【他人棒に】筆下ろし 【寝取られ】 オナネタ専用エッチな体験談

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    【他人棒に】筆下ろし 【寝取られ】


    八月の青空の下、浜野朱美は鼻歌交じりに洗濯物を干していた。緑豊かなニュータウンを背景に幸せいっぱいのシーツをはためかせる。
    (ふふ、またすぐしわになるのにね)
     思わず笑みがこぼれてしまうのは、今晩、夫の利之が出張から戻ってくるからだ。
     そして、そんな夜は決まって抱き合うのが、ここ数年の約束事になっていた。家を空けがちな夫にしてみれば、「風俗に行かなかったぞ。浮気だってしていない」というつもりなのだろう。それが朱美は心からうれしい。
     一人娘を寝かしつけてから夫と一杯やり、ほろ酔いになるそのひとときが待ち遠しいのだ。それは子供が大きくなっても大切にしたい夫婦の時間だった。
    (さてさて、今晩のおかずはなににしようかしら?)
     夫の好物に頭をめぐらせたとき、階下から娘の美雪が声をかけてきた。
    「ママ! 電話だよ! パパから!」
    「あ、はーい!」
     階段を下りると、美雪は玄関で靴を履いていた。連日のプール遊びで小学三年生の肌はすっかり小麦色だ。三十路に入ってから一度も肌を焼いていない朱美は、眩しげに目を細めた。
    「あら、もう行くの? 目薬は持った?」
    「うん、持った。じゃあ、いってくるね」
    「はい、いってらっしゃい」
     二十四歳で産んだ一人娘はすくすく育ってくれたし、恋愛結婚した夫の仕事も順調。その上、双方の実家の援助でワンランク上の一戸建も買えた。そう、なにもかもが順風満帆だった。電話口に出るまでは……。
    「もしもし、おまたせ」

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    「お、おう」
    「さては晩ご飯のリクエスト?」
    「あ、いや、そうじゃないんだ……」
     夫の声は、朱美の陽気さを一瞬で打ち消すほど暗く沈んでいた。
    「……ど、どうしたの? なにか……あったの?」
    「あ、ああ。実は……ちょっとまずいことになった」
    「え、なに?」
    「す、すまんが金を振り込んでくれないか?」
    「……え?」
    「と、とりあえず百万必要なんだ。午前中に定期をくずせないか?」
    「ちょ、ちょっと待って。急にそんなこと言われても……。ねえ、なにがあったの?」
     夫が黙り込み、逼迫した息づかいだけが伝わってくる。朱美は両手で受話器を握り締めた。
    「じ、事故? 交通事故なの? そうなの、パパ?」
    「あ、いや……。い、いまは話せない。とにかく百万、急ぎで頼む」
    「だ、だめです!」
     夫の焦燥に引きずられる自分を叱咤するかのように、朱美は大声を張り上げた。
    「ひゃ、百万円は大金よ! わ、わたしに内緒でそんなことって……。理由を話せないなら送金しません」
    「た、頼むよ、朱美……。帰ったら説明するから……」
    「いいえ、だめです。夫婦の間で隠し事なんかしないでください」
     夫が弱気になるにつれ、朱美の語気は強まった。そうしなければ夫婦共々崩れ落ちてしまいそうだったのだ。
    「た、頼む。いまは勘弁してくれよ……」
    「どうしても説明できないなら、わたしがそちらに伺います。新幹線を使えば、銀行に寄ってもお昼過ぎには着きますから。お金はそのときに手渡します。それでいいですね?」
     夫は無言だ。無言だけに緊迫した状況を物語っている。
    「い、いま説明できないなら、手渡しが条件です。これだけは絶対譲れません」
    「……わ、わかった」
    「え?」
    「なるべくはやく頼む。とにかく金が必要なんだ」
     朱美は戸惑った。それほどまでに重大な困難が発生しているのだろうか? 強気とは裏腹に動悸が高まり、冷や汗も湧いてくる。
    「あ、そ、それじゃあ……あの、新幹線に乗ったらわたしから電話を入れます」
    「あ、ああ」
    「そ、それでいいんですね?」
    「ああ、よろしく頼む」
    「そ、それじゃあ、後で……」
     受話器を置いても、朱美はその場を離れなかった。夫がすぐにかけ直してきて、事情を説明してくれると期待したのだ。だが、五分待っても十分待っても、ベルは鳴らなかった。
    (お、落ち着くのよ、まずは落ち着くの……。わ、わたしがしっかりして、あの人を支えなければ……)
     朱美は震える手で受話器を取った。帰りはおそらく晩になる。事態によっては深夜に……。娘の世話を隣町の実家に頼まなければならなかったのだ。
     夫・利之は改札口で待っていた。
     三日前に笑顔で家を出て行った面影は微塵も残っていない。仕事上のどんな困難も跳ね返してきた夫が、いまは尾羽打ち枯らした体で佇んでいる。ふと、朱美の目頭が熱くなった。
