」
    身体が痙攣を繰り返し、何もかもが押さえきれなくなり、次の瞬間、失神した。
    部屋に響く水音で目が覚めた。
    「美沙樹さん…」
    いつの間にか、タオルケットがかけられて、ソファで寝かされていた。
    外は暗い。
    「え?何時?」
    時計を見る。9時になろうとしてた。
    「ええっ?」
    後悔が頭を満たす。美沙樹とのせっかくの時間を無駄にしてしまった。しかも自分だけいかされて、満足して寝てしまうだなんて。
    「美沙樹さんっ」
    起きあがる。
    「やっ」
    いつの間にか全裸になっている。
    「お、起きたな」
    美沙樹がリビングに戻ってくる。寝てしまう前と同じ姿だ。
    「ごめんなさい、私…」
    おろおろする陽菜に近づき、
    「本当だ。いったと思ったら、そのまま寝やがって」
    そういって、乳首を指ではじく。
    「ごめんなさい…」
    「今日まで頑張ったもんな。あんまり寝れてなかったんだろ」
    こくん、と頷き、
    「けど…」
    「いいって。夜は長いんだし、これからたっぷり楽しませてもらうから」
    「はい…」
    「まずは、風呂はいるぞ。さすがにきっつかった、陽菜ま○こ」
    「ごめんなさい」
    欲望に身を任せて、とんでもないことをさせてしまった。
    「調子に乗りました」
    「わかってたら、よろしい。思い切り可愛がってやる」
    「よろしくお願いします」
    よし、と背を向けると、
    「先に家に電話しちゃいな。お母さん心配してるはずだから」
    言われて気づく。こんな時間まで連絡なしにいたことがなかった。慌てて携帯を取り出す。
    素直にあやまり、美沙樹の家に泊まることを告げる。美沙樹の家の事情を知り、美沙樹のことも幼い頃から知っている母は、ふたつ返事で了承してくれた。
    「怒られた?」
    「あ、いえ…迷惑かけるな…って…」
    タオルを頭に巻きながら全裸で立つ美沙樹を見て、思わずその後の言葉を失ってしまった。
    「陽菜、鼻の下延びてるんだけど」
    美沙樹に指摘され、思わず鼻の下を隠す。
    こうして全裸の美沙樹をみるのは、中学以来だ。
    心がときめき、鼓動が速まる。今更だが、同性の裸を見てこんな気持ちになるとは、自分でも驚きだ。陽菜は、美沙樹の身体を見て明らかに欲情していた。
    陽菜の家の3倍はある広い浴室。美沙樹はシャワーの前に置かれた椅子を指さすと、
    「そこに座りな」
    「はい…」
    陽菜の動きはぎこちない。
    「陽菜さあ、もう身体の隅々まで私に見られてるのに、なんでまだ、胸とか股間とか、そうやって隠すの?」
    「え…やっぱり…その…」
    「恥ずかしいの好きなんでしょ?恥ずかしいとま○こ濡れるんでしょ?」
    「はい…」
    「じゃあ、手、どけなさい」
    椅子に座った状態で、気をつけをさせられてしまう。

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    「よし。その臭い身体、洗ってやる」
    言いながら、スポンジにボディソープをかけ、手際よく泡立てる。
    「えっ、やっ、自分でできます」
    慌てて背後の美沙樹を振り向く。
    途端に目に飛び込む、美沙樹の股間。思わず、食い入るように見つめてしまう。
    「直視すんな、エロ陽菜」
    泡だったスポンジが。顔面を直撃する。
    「ひぁっ」
    顔を泡だらけにして、目も開けられない陽菜を笑った後、美沙樹はぬるま湯のシャワーで流してやり、
    「無駄な抵抗はやめて、おとなしく私に弄ばれな」
    「はい」
    「よろしい」
    陽菜の背後でしゃがんだ美沙樹は、身体全体にシャワーを浴びせると、背中から洗い始めた。
    「私に洗ってもらえるなんて、幸せだろ」
    手際よく、だが雑ではなく、背中から腕へと洗っていく。
    「はい。照れくさくて、恥ずかしくて、幸せです」
    答えながら、身体をくねらせる。
    「くすぐった…あっん」
    美沙樹が脇の下や脇腹を洗い始めたのだ。
    「じっとしてろ」
    「だっ…って、んっ。ひあっ」
    身もだえしすぎて、椅子からずり落ちる。
    「痛たた…」
    「ばーか」
    座りなおした陽菜の胸に手が回ってきた。
    緊張する陽菜をからかうように、乳房の上をスポンジは通過して、首筋にまわってくる。。
    そこから鎖骨、胸の谷間、そして胸の側面。
    「これだけでかかったら、乳の裏側に汗疹とかできるんじゃね?」
    「できます…」
    「じゃあ、丹念に洗わないとな」
    乳房を持ち上げられ、念入りにこすられる。そのままお腹へ。
    「楽しいところは後にとっておかないと」
    「ひあっ、お臍っ」
    「うっさい。暴れるな」
    スポンジの角で、ほじられる。
    「んあっん」
    「脚、開いて…」
    「はい」
    スポンジが数回内腿を撫でたが、背中からではうまく届かない。
    「脚は自分で洗いな」
    スポンジが陽菜に手渡される。
    言われるままに陽菜が脚を洗い始めると、ボディソープで泡立った美沙樹の手が、陽菜の乳房にかかった。
    「ん…あ…」
    美沙樹の手に、ゆっくり、ねっとりといやらしく、両方の乳房を撫で回される。
    「んあ…ぅ…」
    乳首が手のひらでこねられる。
    「乳首、こりこりになって洗いやすくなった」
    耳元で美沙樹の声。
    「んんっ」
    右の手に左の乳首を、左の手に右の乳首を摘まれる。まるで、抱きしめられているような状態。
    背中に美沙樹の弾力。先端の乳首の硬さまで伝わってくる。
    「んあっ、んあっ」
    ボディソープのぬめりを利用して、乳首がしごくように責められる。
    「こうしたら、なんか風俗みたいじゃね?」
    背中で柔らかなボールが、肩甲骨の辺りを撫で回すように動く。
    「んあっ、乳首…くすぐった…んんっ」
    「こんなにしごかれても、くすぐったいのか?」
    美沙樹の指に力が加わると、硬くなった乳首が逃げるように、指の間から押し出される。押し出されては摘まれ、摘まれては、弾き出され。
    「ひあっ、ひぁっん、違う…の。美沙樹さんの乳首、背中…ああう…くすぐったい」
    綿のような暖かい感触の中で、その1点だけが明確な弾力を持ち、陽菜の皮膚を刺激してくる。
    「陽菜の乳首…ぃんっ、も…気持ちい…んですけど、美沙樹さんの乳首…も…んあっ、陽菜、乳首…あああ」
    美沙樹の指先が、乳首をぷるぷる、と連続で弾き始めたのだ。
    「ん?何?何言ってんだか、わかんないんだけど?」
    耳元の美沙樹の声。呼吸が荒くなってるのが伝わる。
    「ほら、ちゃんと脚、洗いな」
    「んあっ、も…洗えな…ぃぃ…」
    スポンジを膝の上に当てているだけになっていた。気持ちよさで身体が痺れて、うまく動かない。
    「ちゃんと洗え。足の臭いやつは、ベッドの中になんて入れてやらない」
    この後のことを意識させるひと言。
    「あら…ぃま…すっ」
    身を屈めて足首へスポンジを滑らせると、掴みづらくなったのか、胸から手が離れた。
    片手がウエストに回され、反対の手が背中を撫で回し始める。
    身体がかなり高ぶって、背中を撫でられるだけでも気持ちいいのだが、それでも何とか、脚を洗える。
    その間も手は背中を撫で、だんだんと下へ。腰の辺りを撫で、お尻へ。中指がお尻の割れ目へ入り込んでくる。
    「ひっ」
    思わず上体を起こそうとすると、
    「痛ぇっ。ばか。指、潰れるって。ちゃんと前屈みになって、足の指先まで洗え」
    膝に乳房がつくぐらいに前屈みにされると、お尻の後ろが浮いてしまうのがわかる。そこにできた空間へ、美沙樹の指先が進んでくる。

