俺は尚子の頭を撫ぜながら「徹さんが調理師免許があるから助かったよ」
俺は石を良く見詰め直した人が彫刻した跡があり 石を差し出しながら
「変わった石だな ところでこの石はどこから持って来た」
尚子は松林の奥を指差し「あそこから 近くに石祠があるよ」
俺は驚き顔で「馬鹿かっ 罰が当たるぞ」と松林の石祠の方へ行った
すると1人の老人が石祠に手を添えて拝んでいた
その老人を良く見ると前 会った事のある爺さんだった
「おっ 爺さん 元気っ また会ったな」
老人は立ち上がり「お前さんか キャンプ村は順調だな それに海の家も
良いな この浜辺は また賑やかに成るな おっ その石はどうした」
俺は石を差し出し「いやね うちのバイトがこの辺から持って来たと」
老人は慌てて石を取り上げ石祠の中へ入れ また拝み始めた
俺は不意義に思い「爺さん この石祠は何の神ですか」
、
老人は石祠を見ながらゆっくりと話を始めた・・・・・・
《 今から遡る事 飛鳥時代に奉られた○欲氏神と呼ばれている
食欲・愛欲・性欲・意欲・淫欲・物欲など全ての欲をこの神が支配している
迷信を信じた武家達は先を争うように7個しか存在しない
○欲氏神の神石を探した
そして、○欲氏神の神石を手に入れた武家・大名が欲に溺れ争いが
始まった今で言う戦国時代だな
ある者は天下を取り ある者商売繁盛 ある者名誉を手に入れた
しかしなぁ 信じてこそ強欲運は続く 家系3代目になると○欲氏神の
存在を忘れ破滅の道を進む それと同時に神石は元の場所に帰る》
「多分お前さんが持って来た神石も倒産した社長の物だったかも知れないな
食欲の神石は飲食店で成功・愛欲の神石は家庭円満・
性欲の神石は風欲店で成功・金欲の神石は高額宝くじが当たり
"その人の欲心でさまざまに神石は変化する"」
俺はニヤ笑いしながら「ははっ化学が発達した時代に 神様ているかなぁ
しかし 古い石祠ですね磨いて綺麗にしたら幸運が来るかな」
老人は「もちろんだよ ほれっ この神石を持っていなさい」と石祠から
石を取り出し俺に渡した
俺は石を受け取り呆れ返りながら「ところで 爺さんは・・あれっ?いない」
今までいた老人の姿がなく お経の声が"南無・南無・・"と遠ざかる気配がし
俺の背筋に寒気が昇り身震いし声を振るわせながら「何だよおいっ 何なんだ」
俺は風化状態の石祠を綺麗に出来ないかなと思い石材店の石工を呼んだ
石工は石祠を見回り「花崗岩ですね このまま磨けば綺麗に成りますよ」
石工は砥石の付いたサンダを取り出し磨き始めた すると見る見る内に
綺麗な石祠になった
俺は神仏は信じないけど"何かの存在"が俺を見守っている気配がした
、
来週から夏休み 俺はキャンプ村と海の家の最終確認をして回った
「いよいよだな この1ヶ月半が勝負だな」と海の家に行くと
書類と地図を広げ海の家を見渡している役場の人達がいた
職員は俺を見つけると「この場所 県有地だよ県に許可を貰わないと」
俺は慌てて「えっ 県有地だって 来週営業開始で間に合わないよ」
職員は困り果て「そうだ 町共同体で運営すると直ぐに許可が下りるぞ」
俺は1礼して「お願いします 売上1部を町に寄付します ところで
○欲氏神ているのかな?」と職員に質問した
職員は驚き顔で「えっ なぜ その神の事知っている」
俺は先ほど爺さんの話をした・・・
職員は「町歴史館の倉庫資料と内容が同じだな 確か その神は白蛇に
化身して出て来るとか 主の姿は細身の身体に頭が坊主で
白い顎ひげを長く伸ばし手には杖と竹竿を持っていると書いてあったなぁ」
俺は口をパクパクさせながら「あっあっその印象は爺さんにそっくりだ」
職員は笑いながら「迷信ですよ おっ時間ない許可貰いに県庁に急ごう」と
急ぎ足で車に乗り走り去って行った
町がバックに付くと何かと便利だな その時 事務所を管理していた麻美が
「指導員長 女性の方が海の家のアルバイト面接に来ています」と叫ぶ
俺は直ぐに管理事務所へ行った ジャージを着た高校生が3人面接に来ていた
履歴書を見ると住所が近くで感じ良い女子高校生だ
「17歳 ○○小百合さん・○○里美さん・○○今日子さん
私立○○女子高校ですね 」
それに可愛いと鼻の下を伸ばしながら「採用します来週からお願いします」
すると1人の女子高校生が「あのっ徹先輩はいますか きゃあっ」と照れる
俺は「ああっ尚子ちゃんのお兄さんですね 来週から来ますよ」
女子高校生3人は顔を見合せガッツポーズを取る
こいつら徹を目的に来ているな徹は確かにカッコイイよなと いじける俺
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