    「パ、パパ……」
    「す、すまん……。手間をかけたな」
    「もう、心配したんだからね……」
     夫に縋りつこうとしたそのとき、朱美は三対の視線に気づいて踏みとどまった。中学生らしき三人が、夫の斜め後方からこちらをじっと窺っていたのだ。明らかになんらかの意思を持って、朱美を観察している。
     朱美は寒気とともに直感を得た。
    「ま、まさか、あの子たち……なの?」
    「あ、ああ……」
     夫はうなだれるように頷いた。拍子抜けするような馬鹿馬鹿しさに、朱美は声を荒げてしまう。
    「あ、あの子たちに百万円? あんな子供に百万円? ね、パパ、一体なにがあったのよ?」
    「あ、いや……」
    「わたしを呼びつけておいてなによ! はっきりしてよ!」
    「あ、だから……」
     口ごもる利之に業を煮やしたのか、少年の一人が前に進み出てきた。上背のある鈍重そうな少年だった。
    「違うぞ、おばさん。全部で百五十万円だ」
     もう一人、今度は利発そうな少年がしゃしゃり出てきた。小さな体に似合わぬ狡猾そうな笑みを浮かべている。
    「つまりね、一人頭五十万円なんだよ。で、持ってきてもらったのはぼくたちの分の百万円」
     二人の少年は揃って両手を差し出た。朱美はたじろぎ、夫の背後に隠れた。
    「パ、パパ、なんなのよ、一体?」
    「あ、いや、手持ちのカードで五十万は作ってもう渡してあるんだ。だから、残りの百万を……」
    「そ、そうじゃなくて! なんであの子たちに大金を渡さなきゃならないのよ!」
    「あ、だ、だから……」
     肝心なところで利之は口ごもってしまう。朱美は夫の両腕を掴み、激しく揺さぶった。
    「パパ、しっかりして! ね、なにがあったの? わかるように説明して!」
     すると、二人の少年は呆れたと言わんばかりに笑い出した。
    「あれ、まだ話してなかったの、おじさん?」
    「まあ、ちょっと話せないよな。あんなことしたんじゃなあ……」
    「ま、それはそれとして、おばさん。はやく百万円ちょうだい」
    「そうそう、おれとこいつで百万円。きっちり耳を揃えてな」
     意味深なことを言いつつ、少年たちがにじり寄る。だが、利之はただ立ち尽くすのみだ。
    「パ、パパ! パパってば!」
     朱美がパニックの兆候を見せ始めた直後、三人目の少年が動き出した。
    「ちょっと待て。作戦変更だ」
     その少年に際立った特徴があるわけではない。だが、仕種のひとつひとつが自信に満ちあふれている。間違いない。彼がリーダーなのだ。
     一旦後ろに引いた少年たちはなにやら相談を始めた。意図的かどうか、その内容が漏れ聞こえてくる。
    「金なんかよりいいものがあるぜ」
    「え、なんのこと?」
    「女だよ、女。むちむち、むれむれの女だよ」
    「ま、まさか!」
    「だって見ろよ、あの奥さん」
    「ああ、不細工なババァが来ると思ったらなかなかの美人だもんな。まだ二十代だぜ、きっと」
     少年たちは朱美をちらちら見ながら笑っている。それは女を値踏みする男の目だった。
     小振りで愛くるしい顔。うなじの白さを引き立てるショートカット。半袖ジャケットの下はアイボリーのワンピース。透明感のあるストッキングの足元は白いパンプス──。朱美の容貌は、ほっそりした腕にかけた白い日傘と相まって、涼風のような印象を与える。
    「歳は二十七」
    「職業はOL」
    「セックスは週三回」
     聞こえよがしの侮辱に朱美の目元が険しくなった。夫と少年たちの間になにがあったか知らないが、初対面の人妻を捕まえて冗談にもほどがある。朱美は頼りない夫を脇にどけて、少年たちと対峙した。
    「ちょ、ちょっと! きみたち!」
     待ってましたとばかり、リーダー格の少年がほくそ笑んだ。
    「あ、奥さん、聞いてたの? じゃあ、そのことについて歩きながら話そうか。大事な話だから旦那さんも一緒にね」
     少年は一方的に言い、駅舎の出口に向かって歩き出した。
    「あ、待ちなさい! きみたち何様のつもり! 調子に乗るのもいいかげんにしなさいよ!」
    「そりゃあ、調子にも乗るさ。またとない獲物を手に入れたんだからな」
    「だ、だから一体なんのなよ! 夫はあなたたちになにをしたのよ!」
    「じゃ、言っちゃうよ」
     少年は立ち止まり、牙を剥かんばかりの形相で朱美を睨みつけた。
    「あんたの旦那はな、おれの妹に悪戯したんだよ。公園の隅に女子小学生を連れ込んで、胸や脚に触ったんだ。とんだ変態おやじだぜ」
    (え? う、うそ……)
     朱美は思わず口を両手で覆い、夫と少年を交互に見た。少年が怒りに顔を紅潮させながらも朱美を直視しているのに対し、肝心の夫は蒼白の顔面を伏せ、意図的に目を逸らしている。
    (パ、パパ、どうして黙ってるの? なにかの間違いよね? そうよね、パパ?)