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    「ここも、綺麗にしないとな」
    「ひあぅ」
    身体がびくん、と跳ねそうになったが、美沙樹の手を踏んではいけないと思い、必死に体勢を維持する。
    「そうそう。そのままでいろよ」
    美沙樹の指の腹が、肛門を撫で回してる。
    「ひくひく動いてる」
    笑いながら、刺激する。
    「ひあう。くすぐったい」
    「ボディソープだからな…あんまり、突っ込まない方がいいよな…」
    独り言を呟く。陽菜には、なんのことかぴんとこない。
    次の瞬間、
    「あああ…んんっ」
    肛門に熱い感触。周辺が広がる。指?指先が小さな穴に潜り込もうとしてるのだ。
    「第一関節も入ってないって。痛くないだろ?」
    「うん…でも、熱いよ…」
    足先までつりそうな熱さが走る。
    「何言ってんだ。普段、指なんかより太いの出てきてるだろ」
    「出てま…うあっ」
    あまりの刺激にお尻が椅子から浮いていた。そこを狙って、指がさらに入り込んでくる。
    「出てないの?」
    指が、円を描くように穴の中でくねる。
    「出てまう…っん、広がる、広がっちゃう…」
    「広げてんの」
    肛門の淵にもうひとつの感触。次の瞬間、さらに熱さが増した。
    「痛いか?」
    「ううん…熱いけど…痛くは…ないっん…けど、もしかして…」
    「そ。2本目が入りました。やっぱ、淫乱巨乳には、いやらしいお尻の穴があるんだな。初めてで2本、いけちゃうんだもん」
    2本の指が第一関節まで潜り込み、ぐるぐると回る。
    「そんな…」
    「何?初めてじゃないの?オナニーのとき、私に内緒でお尻も使ってたの?」
    小さくピストンし始める。
    「ちが…うんっあ、初めて…んあ、んあ」
    お尻の中心が、押し込まれては引き出される。性器をいじられるのとは違う感覚。
    「よし。今日はここまで。明日からのオナニーは、お尻も使うように」
    指が引き抜かれると、力が抜けて、椅子にぺたんと座り込む。
    「今日は、このぐらい入ったよ」
    わざわざ指先を陽菜に見せ付ける。
    「いや…」
    言いながらも指先を見つめてしまう。細い美沙樹の指が2本、先が入った程度。それなのに、あんな不思議な感覚。排泄するのとは違う熱い異物感。
    「汚いですよ…」
    指先にあからさまな汚れがないことにほっとしながら、言う。
    「どれどれ」
    言いながら、自分の鼻先へ指を持っていこうとする美沙樹の手を掴んで、
    「洗いましょう」
    お湯の溜まった洗面器の中へ押し込む。
    「強引だな」
    「私だって、やるときはやるんです」
    「何だ、それ?」
    陽菜は、ごしごしと丹念に美沙樹の指を洗う。
    「初めてなのに…2本も…ほんと、美沙樹さん、ひどい…」
    ぶつぶついうのは、お尻の快感に気づき始めた照れ隠し。
    「その内、2本じゃすまなくなるぞ」
    どこか満足げに洗う手を見下ろしながら、言う。
    「3…3本…ですか…」
    思わず、美沙樹の指先を見つめてしまう。
    「そう。3本の次は4本…そして、いつかは…」
    洗面器の中で握り拳を作ってみせる。
    陽菜は、あまりのことに絶句して、その拳を見つめてしまった。
    「さてさて、メインディッシュ」
    大きく股を開かされる。
    「抵抗なんてすんなよ」
    こくん、と頷く。
    「さあ、前見て」
    今まであえて視線を逸らし続けていたそれを陽菜は見つめる。
    「何が見える」
    「自分…です…」
    股を全開にした自分の姿が、鏡に映っていた。
    「そ。ま○こ、丸見えの陽菜が映ってるね。自分でも言ってみな」
    言いながら美沙樹は、陽菜の内腿をさすり、新しい泡を作っている。
    「ま…んこ…丸見えの私…」
    「これから、臭いま○こを洗ってもらう陽菜」
    直接触れないようにしながら、美沙樹の手が左右の皮膚を引っ張り、性器を広げてみせる。
    「これから…臭い…ま○こ…洗ってもらいます…」
    さらに言わされる。
    「綺麗に洗ってもらって…誰に…見せても…恥ずかしくない、変態ま○こに…してもらいます」
    それだけ言うだけなのに、身体が痺れ、力が抜けていく。
    「よく言えました」
    美沙樹の手が、性器全体を撫で回すようにして、泡を広げていく。
    「ふあああ…」
    「洗ってるだけなんだから、感じた声だすな」
    「はい…ぃん」
    「返事だけだな」
    美沙樹の指先が、そっと動き始める。
    「今洗ってるここは、なんて言うんだっけ?」
    「大…陰唇…」
    「誰の?」
    「陽菜の大陰唇です」
    指先が上下に撫でるように洗う。
    「ここは?」
    「陽菜の…小陰唇です…」
    「そうだね」
    伸ばすように外へ広げられ、指の腹で撫で回される。
    「んああ…」

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    「ここは…?」
    「陽菜のクリトリスです…」
    「違うだろ」
    言いながら皮の上から、泡まみれにするように撫で、
    「陽菜の大好きなクリトリス、だろ」
    「はい…陽菜の…大好きなクリ…ひうんっ、クリトリスです」
    皮をめくられ、直接撫でられる。
    「あああ…クリっ、好き…」
    「今の陽菜が一番感じるところだもんな。ここは?」
    クリと同時に撫でられて、
    「にょ…にょ…ひにゃにょ…尿道口です…ん」
    「このままいきたい?」
    「いきたいっ…です…ああ」
    その瞬間、指が離れる。
    「や、まだっ」
    思わず、口から出てしまう。
    「ばーか。そんなにいかせてやるか」
    言いながら、片手で性器を開き、
    「ここは?」
    反対の手で、円を書くように撫で始める。
    「陽菜の…膣です…膣の入り口です…」
    言っている間も、浅い呼吸のような喘ぎが溢れ出ている。
    「そう。ここもちゃんと洗わないと。いつまでもクリだけで、あんあん言ってないで、ま○こ全部で感じる変態に成長しないとな」
    「はい。がんばります。いっぱいいじって…変態ま○こになります」
    美沙樹の言葉の意味も、深く理解できないまま、陽菜は快感に身体をゆだねる。
    「陽菜…」
    いきなり美沙樹が、背後から抱きしめてくる。
    「あうっ、ん…何、美沙樹さん…?」
    腕の力が緩まり、
    「何でもない」
    美沙樹はそう答えると、シャワーを掴んだ。
    「シャワーの刺激でいっちゃうなよ」
    「はい…」
    返事の甲斐なく、シャワーの水圧と、美沙樹の指先で陽菜は今日3度目の絶頂を迎えた。
    「私も、お返ししたかったのに…」
    湯船の中で、ぶつぶつと文句を言ってみる。
    「何も、一緒にお風呂はいるのは、今日で終わりじゃないだろ」
    バスタブも広い。開かれた美沙樹の脚の間に陽菜は座り、後ろから抱きしめられていた。背中に美沙樹の胸の感触。
    「そう…ですよね…」
    声が弾みそうになって、抑える。
    「そそ。せっかくここにこんな大きなスポンジがあるんだもん」
    美沙樹の両手が、陽菜の乳房を持ち上げる。
    「しかもふたつ。これでしっかり洗ってもらわないとな」
    浮力を利用してお手玉のように、たぷたぷ、と弄ぶ。
    陽菜の身体を洗い終えると、美沙樹は、先に湯につかるように言った。身体が冷えてきたから自分で洗ってしまう、と言われ、仕方なく湯船の中から美沙樹の背中を鑑賞したのだ。
    「洗います。フル活用で洗います」
    乳房を揉んでる手に、自分の手を重ねる。
    「美沙樹さん…」
    「ん…」
    乳首に狙いを定めようとしていた美沙樹の手を押さえる。
    「私…美沙樹さんのこと…好きです。その…大好きです…」
    「いきなりだな」
    驚いた声。すぐにそれは消え、
    「こんな虐めっ子を好きになって良かったのか?」
    陽菜の肩に顎を乗せ、意地悪そうに言う。
    「良かったんです。美沙樹さんも、私のこと好きだってわかったから」
    背中越しに、美沙樹の身体が硬くなるのがわかる。
    「私のこと、虐めながら、大切にしてくれてる。私のこと、ちゃんと見てくれてる。そう気づいたから、私の中、どんどん美沙樹さんで溢れてきたんです」
    「何だよ、それ…」
    言い返そうとする美沙樹の言葉を遮り、
    「違いますか?私のこと、好きだから、虐めてたんですよね」
    湯船で、たぽん、と湯面が動いた。