     朱美は心の中で夫に問いかけた。衝撃が大き過ぎて声にならないのだ。だが、夫は唇を噛み締め、肩を小刻みに震わせているだけだ。それが答えだった。
    (そ、そんな……)
     足元が揺らいだ。長いコンコースがうねって見える。
    「歩きながら話そうぜ」
     少年は吐き捨てるように言うと、大股で歩き出した。夫がゆらゆらとその後に続く。朱美もふらつく足取りで夫に従った。
    「奥さん、知ってる? アメリカのある州じゃ、性犯罪者の情報を地域住民に公開してるんだってよ。日本もいずれそうなるんだろうな」
     少年は人ごとのように言ってのけた。後ろからついてきている仲間の少年たちも、そうそう、大変だよなあ、などとしたり顔で頷いている。
    「おれの妹さあ、十歳なんだ。まだ十歳。たったの十歳……。そう言えば美雪ちゃん、九歳なんだってね。なんなら、美雪ちゃんが十歳になったとき、おれたちで輪姦してやろうか?」
    「……え?」
    「輪姦してやるって言ったんだよ。当然だろ、おれの妹はあんたの旦那に悪戯されたんだから」
    「……う、うそよね? 冗談でしょ?」
    「冗談にするかどうかは奥さん次第だぜ。奥さんがおれたちにセックスを教えてくれればな」
    「な、なんですって!」
    「心配するな。明日の朝までだから」
    「ば、馬鹿を言え!」
     声を張り上げたのは夫の利之だった。少年の行く手を遮り、こぶしを振り上げる。だが、それすら予想していたのか、少年は冷徹に言い放った。
    「あんた、性犯罪者になりたいの?」
    「な……」
    「女子小学生に悪戯って言ったら、キング・オブ・性犯罪だぜ。いいの、それでも?」
    「そ、それは……」
    「会社はクビ。ローンが払えずせっかくのマイホームもおじゃん。あ、その前に近所中に噂が立つか……。そうそう、美雪ちゃんは学校でいじめられるんだろうなあ。もちろん親兄弟は泣くだろうね。いやはや大変だ。おれなら自殺しちゃうな、速攻で」
    「くっ……」
     利之が拳を下ろした。
    「十分待ってやる。奥さんを説得しろ。性犯罪者になりたければ連れて帰れ」
     少年はそう耳打ちすると、利之の脇をすり抜けて駅舎の外に出て行った。残された利之は魂の抜けた骸だった。みじめな敗者だった。その利之の手を、朱美が握り締めた。
    「と、とりあえず、ね、あなた」
    「……え?」
    「ここじゃなんだから、車の中で話しましょう」
    「あ、ああ……そうだな」
     最初は早足だったが、徐々にしぼむように足取りが鈍り、いつの間にか繋いでいた手が離れてしまった。
    「……ねえ、本当は違うんでしょ? お願い、わたしには本当のことを言って」
    「あ、あざがあったんだ……」
    「え?」
    「こ、公園で一休みしているとき、美雪に良く似た女の子が通りかかったんだ。その子の腕に青あざがあった。脚にも……。それで呼び止めて、いろいろ話をしたんだ。なにか力になれないかと思って……」
    「だ、だったら、なんで本当のことを?」
    「……服を脱がせたのは事実だ」
    「で、でも、違うんでしょ? 親切でそうしたんでしょ?」
    「も、もちろん。でも、本人はそう言っていない。怖がってるんだ。言えないんだよ、兄の前じゃ……」
     二人は車の前で立ち止まった。社名入りの営業車だ。これでは逃げ去ることもできなかっただろう。
    「ね、ねえ。あんな子供の言うことは無視して、親御さんに話を通したらどう?」
    「……子供を虐待するような親だぞ。自分の非を隠そうと、かえってむきになるに決まってる」
     それっきり二人は黙り込んだ。完全な袋小路だった。八月の太陽が容赦なく照りつける。朱美は乾いた喉に唾を流し込んだ。選択肢は二つ。たった二つだけ──。
     ふいに利之が顔を上げた。すがるような、哀れむような目でなにかを伝えようとしている。朱美にはそれがわかった。直感ではない。夫の目がすべてを語っている。
    (だ、だめよ! それを言っちゃだめ!)
     それを口にされてしまったら、もう二度と愛せない。永遠に愛せないのだ。目先の危機を乗り越えても、いつか必ず家庭は崩壊する。だから言わせてはならない。言わせたらなにもかも終わる……。
    「わ、わたし、行くわ!」
    「え?」
    「わたし、行くわ。ね、行ってもいいでしょ?」
    「……い、いいのか?」
     その顔に浮かんだのは安堵だったか悲しみだったか……。夫にすがりついた朱美にはそれを確かめる術はない。
    「明日……わたしが家に戻ったら……いつものように愛してくれる?」
    「も、もちろん。もちろんだよ」
     利之の声は、さながら幼子の嗚咽だった。



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