    第8話□君にすべて捧ぐ
    [8/8㌻]
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    「そうだ。好きだから、虐めた」
    静かな言葉。
    腕は胸からはずれ、ウエストを抱きしめている。
    「女の私が、陽菜を振り向かせるためには、それしか思いつかなかった。虐めるのが、楽しかったのも確かなんだけどさ。そんな私もひっくるめて、陽菜に受け入れてもらいたかった」
    「いつから…ですか?」
    「え?そこまで聞くのか?」
    「教えてください」
    「いつからなんだろ」
    はぐらかすのかと思ったが、違った。
    「自分の気持ちに気づいたのは、中3かな…」
    「そんな前から…」
    「純愛だろ?」
    硬かった口調が、少しずつ和らいでいく。
    「修学旅行のときさ、みんなで風呂入んじゃん。あんとき、陽菜、めちゃくちゃ恥ずかしがって、胸は隠す、股間は隠す、お尻も見せたくない、みたいになってたろ」
    「だって、ほんとに恥ずかしくて」
    「あの頃からでかかったもんな、胸。胸ってか、もう、おっぱい、って感じだったもんな」
    「あの頃から…美沙樹さんっておやじだったんですね」
    「うっせ」
    ふたりで笑う。
    「あのときの、陽菜の恥ずかしがり方とか、タオル奪われたときの慌て方とか、男子のほうまで聞こえるように、陽菜のおっぱいでけーっ、って騒がれたときの泣き顔とか、すっごいツボでさ」
    タオルを奪ったのは美沙樹だった。
    「なんか、恋の話じゃないです」
    「恋なんだって。あのときさ、ああ、この泣き顔を独り占めしたい、って思った」
    「やっぱり、純愛じゃないです…」
    陽菜はいつの間にか泣いていた。言葉では純愛を否定したが、心から感じていた。美沙樹の言葉の中にある、歪んで見えるかもしれないけれど、確かな真実。
    「いや…だから…ごめん。泣くなよ」
    陽菜の言葉を真に受け、美沙樹が慌てる。
    窮屈そうに陽菜を振り向かせ、
    「今は、あの頃よりもっと好きだ。泣き顔も、困った顔も、痛がった顔も、悦んでる顔も、笑ってる顔も…全部、独占したい。私ひとりで支配したい。心も身体も」
    今までに見たことのない真剣な表情。
    「だから、泣くな」
    そのまま肩を抱きしめる。美沙樹の方が泣きそうな声。
    「泣き顔、好きなのに?」
    「そうだ。私が泣かせたいときに泣け。今は…笑ってくれ…」
    美沙樹の声が震える。
    「美沙樹さん…」
    陽菜が身体を退く。美沙樹の力は弱々しく、身体が離れていく。
    美沙樹の顔を見つめる。涙で濡れた頬。怯え、揺れる瞳。言葉を紡ぎたいのに、ただ震えるだけの口唇。
    「私の全部、あげます」
    陽菜は精一杯の笑みを美沙樹に向ける。流れる涙など、帳消しになるぐらいの満面の笑みを。
    「もらってくれますよね」
    美沙樹の顔が驚きに変わり、やがて陽菜を超える笑顔になる。
    「もちろんっ」
    再び陽菜を抱きしめる。今度は力強く。
    「ま○こも、ケツももらってやるっ」
    もう少しロマンチックな表現はないのか、と突っ込みたかったが、重ねられた口唇の甘さに、それも溶けていった。
    【 完 】

    第9話□ハジメテノ朝へ…
    [1/5㌻]
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    バスルームを出ると美沙樹が丁寧に陽菜の身体をバスタオルで拭いた。
    「きちんと綺麗になったか確認するから、四つん這いになりな」
    自分の身体を拭きながら命令する。
    「はい」
    陽菜は、美沙樹の方を向いて膝をつき、両手も床についた。
    ついつい下から美沙樹の身体を見つめてしまう。
    「見んな。エロ牛」
    見上げる顔に美沙樹の足が乗る。陽菜は避けずに、その足の裏を舐めた。
    「くすぐったいって」
    言いながらも、足を引っ込めず舐めさせる。
    「牛かと思ったら犬だったのか。エロ犬だな」
    足を降ろす。さすがに片足は辛かったようだ。
    「ほら、ケツだせ。おまわり」
    「はい…」
    言われるままにお尻を向ける。
    「はい、じゃなく、わん。エロ犬らしく返事」
    「わん」
    「声が小さい」
    これが、さっきまで泣きながら告白した相手にすることなのか。それでも陽菜は素直に従う。
    美沙樹に命令され、抵抗せずに従う。その行為が、身体を熱くさせることを知り始めていた。
    「わん」
    もう一度、大きな声で鳴く。
    「もっと高くあげろ。膝なんて床につけるな。爪先だけで立て」
    手足が震えそうになるのを耐え、
    「わんっ」
    高々と突き出すお尻。肉が左右に割れ、肛門が外気にさらされている。
    「よしよし。よく見えるぞ」
    「わぅん」
    陽菜の鳴き声が震える。
    「ケツの穴も、ま○こも丸見え」
    美沙樹が屈んで観察している。
    「くぅっ」
    指先で肛門をいじる。
    「やだ、だめ…」
    肛門のしわを伸ばされていく。
    「犬は言葉しゃべんな」
    「きゃぅん」
    お尻を振って逃げようとする。
    「お。ケツの穴見られて、そんなに嬉しいのか」
    「わぅわぅ」
    犬語の否定なんてわからない。
    「さて、犬ま○こはどうかな…」
    「わぅぅぅ」
    縦になぞる指先。2度、3度と往復させるだけで、指先が割れ目に潜り込んでいく。
    「きちんと拭いたはずなのになあ、ぬるぬるしてる」
    「んぁっ、わぅん…」
    くちゅくちゅ、と指先が膣の入り口を出入りする。
    「気持ちいいか、エロ犬?」
    「わぅん」
    話すことができないため、躊躇いの言葉も伝えられず、素直に答えるしかない。
    「そかそか。でか乳揺らして、ほんと気持ちよさそうだな」
    「わぅぅん」
    「よし。部屋に行くぞ。ついといで、エロ犬」
    「わん」
    美沙樹の後ろをついていく。しかし、膝をついた四つ足ではないため、そのまま
    歩くのはかなりきつい。
    リビングの脇に階段があり、美沙樹の部屋は、その上だった。
    「ここは危ないから、膝ついてもいいぞ」
    陽菜に道を譲る。
    「わん…」
    緊張しながら、階段を上がる。手を進め、膝をあげ、1段1段ゆっくり進む。
    「何してる。犬はケツなんか手で隠さないぞ」
    下から美沙樹が見上げている。
    「わん…」
    絶対丸見えだ。恥ずかしさで、身体が熱い。
    「いい眺め。歩く度にケツ、ぷりぷり振って、ま○こが、くにくに動いてる」
    「わぅ…」
    「発情してんの?進む度に階段の角に乳首こすりつけて」
    慣れない姿勢で歩くせいか、身体にうまく力が入らない。けれど後少し…
    「床にまん汁、たらすなよ」
    「わん…」
    美沙樹は次々と言葉を並べ、陽菜の後ろ姿を実況する。大げさな表現もあったが、それすら本当のことに思えて、陽菜は自分の淫らさを自覚していった。
    姉の部屋の前を通過し、奥が美沙樹の部屋。
    「さあ、犬陽菜、部屋についたよ」
    ドアを開け、陽菜を招き入れる。
    数年ぶりの美沙樹の部屋。だがそこは見知らぬ部屋だった。リビング以上に生活感のない室内。家具も雑貨も必要最小限。
    中学生の頃、数度遊びに来たことのある美沙樹ちゃんの家ではない。
    自室すら美沙樹にとっては、自分の居場所ではないのか。
    「さすがに辛かったろ。膝ついていいぞ」
    自分はベッドに腰を下ろす。その横には陽菜の下着と靴下。美沙樹の靴下もある。
    壁際のラックには、陽菜と美沙樹の制服が並んでかけられていた。
    「エロ陽菜がどこまで賢い雌犬か、芸をさせてみよう」
    陽菜の前に手を差し出す。
    「お手」
    「わん」
    右手を乗せる。
    「おかわり」
    「わん」
    「おまわり」
    その場でぐるっと回った。
    「なかなか賢いな」
    人間としてはできて当たり前、というかできたとしてもやらないこと。しかし美沙樹に頭を撫でられ、誉められると、笑みが浮かんでしまう。
    「よし、次はちょっとむずかしいぞ」
    ベッドの上の靴下を掴む。
    「ご主人さまの匂いだぞ。よく嗅いで覚えろ」
    鼻先に差し出された美沙樹の靴下。

    第9話□ハジメテノ朝へ…
    [2/5㌻]
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    自分の足の匂いを嗅がれたら、陽菜なら恥ずかしくて赤面してしまう。本当に嗅いでいいのか迷ったが、この際だから、と鼻を鳴らして嗅いだ。
    1日はいた靴下。かなりきつい匂い。それでも大切に吸い込む。
    「いい匂いか?」
    「わん」
    本当に自分が犬だったら、しっぽを振って答えていたかもしれない。
    「よし、とってこい」
    靴下を部屋の隅に放り投げる。
    「わんっ」
    ぱたぱたと靴下を追いかける。
    フローリングの床に落ちた靴下。陽菜は、それを手で押さえる。
    靴下を見つめ、美沙樹が望んでいる取り方が何かに気づいた。
    顔を近づけ、くんくん、と嗅いでみせると、口でくわえる。
    そのまま振り返ると、楽しげな美沙樹の笑顔があった。手招きされるままに戻る。
    「よくできたね」
    再び撫でられる。
    「そのまま、ちんちん」
    命じられた姿勢をとると、身体が震えた。
    自ら進んで脚を開いた状態でしゃがみ、胸も隠れないように気をつけて手を肩の位置まであげる。
    すべてを飼い主にさらけだすポーズ。
    「賢い犬だね。エロ賢いね。ま○こ、ぱっくり開いて、発情した顔してさ」
    伸ばした足の先が、陽菜の股間に近づく。
    「ぅぅん…」
    足の甲が、性器を撫でる。ぬるぬるとしているのが、自分でもわかる。
    「これだけちゃんとした犬なら、首輪つけて公園に散歩にもいけるね」
    本当にそんなことをしたらどうなるかわかっているのに、美沙樹が、全裸の自分を引いて、公園を散歩してくれるシーンを想像してしまった。
    「本当に連れていってほしそうな顔してる」
    心の中を見透かされ、恥ずかしさで耳まで熱くなる。
    「まあ、首輪ぐらいは買ってやろうかな」
    ひとり呟くと、ベッドの脇をぽんぽん、と叩き、
    「上がっておいで。犬陽菜は終了」
    「わんっ」
    思わずそう答えて、陽菜は美沙樹の隣に正座した。
    「なんで正座?」
    「直接座ると、ベッド汚しちゃいます」
    「ま○こ濡れてる自覚はあるんだ」
    「はい。身体とろけてます」
    「どれどれ」
    言うなり美沙樹は、陽菜を押し倒した。
    仰向けの状態で両脚を持ち上げられる。
    「やっ」
    そのまま左右に大きく開かれ、思わず手で隠してしまう。
    美沙樹は何も言わず、陽菜の顔をじっと見つめる。
    命令しなくても美沙樹の言いたいことを理解し、ゆっくりと手をどける。そのま
    まバンザイのような状態に。
    「いや、そこまでしなくても」
    美沙樹が苦笑いする。
    「このぐらいしないと、思わず隠しちゃいそうで」
    「いい心がけだ」
    美沙樹はさらに陽菜の下半身を持ち上げる。
    肩胛骨から上だけで身体を支えている姿勢。性器だけではなく、肛門も、蛍光灯
    の光に照らし出されている。
    しかも、それだけではない。
    「陽菜からも見えるだろ、自分のま○こ」
    折り曲げられた身体。普段は直視しない、肉体の底が見える。
    「自分のま○こ、どうされるかわかってうれしいだろ」
    身体はくの時に折れ、伸びた足の先がベッドにつく。なんとかそれでバランスが保たれている。
    「いただきます」
    美沙樹は、ゆっくり陽菜の性器に口唇を重ねた。
    「んあっ」
    「見える、陽菜」
    限界まで延ばした舌で、左右に広げた性器を舐めあげる。
    「見えます…んあっ」
    美沙樹の唾液と陽菜の愛液が混ざりあって、白く輝く糸を引く。
    「ひあああ…」
    じゅるるる、と大きな音をたてて愛液をすすられる。性器がぶるぶると震える感覚。
    「ひぁぅ…ひぁぅ…」
    美沙樹の口が離れた後も、喘ぎが止まらない。
    ちゅぱ…っという音。視線を向けると、すっぴんでも美しい美沙樹が、自分の人差し指に唾液を絡めていた。
    指先が性器に当てられる。
    「んんっ、あう…」
    指先が少しずつもぐり込み、膣の入り口を刺激し始める。
    「ふあああ…」
    入り口をいったりきたり。
    クリトリスを刺激される直接的なそれとは違う、中から溢れ出るような快感。
    「入れるよ…」
    ゆっくり、指先が沈んでいく。
    「ふあ、ふあ、ふあ…」
    根本までくわえこんでいた。
    今までは外側のみの責めだった美沙樹の指が、初めて陽菜の内側へ入り込んでくる。
    「陽菜の中、とろとろのゆるゆる」
    美沙樹の指を中に感じる。
    「このまま入れてたら、溶けちゃうから抜いちゃおっと」
    引き抜かれていく指を追いかけるように、膣が収縮する。
    「いやぁ…んっ」
    思わず、もっと、と哀願してしまう。
    「はうっんっ」
    一気に入り込んでくる快感。
    「今、じゅぷ、って音したの聞こえた?」
    再び奥まで指を差し込んだ美沙樹が問う。
    「聞こえませんでした」
    初めて感じる刺激に頭が溶けていた。

    第9話□ハジメテノ朝へ…
    [3/5㌻]
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    「じゃ、もう1回やったげるから、ちゃんときいてなよ」
    「ふぁい…うぁ…」
    指がゆっくり抜かれ、再び奥まで。じゅぷっ。入り口の抜けるぎりぎりまで引き抜かれ、内側を撫でながら奥まで。じゅぷ。
    「きこえ…ます…あうっ。きこえますぅんっ」
    じゅぷっじゅぷっ…繰り返される快感の音。何度繰り返されたかわからない。
    やがて、
    「私の指、べたべた」
    引き抜かれた指と陽菜の性器を名残惜しそうに繋ぐ糸。
    「なめちゃお」
    「いやあ」
    美沙樹の手を止めようとするが、届くわけもない。
    美沙樹は美味しそうに、指についた愛液をしゃぶる。
    「お。いつもとひと味違う」
    美沙樹が離れると、力が抜けて、体勢が維持できなくなった。ぐったりとベッドに仰向けになる。
    「陽菜の全部、私、貰っていいの…」
    美沙樹の手がベッドの下に潜り込んでいた。
    「どうか、貰ってください…」
    「いいんだな」
    ベッドの下から現れたのが何か、陽菜にはよくわからなかった。
    革製のTバック?ちょっとおかしい?
    「これなんだ?」
    それを身につけ、ベッドの上に立つ美沙樹は、照れくさそうな、戸惑ったような、複雑な表情を浮かべていた。
    「ちん…ちん…」
    美沙樹の股間から、肌色の男性器が生えている。
    「違う。これから陽菜の処女を奪う、ち○ぽだ」
    その言葉は知っていたが、どこかで怖いものと感じていた。
    けれど、今目の前にあるものは、それとは違うように思える。
    「ちん…ぽ…」
    「そう。さ、起きあがって、ち○ぽにご挨拶」
    「はい…」
    起きあがるが、挨拶と言われても…
    陽菜の前に、人工のペニスが突き出される。
    「よろしくお願いします」
    ぺこ、と頭を下げるしか思いつかなかった。
    ぷぷっ、と美沙樹が吹き出す。
    「ごめんごめん。陽菜、初めてだもんな。挨拶、って言われて、何していいかわかるわけないよな」
    「そうですよっ」
    座ったまま美沙樹の顔を見上げる。
    「わかんないなりに、よくできました」
    笑いながら美沙樹は、頭を撫でる。
    「じゃあ、フェラしてごらん」
    その単語は知っていた。雑誌で見かけたこともあるのだが、やり方まで読み込んだわけではない。どこか他人事だと思っていたのだ。
    「ほら、私の指で練習させてたでしょ」
    放課後、由香里や綾奈との待合わせのときなど、ふたりきりで時間を潰すときにさせられていた。指を丁寧に舐めさせられるのだ。
    時間のあるときは、足の指も舐めさせらる。
    とろん、とした満足げな顔で、懸命に舐める陽菜を見つめているときがあったが、つまりはこういうことだったのか。
    「はい」
    指などより遥かに太いそれを陽菜はゆっくりくわえ込んだ。先が舌の上に乗る。
    「ちゃんと奥までくわえなさい」
    指のときと同じようにいわれ、顔を美沙樹の股間に進める。
    のどの奥に先が当たり、思わず咳き込んだ。歯がペニスに何度かぶつかる。
    「こら。これが本物のち○ぽだったら、私、激痛でのたうちまわってるとこらだけど?」
    「ごめんなさい」
    改めて慎重に、のどの奥まで。舌を絡ませると、形のリアルさが頭の中にイメージされる。
    これがやがて、自分の中に…
    「こんな太いの…」
    「指に比べれば太いけど、むしろ本物に比べたら全然細いんだぞ」
    「そうなんですか?」
    「そう。それに、安物なんだ、ごめんな。きちんとしたペニスバンドって、かなり値段するんだ」
    どんなものがきちんとしているのかわからないが、陽菜には、これでも充分、本物と同様に思えた。
    「ほら、続き」
    「はい…」
    口の中に溢れる唾液をねっとりと絡ませ、ペニスを濡らしていく。顔を前後に振り、すぼめた口唇で形を味わうと、じゅぷ、じゅぷ、と音がした。
    「そうそう。上手だよ。指みたいに神経通ってないから、普段以上に音を立てて、耳で私を感じさせな」
    言われるままに、溢れる唾液を舌に乗せて、ペニスに塗りつける。
    陽菜の唾液をまるで愛液のようにまとって、肌色のそれが、ねっとりと光を滲ませる。
    「私のち○ぽ、美味しい?」
    「はい…」
    舌を限界まで出して、舌先で裏側を、先をなぞるように舐めながら、
    「美沙樹さんのち○ぽ、美味しいです」
    陽菜は答える。
    「よし、脚を開いて、そこに寝な」
    陽菜が再度、唾液を絡ませたのを見計らって、命じる。険しい声。
    「はい…」
    期待と緊張で、陽菜の声が震える。
    美沙樹さんと繋がる。嬉しさで潤んだ瞳を美沙樹に向ける。
    「美沙樹…さん…?」
    開かれた脚の間で膝立ちになった美沙樹は、ペニスの根元を握ったまま硬直していた。
    「どうしたの?」

    第9話□ハジメテノ朝へ…
    [4/5㌻]
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    「本当に…いいのか?」
    バスルームで聞いたのと同じ震えた声。不安な表情。美沙樹もこんな行為が初めてなのだろうか?
    「これ…本物じゃないんだ…」
    泣きそうな声。美沙樹の言葉の意味するところを陽菜は理解した。
    「やっぱ、初めては…ちゃんとした恋愛…っていうか…」
    きっと美沙樹は悩んでいたのだ。男性とのセックスを連想させる単語や行為のとき、時折見せる戸惑った表情の理由。
    女同士であることを本当に気にしていたのは、美沙樹なのだ。
    「美沙樹さんっ」
    陽菜は起き上がる。
    「陽菜の処女膜破るものは何でもいいんです。本物でも偽者でも、玩具でも、マジックでもモップの柄でもかまいません」
    「陽菜…」
    美沙樹は、その場に座る。
    「大切なのは、誰がそれをしてくれるかです」
    じっと美沙樹を見つめる。
    揺れる美沙樹の瞳。陽菜の言っていることは、頭では理解できているはず。いや、そう自分に言い聞かせて、この夜まで来たはずだ。
    「本当に、本物じゃないとだめ、って美沙樹さんが思うなら…」
    陽菜は、力なく脚の上にたれた美沙樹の腕を掴み上げ、自分の手を被せて拳を作らせる。バスルームで言われたあの冗談を思い浮かべながら。
    「これで、してください」
    美沙樹は、一瞬理解できず、自分の拳を見つめたが、
    「ば、こ…こんなの…今の陽菜に入るわけないだろっ、ばか」
    慌てて腕を背中に隠す。
    「じゃあ、それまで陽菜は処女です。膜なんて関係ないです」
    自身の唾液でねっとりした人工のそれを掴み、
    「美沙樹さんが入ってこれるようになるまで、これで練習させてください」
    そのまま美沙樹を押し倒す。
    「おっ、ちょ、え、あ…待て、陽菜…こら…」
    あまりの出来事に対応できなかった美沙樹が、
    「本当にいいんだな?」
    まともな日本語を話せたのは、屹立した人工ペニスの先に陽菜が自身の性器を当てたときだった。
    「はい…」自分で挿入することになると思わなかった。これが自分の中に入るとどうなるのかわからない。かなり痛い、と聞いたことは何度かある。
    そんな不安を顔には出さず、
    「陽菜を変態ま○こに育ててください」
    精一杯の笑顔で応え、腰を下ろした。
    「んあっ」
    最初に来たのは、指を入れられるのに近い快感。だが、すぐに限界点に達する。
    「いっ」
    「陽菜っ。無理すんな」
    「だい…じょうぶ…」
    体重を腰に乗せる。まっすぐ。めり、と音が聞こえそう。自分の中が押し開かれる感覚。
    美沙樹の愛撫でとろけきった性器から溢れる愛液を絡ませるように、浅く腰を振る。気持ちよさもそこにくると、痛みに変わる。激痛への恐怖。
    「陽菜…ゆっくりでいいんだ…今夜じゃなくても…」
    美沙樹の不安げな声。いつもの自信に裏打ちされた格好よさが表情から消えている。
    これ以上、自分のせいで、美沙樹さんのこんな顔見たくない。
    「いき…ます…」
    言葉と同時に、膝の力を抜いた。
    「いっ…」
    それ以上の叫びは口唇を噛んで堪える。手がシーツを鷲掴みにしていた。
    「陽菜っ」
    美沙樹が上半身を起こす。陽菜もそれに応じるように覆い被さる。
    ふたり抱きしめあったまま、再び横たわる。
    「痛い…よな…」
    「うん…でも、なんか、思ったほどじゃないかも…」
    美沙樹の肩に顔をうずめ答える。視線にあるのは、白い肌に残る傷痕。声が響いてはいけない場所でいかされるときに、噛み付いてしまった痕。
    血が止まり、傷が塞がっても、痕は消えていない。
    血が出るほど噛んでも、美沙樹は、痛みを訴えたことなどない。それに比べたら、きっとこんな痛み、問題ない。
    「少し、このままでいても大丈夫か?」
    「うん…ちょっと恥ずかしいけど…」
    痛みと緊張で、陽菜の下半身は蛙のような状態になっている。
    「うあ、しまった。股下からのアングルで見てみてえ」
    おどけた口調。
    「だめです」
    上半身を起こし、美沙樹の顔を見つめる。
    「今日の美沙樹さん、泣いてばかりですね」
    「うっせ。見んな」
    顔を背ける。
    それを追いかけ、
    「美沙樹さんの泣き顔、好きかも」
    「うっせ。ばか陽菜」
    美沙樹の腰が動く。
    「いたっ」
    「あっ、ごめん。つい…」
    「いきなり…もう」
    「ごめんごめん」
    「でも、動かないと、気持ちよくならないんですよね」
    「徐々に、な。処女膜の残骸みたいのが擦れてなくなっていくのに併せて、気持ちよくなっていくんだってさ」
    美沙樹は、もう一度陽菜の身体を強く抱きしめる。
    「今日の練習はここまで。これから、毎日特訓して、フィストファック目指そうな」
    声が弾んでいる。迷いが吹っ切れたのだろか。
    「フィスト…?」
    またわからない言葉が出てきて、陽菜はきょとんとした。

    第9話□ハジメテノ朝へ…
    [5/5㌻]
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    ペニスバンドを外した美沙樹が、血の流れた股間をウエットティッシュで優しく拭いた。
    「さすがに疲れた…」
    タンスから自分のショーツを取り出し、
    「これ、はいていいぞ」
    陽菜に投げ渡す。
    「え?裸で寝ましょうよ」
    いいながら、美沙樹の下着を伸ばしたり裏返したり。
    「ばか。ふたつの意味で、ばか」
    美沙樹に頭を殴られる。
    「ちゃんと洗ったやつだから、そんなじろじろ確認するな。そして、黙って、はけ。今夜は、はけ。ばい菌とか入ったら困るから、はけ」
    股間より痛い頭を撫でながら、
    「はい。でも、美沙樹さんは、全裸でお願いします」
    「なっ」
    もう1度、グーを作ったが、
    「ご褒美なんですから、お願いします」
    陽菜の言葉にあきらめる。
    「ささ。美沙樹さん、こっち」
    自分のベッドのように先に潜り、美沙樹を手招きする。
    「陽菜はそっち向け」
    片脚をもぐりこませながら、美沙樹が言う。
    「なんでですか。ぎゅっとしてくれるんじゃないんですか」
    「ふたり向かい合ったら、空気奪い合うみたいだろ。背中から、ぎゅっとしてやるから」
    「はぁい」
    渋々、背中を向ける。
    同時に部屋の電気が消え、美沙樹が潜り込んできた。
    片腕を陽菜の首の下に通し、反対の手をウエストに回す。片脚も、陽菜の間に絡めてきた。
    乳房が陽菜の背中に当たる。
    「これで、満足だろ」
    「はい。すっごく。美沙樹さんは、満足ですか?」
    「もちろん」
    「そうですよね。背中に硬いのふたつ、当たってますもん」
    「てめっ」
    美沙樹が上半身を離そうと動いたが、途中でやめ、先ほど以上に密着する。
    「陽菜のも硬くしてやる」
    胸をもみ、乳首を指の股で挟んできた。
    「あう…ん」
    陽菜が身をよじる。その瞬間響いたのは、
    「陽菜、腹、ぐーっていいたぞ」
    「なんだか、急にお腹空きました」
    陽菜の言葉に答えるように美沙樹のお腹からも同様の音。
    「夕飯食べてないもんな」
    ふたりで笑った。
    「陽菜、ちょっとコンビニで買って来い」
    「えー。今更パシリですか?今夜はちょっと動けません」
    「そか。せっかく、さっき私が着てた服着せて、深夜の野外露出でも、と思ったんだけどな」
    「あ、え?」
    「うそだ、ばか。あんな格好、ひとりでさせられるか。期待するな、露出変態」
    後頭部を頭突きされる。
    「とりあえず、寝よ。明日の朝、なんか作ってやる」
    「はい」
    数秒後には、美沙樹の寝息が聞こえてきた。
    安らかな寝息。
    寝言で自分の名を呼んでくれないか期待している内に、陽菜も眠りに落ちていった。
    【 完 】

    第10話□目撃者 由香里
    [1/6㌻]
    --------------------------------------------------------------------------------
    放課後の用具室。雑然と詰まれた机や椅子、ホワイトボードや壊れた跳び箱。
    誰にも掃除されず白くなった窓ガラスから差し込む黄金色の陽光は、レースのカーテンのような淡い帯となって、室内に広がる。
    由香里に綾奈、美沙樹に陽菜。いつものメンバー。
    けれど、いつもと違う空気。
    由香里は、椅子に座ると脚を組んだ。隣の机に綾奈も座る。
    「付き合うことになったんだ」
    最初に口を開いたのは、綾奈。いつものように明るい声。大学生の彼氏ができてから、ずいぶんと付き合いが悪くなったが、今日は顔を出した。
    「付き合う…でいいのかな?」
    陽菜が美沙樹の顔を見る。虐めの被害者と加害者。その間を繋ぐのは、いびつな恋愛感情。
    「そうだな。付き合う、でいいんじゃね?」
    美沙樹は、素直に認めた。自分たちの関係を何と呼んでいいのか不安だったのだろう。それを聞いた陽菜が、うれしそうに微笑む。
    「じゃあ、もう3人で陽菜を虐めることもないんだな」
    由香里は、静かにつぶやいた。
    「えと…」
    陽菜が戸惑う。おどおどしているのは、昔から変わらない。けれど、自分の意見がないのではないということはわかる。心の中にある答え。それを口に出すべきかどうか迷っているのだ。
    美沙樹も、それは同様のようだった。いつも活発で、頭の回転も速く、はっきりと自分の意見を言える女。昔からそうだった。それが、陽菜のことになると弱気になる。
    陽菜は、そのことを知っているのだろうか。
    「私と陽菜との関係は、特殊なんだ。女同士ってのは、もちろんあるけど、それだけじゃない」
    美沙樹は、頭の中にある答えを呼び出すように、ゆっくりと話し始めた。
    「普通の恋人同士のように、抱き合って、キスして、セックスして、それで完結するようなもんじゃない」
    綾奈が、身を乗り出して聞いている。
    「虐めて、虐められて、支配して、服従して。そういった行為すべてが、言ってみれば、セックスなんだ」
    美沙樹の言葉を黙って聞く、陽菜の顔が赤く染まる。
    「その虐めに、私らが入っちまえば、4Pになっちまうってこと?」
    由香里は、自分の感情がうまく整理できないまま口を開いた。抑えたいのに、なぜか美沙樹を責めるような口調になる。
    「いや、そういうのとは少し違う」
    美沙樹は、由香里の口調を気にせず、説明する。
    「たとえば、これから3人で陽菜の身体を踏んで遊ぶとする。それは、陽菜にとって『美沙樹に命令されて、由香里や綾奈に踏まれる』ってことでしかない。私にとっても『ふたりに美沙樹を踏ませる』って行為になってしまう。それは、バイブやローターを同じ扱いだ。由香里や綾奈を使って、陽菜を感じさせてるだけになっちまう」
    綾奈は、美沙樹の言葉を一生懸命理解しようとしてる。半分ぐらいわかればいいところか。
    「私は、友達を道具として扱いたくない」
    美沙樹の搾り出すような、決意。
    「そっか」
    由香里は、そう答える。答えた後、穏やかな笑みが顔に浮かんでくるのを感じた。

    第10話□目撃者 由香里
    [2/6㌻]
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    由香里にも、3人や4人でセックスをした経験はある。だが特に、その場にいたメンバーを『特定の誰かを感じさせるための道具』としてみたことはない。単純にホテル代を浮かせたかったり、どちらか一人の男に選ぶのが面倒くさかったり、ふたりきりになるほどの相手ではなかったり、そんな理由でしかない。
    それは結局、複数本のち○ぽも、他の女のま○こも、由香里自身を感じさせる道具として見ているということ。セックスのとき由香里が見ているのは、自分自身だけということなのかもしれない。
    だが、美沙樹と陽菜は違う。お互いに、相手のことだけを見つめているのだろう。由香里の足に踏まれても美沙樹のことを感じ、陽菜のことを想っているのだ。
    「前にも言ったと思うけどさ…」
    由香里は、美沙樹を見つめる。美沙樹は覚えているだろうか。
    「私は、別に道具でもかまわないんだ、友達なんだから」
    その言葉を知らない綾奈と陽菜が、不思議そうな顔をする。
    由香里と美沙樹は、中学時代からの友人だった。学校が一緒だったわけではない。夜の街で知り合い、夜の時間だけを共有する、そんな太陽を知らない関係だった。
    適当に街をふらつき、適当な場所に座って、適当な内容の雑談を交わす。適当な男に誘われ、適当に遊んで、適当な時間に帰る。
    そんなグループの中のひとりとして、美沙樹と出会った。
    だが、美沙樹はどこか他のメンバーと違った。由香里たちの持つ適当さとは一線を引き、少し離れたところからみんなの話を聞き、みんなに話しかける。由香里たちのいる場所が、自分の座るべき場所なのか、静かに観察しているようにも思えた。
    そう思えたのは、由香里自身もそんな視線で、夜の街を見ていたからかもしれない。
    小学校時代から続けたバレー。中3の春の大会を目の前にして、膝に負った怪我。根気よく治療を続ければ、選手としての復帰も会ったのだが、中学の間に選手になることは、もう無理だった。
    バレー以外に何をしていいのかわからなかった。夜とは、明日の昼のために存在する準備の時間なのだと思っていた。だが、昼の世界を失って、夜というもうひとつの1日をどう過ごしていいのかわからなかった。
    目的もなく、歩き始めた夜の街。明日になれば昼間の日常が始まることを知っている住民たちは、決して明日の話題に触れない。未来を見て話さない。将来を何も考えられなくなった由香里には、居心地のいい空間になるはずだった。
    きっとここなら自分を受け入れてくれる。そう信じた。
    夜の街は望むものなら誰でも受け入れる。それは、誰も受け付けないのに等しいのだと気づくのに、それほどの時間はかからなかった。
    街の明かりの下で、アスファルトや花壇の淵に座って話すメンバー。明日の夜、向かいに座る女がいなくなっても、特に困らない。明後日の夜、隣に知らない女が座っていても、笑える会話がある。今、由香里がこの場を離れても、きっと誰も追ってこない。
    だから、会話の輪を離れ、ひとり歩道を歩き始めた背中を、
    「どこいく?」
    思い切り叩いてきたときの美沙樹の笑顔を忘れない。痛みとともに背中へ広がった、あの暖かさを覚えている。
    街灯の人工光の下でしか会話を交わしたことのなかった由香里と美沙樹が、太陽の下で出会ったのは、高校の入学式だった。
    由香里は少し驚いた。自分よりはるかに優秀だと思っていた美沙樹が、自分と同じ高校、中流階級に入学してくるとは思ってもいなかったから。
    そんな由香里の驚きも意に介さず満面の笑みを浮かべ、抱きついてきたのは、やっぱり美沙樹だ。
    月すら満足に望めない夜空の下では、友達同士も無意識のうちに仮面を被っていた。自分の中にある悩みですら、他人のことであるかのように、モデルケースのようにしか話せなかった。
    だが青空は、そんな仮面をいとも容易く溶かしてしまう。
    ふたりは互いのことを恥ずかしげもなく、友達と呼べるようになっていた。
    「話したいことがある」
    ある日の夜、美沙樹から、そんなメールが来た。
    メールだとうまく表現できない。できれば、あって話がしたい。そういわれて、学校の近くの公園で待ち合わせた。
    「夜会うの久々」
    お互い自転車だった。どれだけ急いできたのか、息を切らしながら美沙樹はそう言った。
    「こんな格好で会うのは、初めてだし」
    ふたりともすっぴん、しかもスウェット。お互いを指差して笑った。
    ブランコを囲む鉄パイプに座って、話し始めた。今日クラスであったこと、担任の悪口、家を出る前にみたテレビ番組。

    第10話□目撃者 由香里
    [3/6㌻]
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    美沙樹が買ってきた缶ジュースが空になって、
    「話したいこと、って?」
    由香里は、本題に入った。昼間のように明るく振舞いながら、美沙樹は、初めて出会った夜の仮面を被っているように思えた。
    「それが、さ。ひかないで、聞いてほしいんだけど…」
    仮面の下にいるのは怯える少女。抱える不安を悟らせないように、必死に言葉を紡ごうとする。
    「いや、あの、たいした話じゃないんだ。ってか、たいした話なんだけどさ。わかてもらえるかどうか…」
    「どうした。美沙樹らしくない。もっと、すぱっといいなよ。わかってもらえるかどうかなんて、話さないとわかんないし、いつもの美沙樹なら、ばかな私でも理解できるように話してくれるだろ」
    「いや、由香里はばかじゃないし…」
    本題と外れた言葉を返す。空き缶を両手で潰して、
    「私、好きな子がいるんだ」
    「お、恋バナ?」
    美沙樹と恋愛について話すのは初めてだった。男について話すことはあったが、恋などとは結びつきそうもない話題だった。
    「だれ?だれ?クラスのやつ?」
    美沙樹は、頷く。
    「沢田とか?大野とか?」
    クラスで評判が高く、美沙樹とも仲のいい男の名前を挙げてみる。だが、美沙樹は首を横に振る。
    「高橋?中村?中川?」
    さらに横に振られる美沙樹の顔。もう、出席番号順にクラスの男子全員の名前を並べていくしかないか、と思ったとき、
    「男じゃないんだ…」
    か細い声。今、風が吹いていたら、簡単にかき消されたかもしれない。
    「え?」
    思わず、そう言ってしまった。
    「ごめん。なんか、変な話だ。自分でも変だってわかってるから。今のなし。忘れて」
    美沙樹は立ち上がる。わかりやすいぐらいに、無理して作った明るい口調。
    「話せよ」
    美沙樹の腕を掴んでいた。
    「友達…だろ?」
    だから、自分をここに呼び出したんだ。相談する相手に、自分を選んだんだ。
    「そう…だな…」
    美沙樹は座りなおす。
    「恋って言うか、そんなんじゃないっていうか、さ。いや、もう、なんて言っていいのかなあ」
    「好きなんだろ」
    美沙樹の表情が固まる。自分でもそれを認めるのが怖かったのかもしれない。
    「ああ。好きなんだ」
    もう誰とは問わなかった。美沙樹は今、話しながら心の整理をしている。時間がたてば、自然と名前は出てくるだろう。
    「あいつを虐めると、すっごく楽しいんだ。毎日あいつの顔見るのが楽しみで仕方がない。今日はどうやっていじってやろう、今度はどんないたずらしてやろう、ってわくわくする自分がいる」
    その言葉で由香里は理解した。
    登校中から、授業中、下校時間にいたるまで、美沙樹がちょっかいをかける相手は、ひとりしか思い浮かばない。
    「陽菜、か…」
    「そう…だ…」
    頷いた。

    第10話□目撃者 由香里
    [4/6㌻]
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    「おかしいよな。虐めるのが楽しくて、それが好きな相手にすることで、しかも相手は女で…」
    頷いたまま俯いた美沙樹。涙をこらえているのは、すぐにわかった。
    「自分でもわかってる。けど…どうしたら…いいか…全然…」
    スウェットのパンツに涙のしみができる。
    「今、すっぴんだし。ちゃんと泣いていいんじゃない」
    由香里は、美沙樹の背中に手を回す。
    あの夜、由香里の背中を暖めたのは美沙樹だ。ならば、今夜は暖め返す番なのだろう。
    「うん…ありがとう…」
    泣きながら、鼻水をすすりながら、美沙樹は話す。
    「中学のときから、あいつしか見れなくてさ。男とやっても、全然気持ちよくなくて。気持ちいいんだけど、なんか違う感じがして。やっぱり、陽菜ばっかり思い出して。あいつ虐めるの考えてオナニーするほうが、よっぽどいきまくれるし…」
    「いや、そこまでリアルな告白は、いらないんじゃね?」
    「あ、そか。ごめん」
    ようやく美沙樹が、顔を上げる。涙と鼻水で、ぐちゃぐちゃの顔。ティッシュもハンカチもなかったから、袖を伸ばして拭いてやる。
    「あ、いいよ。自分ので」
    上着のすそを持って、美沙樹は自分の顔をごしごしと拭く。腹の部分がべとべとになった。
    「陽菜、追っかけて、この高校に?」
    「まあ…ストーカーなんだ、私」
    「純愛だな」
    「純愛か?なんか違くね?」
    笑いながら、美沙樹は立ち上がった。
    「なんか話せてすっきりした。ありがと。こんな時間に」
    満面の笑顔。
    由香里はそれを見上げる。自分は、ちゃんと美沙樹の背中を暖められたんだろうか。ただ、心のつかえをひとつどけただけだ。結局、美沙樹の中にある問題は、何も解決できていない。
    「虐めよう、明日から」
    由香里は、決めた。間違った手段かもしれない。けれど、それで美沙樹に幸せが訪れるなら、答えが正しいなら、それでいい。
    「え?」
    美沙樹は、驚いた顔をする。理解できていない顔。こんな表情は初めて見た。少し勝った気分。
    「私も手伝うよ。陽菜虐め。虐めて虐めて、美沙樹の虐めなしじゃ生きていけない身体にしてやろう」
    SMとか、そんな風に考えたわけではなかった。ただ、虐めることでしか好意を表現できないのなら、虐められることで愛を受け入れられるように相手がなればいい。そう単純に考えた。
    「でも、それって…」
    「いいんだって。なんていうか、猛烈ラブアタックみたいなもんだって。そこに愛がある限り、さ」
    自分の言い回しに由香里が笑い、美沙樹が笑った。
    「でも、やっぱ虐めはまずくね?学校にばれたら、停学とか退学とか、さ」
    笑顔は消え、真剣な言葉。
    「そんなのに、由香里を…友達を巻き込めないって」
    由香里も立ち上がる。美沙樹と向かい合い、
    「深く考えんな。気に入った男がいたら、谷間見せたり、パンツ見せたりすんだろ。あれと一緒なんだって」
    「由香里が、私の谷間?そんなでかくないんだけど」
    美沙樹が、自分お胸を服の上から寄せる。
    「だから、その代わりになってやるって」
    美沙樹が笑顔になれるなら、
    「私は、道具になったってかまわないんだ」
    再び涙を溢れさせる美沙樹を由香里は抱きしめた。
    夜空に浮かぶ月は、青空の太陽ほど輝かないが、確かにふたりを照らしている。
    「美沙樹、私の胸で鼻かまないでくれる?」
    「いや、結構やわらかくて、肌触りのいいおっぱいだったもので」
    「私の胸は、ティッシュか」
    それでも、しばらくの間抱きしめていた。
    陽菜の隣に美沙樹は立つ。
    「それで…いいのか…?」
    「いいもなにも、せっかく陽菜が、美沙樹の虐めを受け入れるようになったんだろ?どこまでいけるのか、最後まで見てみたいよ」
    由香里の言葉に、綾奈が、うんうん、と頷く。
    「もちろん、ふたりがいちゃついてるのまで、邪魔しようとは思わないし」
    「いちゃつくか、ばか」
    照れたときに使うボキャブラリーの貧困さは、充分承知している。
    「じゃあ、いつ邪魔してもいいんだ」
    思わず、にやにや、笑ってしまう。
    「うっせ。空気読めよ、そういうときは」
    美沙樹ばかり虐めても、仕方ない。
    「…で、今日は見せてくれるんだろ?ふたりの決意っての」
    今日は、その約束で集まった。
    昨夜、美沙樹から由香里へ、報告があったのだ。
    「付き合うことになった…ってか、付き合ってる。ってか、私の所有物にした」
    つっこめばつっこむほどしどろもどろになる美沙樹からの電話を堪能した後、本当に陽菜が、美沙樹の所有物になったのか見せてくれ、と言ってみたのだ。
    単なる好奇心もあった。しかしそれ以上に、やはりふたりがどういう関係にあるのか、これからどこへ進むのか、きちんと見ておきたいと思ったのだ。

    第10話□目撃者 由香里
    [5/6㌻]
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    「わかった」
    美沙樹は、そういうと奥の机に座った。陽菜ひとりを挟んで、由香里と綾奈に向かい合うように。
    「陽菜、練習した通りに、挨拶してみな」
    挨拶。いったいどんなことをするのだろう。今更、自己紹介なのか。
    「はい」
    陽菜の声が震える。いつも虐められ、命令されたときと同じ返事。
    けれど、その瞳は違う。背後に座るひとりの相手を信じ、言われるままにすべてをさらそうと決意した輝き。
    陽菜は、ブラウスを脱いだ。スカートも。脱いだ衣服を横の椅子にかけていく。誰も脱げとは命令していない。けれど、「挨拶」のために自ら進んで裸になろうとしている。
    靴下を脱いだ。上靴は履きなおさず、裸足で汚れた床に立つ。
    ブラもはずす。その手が震えている。緊張だけからではないのは、すぐにわかった。
    4人の中で一番の巨乳であるその乳房の先で、きれいな色の乳首が、つんと勃っていた。
    ショーツに手をかける。一瞬ためらったが、迷いを断ち切るように、一気に膝まで下ろした。少しよろめきながらも、片足ずつ引き抜いた。
    下着も椅子の上に置くと、陽菜は全裸で気をつけの姿勢をとった。
    恥ずかしさで顔を赤らめ、膝が細かく震えている。
    「え、まじ?」
    綾奈が小さく驚いた。由香里も同様だった。
    陽菜の股間から陰毛が消えていた。
    前にも一度、嫌がる陽菜を押さえつけ、みんなで剃ったことがあったが、それよりも徹底的に、きれいに脱毛されていた。
    「この間まで、ぼうぼうだったじゃん」
    綾奈のいうこの間とは、修学旅行の時だ。美沙樹に命令され、陽菜は身体を隠すことなく、大浴場を歩き回った。
    身体をろくに隠さない者は何人もいたが、人一倍恥ずかしがり屋の陽菜が、それをやったことに由香里は驚いていた。しかも、湯船の縁に脚を開き気味に座らせ、何人ものクラスメイトに、性器をさらさせた。
    そのときは、しっかり陰毛が生えていたのだ。
    「あれが、見納め。永久脱毛ってわけじゃないけど、しばらくはこのままにしておくつもり」
    美沙樹が答えた。
    陽菜が、その美沙樹を振り返る。美沙樹が無言で頷く。
    陽菜はその場に腰を下ろした。そのまま後ろに転がると、脚を折り曲げ、すべてが丸見えになる姿勢をとる。太ももの裏から回すようにした手の先を左右から性器に当てると、人差し指を差し入れ、自らの力で限界まで広げて見せた。
    陽菜の性器は、由香里が今まで見た中で一番、淫猥中が焼きを見せていた。陰毛があっても子供に見えていたそこは、まだ成熟したとは言いがたいが、しっかりと大人の色をしていた。
    綾奈も無言のまま、食い入るようにそこを見つめている。
    「陽菜は…美沙樹さまのものになりました…」
    震える声と身体。緊張や羞恥からだけではない。それを告げるだけで、身体が反応し、感じてしまっているのだ。
    「牛みたいに大きなおっぱいも、だらだらとまん汁垂れ流すま○こも、これから広げてもらう肛門も、身体のすべてが美沙樹さまのものになりました」
    身体が、びくん、びくん、と痙攣した。
    「まだ、終わってない。勝手にいくな」
    美沙樹の厳しい声。
    「はい」
    足の指が、ひくひく、動いている。
    「誰に見られても、美沙樹さまの所有物だとわかってもらえるように、変態だとわかってもらえるように、まん毛も剃っていただきました」
    性器から流れる愛液が、肛門まで濡らしている。
    「こんな変態の陽菜ですが、美沙樹さまの所有物として、これからもどうぞ、かわいがってください。よろしくお願いします」
    見届けた美沙樹が立ち上がる。
    「どうした。終わったから、立ちな…」

    第10話□目撃者 由香里
    [6/6㌻]
    --------------------------------------------------------------------------------
    「由香里さん、綾奈さん…」
    陽菜が言葉を続ける。驚いた顔の美沙樹。どうやら、練習の時にはなかった台詞らしい。
    「虐めてくれて、ありがとうございます。美沙樹さんに会わせてくれて、ありがとうございます。こんな変態を好きになってくれる美沙樹さんに出会えて、わたし…幸せで…本当にありがとうございます」
    すべての力を使い果たしたように、陽菜はその場に手足を伸ばした。涙は、顔の左右に流れ落ちていた。
    「ばか陽菜。私の言いたいことまで、全部言いやがって」
    隣に片膝をついた美沙樹が、陽菜を抱き起こす。
    陽菜が、美沙樹に抱きつく。その背に美沙樹の腕が優しく巻きつく。
    「よく頑張った」
    どこまでも慈しむような声。満たされたのは陽菜?癒されたのは美沙樹?
    「本当はこれから、みんなでエロ陽菜を虐めて遊ぼうと思ってたんだけど、ちょっとまだ陽菜にはきつかったみたいだ」
    陽菜の上半身を抱きしめたまま美沙樹は告げる。
    「由香里、綾奈、今までありがとうな。こんな変態ふたりだけど、できればこれからも…友達として、付き合ってほしい」
    陽菜のことだけではなく、自分のこともしっかり変態と認めて、それでも毅然とした声。
    誰に恥じることもなく、陽菜を愛すると決意した表情。
    「こちらこそ、よろしく」
    今までと変わらぬ声で応じたのは、綾奈だった。
    「ああ。私らこそ、よろしく。たまには虐めさせなよ」
    由香里も同じ声が出せた。
    「ありがとう」
    そう応えた美沙樹を少しの間見つめると、
    「さ、いくか、綾奈。こういうときこそ、空気読まないと、ね」
    由香里は立ち上がった。
    「そうだね。これから、ふたりのいちゃいちゃタイムだしね」
    綾奈も続く。
    「うっせ。いちゃつかねぇって」
    美沙樹の声を背中で受け止めながら、由香里は用具室を出た。
    「すごかったね」
    綾奈が隣で声をかけてくる。
    「ああ」
    由香里は、心の中に暖かさと、自分でも理解できない切なさを感じていた。
    「それに、すっごい幸せそうだった」
    「ああ…そうだな」
    美沙樹の幸せそうな顔を思い出す。学校にも家にも、夜の街にも、自分の居場所を見つけられなかった彼女が見つけた、自分を受け入れてくれる場所。
    「しっかし、綾奈、てめ、上から目線だな」
    「そんなことないって」
    「彼氏持ちは、余裕ですか」
    「いや、それほどでも…」
    「よし。私も彼氏作る。本気で作るわ」
    由香里は足を速める。
    下着の中がぬるぬるとしていた。その潤みの原因が、美沙樹と陽菜、どちらに自分を重ね合わせたものなのか、今の由香里には理解できずにいた。
    【 完 】

     

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